萌えちゃいます
ようやく本編突入です、ここから話が始まって行きます。
では、ご賞味あれ。
突如爆発的に人気となった無料通信アプリ【DI】
全世界に普及していて現代社会を支える重要なアプリだ。
そして俺は謎のメッセージを受け取った。
いやそれは俺だけじゃないのかもしれない。
全世界の人が受け取った、そんな気がする。
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【アプリ伯爵が入室しました】
皆 ≪『20XX年 満月ノ夜』
皆 ≪『全テノ人間ガ眠ル』
皆 ≪『フフフ、フフフフ』
皆 ≪『世界ノ改変ガ始ル』
皆 ≪『アプリヲタノシンデネ』
【ジョノさんが入室しました】
皆 ≪『諸君、楽しんでねー(。-∀-。)』
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この文面。朝起きてスマホを見ると『皆』宛に出されている不思議としか言いようの無いメッセージが届いていた。
とりあえず俺は一旦無視して朝食をとり、家族と一言二言話してから再び部屋にこもって硬いベットに腰掛けてこいつと睨めっこしている。
今日は土曜日だから学校に行く心配とかが無いからな。
「さーて、何だこれ?」
改めて見ても変な文だよな。いや全部が変。
第一にビックリしたのが宛先が『皆』だってこと。
このアプリではユーザーそれぞれが『個別の室』を持っている。
ユーザーは自分の室に入室した人、もしくは自分が他のユーザーの室に入室した場合にのみ入室者と話せる。
そしてこの謎のメッセージは“俺の室”で行われている。
それなら宛先は『皆宛』じゃなくて『俺宛』でいい。
いや根本が違う。
『皆宛』って言うのは室の保持者つまりオーナーである“俺しか使えない”はずなんだ。
それは誰もが同じのルール。
なのにこの『アプリ伯爵』と『ジョノさん』は皆宛にこのメッセージを送っている。
おかしすぎる。おかしすぐるよー!!
『DI』のルールに則っていない。
無理やりDIに則って言えば、俺は無意識の内にこの二人の室に入っていたって事になる。
そしてこのメッセージを受け取った。
俺ってたまに記憶がおかしくなるから、その可能性も無いとは言い切れない。
でもやっぱり違った。
確認してみたけどこのメッセージを受け取った室は俺の室だった。
「やっぱりか」
嘆息歎息短足。
俺は別の可能性を模索。
暇だからね、それしかやる事がないのさ。
可能性その二
アプリ伯爵の存在。
『アプリ伯爵』この名前は割と有名。
数々のアプリに名が上がるアプリ製作者だ。
この『アプリ伯爵』は個人なのか複数なのか知らないがとにかく凄いアプリ製作者。
アプリ伯爵が携わったアプリは革新的にヒットすると言う都市伝説が成り立っている。
興行収入などかなりヤバいはず…ふふふ
…まぁそれはどうでもいいけど。
そしてこの『DI』はアプリ伯爵が直々にプロデュースしたまさに超爆発的アプリ
つまりどうゆー事が言いたいのか。
絶対アプリアップデートされたよね。
オーナー以外の人でも『皆』に送れる様にアップデートした。
あのメッセージはアプリを最新版にしたためその試運転みたいなもの。
皆 ≪『20XX年 満月ノ夜』
これは昨日(今日)の夜の事だよな。
20XX年ってのがまたアプリ製作者っぽいw
皆 ≪『全テノ人間ガ眠ル』
寝てましたね。全ての人間だからアプリ伯爵はアプリユーザー全てに同じ文を送ったって事だよな。さすがアプリ製作者、力が違うw
皆 ≪『フフフ、フフフフ』
ふふふふふふ
皆 ≪『世界ノ改変ガ始ル』
アップデートをわざわざ改変って言い換えるのが憎いよなーw
皆 ≪『アプリヲタノシンデネ』
はいっ!了解しましたー( ̄^ ̄)ゞ
アプリ伯爵のちょっとしたサービス。
ファンサービス的な奴だな、現にアプリ伯爵のファンクラブみたいなのもあるらしいし。見た事ないけど。
「いやー俺の名推理さすが!」
自分に脱帽デース。
って何か終わったっぽいけど謎はまだある。
それは『ジョノさん』
誰だ!
これに関しては何も知らない。聞いた事も見た事も全く無い名だ。
アプリ伯爵の関係者なのは確かだけど。
返信してみようかと思い立つもこうゆー奴は『個別の返信ができませんゴメンね』的な奴だ。
でも暇なんで返信してみる事とする。
ジョノさん ≪『聖徳太子って知ってる?俺知らない』
どうでもいい文打ったー
俺はこうゆー奴に適当な文を書いて送信し、どんな断りが返ってくるのかを楽しむ残念タイプだ。
何が来るかな何が来るかな♫
「・・・・・・・・・・・・・・・・・ん?」
あれ?おっそいなー、こうゆーのはシステムが機械的に返信するもんだろ?何で時間がかかるんだよ
「混線してんのか?」
「してないですよ〜」
「あ、そう?なら……‼」
バッ!
突如発せられた柔らかな声。
ベッドから飛び退き部屋の限界までそいつと離れる、が、つまずきコケる。
心臓バクバクショック!
とととととにかく俺はここここ腰が抜けながらもそいつを見るっ!
サラサラ桜色のロングヘア。
左右で控えめにポニーテールにしているのもポイント高し。
瞳はクリクリ。小動物みたいなかわいさ。
そうベッドに座るのは俗に言うロリッ娘。
はいっ⁉ロリッ娘⁉かわいいじゃねーか!
その姿を見たお陰か俺の恐怖感は取り除かれた。
それと同時に心臓のバクバクも柔らいで行った。
だから少女に質問する余裕が生まれた。
「不法侵入!」
ビシッ!
少女に指差し。
質問じゃなかったね。
「君が呼んだのに酷い言いようですね〜」
「っ⁉」
何だこれ!何だこの甘々ロリヴォイスは!
のんびりとした口調がプラスに働き五感をくすぐられる!
耐性が無い俺はノックダウン。
だが何とか壁を使い立ち上がる。
そんで今度こそ質問。
「…あなたは誰ですか?」
恐怖感は取り除かれも不信感は取り除かれていない。
ベッドに座る少女を改めて見ると何か凄い服を着ていた。
どっかの学校の制服だと思われるかわいい感じの制服。
それなら問題無い、問題なのは制服の着こなし方。
右袖が二の腕あたりで無くなっている。
細い足を更に美しく魅せる黒ストッキングは
右足だけボロボロ。
これにより不信感は増大。
そして次の瞬間俺は不信感をMAXにした。
「私の名前はジョノ、アプリ伯爵に作られたシステムです〜」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
世の中には踏み入れては行けない領域がある。
それが今だ。
このまま時間が停止したまんまも何かアレなんで話の切り口に何か言おう、うん。
「えーっと……厨二病?」
切り出せない気がした。
「はい〜?」
切り出せなかった。
「え、えーと…あの…その………」
だ、ダメだー!言葉につまづいたせいで何も言えなくなってる!これが俺の悪いとこ!
「ん〜?」
ロリ美少女はニコニコしながら俺を見ている。
くそー!何か恥ずかしいー!
がんばれ俺!言い出せ!
「あ…あなた…は……」
「ん〜?」
「あ…う……」
「ん〜?」
「……………………」
「ん〜?」
もうやめて!そのハテナ縛り!
俺は気を紛らす為に思考をリセット。その時にある異変に気づく。
あれ?何だあれ……
俺が気づいた異変。それはロリ美少女。
そして厳密にはロリ美少女の着ている制服。
見間違いかもしれないけど、ボロボロ黒ストッキングがさっきよりボロボロじゃなくなっていた。
ほつれなどが減っている様に見えた。
いやいや、無い無い。いくら今が辛いからって錯覚を起こすとは俺のメンタル弱いなー。
でもそのお陰で気が紛れ話を切り出せそうな気がしてきた。
よしっ!俺ならやれる!
再び言葉を放とうと息を吸う。
だけど言葉は出なかった。
今度こそ錯覚かと思った、マジで、本気で。
無くなっていた右袖がいつの間にかあった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・ふぅ〜」
一旦落ち着こうぜ俺。今何が起きてるのかな?うん考えよう。
目をこすりもう一度右袖を見る。うん、ある。
よーし考察してみよーか俺。さっき無かった袖がある、それはつまり袖が成長したのか、もしくは俺の目がおかしいのか。
いや、こう考えてみるんだ、もとから袖はあったと、袖を無いと思ったのが錯覚だったのだと。
よしよし、それが一番あってそうだ、うん。
「ん、袖やっとできた〜」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・ふぅ〜」
一旦落ち着こうぜ俺。何なんだ?んー?あの娘は何を言ってんだー?んんー?
ちょっとこんがらがってきたぜー?んー?
袖やっとできた、それはつまり袖を作ったって事かい?裁縫上手だねーモテるよー。
……ヤバい俺おかしい…
ふざけるな俺、真面目に考えろ。
いくら裁縫上手でもあんな完璧に縫えるはずが無い。
ってかそもそも考える箇所が違った。
まず初めに考えるべき事は彼女がどこから現れたのかと言う事。
そして彼女の言った言葉『私の名前はジョノ、アプリ伯爵に作られたシステムです〜』ふざけている様にはどうも思えない。
いやふざけてるっぽいけど。
試してみるか。
「あのさ、ジョノさん…」
「何ですかー?」
不自然さは一切無い。
嘘をついているのなら多少変化するはずだ、でもこのロリ美少女は平然と変わらずに言ってみせる。
でもその平然さが逆に疑わしい。
とりあえず質問しよう。
「ジョノさんはどこからきたんですか?」
するとジョノさんは紛う事なく
「あなたの『室』からです〜」
息をするようにさも当たり前の様に言ってみせた。
「俺の部屋から?」
意味不明
意味不明DA☆
「いやいや違う違う〜、君の言ってる部屋と私の言ってる室は意味合いが違いますよ〜」
「意味合い?」
意味不明DA☆
「君の言っている部屋は今ここにいる場所、私が言ってるのはDIでの室、読みは同じでも全然違う物だよ〜」
DIでの室?
「それってあれか?…アプリの…DI」
この時俺は少し戸惑っていた、そしてためらっていた。
何か重要な事の気がしたから、何か繋がっていたから、何か変わってきたから、何か分かってきたから。
彼女の返答は軽かった。
「そうだよ〜私は君の室から召喚されたAIシステムジョノ、よろしくー」
何故かその言葉が真実に聞こえた。
読んでいただきありがとうございます。次もよろしくお願いします