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かんてらOverWorld  作者: 伊藤大二郎
三方向作戦! 三カ国を巡るリーヨンちゃんとピコちゃん編
104/363

10月23日 草原の国 国境警備基地 看守長フレデリカさんと再会する

 おそらく平成26年10月23日

 剣暦××年9月23日


 草原の国グラスフィールド

 国境警備基地 宿舎



 前回までのあらすじ

 オークの国のお姫様に、「おめでとう」と言うつもりが、間違って「オメデタ」と言ってしまった。

 怒った御姫様を、旅行に連れて行ってあげることで、許してもらう。

 今、一緒に人間の国の関所まで来ており、ここで旅の同行者が帰ってくるのを待っている。

 でも、口をきいてくれない。

 部屋にこもってる。

 やっぱ、怒ってる。

 僕、お腹痛い。


 閑話休題


 最近、頑張って勉強した結果か、簡単な剣祖共通語なら聞き取れるようになった。

 あとは、身振り手振りとかで、大体理解。

 通訳なしでも会話が成り立つように。

 しかし、調子に乗るとこの前みたいなことになるので、できるだけ会話は少なく。


 ※※


 まさかとは思っていたが、フレデリカ・フレイムロード嬢が、国境警備基地にいた。

 僕が初めて草原の国国境警備基地に来たのは、今年の8月頃にスパイと疑われ、基地の牢屋に投獄された時だった。その時、牢屋の看守長として赴任していた金髪の女貴族。イリス王女殿下の御学友とか言う、結構、位の高い貴族の娘が、そのフレデリカさんである。

 僕が王都に潜入する時、姫様の助けとなるべく鞭を引っ提げて、僕らと行動を共にした、無茶する18才。

 王都にある実家に帰ったと思っていたのに、やっぱり仕事のために基地に戻って来ていたようだ。

 看守長、まだクビになってなかったのか……。

 お付きのエレンさんに挨拶し、「あの人まだここにいんの?」と確認すると「この前の騒動で箔をつけて凱旋してきましたよ」とのこと。

 僕のせいか……。

 フレデリカさんに挨拶すると開口一番「やあ、この前のワンちゃんはどうしたの?!」と質問。

 いや、社交辞令スキップしないで。

 ジンさんは別行動であることを告げると「じゃあ、あのえらい美人が案内人? 肌灰色だけど大丈夫なの?」とマイペースに質問。

 この人、こういうキャラだったのか。


 フレデリカさんの言う肌が灰色がかった美人はオークの国のお姫様であることを教えると、眼をひんむいてびっくりしていた。

「オーク? どこが? 見た目ボンッキュッボンじゃないの?!」

 リーヨンちゃんの見た目が人間な理由を、ここでこの人間の貴族様に説明してもいいものか悩むが、そもそもそんな複雑な説明をできるほど僕は剣祖共通語堪能でないし「ボンッキュッボンなオークもいるんです」と答えておく。


 すると、少し考えるそぶりをみせて、フレデリカさんは、リーヨンちゃん用に借りた部屋に入っていった。

 

 お茶を持っていったエレンさんの説明では、フレデリカさん、草原の国の貴族令嬢として、大鬼の国の姫に挨拶に行って、談笑している、とのこと。


 ……、そっか。僕よりも、フレデリカさんの方が立場的には近しいのか。


 ちょっと複雑。




 夕飯時。


 部屋から出てきたリーヨンちゃんが、僕の横を通りすぎる時、ぼそりと

「ぼんゅきゅっぼん」

 とか呟く。


 冷や汗。


 あの金髪ムチ娘、リーヨンちゃんに何を言いやがった。

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