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かんてらOverWorld  作者: 伊藤大二郎
三方向作戦! 三カ国を巡るリーヨンちゃんとピコちゃん編
106/363

10月25日 草原の国 リーヨンちゃんがお姫様とわかると、露骨に待遇が変わった。リーヨンちゃんだけ

 おそらく平成26年10月25日

 剣暦××年9月25日


 草原の国グラスフィールド 国境警備隊 北方方面基地

 貴賓室



 朝食後。 

 フレデリカさんが、基地の司令官にリーヨンちゃんの素性を明かした結果、待遇が露骨によくなった。

 まあ、他国の御姫様だもんな。

 普通に国賓だもんね。

 司令官が自ら訪ねてきてリーヨンちゃんに、これまでの冷遇を詫びていたが、そもそも無理言って泊めてもらっていたのは私達の方だということで、頭を上げてもらう。



 昼食後。

 掃除ができたとのことで、リーヨンちゃんは一番綺麗なビップを泊める部屋に移動。

「かんてらさま の おへやは かわらない ですか?」

 と昨日から嬉しそうに使ってる日本語で尋ねられるが、僕はお偉いさんじゃないし、一応グラスフィールド国民だから、相応なお部屋を使わせてもらうよ、と言っておく。別に、フレデリカさんに言われたことを気にしているわけじゃねーし。

 すると、リーヨンちゃん、眼を少し細めて斜め下を見つめ

「わたし も みんな と おなじなかまの へや よい よかった です」

 皆と同じ仲間の部屋……?

 まあ、ニュアンスでいいたことはわかる。

 そう言えば、今までは同じ部屋とか雑魚寝とか、当たり前だったもんな。

 軽口を返してあげるのが、一番いいだろうか。

 剣祖共通語で『リーヨンちゃんは お姫様が仕事なのだから 贅沢言わないの』と窘めてみる。ニュアンス、伝わったかな。



 夕食後。

 基地の給仕さんが食事をリーヨン殿下の部屋に持っていこうとしたけれど、リーヨンちゃん、それだけは嫌がって、食堂で一緒に食べた。

 リーヨンちゃんの皿を見たが、なんだお姫様扱いって言っても、メニュー自体は変わらんのな。デザートが一皿多いだけで。

 スプーンに乗せたケーキのようなものを口に含もうとしたのをぼんやりと見ていたら、

「いるですか?」

 差し出されそうになったので、あわてて固辞した。



 その後、本人の希望で就寝までリーヨンちゃんの部屋にいることに。

 こうして、ちょっと上等な椅子と机で、日記を書く。

 リーヨンちゃんは、やっぱり僕の横に椅子を持ってきて、にこにこしている。

 そろそろ眠くなってきたので、部屋に戻ろうと思う。

 ああ、こんな平和な日がもっと続け。

 国に帰りたくねえ。



 追記 フレデリカさんはやっぱり上流階級出身のため、テーブルマナーがすこぶるよかった。アニー・オークレーよろしく鞭振り回してる姿からは想像できないんだけれどなあ。

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