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かんてらOverWorld  作者: 伊藤大二郎
新パーティ結成! 紋の国横断編
202/363

1月29日 紋の国 第1宿場町に到着 道中で以前見た風景画のことを思い出す。

 おそらく平成27年1月29日

 剣暦××年12月29日


 紋の国オーバーフラッグ

 横一文字街道 第1宿場町 つまり エルフ領との境界



 すごく、どうでもいい話なのだが、その時は特に気にも留めていなかったのに、後から不意に思いだして、それが重要なことだったのだと気付くことがある。


 今日の昼間、街道を東に向いて歩いている時に、ふと思い出した。

 僕が先月草原の国の図書館で調べ物をしていた時に、壁にかかっていた壁画のことだ。

 とても大きなキャンパスには、晴れた青い空の下、どこまでもどこまでも、まっすぐに伸びた道。道の両隣りは荒野。

 きっと、大勢にの人が頑張って切り開いたのだろう。

 その中央、外套に身を包んだ背の高い旅人が、歩いている。

 さびしげな、静かな色で全体が塗られた絵の中で、その道を歩き続ける旅人だけが、まるで光を放つように、描かれていた。

 その絵を見た時に、僕は何を想ったのだったか。

 この旅人を書き足した時、単なる荒野の風景画が、荒野を突き進む旅人の絵になった時、作者はどんな気持ちを込めたのだろうか。

 忍耐? 勇気? 覚悟?

 ああ、あの司書さんに、あの絵について訊いておけばよかった。


 今日の昼間、街道を東に向いて歩いている時に、気付いた。

 紋の国オーバーフラッグ横一文字街道第2宿場町から第1宿場町に続く、最後の道。

 晴れた青い空の下、どこまでもどこまでも、まっすぐに伸びた道。両隣りは荒野。

 きっと、大勢にの人が頑張って切り開いたのだろう。

 その中央、外套に身を包んだ背の高いカクさんが、歩いている。

 さびしげな、静かな色で全体が塗られた世界が広がる、僕の視界の真ん中で、その道を歩き続ける彼女だけが、まるで光を放つように、浮かび上がっている。


 僕があの日草原の国で見た風景画の景色と同じものが、紋の国の道中で、目の前に広がっていた。 

 あの絵は、ここで描かれたものだったんだ。

 僕が見た光景と同じものを見た誰かが書き残したものが、草原の国グラスフィールドに流れ着いたものだったんだ。

 僕は思わず、前を歩くカクさんに訊いた。

「カクさん、もしかして前にも一度ここ通ったことある?」

 カクさんは「何度もあります」と答えたから、「その時、画家を案内したことは?」

 なんで知っているんですか? と驚いた声を出された。

 説明に、手間取る。


 あの絵に込められた想いはわかった。僕が今思っていることをあの人も感じたと言うのなら。

 


 今日はやっとこさ第1宿場町に到着した。

 なんとか、日暮れまでに到着できて何より。

 なのだけれど、何故か待っていてくれてるはずのスケさんがいない。

 ただ、集合予定日を1月31日にしているので、それまでどこかに出かけている可能性もある。

 とりあえず、明日一日は休みに使おうと思う。

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