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かんてらOverWorld  作者: 伊藤大二郎
エルフの国へ行こう! 獣頭13部族大集合編
149/363

12月5日 おつかい終了 タマちゃんに案内料を支払う 夜、また酔いつぶれる。

 おそらく平成26年12月5日

 剣暦××年11月5日


 草原の国グラスフィールド

 王都 どっかの酒場 灯りが消えて、月の光で書いてるので場所は不明



 さて、僕の仕事は終わった。

 今回、アルミナ公にこれくらいかかるのでお金くださいと言って、必要分旅費をもらっている。残金の返却は不要と言われているので、会計報告は必要ないのだが、タマちゃんが、経費計算して紙に書き出してくれた。

 そんなこと自分でやれくらいに言うのかと思っていたら「あんたの財布半分預かったからには、これも仕事のうちにゃ」

 獣頭人は義理がたい。


 さて、僕の仕事は終わった。

 ということは、タマちゃんの案内人の仕事も終わったということである。

 案内料を支払わなければならないが、タマちゃんが請求してきた金額が、妙に安い。相場で請求していいよ、と伝えたら、案内人をしたことがないから相場を知らないとの返答。

 そういうわけで、ジンさんに最初に払ったのと同じ額だけ渡そうとすると、拒否られた。 

 どうも、それだけの額を渡すと、支給された旅費をオーバーして僕が赤字になるのを気にしているようだった。

 仕方ないので、無理矢理渡した。

 なんか、不満そうだったけれど、僕の知ったこっちゃない。



 その後、タマちゃんの奢りで、酒場に二人で飲みに行く。

 いかにも場末の酒場ってところで、他に飲んでた人達と混じって大盛り上がり。

 タマちゃんとテーブルの上で踊ったのは覚えているが、気が付いたら、夜。

 店が終わって、なんか店内に寝てる酔っぱらいだらけ。

 ……また、この展開。

 とりあえずの片づけをしている店長に訊くと、この店の今夜の全員分の支払いを全部タマちゃんがしたらしい。

 そんなに僕からお金を受け取るのが嫌だったんだろうか。


 

 ※※


「タマちゃんさあ」

「くぅくぅ……」

「寝たふりしてるのわかってるから。タマちゃん、本気で寝てる時はナァゴナァゴ言ってるから」

「言ってねーにゃ」

「起きてるじゃん……なんか、あんまりよく覚えてないんだけれど」

「覚えてないってことは、覚えておく必要なかったってことにゃ。おやすみにゃ」

「お金、迷惑だった?」

「……」

「無意味にお金を渡したように思った? もし、タマちゃんの気持ちを傷つけるマネだったなら、ごめん」

「そんなことはねーにゃ。別に私はあんたにそんな気持ちになってもらいたかったわけじゃ……」

「……うん」

「ごめんにゃ」

「ううん」

「……。私は、半端者にゃ。枠外巡礼証左も持たないはぐれ部族の中からさえ勘当されるような、つまらん猫人にゃ。本当なら、正当な報酬なんて求めれる身分じゃないにゃ。案内人として使ってくれるだけでもあり得ない話なのに、あんたに身銭切らせてまで評価してもらっていいのか、迷ったんだにゃ」

「うん」

「でも、受け取らなければ、あんたの顔を潰すにゃ。それで、どうしようか悩んで、あんたの真似したにゃ」

「うん?」

「あんた、剣の国で同じことしたにゃ」

「あー、うん。え? んー。そう言えば、そんなことあったような」

「いつか、一緒に旅をした時に、教えてくれたにゃ。嫌味な貴族から貧乏人が盗んだ金が巡り巡ってあんたのところに倍になって帰ってきて、困った話。それで、盗みそのものをなかったことにするために、金を返しに、通りすがりのホビットと一緒に貴族の家に忍び込んだって話にゃ」

「あー、そういうやそんなことしたなー」

「最後にもらういわれのない残金を押し付けられたあんたが、金の使い道に、協力してくれた奴ら全員と酒場のありったけの酒を飲み干したって話、私、大好きで何度も思い返したにゃ」

「あったね、そんなこと。最終的に次の日の朝に、代金が足りなくて皿洗いして返したんだっけ」

「私も、そんなことしてみたかったんだにゃ」

「……僕ってタマちゃんに嫌われてるわけじゃないんだね」

「にゃ?! 今までの付き合いでどうしてそう思うにゃ」

「だって、あんたとかおめーとか、名前で呼んでくれないから」

「……呼んで」

「え?」

「呼んで、いいのかにゃ?」

「えーよ」

観照みきてるさん」

「いや、普通にあだ名のカンテラでえーよ」

「観照さん」

「だか」

「観照さん」

「……はい」

「観照さん♪」


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