第四十七話 いろいろあって、三年後
ジゼルと一緒に行動することになってからしばらくがたち、もうわたしは十歳になった。
主人公も十歳になっていて、たぶん前世を思い出していると思う。
この三年間で、いろいろあった。
物語のミリシアみたいに悪の組織を作ったり。
たくさん修行をして、いろいろなことができるようになったり。
物語にはいなかった転生者を、師匠のところに送ったり。
他にもあるけれど、印象に残っているのはそれくらいだ。
『リア、ノアが帰って来たわよ』
『うん、わかった』
ミリシアもすっかり流暢に話せるようになっていて、時間の流れを感じる。
昔はまだ拙い感じだったのになぁ……なんて懐かしみながら、わたしは帰って来た使い魔のノアの方を見た。
『報告、します。主人公が誘拐され、その後家族の手によって救出されました』
『そっか……うん、ありがと。見張りは続けて』
『了解しました』
真っ黒な小鳥の姿をしたノアは、頭を下げて姿を消す。
ノアは、わたしが主人公の様子を見るために作った使い魔だ。
流石に主人公がどう行動しているのか把握しないと、物語通りの動きはできない。
そう、わたしが物語通りに動く主人公を見たいわけでは……あるかもしれないけど。
『リア。たぶん、主人公が前世を思い出したわよ? どうするの?』
『そうだね……とりあえず、物語が進むまでは様子見かな? まだわたしの出番じゃない。だけど、変わったところがあったら困るし、しっかり監視しておこう』
『そうね。でも、ノアだけで大丈夫かしら?』
『うん、大丈夫だと思うよ。いざとなったら分身して、監視を続けるんじゃないかな』
わたしの言葉に、ミリシアは納得したように頷いた。
ノアは真面目だから、能力を駆使して命令をこなすと思う。
主人公、物語通りに動いてくれるかな……
そんなふうに緊張しながら、息を吐く。
でも、ノアが報告しに戻ってくるのが、少し楽しみだった。
『……それで、これからどうするのかしら? もう今日の授業は終わったのでしょう?』
『あ、そうだね……ニララ・ニラリアに行こうかな』
ニララ・ニラリアは、この三年でわたしが作った悪の組織みたいなものだ。
物語のミリシアは自分を手伝わせるためにこの組織を作っていて、物語通りにするためにわたしも作ることにしたのだ。
物語にはこの組織の名前が出てこなかったので迷ったんだけど、ミリシアの提案でこの名前にした。
どうやら、夜の支配者みたいな意味があるらしい。
『じゃあ、準備してちょうだい』
『うん』
頷いて、使い魔を呼び出す。
少しして現れたのは、怖めの顔に傷をつけた背の高い筋肉質な男性だ。
無表情で、どこか不気味にこの男性は、こんな見た目だけど使い魔のラニ。
わたしがニララ・ニラリアのボスをするために作ったもので、物語のミリシアも同じように代わりを作っていた。
このラニに意識を移して、ニララ・ニラリアのボスとして振る舞う。
もう何度かしているけど、いつも緊張する。
口調も、振る舞いも、わたしとは全く違うものを演じないといけないから。
息を吐いて、目を瞑る。
そのまま力を抜いて、意識を移すことをイメージすると、体が重くなるような感覚があった。
目を開くと、目を瞑ったままのわたしが前にいる。
『できたわね。次はわたしが体に入るわ』
『うん、留守はお願い』
『任せてちょうだい』
ミリシアはしっかりと頷いて、わたしの体にスッと入っていく。
ほんの少しまつと、わたしの目が開いた。
ミリシアがわたしの体をしっかり使えるようになったからだ。
わたしがいない間は、ミリシアにわたしの体を使ってもらっている。
この三年でわかったことだけど、ミリシアとは離れていても会話ができるみたいだった。
だから異変があったらすぐに読んでもらえるようにして、留守を任せている。
『それじゃあ、行ってくる』
『ええ、頑張ってちょうだいね』
ミリシアに手を振られながら、わたしは悪の組織のアジトに移動を始めた。
これから更新再開します
ですが、いろいろと忙しいので更新は週一で頑張ります
文字数とかはこれまでのままです




