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かんてらOverWorld  作者: 伊藤大二郎
既に一年経過! カンテラの人となりに触れる編
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4月4日から4月27日までの間にあったこと

 さて、実を言うと、ここから約4か月間、日記を書くのをサボってしまった。

 正確には、日記を書く暇がないほど忙しかったことと、日記を書くことができない状況に陥ったからだ。

 また落ち着いたら、詳しく事情を書こうと思うが、書こうと思うといざ時間がとれないもので。

 この手帳から僕の足取りを読みとこうとする人のために、簡単に、何があって4月3日の日記から、7月26日の日記に飛ぶのかを、記載しておく。



○剣暦○○年4月

 馬車に勝手に乗ってきた女性陣をなだめすかして、全員下ろした。

 ただし、元々オークの国に連れていく約束だったリーヨンちゃんは、そのまま着いて来ることに。僕とジンさんの目指すホビットの国を横断した向こう側に、オークの国があるからだ。

 そういうわけで、僕、ジンさん、リーヨンちゃんの3人でホビットの国に入国。

 料理人アレグロ・スタッカートさんについて訊きこみを行う。

 そもそも、小人の国にはまだまだ異人が訪れる絶対数が少ないため、訊いたらどのホビットも【知ってる、あれだあれ】と言って教えてくれた。

 目撃証言を辿っていくと、風国ムーンスレイブの王都にてパンの勉強をしていることがわかって、早速行く。

 途中途中の村々で行くと歓待を受ける。こいつら、よっぽど暇で刺激に餓えているのか、尋常じゃなくもてなされた。仕方ないので、行く村々でリサイタル。

 そもそも日本語の歌が流行らしく、ジンさんにも歌ってもらう。オーク語しか喋れないリーヨンちゃん、あたふたしていた。

 王都に到着して、アレグロ・スタッカート料理人はホビット王の計らいで、王城にて匿われていた。

 初めて合ったアレグロさんは男なのか女なのかわからない優しい顔をしていたが、その両手だけは使いこまれたごつごつしている、恰好いい人だった。

 連れ戻しに来たことを説明したが、『ホビットパンの奥義を極め、姫様にホビットパンを食べさせるまでは帰りません!』とごねた。

 とにかく、四月末までになんとかするから、もう少し待ってくれというので、先にリーヨンちゃんをオークの国に連れていくことに。彼女の生き別れの父親が、かの国にいるらしい。

 オークの国まで1週間。何事もなく、オークの国に到着。見た目は人間だけれど4分の3オークの血が入ってる灰肌の美女リーヨンちゃんのお父さんがいるらしい町に到着。どう考えても王都。

 リーヨンちゃんのお父さんが住んでいるらしい家を訪ねる。どう見ても宮殿。

 衝撃の事実。

 リーヨンちゃんのお父さん、オークの国の先代王様だった。

 今のオーク王アイスバインの、年の離れた妹に当たる。僕、その人に会った事ある!

 さあ、いざ対面と言う矢先、リーヨンちゃん、会うのが怖くなったらしく逃げた。

 追いかける。町中を追いかけ過ぎて、オーク憲兵に誘拐犯と間違われて投獄されるが、リーヨンちゃんが勇気を出して城に来て僕を釈放するように命令してくれた。

 それでも、会うのが怖いというので、僕が代理でオーク王に会うことに。

 オーク王曰く「今はただ、生きてくれていたらそれでいい」ということ。

 リーヨンちゃんとりあえず王都で生活することに。また、仕事が終わって僕がオークの国をたずねたら、一緒に会いに行くと約束。

 オークにとって最も上級の誓い、小指の誓約を行う。ゆびきりげんまんのこと。

 そんなこんなでホビットの国に戻ることに。

 その帰り道で、ちょうどオークの国に向かう正式な草原の国使節団とフレイムロード卿を目撃。

 見つからない様に隠れる。……が、なんかフレイムロード卿の様子がおかしかった。

 

 ホビットの国に到着したのが、4月26日

 なんと、僕の護衛として以前雇っていたレンちゃんが僕を探して王都まで来ていた。

 ここで、また面倒な事態。

 先日僕達に関わったせいで壊滅したテロリスト『ブンゴの遺志』の残党が、アレグロ料理人を殺すために刺客を放ったと言う情報が入ったのだ。

 意味がわからん。

 仕方がないので、逃げることに。

 何とかアレグロさんには無事に帰って欲しいので、僕が元来た道を目立ちながら帰る。レンちゃんを連れて。

 ジンさんがアレグロさんを連れて隠れながら帰る。

 そういう計画を説明したらアレグロさんが『自分のせいでそんな迷惑はかけられない』と激昂したが、ジンさんがぶん殴り無理矢理連れて帰った。

 これで、僕が悪目立ちしながら刺客の目を引くように帰ればいい。ちょっと怖いけれど、レンちゃんがいたら大丈夫だろうと僕は慢心しきっていた。


 4月27日

 実はダークエルフは全員、『ブンゴの遺志』の残党に雇われていて、レンちゃんは仲間と共に、僕を殺すつもりでここまで来ていた。アレグロさんに放たれた刺客というのはまったくの嘘で、僕なら確実にこういう行動を取ると読み切っての情報操作だったらしい。……読まれまくりやでー。

 この日の午後、ジンさんとアレグロさんと別れた森の中で、レンちゃんが僕のお腹を刺した。

 いつも、僕を守ってくれていたエルフ刀で。

 ……傭兵稼業とは、シビアなものである。



 そこで、おそらく平成27年4月の記憶は終わる。

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