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かんてらOverWorld  作者: 伊藤大二郎
新パーティ結成! 紋の国横断編
200/363

1月27日 紋の国 東端神殿前に到着。 道中で上着が燃えた経緯についてフッドさんに話す。


 おそらく平成27年1月27日

 剣暦××年12月27日


 紋の国オーバーフラッグ

 横一文字街道第1.5宿場町 東端神殿前の宿



 本日、第2宿場町を出発。

 紋の国最終目的地である第1宿場町へと向かう、予定だったのだが、一つ寄り道をすることにした。

 なんでもこの国の人達が横一文字街道を使う一番の目的地、最終巡礼地『東端神殿』というものが、第2宿場町と、第1宿場町の間にある。カクさんが言ってた。

 紋王ゴダバ・オーバーフラッグは流通のために国土を十字に走る太い道を抜いたわけだが、それだけでなくこうやって各地方の宗教施設をつなぐ意味もあったらしい。

 すごい国だわ。


 で、その紋国に33カ所ある神殿の中で最も古い歴史を持つという東端神殿。

 マジ、行きたいので、怒られるのを覚悟でカクさんとタマちゃんに相談すると、「集合予定日まであと5日くらいあるから、寄ってもいいですよ」と言ってもらえた。


 やったぜ。


 今日は、その東端神殿に巡礼する人達が素泊まりするための小さな宿町に到着し、一泊する。

 カクさんの予定では、明日神殿を堪能し、明後日の朝から出発。できれば1日で第1宿場町に着きたいそうだ。

「なんだか、僕のわがままに着き合わせてしまって悪い」と謝ると、タマちゃん「こういう時は『ごめん』じゃなくて、『ありがとう』って言えにゃ!」とふんぞり返る。

 それ、僕が前にタマちゃんに言った言葉じゃん。言い返して得意げにしているタマちゃんに、なんかイラッときた。



 ※※



 第2宿場町を出発する。

 東端神殿前の宿まで、まっすぐな道をだらだらと、しかし結構早いスピードで歩く。歩く。

 熊の毛皮を被った僕、猫耳少女のタマちゃん、黒豹女のカクさん、腕が妙に太い背の低いイケメンのアームさん、指揮者みたいな恰好の胡散臭いノーズさん。そしてメイド服のフッドさんのイロモノ軍団の往来である。

 ……いや、フッドさんなんでメイド服なん? 騎兵服売っ払ったとかじゃないんでしょ?! と訊いたら

『いえ、この面子だと、普通の恰好した方が浮きそうで……』

 あながち、間違っていない。


 さて、徒歩である。あの、草国から持ってきた2頭の荷馬はと言うと、フッドさんが連れて逃げていたのだが、目立つので逃がしたそうだ。今頃、草原の国に向かって帰っているとのこと。賢いな。

 できれば、ほとぼりが冷めた位で戻ってくる賢さも欲しかった。

 カクさんは「エルフロードに入る前に、第1宿場町で調達しましょう」と言っていた。何に乗るのだろう?


 さて、徒歩である。

 相変わらず、タマちゃんは歩く時僕と手をつなぐ。

 特に、今は熊の毛皮を防寒着に着ているので、本当に熊人と猫人が手をつないで歩いているように見える。まあ、『熊頭人』という種族は、この世界にはいないそうだが。

『ところで、クマテラさん』

 フッドさんが、僕のことを呼ぶ。なんか、昨日の夜に皆にこの毛皮を見せてから、僕のあだ名がそれになった。なんだろう、なんなのだろう。

『なぁに?』

『あの、どうして上着が燃えたんですか?』 

 ああ、一昨日のことか、そういえば、あの場にフッドさんはいなかったもんな。

『馬車が燃えてたんだよ。で、中に子どもが取り残されていたから助けだしたら、お尻に火が付いてた。慌てて消してたら上着にも燃え移って、すごいよく燃えた』

 簡潔に、説明したら、フッドさんの頭上に?マークがたくさん浮かんでる。

『あの、なんで馬車が燃えていたんですか?』

『妙な顔を隠す面をつけた連中が、火を付けてた。多分、僕のエルフの国入りを止めたい勢力が雇った連中で、街道を通るそれらしい集団を片っ端から襲っているみたいだったよ。その狙われた馬車も、どっかの金持ちが道楽で買った剣国製の外国のデザインの馬車だったから、怪しまれたみたいで。ちょうど、襲われている瞬間に立ち会っちゃったから、大慌て。でも、怪我人が出なくてよかったよ』

『クマテラさん達は、襲われなかったんですか?』

『僕が、慌てて馬車の消化をして火が着いてぎゃーぎゃー言ってるうちに、カクさんが全員やっつけてくれた。やっぱ強いね、【案内人】って』

『その後、どうしたんですか?』

『タマちゃんにお尻のやけどに塗り薬塗ってもらってる間に、スケさんとアームさんとノーズさんが全員ふんじばって、船に乗せて川に流してた。襲われてた人達は第2宿場町の人達だったから、一緒に行った。んで、到着してその人達と別れた後ごはん食べようとしたら、フッドさんがバイトしている店だったって訳』

 そこまで説明したところで、フッドさんがなんだか不満そうな顔をしているのに気付く。

『どうしたの?』

『どうして、どうして私がいない時にそんな面白そうなことしているんですか!』

 そんなの僕に言われても。

 すると、そこまで黙って話を聞いていたタマちゃん、口を挟む。

『安心しろにゃ。こいつとの旅じゃ、その程度のこと、トラブルにもなりゃしねーにゃ。エルフの国に入った途端、もっとすげーことになるにゃ』

 やめてよ、ハードル挙げないでよ。

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