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かんてらOverWorld  作者: 伊藤大二郎
エルフの国へ行こう! 獣頭13部族大集合編
143/363

11月29日 草原の国 エルフ姉弟 王都への同行に同意 僕は人攫いと間違われていた

 おそらく平成26年11月29日

 剣暦××年10月29日


 草原の国グラスフィールド

 酒造の町センチペド 郊外の廃屋



 朝になって、酒蔵のカギが開いて、中に閉じ込められた僕達が発見された。

 今朝はこの冬一番の寒さが到来していたらしく、とても心配され、謝られた。

 寒さをしのぐために、勝手に酒を飲んだことについては、酒代を払うことで許してくれることに。

 しかし、タマちゃんが選んだ酒瓶10本は、酒蔵の中で上から値段の高い10本だったらしく、結構な散財となる。

 ……、思いのほか、財布が軽い。


 さて、今日の結論から言うと、ウタちゃんとマロくんは、見つかった。

 アルミナ公爵邸五番頭の一人、レキザンさんという若衆を統括している人が本気出したらしく、呆気なく広場に追い込まれて、彼女らは袋の鼠。

 しかし、二人のエルフもまた、麗しい鬼の名に恥じぬ弓の名手だろうから、衝突すれば、怪我人が出る。

 それは嫌なので、なんとかレキザンさんが飛びかかる命令を出す前に広場に辿りつき、ウタちゃん達を説得することに成功。

 僕の預かりとすることで、レキザンさんは納得してくれることになった。

 よく納得してくれたと思う。ひとえにタマちゃんのお陰だ。

 彼女が弓を構える二人のエルフにエルフ語でここでことを起こす愚かさを必死で説き、広場に集まった興奮した人間達に、口下手な僕の代わりに異種族に手を出すことは御法度であることを論じた。

 やっぱりタマちゃんはすごい、と思ってお礼を言って褒めまくったら「別に大したことしたわけでもないのに、褒めなくていいにゃ。まあ、特別手当出すってのなら、もらってやってもいいにゃ」とクールに返された。

 

 さて、昨日二人のエルフを介抱した郊外の廃屋に戻り、話を聞く。

 どうもこの子ら、勝手に城を飛び出して【ミキテル】とやらを探しに来たんだとか。

 道理で、異国を旅するのに案内人を雇ってないわけだ。

 きっと、分断主義も、もしかしたら国境と言う概念さえわかっていないのかもしれない。

 ただ、主君が困っているから、自分達で助けてあげたいという気持ちだけで動いたのだろう。

 タマちゃんは「想像以上のガキにゃ」と呆れていた。あても計画性もないのに、大陸の東にあるエルフの国から大陸のほぼ反対に位置する草原の国まで旅したその道程を考えると、とんでもない子供達だと思う。

 なんとかしてあげたいが、どうしていいのか、僕にもわからない。

 こういう時はわかる人に訊くのが一番いい。

 まずは、わかりそうな人をさがしに一緒に王都に行こうと話す。

 姉弟、納得してくれる。

 明後日、一緒に王都に発つ。


 ちなみに、昨日の朝どうして逃げたりしたのかタマちゃんに訊いてもらうと

「【あんまりにも親切にし過ぎてくれるから、私達を攫って売ろうとしてるのかと思いました】だってにゃ……ぷっ!」

 タマちゃんが嗤った。

 でもその後に続いてタマちゃんを指差して、何か言った。言いたがらないので、無理矢理急かすと

「……【そちらの猫頭人が、王都へ案内する代わりに案内料をせしめようとしてくるので、タカリの一種かと判断し逃げました】って言ってるにゃ」

 タマちゃん、僕に内緒でそんな商談をしてたのか、しかも子供相手に。

「私は良心的な価格提供をしたにゃ! 対等な取引をもちかけただけ! おめーみたいに善意を押し付けて不審がらせたわけじゃねーにゃ!」

 でも、タマちゃんの言動で逃げるの決心したんだよね。と文句言ったら、タマちゃん怒りだす。

 しかし、タマちゃんは最初からウタちゃん達を王都に連れていくつもりで動いてたんだな。

 動くの早いんだけれど、どうして契約主に報告をしないんだろうな、獣頭人って。


 しかし、エルフ達は僕達をある程度信用してくれるらしい。

 タマちゃんとのやり取りを見て、裏のある人間とは思えない、という結論に至ったことと、僕がカンテラであることを教えたら。

 やっぱり「異世界人カンテラ」のネームバリューはすごいようだ。


 

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