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かんてらOverWorld  作者: 伊藤大二郎
エルフの国へ行こう! 獣頭13部族大集合編
127/363

11月14日 草原の国 不法滞在エルフ調査地が決定する

 おそらく平成26年11月14日

 剣暦××年10月14日


 草原の国グラスフィールド

 王都 僕の屋敷



 猫頭人でありながら、見た目は猫耳の女の子にしか見えない亜人タマちゃん。

 彼女には、華というか、奇妙な存在感があり、屋敷の中は今や彼女を中心に動いているようなものである。

 やっぱり彼女は一人で世を渡ってきただけあって、アクの強い執事のデミトリやメイド長のイオちゃんともうまくやってるようだ。

 ただし、獣頭人としての先輩であるジンさんには頭が上がらないらしい。

 こっそり知ったのだが、昔ジンさんに命を助けられたことがあるのが原因だと、タマちゃん本人が言ってた。


 タマちゃんは、僕達とは違う視点を持っている。

 ジンさんのようなプロの旅人の視点でも、僕のような異世界人の視点でも、一般人の視点でもない、何にも囚われない視点。

 今日も、僕が例の不法滞在エルフの調査について、まずどこから行けばいいのかについて資料を読みながら頭を悩ませていると、おやつをつまみ食いしながら部屋に入ってきたタマちゃん。一応、極秘任務だからこんな赤の他獣人に教えちゃまずいのだけれど、もしかしたら何か新しい発見があるかもしれないと、国の依頼であることとエルフの可能性があることを隠してあらましを説明。

 三秒で返答が返ってきた。

「そりゃ、グラスフィールドに観光に来てるエルフに違いねーにゃ」

 ……観光? その発想はなかったな。でもエルフが人間の国の、それも人間の国で一番辺鄙な草原の国に興味なんて持つんだろうか?

「わざわざ都会に観光に行かないにゃ。普通旅行は自分のところより辺鄙なところに行って、風靡を楽しむんだにゃ。まず、あんたが今言った【セラル】だの【フレーレア】だのはエルフ語だにゃ。そんで、まったく町のしきたりがわかってないのに、短期間に各地方都市を回る冒険力。エルフと見ていいにゃ。で、会いたいなら、今までの目撃証言を日付と一緒に地図に書き込んでみるにゃ。それを順番に線でつなげば、脇道とか近道とか使わずに、大街道だけを使って移動してるのがわかるにゃ。旅の素人なのが丸わかりニャ。それに、目撃地は、すべて酒の産地にゃ。だから、最後に目撃された町から延びた主要街道の先にある酒造地で会えると考えて間違いないにゃ。そもそも【セラル】が『二人以上で確かめに行く、もしくは旅行』という意味で【フレーレア】が『お土産に買ってきた酒』という意味にゃ。あんた、誰と行くかとかよりも、そういうことを先にワン公に相談しないと駄目にゃ」

 駄目だしされた。


 そうか、そういうことだったのか。


 ちなみに、最後に目撃された町から延びた主要街道の先にある酒造地は、アルミナ公爵領センチペドである。

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