12月14日 ダークホビット忍者に襲われる。フッドさんだけでも逃がす。僕捕まる。
おそらく平成26年12月14日
剣暦××年11月14日
ホビットの国ムーンスレイブだと思うのだけれど
真昼間から襲われるなんて、ホビットの国も治安が悪くなったもんだ。
フッドさんと二人、馬に乗って草原の国を目指しているところで、黒づくめのホビットに襲われた。
馬に追い付くスピードで走ることができるのは、剣祖文明圏ではホビットくらいのものだろう。
ホビットの国に来て、今の今までホビット忍者が現れないのが不思議だったが、ここで出てくる機会を待っていたということか。
ホビット語はわからないが、【カンテラカンテラ】うるさいので、多分僕目的のようだ。
今、一番大事なのは、この事態を草原の国王都に伝えることだ。
だから、僕が馬を降りて、わざと捕まった。
フッドさんには、そのまま馬を走らせ逃げてもらった。
逃げ切ったのを確認して、とりあえず、これで一安心。
しかし、一番ありがたかったのは、ホビット忍者は相手を傷つけずに取り押さえる技術を持っていたことだろう。
おかげで、無傷で捕まった。
もちろん、闘ったりしていない。喧嘩は弱いのだ。
その後、頭に袋を被せられ、持ち上げられてどこかに運ばれる。
次に頭の袋を取られた時には、どこかの小屋のようなところに運ばれた。
小屋の中には、黒装束に身を包んだホビット達。
しかし、変だ。前にホビット忍者の隠れ里『薄墨の村』に行った時に、この顔ぶれは見なかったと思う。それに、黒装束のデザインもちょっと違う。
そもそもホビット忍者はホビット王ハパナ・ムーンスレイブに忠誠を誓う隠密集団(という設定のコスプレ小人)で、ハパナ陛下とマブダチの僕を襲うとは考えられない。
……もしかして、彼らは話に訊く根来小人ではないだろうか。国に所属するホビット忍者『クロ衆』から分派し、金次第で異種族からの依頼だろうとこなす、実戦忍者集団『シロ衆』というものがあると聞く。それが、最早違う文化の持ち主として小人から独立した呼び方をされているというのは聞いている。
ということは、誰かが彼らを雇い僕を襲わせたちうことなのだろうか。
彼らは、僕に尋問を開始した。
しかし、僕はホビット語がわからない。
しかも、彼らは僕がわかる言語を使えない。
尋問は難航した。
結局夜までお互い何を言ってるのかわからないまま、終わり。今日が終わる。
さて、また縄で縛られるのかと思ったら、お腹に縄を括りつけられて、柱に繋がれた。そして、一人を残して皆外に出ていき、小屋に鍵をつけられた。
意外と自由が効く。きっと、最初の捕物で圧倒的な僕の弱さに気付き、適度に解放しているのだろう。だから、こうして日記もかける。
ふと、一人見張りとして残ったホビットと、眼が合う。
向こうも、困惑していた。そうか、この二人っきりの空間でどう過ごしたものか迷ってるのかな。
ホビットが好きそうなフレーズの歌を鼻歌で歌うと、聞き耳を立てているのがわかって面白かった。
フッドさんは、そろそろ草原の国に入国しているだろうか。