第四十八話 ニララ・ニラリア
ニララ・ニラリアという組織は、悪人だけを集めた悪役の棲家だ。
善人はいない。
悪役にするとわかってるから、いい人を巻き込むのは嫌だった。
足を止めて、目の前の建物を見上げる。
一見普通の酒場だけど、裏の顔は真っ黒。
地下に、たくさんの犯罪者を匿っている。
まぁ、わたしはそんな犯罪者たちを集めて組織を作ったんだけど。
深呼吸して気合いを入れてから、建物の中に入る。
酒場の中には、ならず者……っていうのかな?
そんな人たちがたくさんいて、でもわたしの方を見ると慌てて目を逸らす。
「おい、あいつ……」
「ああ、関わるんじゃねぇぞ」
そんな声が、少し聞こえてくる。
なんだか、ため息をつきたくなってしまった。
わたしがこんなに避けられている理由は、たぶん初めてここ来た時に十人くらいを殴り倒したからだと思う。
ラニの見た目は怖いと思うのに、度胸試しなのか三人のならず者が絡んできて、思わず殴り倒してしまったら、その保護者っぽい集団が絡んできて、その人たちも殴り倒したら、誰も話しかけてこなくなった。
令嬢の皮をかぶるストレスが溜まっていたから、つい手が出ちゃったんだよね……
ラニの体は力がとても強いのに、つい元の体と同じ感覚で殴っちゃった。
まぁ、死んではなかったし……
そんなふうに考えながら、酒場の店主さんに話しかける。
「おい、エール二杯を個室で」
「……了解した」
カウンターの向こうから返事が届く。
そのまま、手招きされたので、店主さんの近くに行った。
すると店主さんが背を向けて歩き出したので、追いかける。
誰もいない場所を通り、隠された扉の中にある階段の前で止まった。
「……ここから先は一人で行け」
「ああ」
頷いて、階段を下っていく。
階段は暗く、ただ壁にかけられた小さな灯りが足元をぼんやりと照らしている。
転ばないように気をつけながら、でもそんな様子を顔に出さずにひたすらに下っていくと、ようやく扉が見えてきた。
遠慮なく、扉を開ける。
扉の先に広がっていたのは、ただひたすらに広い空間だ。
しかし、家具や小物など、いろいろなものが飾られているため、むしろグチャグチャしているように感じる。
天井に吊るされた無駄に明るい照明が煌めき、眩しく感じる。
先ほどの階段が暗かったから、余計にだ。
「あっ、ボス!」
「おい、ボスのお戻りだぞ!」
「ボス、お疲れ様っす!」
わたしが来たことに気がついた人たちから、どんどん挨拶に来る。
あまり慣れないけど、しっかりと「ああ」とか返事をした。
「ボス、何か用事ですか?」
「いや、気分だ」
「そうですか……では、こちらへ」
周りのならず者っぽい人たちとは少し違った男性が、案内してくれる。
この人は周りの人たちとは違って、少し上の立場の人だ。
頭が良くて、だから少し偉い立場についている。
……暗い青色の髪の毛で、執事服が似合いそうって思ったんだったけ。
まぁ、言えるわけなないから黙っているけど。
そんなことを考えていると、立派な扉の前についたみたいだった。




