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かんてらOverWorld  作者: 伊藤大二郎
エルフの国へ行こう! 獣頭13部族大集合編
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11月21日 草原の国センチペドに到着 祭中で人ごったがえ 早速皆とはぐれる

 おそらく平成26年11月21日

 剣暦××年10月21日


 草原の国グラスフィールド

 酒造の町センチペド



 色々あったが、ついにセンチペドに到着する。馬車の御者のリードさんには一度帰ってもらい、二週間後、12月1日に迎えに来てもらうように頼む。

 さて、センチペド。アルミナ公の思い出に浸る話しぶりから、ワイン作るくらいしかすることがない、牧歌的な緑広がる田舎町を想像していたのだが、到着してびっくり。

 人。家。石畳。屋台。酒。肉の焼ける匂い。辻芸人たちの奏でる音楽。喧騒。

 売り込みのおばちゃん達の威勢のよい声。

 試供品の酒を配る奇麗どころのお姉ちゃん。

 飾られた町並。

 祭りでもやってるのか?

 ジンさんにどういうことか訊く。「俺もセンチペドに来るのは初めてだから」と人ごみに圧倒されている。

 リーヨンちゃんも驚いている。

 いや、これ王都の大通りよりも人口密度高いよ。

 三人で茫然と突っ立ていたら、タマちゃんがため息着きながら教えてくれた。

「あんたら、(剣暦で)10月20日は新酒の解禁日だろうがにゃ。センチペドから買い付けるために、グラスフィールド中の酒問屋が来てるんだにゃ。あと、酒好きの好事家が、自分で足を運んで、今年の酒の出来栄えを確かめるんだにゃ。そういう奴らの集まりで、この一週間は人があふれてるんだにゃ」

 昨日から、この人だかりということらしい。しかし、行きしなには、そんなセンチペドに行く人なんて出会わなかったけれど。

「今、ここの酒は本当に人気だから、解禁の何日も前から来て、領主と折衝してるに決まってるにゃ。そんなことも知らずに来たのかにゃ」

 ダメ出しされた。


 なんか、町おこしのために酒を作り始めたとか言ってたけれど、既に大成功してますがな。

 とりあえず、挨拶はするべきと思い、アルミナ公の屋敷を探すことにする。

 どこにあるのか屋台のおばちゃんに訊いてみると、喧騒から少し離れた湖のほとりにあるらしい。公は王都に務めているし、領地を任されている5人の番頭達は商人達との折衝で忙しいからまともに会ってもらえないよ、と忠告される。いいのだ。ただ、ピコくんのことのお礼と、娘さんの御墓に手を合わせておきたいというだけの理由だし。

 早速、出向く。

 出向こうとして、迷子になる。

 気が付いたら、リーヨンちゃんはいなくなるし、ジンさんは探しにいったまま帰ってこないし、お昼ごはんを買おうと思って屋台に立ち寄った瞬間に、タマちゃんは見失う。


 今、一人で、日記を書いている。

 先ほど、最後まで開いていた屋台が、店じまいした。

 そろそろ町灯りは消える。 

 宿も決まらず。

 でも、周りも野宿してる人結構いる。

 多分、センチペドまで見物に来たけれど、旅費の足りない人とか、宿からあぶれた人達だろう。

 なんか、広場に集まって昼間に買った酒で酒盛りしており、僕も混ぜてもらう。 こういう時、剣祖共通語を勉強しておいてよかったと思う。

 手帳を広げていると、隣のおっちゃんが覗きこんでくるけれど字が読めないらしく「何を書いてるんだ?」と訊かれる。旅の日記を書いてることを説明。「字うめえな」と言われるが、それは彼が日本語を知らないからで、もし、知っていたら、ジンさんから「ミミズの群れ」と揶揄される僕の汚い文字を笑われてしまっただろう。まあ、それも面白いけれど。

 日記やめ。

 今から、飲む。


 

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