11月2日 草原の国 そう言えば、昔『電車男』ってあったな。
おそらく平成26年11月2日
剣暦××年10月2日
草原の国グラスフィールド
僕の屋敷
今日、朝一番に姫様に呼び出された。
何だろうと思ったら、「お土産はいつになったら渡してくれるんだ?」との催促。
なんのこと?
思い出す。
そういや、前回の冒険で、凶兆竜のデミさんの背中に乗って一回草原の国に帰ってきた時に、姫様に言ったっけ。「お土産持って、また会いに行く」って。
もちろん、忘れていたとは言えない。
が、姫様には何もかもお見通しで「どうせ、忙しくて忘れていたとか言うんだろ? 『また』」とか言われた。
返す言葉もない。
ただ、「帰国してまず、いの一番に私のところに会いに来てくれたから、許してあげる」とのお言葉をもらい、セーフ。
やっぱ、あの夜帰ってすぐに会いに行ったのは間違ってなかった!
しかし、問題はその後
「それで、デートにはいつ連れて行ってくれるんだ? どこに行こうか」
そう言えば、そんな話題もあったね。
そして、それも完全に失念していたことを、姫様はお見通しらしい。
「デートに誘ったのは、お前なんだからな。責任持って、エスコートしろよ」
嬉しそうに言ってくれるけれど……、
こちとら、彼女なんていたことないし、女の子とデートなんてしたことも一度もない
そうして謁見は終わり、
帰宅後、頭を抱える。
昼食後、頭を抱える。
昼寝後、頭を抱える。
御茶後、頭を抱える。
夕食後、頭を抱える。
風呂後、頭を抱える。
デートって、どうやってすればいいんだ?
わからない以上、わかる人に訊くしかないが、これって他人に訊いてもいい話なのだろうか?
初っ端は、誰に訊けばいいのだろう。
困った時のジンさん頼みは、多分できない。
執事のデミトリは、なんか信用できん。話しだけ聞いてにやにやして結局突き放しそうだ。
メイド長のイオちゃん……。なんかまずい気がする。でも、報告しないと怒るし。
レンちゃん。ダークエルフの意見は、なあ。あの娘ら何しても喜ぶから。
さて、どうしよう。
ああ、この世界にもネット環境があれば、調べられるんだけどなあ。