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かんてらOverWorld  作者: 伊藤大二郎
エルフの国へ行こう! 獣頭13部族大集合編
122/363

11月10日 草原の国 元・ティフトン通り町内会総帥 高町観照

 おそらく平成26年11月10日

 剣暦××年10月10日


 草原の国グラスフィールド

 王都 僕の屋敷



 僕の屋敷があるあたりは、王都バーミューダ・ティフトン通りと言う。

 元々ここいら一帯は、大金持ちの伯爵の別荘があった無駄に広い土地で、伯爵の国家反逆罪での家名取りつぶしの際に、接収され売り家売り地になったという経緯がある。経緯が経緯なだけに買い手もつかず遊ばせていた屋敷を更地にして、新興住宅街として分譲に出されたのを、王都に住みたい田舎者連中に売りに出したというのが、ティフトン通り形成の事情である。そのためかまとまりに欠け、顔役というものがいないティフトン通りの住人は、顔を会わせる機会がほとんどなく、協調性が育たず、法令の公布だの、会合のお知らせだのをしても、全然集まらない。

 僕も、屋敷を建てたまではいいけれど、居心地が悪くなって引っ越していった道楽商人の屋敷を安く手に入れて、ここに住んでいる。

 引っ越してきた時に、両隣と向かい3件には御挨拶に行ったが、メイドさんにあしらわれたり、居留守使われたり、そもそも人が住んでなかったりと散々だった。

 手土産に持っていったゼリーが悪かったのだろうか?


 まあ、それでも知り合い等もできて、のんきに暮らしていたのだが、転機というものは訪れるもので、なんと住みついて2週間もしない内に、国から立退きを命じられそうになり、他の住人達と反対運動を展開することになった。

 まとまりのない住人達は単発で抗議するに留まり、まともに取り合ってもらえない。 

 そこで、僕はジンさんの協力の元、通りの家を一軒一軒訪ねて、説得し、ティフトン町内会を結成したのだった。

 結局は、以前住んでいた伯爵とやらが敷地のどこかに隠し財産を埋めたらしく、それを狙った悪代官が元伯爵敷地内であるティフトン通りの地権を奪おうとしていたという話で、姫様に告げ口して、助けてもらった。


 それ以来、ティフトン通りの住人は交流が進み、会合を開いたり、夕涼み会したり、地域清掃したり、お金を出し合ってサーカスを呼んだり、全ての屋敷のメイドさんを集めた慰労会を開いたり色々と活発な活動が続いている。

 で、その雑用係が僕だったのだが、ある日、町内会名簿を見ていたら、何故かティフトン通り町内会「総帥」になっていた。

 

 なんだ、町内会総帥って。


 当時、剣祖共通語を喋れなかったため、語訳をお願いしたジンさんに確認。

「俺だってチョウナイカイなんて組織が何なのか知らないわけで。政治団体か何かかと思ったから」と言い訳された。


 いや、それよりも町内会長になった覚えもないのだけれど。

 ジンさん曰く「お前の作った組織なんだから、お前が長やるのは当然だろ」とのこと。

 

 町内会と役員の持ち回り制という概念を異世界人にどう説明すればいいのか、四苦八苦。

 なんとか、その次の集会で、皆に一年毎に町内会総帥を交代することに納得してもらったのも、いい思い出。



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