第五十三話 神話
『リア、そんなに頑張って疲れないの? 大丈夫かしら?』
『……うん、大丈夫』
『そう……』
ミリシアは心配そうにしながらも、頷いた。
物語通りにするためには、強さはいくらあってもいいからね……
できるだけ、頑張らないと。
わたしはそう決める。
そして、そのままひたすらに魔法を使った。
『……リア、休憩しましょう』
『え、でも……』
『でもじゃないわ、頑張りすぎも良くないのよ?』
『……わかった』
まだ頑張れると思うけど、頷いた。
確かに体を壊してしまったら頑張った意味がないし、少しの休憩も必要……かもしれない。
わたしはそう考えて、地面に座る。
そんなわたしの横に、ミリシアも座った。
『まだ、二年後でしょう? ゆっくりしてもいいと思うの』
『うん……』
優しく言ってくれたミリシアに、相槌を打つ。
そういえば、まだ時間はたくさんあるんだ……
焦りすぎていたのかもしれない。
わたしはふぅ、と息を吐いた。
『よし、ちょっと本でも読もうかな?』
『そうね、わたしも一緒に読むわ』
『うん』
わたしは笑顔で頷いた。
どんな本を読もう……
ここに来てからの三年間で、結構本は読んだけど、図書室みたいな部屋には、まだ読んでいない本がたくさんあった。
少し楽しみにしながら、図書室に移動を始める。
廊下を進んだ先にある小さくて地味な扉を開くと、天井まである棚にたくさんの本が入っているのが見えた。
本の香りがして、なんだか落ち着く。
『リア、これにしましょう』
『うん、わかった』
頷きながら、本の表紙を見てみる。
どうやら、この世界の成り立ち……神話みたいなもののようだ。
こういう物語の裏話が読めるのは、なんだか楽しい。
少しワクワクしながら、わたしはページをめくった。
…… 昔々、世界には何もなかった。
しかし、赤の神や青の神、緑の神に茶の神という四柱の神が世界を訪れ、世界は豊かになっていった。
そんな世界に魅力を感じたのか、黄の神や紫の神、白の神も世界を訪れ、さらに世界は美しくなっていく。
ある時、世界に黒の神という一柱の神が訪れた。
黒の神がいる世界は闇に包まれ、永遠に暗いままだという。
そんな世界は美しくないと、光を司る黄の神が黒の神の力に勝負を挑んだ。
それ以降、黄の神と黒の神の力は均衡を保ち、押して押されての勝負を永遠に続けているとか。
世界で日が上り沈むのは、黄の神の努力の証なのかもしれない。




