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かんてらOverWorld  作者: 伊藤大二郎
新パーティ結成! 紋の国横断編
201/363

1月28日 紋の国 大陸三大がっかり名所『紋国東端神殿』

 おそらく平成27年1月28日

 剣暦××年12月28日


 紋の国オーバーフラッグ

 東端神殿



 この国で最も古い宗教施設『東端神殿』というものを拝みに行く。

 アームさん、フッドさん、ノーズさんはあんまり興味がないようだったので、自由行動をしてもらう。

 タマちゃんは、いつもなら付いてきそうだけれど、獣頭人にとっては人間の剣祖崇拝は相容れぬものがあるらしく、参拝する気にはならないようだ。

 結局、案内人としてカクさんを連れて見に行く。

 今日はさすがに熊の毛皮は脱ぐ。

 半袖だが、思ったよりも日が照り、我慢できるくらいの寒さ。

 神殿前の宿町から、歩いて五分、東端神殿に着く。

 着いたのだが、いや確かにカクさんが「着きました」と言ったのだから着いたのだろうけれど、何もない。

 目の前に、寂れた小さな一軒家っぽいものがあるだけである。

 いや、まさか。

 カクさんに念のために確認すると、その小さな一軒家っぽい木造家屋が『東端神殿』だとのこと。

 

 衝撃的。


 紋国最古の神殿って言うから、荘厳な建築物を想像していたのだけれど、なんか、あれだね。本当に古いだけの建物なんだね。

「長年風雨に耐えてきた木造建築物というのも、なんだか風情だね」とフォローのつもりで言ったら、なんと5年前に建て替えたらしい。

 老朽化する度に建て替えており、長年の更新の中で建築様式も内部の装飾もがらりと変わってしまったらしく、おそらく当初の神殿の名残は全く残っていないそうである。獣頭人のここだけ情報では、元々土着の精霊信仰のための神殿だったものを、140年前に剣祖神殿に変えてしまったらしく、その時に一気に違う建物になった。

 なんてこったい。

 じゃあ、その土着の精霊様の神殿はどうなっちゃったの? と訊いたら、「第2宿場町に巨大で荘厳な社があったでしょ? あれです」

 あれなのか。

 ここのみすぼらしい神殿よりもたくさん人が入ってたし、めっちゃ豪華でしたよ。

 何のために祭神変えたのかわからん始末。


 そこでやっとカクさんから、『紋国東端神殿』が大陸三大がっかり名所の一角であることを教えてもらう。

 先に言ってくれればいいのに。


 そのまま帰るのは寂しいし、せっかくお弁当持ってきているので、神殿を見てまわる。

 五分で外周を見てまわる。

 昼頃に、宿町から神殿司祭がやってきて掃除を始めたので、話を聞く。

 なんと、中を見せてもらうえた。


 びっくりするくらい地味で特筆すべきものが何もなかった。

 ただ、建物内部の中央に、旗が一つ掲げられていた。

 三角形が二つ並んだ、赤地の旗。


 確か、この国ではありとあらゆる施設、町に紋章が用意されており、それを見て地理や地位を知ることができるそうだ。

 で、偉い人ほどシンプルなデザインの紋章で、それを旗に刻む。

 そう言えば、ここの王都、王様が住む王城に掲げられていた旗には横一文字に『一』という線が描かれているだけだった。


 そう考えると、この神殿の旗も結構位が高いんじゃないだろうか。


 なんてことを考えながら旗をみているだけで、半日潰せた。

 カクさんは、そんな僕を一日観察して面白かったとか言っていた。


 とりあえず、お弁当を食べて、神殿に中を見せてくれたお礼に少し多めに寄進して、宿町に帰る。


 帰ってから、なんだか頭がぼーっとする。

 やっぱり、寒い時に我慢して歩いて、寒い木造家屋の中で突っ立っていたせいだろうか。

 ちょっと風邪をひいたかもしれない。

 

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