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かんてらOverWorld  作者: 伊藤大二郎
新パーティ結成! 紋の国横断編
189/363

1月13日 紋の国 第9宿場町  栄え過ぎな都市 海老チリ発見する。

 おそらく平成27年1月13日

 剣暦××年12月13日


 紋の国オーバーフラッグ

 横一文字街道 第9宿場町 すなわち 王都ダブルイーグル城下町



 皆と話をして、今日と明日は休息にあてることにした。

 スケさんとカクさんは情報収集に、紋の国のどっかにある獣頭人職人組合事務所に。

 アームさんは、紋の国にエルフの国大使館があることを知り、何か情報はないか訊きこみに。

 フッドさんは、馬の手入れをした後は、いい幌馬車がないか探しに行った。

 ノーズさんは……、まあ言わずもがな。

 今日は僕とタマちゃんで行動。大人しくしていろと言われたので、宿の近くの屋台通りで、お昼御飯を買うくらいしか外出はしていない。


 紋の国王都ダブルイーグル。

 一言でその特色を言うならば、物にあふれている都市だ。

 東西を結ぶ横一文字街道と南北を結ぶ縦一文字街道。

 その交差点に存在し、あまたの街道が国下各都市に張り巡らされている。

 まさに、全ての道はイーグルに続いている。

 その道路整備のために物流が半端ない。

 どちらかと言うと山沿いの都市で新鮮な魚が食べられ、各都市からの定期便が一日に一回は来る。国を横断して物を運ぶ仕事で生計が成り立つほどに、運輸に力を注いでいる。

 オシャレな服を着た人がたくさん歩いていて、道も掃除されて綺麗だ。

 競争の激しい大通りでは、次から次に店が経っているが、売れなければすぐに閉店するが、いいものは必ず栄える。

 イメージとしては、大阪みたいなところ。

 グラスフィールドの王都も、それなりに人口と活気のある大都市だが、何と言うか、次元が違う栄え方をしていた。

 アームさん達も圧倒されていた。

 僕もびっくり。多分、僕の実家のある町よりもすごいわ。

 

 食べ物売ってる通りに出ると、色んな屋台があった。

 ふかし芋を小麦を練った団子の中に埋め込んで蒸したお菓子とか、サバをゴマダレで味付けしたものとか、パンの間に何か肉なのか何なのかわからないおいしいパテを挟んだサンドイッチとか、海老をチリソースにからめて炒めたものとか、なんでも置いてあってなんでもおいしかった。

 そう、海老チリがあった。

 地球で食べる味の! 

 興奮した。これは、この旅が終わったらメイド長のイオちゃんを連れてこなければ。

 


 ※※


 おやつに、芋を団子の中に埋めてふかしたお菓子を食べている時のことである。

 このお菓子、地球で食べたことがあるような気がするなーと思いながら二個目を食べようとしたら、タマちゃんが僕の手を引っ張って呟いた。

「やっぱり、この町様子がおかしいにゃ」

 そうだろうか、健全な活気ある町にしか見えないのだけれど。

「あっちのフード被ったノッポ。あれ獣頭人にゃ」

 言われてよく見ると、確かに裾から毛深い手が見える。

「そっちの小さなオッサン。髭を剃ってるけどドワーフにゃ」

 本当だ。まあ、斧担いでいる時点でそんな気がしていたけれど。

「あと、今朝から私達を尾行しているの、たぶんエルフにゃ」

 マジっすか?!

 尾行されていたのか。

「おかしいんだにゃ。草原の国は特別で、普通剣の国や紋の国みたいな人間の国に、異人はいないにゃ。私が今まで粗悪品を買いたたきに来た時は、異人の姿なんて見たことにゃかったのに……」

 ……突っ込むべきだっただろうか。いや、真面目な話みたいだし。

「異人が、忍びこんでるってことはつまり、どういうこと?」

「私達みたいに、【エルフロード】を越えようとしている連中じゃないか? にゃ」

「そっか、秘宝を探しに、僕達以外にもエルフの国に行こうとしている連中はいるんだったね。特に、僕達を尾行しているってエルフも」

「特に、観照さんがエルフの国に行くってことは、世界中に知れ渡っているにゃ。もしかしたら、また襲われるかもしれないから、腹は括っておくにゃ」

「えー、やだなあ」

「やだって……おめー私だってやだけど、仕方ないにゃ」

「じゃあ、出来るだけ襲われない様に目立たずに行かないとね」

「今更にゃ。あんな草国人丸だしのカッペな軍装の騎兵連中に、フードも被らず獣面丸だしの獣頭人。おまけに歩くだけでも目立つ異世界人の巨漢。見つけてくださいって言ってるようなもんにゃ」

「そういうタマちゃんだって、猫耳隠してないじゃん」

「あんたが隠す必要ないって言ったにゃ」

「それは事情知らないからで。まあ、別に今更隠す必要ないけどさ……」

 そうなると、また紋の国を抜けるまでに、ひと悶着あるパターンじゃなかろうか。

 しかしだ、よくわからない。

「タマちゃん。結局、今回の旅で僕の敵って誰なの?」

「そんなの私に訊かれても、困るにゃ。自分の敵くらい自分で見定めろにゃ」

「僕の価値観で言えば、敵なんていないんだけれど」

「ならそれでいーにゃ」

「……いーの?」

「いーにゃ。くだらない権力争いと、それにかこつけた国際勢力争い。観照さんのような男がいても、いーにゃ」

 これが、タマちゃんの「素」なのだろうか……。

 なんか、考えるのが面倒くさいので、二個目の団子を頬ばることにした。

 うまい。


 

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