12月9日 草原の国とホビットの国の間 これよりホビットの国に入国する
おそらく平成26年12月9日
剣暦××年11月9日
草原の国グラスフィールドとホビットの国ムーンスレイブの間
北方平原のどっか
昨日の早朝、迎えに来た5人の伝令近衛騎兵の皆さんと一緒に出発。
外遊のために国境まですでに到着しているはずの姫様を連れ戻す。
朝から馬を走らせ、5回ほど中継村で馬を乗り換えて一昼夜走り続ける。
僕は馬なんて乗りこなせないので、騎兵の人の後ろに乗せてもらう。
僕の体重が重過ぎて負担になるので、順番に背中に。
2回くらい、落馬しそうになり、おしっこちびりそうなくらい怖かった。
そんなことをしてたら、昨日の真夜中には国境までつく。
しかし、間に合わなかった。
イリス王女殿下と使節団は、既にホビットの国に入国していた。
騎兵隊長さんは、悩んだ末に、1人を国に報告に取って返させ、残り4人と僕で姫様を追うことを決断。
ホビット側の国境警備基地には、草王家の紋章を見せて事情を説明したら、通ってもいいよ、とのこと。検問って、こんな軽かったっけ?
やっぱり公務員だと信頼が違うのだろうか。
(あとで聞いたが、隊長がこっそりホビットの入国管理官におみやげと称して、珍しいお菓子をあげていたらしい。不正がはこびる社会である)
そうして今は、草原の国とホビットの国の間の草原のどっか。
昨日は日記をつける余力もなく、バタンキューで眠る。
馬に乗るというのは、意外と体力を使うものだ。
野営をして、日が昇り、今日。
天候はどうしようもなく晴れ。おかげでつき抜けて寒い。
これから、また馬で走る。
ホビットの国の平原も、結構馬の食べられる草とか小川があったりするから、行けなくはない。それに大きな主要道に沿って走り続ければ、姫様の最初に訪問する予定の村にも行けるようになっている。
問題は、騎兵の皆さんはことごとくホビットの国なんて行ったことがない、ということ。
この場で、ホビットの国に行ったことのある経験は僕のみ。
僕のこと頼りにしているような眼をしているが、しかし、僕はトラブルの経験しかないと言うことを、皆わかってるのだろうか。
多分、今夜も日記をつけるどころではないだろう。
日の出、馬の手入れが終わり次第、出発する。