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かんてらOverWorld  作者: 伊藤大二郎
エルフロードを越えて! フロッグワード入国編
205/363

2月2日 エルフロード 群集性ドラゴンモドキオオトカゲの住む荒野を進む

 おそらく平成27年2月2日

 剣暦×○年1月2日


 エルフロード

 群集性ドラゴンモドキオオトカゲ生息帯内のオアシスにて一泊。



 昨日はこちらの世界の正月だった。

 の割には何もしなかった。あけましておめでとう的な挨拶もなかった。

 今年もよろしくお願いしますくらいは言ったけれど。

 しかし、アームさんの話を聞くと、昨日の朝御飯に出てきたパンを豆乳みたいな謎の液でとろとろに煮込んだお粥みたいな何か、がこちらの世界の正月料理だった。

 ああ、パン粥にしては味が濃いなと思っていたけれど。

 あれが剣祖文明圏ではポピュラーな御雑煮みたいなもので、国によっては、あの豆乳みたいなものが山羊の乳になったり、パンだけでなく野菜も入れたりするんだとか。

 ノーズさんとアームさんとフッドさんも、それぞれの家庭で違う味付けなのだが、今回は旅先、手に入る材料の中で一番万人向けの味付けにしたそうだ。

 それにしては、僕には味濃過ぎるような気がしたけれど。


 ちなみに、獣頭人のタマちゃんやスケさんにも聞いたけれど、獣人の世界ではあのパン粥は食べない。と言うか、あれに拒否反応すらあった。

 曰く「パンを液体に浸して食べるとか、そんな下品なことを文化にするのが信じられない」

 いや、そこまでひどい言い草なもんでもないよ。うまいことはうまかったし。

 しかし、あれを口にするくらいなら飢え死にするというくらい、嫌いなんだとか。

 じゃあ獣頭人は正月に何を食べるんだ? と訊いたら「正月は断食に決まってるにゃ」とかいわれた。決まってるんだ……。

 そう言えば、昨日宿で一日体力回復に時間を使ったけれど、タマちゃん達の姿見えなかった。


 こういう時は、人と獣頭人が理解しあえる日が本当に来るのか、少し自信を失くす。

 



 何はともあれ、エルフの国フロッグワードへの入国を果たす。 

 入った途端荒野が広がる。

 案内人のカクさんが言うには、この荒野の中に約50mごとに目印となる杭が打たれているので、その杭を目指して歩くこと、そのルートからそれては絶対に駄目! と言われる。

 理由としては、紋の国からエルフの国に入った途端に、フロッグワード領の荒野にのみ生息する、体長10メートル程度のオオトカゲの群れの縄張りに入るかららしい。

 そいつらは硬い・速い・無駄に多いの三拍子そろった翼が生えていない以外はドラゴンとそう変わらない性質をもったトカゲで、基本50匹くらいで群れを作って生活している。普段は暴れないのだが、縄張りの中に侵入者を確認すると総出で襲いにかかって、例え1匹や2匹倒しても、最後の一匹になるまで戦うという、迷惑な性質を持つ。

 それで、この荒野に大体30ほどのグループがいるが、グループの縄張りが重なるとどちらかのグループが消滅するまで潰しあうという好戦的な性質のため、その数は不定期に上下する。

 ただし、それでは自滅の道を辿るだけなので、縄張り同士の間には10mくらいマージンを取る習慣もあるという、妙にバランス感覚のあるドラゴンもどき。


 そして、その縄張りと縄張りの隙間が、冒険者がトカゲに襲われずに通れるルートである。

 カクさんが説明した杭は、そのルートを示すものなのであった。


 さすが、エルフの国。いきなりだ。

 今日は何の問題もなく1日かけて、荒野を抜けた。結局、そのトカゲを見ていない。普段は見えないところでひっそりと暮らしているそうだ。

 途中、オアシスがあり、今日はここで一泊することに。

 このペースでいけば、明日中にはドラゴンモドキオオトカゲの生息帯を抜けられるとのこと。 

 

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