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3レッスン目◇女性の憧れNo.1の皇太子カメリアン・サヴィア

「コ、ココーー!!」


「ココ!!どうした?!一体何があったんだ?!」


ココが帰宅してココを見た瞬間ザイドとビルが驚愕した表情で言った。


「あの冷血公爵とかいうクソ野郎のせいなの?」


アイシャが血管を浮き上がらせながら言った。


「何?!ココ、それは本当なのか?!あのクソ野郎のせいなのか?!」


ザイドがアイシャの言葉を聞き血管を浮き上がらせながら言った。


「俺、ちょっとそいつ殺してくるわ」


ビルが背筋の凍るような表情で言った。


「ちょ、ちょっと待って。ちゃんと説明するから一旦落ち着いて。ね?」


ココは困惑気味に言った。


(やっぱりこうなるよね)


ココは内心予想はしていたものの苦笑いでそんな事を考えていた。


「ふぅ〜。実はね、、」


ココが一度深呼吸をして事の事情を説明し始めた。


そして、ココは家族にジョージを助けた事から首の怪我の事の経緯を説明し終えた。


「つまり、ココが仕事中に悪役令嬢ジュリアンの想い人であるジョージが池で溺れているのに気づいて助ける為にとっさに池に飛び込んでジョージを救ったけどその際に首を怪我してしまった+池に入った時に地味にする為の化粧も取れて体の詰め物も水を含んで取るしかなかった、、ということね?」


アイシャが真剣な表情で言った。


「うん。そういう事だね」


ココが内心ドキドキしながら頷き言った。


(上手く怪我の経緯を誤魔化せたかなぁ)


ココは内心バレたらどうしようと心臓の鼓動が早くなるのを感じながらそんな事を考えていた。


「はぁ。そういう事なら変装がバレてしまったことは仕方ないわね」


アイシャは頭を抱えながら言った。


「ごめんなさい。せっかくお母さんが朝から時間をかけてしてくれたのに」


ココは申し訳なさそうに言った。


「何言ってるの。ココが謝ることなんてないわよ」


アイシャは慌てて言った。


「でも、そのせいで騎士団の人達に素顔がバレちゃったから」


ココが更に申し訳なさそうに言った。


「そ、そんなココが思い詰める事なんてないのよ。むしろ迷いなく池に飛び込んで人助けをするなんて凄い勇敢な事なんだから」


アイシャは落ち込むココを見て更に慌てて言った。


「そ、そうだとも。さすが我が娘だ。世界一勇敢な娘だ。ココの愛らしい素顔がバレてしまったのは仕方ないが例の騎士団長が箝口令を出してくれたんだろう?それならそれで良かったじゃないか」


ザイドも慌てて言った。


「父さんと母さんの言う通りだ。だからそんなに落ち込むなって。な?な?」


ビルも慌てて言った。


「うん。ありがとうみんな」


ココはほっとした笑みを浮かべて言った。


「騎士団の皆に素顔がバレちゃったけど明日からもまた変装はして行くからお母さんよろしくね」


ココは柔らかい笑みを浮かべて言った。


「もちろんよ。任せなさい」


アイシャは笑顔で言った。


笑顔を浮かべたココを見てザイド達はホッとしたのだった。


「だけどよぉ、首にそんな怪我負うくらい危険な物が落ちてる池なんて潰してしまうべきだよな?」


ビルが不満気に言った。


「そうだな。我々のココの綺麗な首に怪我負わせたんだからな」


ザイドも不満気に言った。


「それもそうよね。傷を見たところかなり鋭利な物で切ったようだからね」


アイシャも不満気そうに言った。


「傷が残らないといいのだけどね」


アイシャがココの首を見て心配そうに言った。


「大丈夫だよ。すぐに善くなると思うから。でも、ジョージが助かって良かったよ」


ココはさり気なく話を繰り返しつつ笑みを浮かべて言った。


「あぁ、ジュリアンの想い人ね。"悪ハピ"の原作でもジョージは池で溺れてたの?」


アイシャがふと気になり言った。


「ううん。そんな場面は出てこなかったんだよね。まぁジョージ自体が登場したのがジュリアンを助けた時だったのもあってそれ以前のジョージの事なんて描かれてなかったから。でも、原作通りジョージは優しい性格なんだと思うよ。猫を助ける為に池に飛び込んだんだから」


ココが原作を思い出しながら言った。


「そうなのね。でも、そんな男だから悪役令嬢だからとか偏見なくジュリアンを助けたんでしょうね」


アイシャは小さく頷きながら言った。


「唯一まともそうな登場人物が死ぬなんてとんでもない物語だな」


ココとアイシャの会話を聞いてビルが呆れた表情で言った。


「確かにそうだな。原作に出てくる主な登場人物は頭のイカれた騎士団長の冷血公爵にその友達としても相棒的存在でいれてる副団長に天使か悪魔か知らないがちやほやされてる浮気野郎の皇太子に婚約者がいるってわかってて皇太子の甘い言葉に乗っかった浮気相手のヒロインだからな。まともな浮気されても耐えて一途にジョージを思い続けた悪役令嬢のジュリアンと心優しいジョージが幸せになれないなんてとんでもない話だな」


ザイドが呆れた表情で言った。


(ちょっと登場人物を飛躍させすぎてるところもあるけど確かに悪役令嬢だからとかそんな偏見的考えなんてなく人助けをできるジョージとそのジョージを一途に思うジュリアンが幸せになれないのは悲恋すぎるよね。偏見な目で見られる世界の中で偏見なく自分の事を見てくれる存在ってどんなに嬉しいか私にも分かるもんね)


ココが複雑な表情でそんな事を考えていた。


「冷血公爵といえば騎士団長のクソ野郎はどんなやつだったんだ?ココの事に関して箝口令を出したのはまぁよしとして人間としてはどうだったんだ?」


ビルが再びギルバートの話に戻して言ってきた。


「どんな人間って、、う〜ん冷血公爵って呼ばれてるのは本当みたいだったけど私の印象として全然冷血でも何でもなかったよ。ただの無愛想な人ってだけじゃないのかなぁ。それに優しいところもあったし」


ココがギルバートの事を考えながら言った。


「優しいだぁ?!それはどうせココの本当の顔を見た後にだろう?」


ビルが気に食わなそうな表情で言った。


「うんまぁそうだけど」


ココは困った表情で言った。


「そらみろ。ココの本当の姿見て態度を変えただけのそこらのクソ野郎共と変わりぁしねぇじゃねえか」


ビルが不満気に言った。


「そうだな。冷血など以前の問題だな。ココの見た目で態度を変えやがって」


ザイドも不満気な表情で言った。


「まぁでもすぐに辞めさせるんだから関係ないわよ。辞めたら関わる事なんてないんだから」


アイシャがケロッとした表情で言った。


「確かに、、それもそうだな」


ザイドもすぐにケロっとした表情で言った。


「そうだな。ココを早く辞めさせてクソ野郎共なんてほっといて俺達は俺達家族で楽しく暮らそうぜ。たとえここが漫画の世界だったとしても俺達には関係ない話なんだしよ」


ビルはニカッと笑いながら言った。


「そうだね」


ココはやれやれといった笑みを浮かべて言った。


(本当に皆相変わらずだね。でも、騎士さん達の歪んだ体幹だけが気になるとこだね)


ココはクスッと笑みを浮かべるもすぐに困った表情でそんな事を考えていた。


(まぁ、でもとりあえず今日の最大の難関ミッションであるこの傷の本当の経緯がバレずに済んだからとにかくそれが一安心だよね)


ココは安堵した表情でそんな事を考えていた。



そして…

翌日もココはアイシャに地味スタイルにしてもらい出勤したのだった。

地味スタイルで出勤したココを見てギルバートとコリシ含め騎士団の者たちは驚いたが箝口令が敷かれているのもありココの地味スタイルについて何も言う者はいなかったのだった。





ココが騎士団の雑用係として働き始めてあっという間に6日ほど経った…


(明日で働きだしてもう1週間になるのかぁ。早いなぁ)


ココは大量の洗濯物を前にそんな事を考えていた。


(お父さん達はそろそろ私を辞めさせる準備をしてたよねぇ)


ココが家族の事を思い出しつつそんな事を考えていた。


("悪ハピ"の原作だとココは最低でも1年近くは騎士団で働いてたけど私は1年どころか1ヶ月もここで働く事はなさそうだよね)


ココは苦笑いを浮かべてそんな事を考えていた。


(働くまでは早く平凡に暮らしたいって考えてて今でもそれは揺るがず変わらない考えだけどいざ騎士団で働いてみると確かに雑用係がいなきゃ騎士団の仕事をしながら雑用も熟すのはなかなか至難だっていうのが間近で見ててわかるんだよね)


ココは複雑な表情でそんな事を考えていた。


「それにしても今日は朝からずっと騒がしいなぁ」


ココは色々と考え込んでいると周りの慌ただしさを感じて呟いた。


(確か、今日皇太子のカメリアンが任務から戻ってくるって騎士さん達が話したなぁ)


ココはそんな事を考えていた。


(昨日ギルバートに今日は急遽勤務時間が午前まででいいって言われたのは今日がこんなバタつく程忙しくなるからだったんだねぇ)


ココは周りでバタつく様子を目にしてそんな事を考えていた。


(これだけバタバタしてるんだから皇太子を出迎えるって大変なんだね。まぁブラック騎士団は皇太子直属の騎士団だしそうなるか。まぁ私には関係ないことだけどね。どうせこの先もカメリアンを新聞とかで見ることはあっても実際に会う事はないんだしね)


ココは更にそんな事を考えていた。


「こんだけバタついてたらお昼を食べる時間もあんまりなさそうだから今日は簡単に食べれるようにワンハンドのランチメニューにしよう」


ココは笑みを浮かべて呟いた。


「"悪ハピ"の作者が日本人なのもあってこの世界に似つかないお米もあるしどんなワンハンドメニューにしようかなぁ」


ココはニコニコしながら呟いた。


そして、ココは洗濯物を干し終わると食堂へ向かった。


食堂へ着いたココは厨房へ移動して相変わらずの手慣れた手つきであっという間に昼食を作り終えた。


この日ココが作ったメニューは…


ワンハンドで食べれるライスバーガーだった。


お米で作ったコメズにレタス、きゅうり、甘辛く炒めた豚肉と玉ねぎ、チーズを挟んだ。


人数分のライスバーガーの横に団員達への一言を添えた紙を置いておいた。


実は、初日にココの料理を食べた団員達はあまりの美味しさに感動して毎日ココの作る料理を楽しみにしていた。

これまでは団員達がただお腹を満たす為だけに作ったような男飯ばかりだったこともありココの料理に歓喜したのだった。


(まさかあんなに私の料理を喜んでもらえるなんて思ってもみなかったなぁ。でも、喜んでもらえるって嬉しいよね)


ココは紙を置きながらクスッと笑みをこぼしてそんな事を考えていた。


(辞めるまでは色々と栄養面を考慮しながら出来る限り美味しい料理を提供できるといいなぁ)


ココは更にそんな事を考えていた。




ココが食堂にいる頃…

ギルバート、コリシを始め団員達が稽古場に集まり綺麗に整列していた。


そこへ1人の人物が現れた。


皇太子のカメリアン・サヴィアだった。


スラーっと伸びた長身に引き締まった体、金色に輝く髪に薄紫色の綺麗な瞳をした誰が見ても文句無しの美男子だった。

女性の憧れNo.1と言われるだけあった。


「皇太子殿下に敬礼」


ギルバートが大きな声で言った。


すると、ギルバートを始め団員が一斉にカメリアンに向かって敬礼した。


「殿下、お疲れ様でした」


ギルバートがお辞儀をしながら言った。


「ああ」


カメリアンは微笑みながら言った。


「「お疲れ様でした」」


コリシを始め団員全員がギルバートに続いて言った。


「皆、出迎えの準備ご苦労だった。引き続き鍛錬に励むように」


カメリアンが優しい表情で言った。


「「はい」」


団員達が勢いよく返事をした。


「殿下と我々は話があるので皆は各自振り分けられている持ち場へ戻ってくれ。何かあれば団長室まで来るように」


ギルバートが団長達へ言った。


「「はい」」


団員達が一斉に言った。


「では、解散」


ギルバートが言った。


ギルバートのその言葉と共に団員達は各自の持ち場へと散って行ったのだった。


「では、殿下行きましょう」


ギルバートが真剣な表情になり言った。


「ああ」


カメリアンは頷きながら言った。


そして、ギルバート達は団長室へと向かった。


ギルバート達は団長室へ向かう途中に食堂の近くに通った。


その時にちょうど食堂から出て洗濯場へ向かうココの後ろ姿が見えた。


「あの女性は誰なの?」


ココの後ろ姿を見たカメリアンが疑問に思い言った。


「手紙でも軽くお伝えした新しい雑用係です」


ギルバートがココの後ろ姿を見て言った。


(相変わらず時間通りに仕事をこなしているんだな)


ギルバートがそんな事を考えていた。


(今日の昼食を何を作ったことやら)


ギルバートは食堂をチラリと見てそんな事を考えていた。


「彼女がね」


カメリアンがぼそりと言った。


そして、カメリアンはココの後ろ姿が見えなくなるまで後ろ姿を見つめていた。


「雑用係の件についても後ほど詳しくお伝えします」


ギルバートが言った。


「ああ」


カメリアンが言った。


そして、ギルバート達が団長室へ到着した。


「何か飲まれますか?」


ギルバートが団長室へ入るなり言った。


「今はいらないかな。先に話をしてからでいいさ」


カメリアンが少し考えてから言った。


「分かりました」


ギルバートが言った。


「それよりもう団長室に着いたんだからいつも通りに話せばいいよ」


カメリアンがふっと笑みを浮かべて言った。


「ん?あぁ、わかった」


ギルバートが頷きながら言った。


カメリアンとギルバートは従兄弟になるので普段はお互いタメ語で話していた。

カメリアンもその方が気楽だったからだ。


「それで極秘任務はどうだったんだ?」


カメリアンが腰掛けたのを見てギルバートも椅子に腰掛けながら言った。


コリシもギルバートの横に座った。


「う〜ん、、どうこうもね」


カメリアンは困り笑みを浮かべて言った。


「今回起きた事件の犯人がどうやらどこぞの貴族みたいだね。今回厄介なのが殺人事件の容疑者がそのどこぞやの貴族だってことだね」


カメリアンは一瞬で身の毛も凍る程の冷たい表情になり低い声で言った。


そんなカメリアンの表情を見てギルバートとコリシは一瞬息を呑んだ。


(こいつのこの表情を見るとつくづく身内でありこいつが敵でなくて良かったと思うな)


ギルバートはカメリアンの表情を見てそんな事を考えていた。


(巷では俺が冷血公爵、カメリアンが天使の微笑みを浮かべる皇子だと言われているがまさか目の前に浮かべてる顔の方がカメリアンの本当の顔だなんて世間は知る由もないだろうな)


ギルバートは更にそんな事を考えていた。


(だが、今回の事件はこれまでとは違い殺人事件の容疑者が貴族かもしれないとなるとカメリアンの表情があぁなるのも分からなくはないな。厄介な事件だな)


ギルバートは更にそんな事を考えていた。


(本当に毎度殿下のこの表情見る度に背筋が凍りそうになるね。普段のあの天使のような笑顔からは想像もつかないよね。ギルバートより冷血って言葉が似合うくらいだね)


コリシはカメリアンを見てぞっとしながらそんな事を考えていた。


そう…

実は、皇太子であるカメリアンの天使の笑みに隠されている本当の顔は冷静で尚且つ冷酷という言葉が似合う人物だった。


カメリアンの本当の顔を知っているのは騎士団の団員達とギルバート達を含めたごく身近な人達だった。

カメリアンは15歳にして父親である皇帝から才能を認められ極秘任務を任せられるようになった。

そのうちカメリアンが極秘任務をよりやりやすくする為に皇太子直属のブラック騎士団が結成されたのだった。

従兄弟であるギルバートと幼い頃より知っていて信用のおけるコリシを団長と副団長に任命したのもカメリアン本人だったのだ。


極秘任務とは主に皇族、貴族が関わっていて尚且つ公にできない内容な事件が起きた際のいわば厄介な火消しのような任務だった。

しかし、厄介なだけに危険がつきものなのもありブラック騎士団に入れる者は身分関係なく実力が必要だった。


今回カメリアンが任された任務もまた公にできる事件ではないようだった。


「厄介な事件になりそうだな」


ギルバートが眉間にシワを寄せながら言った。


「ああ」


コリシもまた眉間にシワを寄せながら言った。


「今回は更に厄介なのが殺されたのが平民でその殺された者が貴族の愛人だったということだね」


カメリアンは目を細めて面倒臭そうに言った。


「貴族の愛人だった者?それは確かな情報なのか?」


ギルバートが驚き言った。


コリシも驚いた表情を浮かべていた。


「もちろんさ。家の二階の一室の一部には貴族の相手から贈られたであろう貴金属が見つかった。あの貴金属は平民が簡単に手に入れれる物ではなかったからね。それにその愛人は一部の人間に酒の席で自分は貴族と付き合っていると漏らした事があるようだ」


カメリアンが淡々と説明した。


「その者が本当に愛人だったとして何故貴族が容疑者なんだ?まさか目撃者がいたのか?」


ギルバートが眉間にシワを寄せて言った。


「そう、そのまさかだよ。その愛人が殺されたと思われる時間に愛人の家から慌てて出ていく貴族らしき男を見たという人物が居たんだよ。もちろんその人物にその事を口外しないようにと言っておいたけどね」


カメリアンは面倒臭そうな表情で言った。


「そして当たり前だけどその貴族が誰かはもちろん分かってないのが現状だよ。愛人の家を捜索してその貴族の男の手がかりをと思ったけど見つからなかったしね。それに他にもおかしな点があったね」


カメリアンは困った表情で言った。


「おかしな点?」


ギルバートが目を細めて言った。


「その愛人には18歳になる成人した息子がいるらしいんだけどその息子の姿がどこにもなくてね」


カメリアンが更に困った表情で言った。


「息子?一緒に暮らしていたのか?」


ギルバートが言った。


「近所の人に聞いたけどそうみたいだね」


カメリアンが淡々と言った。


「おかしな点というのは一緒に暮らしているその息子が自ら消えたのかそれとも消されたのかということですか?」


コリシが真剣な表情で言った。


「そういうこと。もしかしたらその息子が母親の殺される現場を見て思わず逃げ出したかもしくは見られた事に気付かれ犯人に連れ去られたか、、」


カメリアンは目を細めて言った。


「もしくは息子も容疑者の1人か、、だな」


ギルバートが目を細めて言った。


「そういうこと」


カメリアンがにこりと微笑みながら言った。


「何にせよ僕たちの火消し案件だから早めに片付けたいね」


カメリアンは淡々と言った。


「今はほとんど手かがりとかないけど僕と君たち騎士団の団員がちょっと頑張ればすぐに解決の糸口が見つかるさ」


カメリアンが笑みを浮かべながら言った。


「そうだな」


ギルバートが苦笑いを浮かべて言った。


(頑張るという名の軽い武力行使だけどな。カメリアンはあの微笑みを浮かべながら色々と追い詰めて糸口見つけるからな)


ギルバートは苦笑いを浮かべたままそんな事を考えていた。


「そうですね」


コリシも苦笑いを浮かべて言った。


(この事件も我々はなかなか苦労が絶えなさそうだな)


コリシは苦笑いを浮かべたままそんな事を考えていた。


「ざっと今回の任務の内容説明終わったから皆でお茶でも飲もう。コリシ〜お茶淹れてくれる?あ、茶菓子もお願いね」


カメリアンは笑顔で言った。


「承知しました」


コリシは頷きながら言った。


そして、コリシは素早くお茶の支度をして机にお茶と茶菓子を並べた。


「あぁそうだ。新しく入った雑用係の令嬢はどんな感じ?さっきチラッと見た感じだとモサッとした感じだったけど今までの令嬢とは違った新手のパターンなの?」


カメリアンが冗談混じりに笑いながら言った。


「名はココ・ウィリアム。ウィリアム子爵令嬢だ。俺とコリシも最初は令嬢らしからぬ見た目だったので驚いた反面新手のやり方で俺達目当てに来たのかと思ったらそうでなく本当に雑用係として働きに来ただけだった。実際にウィリアム子爵家の財状はあまり良くはないからな」


ギルバートが説明した。


「じゃぁ新手じゃなくて本当にモサッとした令嬢ってこと?!まぁ財状が厳しいなら仕方ないだろうけどね」


カメリアンが淡々と言った。


「でもまぁ良かったんじゃないの?雑用係が本当に欲しかったわけだし。下級とはいえ貴族令嬢だけど少しは使えそうなの?」


カメリアンが更に淡々と言った。


「あぁ。貴族令嬢とは思えない程仕事が出来る。掃除、洗濯、料理と特に指導など必要ないほどだ」


ギルバートが淡々と言った。


「それに」


ギルバートが何か言おうとしてやめた。


「それに?何?」


カメリアンが言った。


「ウィリアム令嬢はギルバートを見ても怖がるどころかギルバートの第一印象が背が高いと言ったんです。これまでギルバートを怖がりもせずそのような第一印象を持った令嬢もいなかったので面白くて仕方ありませんでした」


コリシはその時の事を思い出してつい笑いをこぼしながら言った。


「ギルバートの顔見て怖がらない女性って家族以外に居たんだね」


カメリアンは笑いながら言った。


「それだけではなくギルバートに団長は優しいんですねって笑顔で言ってたんですよ」


コリシは更にくすくす笑いながら言った。


「おい、コリシ」


ギルバートが苛立ちながら言った。


「へぇ〜」


カメリアンは興味深い表情を浮かべて言った。


「それに今朝はこれをわざわざ持ってきてくれたんですよ」


コリシがそう言うとお茶セットの横に置いておいたケーキをカメリアンへ見せた。


ケーキを見たカメリアンが驚いた表情を浮かべた。


「どうしたんだ?」


ギルバートはカメリアンがとても驚いた表情を浮かべていたのでその姿を見て少し驚いて言った。


(カメリアンがこんなに驚くことがあるんだな)


ギルバートはふとそんな事を考えていた。


「それってもしかしてキャロットケーキじゃない?」


カメリアンが驚いた表情のままケーキを指さして言った。


「え?はい。仰る通りです。ウィリアム子爵令嬢が人参が苦手なギルバートや団員達の為に作ったものをギルバートに試食してみて欲しいと作って持ってきてくれたものです」


コリシは戸惑いながら言った。


(確かに色はオレンジ色に近いものだが殿下はよく一目見てこれがキャロットケーキだとわかったな)


コリシはそんな事を考えていた。


「ちょっと一口もらってみてもいいかな?」


カメリアンが言った。


「は?カメリアンお前も俺と一緒で人参は苦手じゃないか」


ギルバートは信じられないという表情で言った。


「あぁ。人参は昔から苦手だよ。でも一口食べてみたいと思ってね」


カメリアンはケーキ絡めを離す事なく言った。


「そこまで言うなら食べてみるといいが吐き出すなよ」


ギルバートは少し戸惑いながら言った。


(急にどうしたんだ?)


ギルバートはそんな事を考えていた。


そして、カメリアンはほんの少しだけ手を震わせながら一口ケーキを口に運んだ。


ケーキを口にしたカメリアンは目を少しだけ見開いた。


「どした?まさか変なものでも混入されているのか?!」


ギルバートはカメリアンの表情を見て慌てて言った。


「何だって?!」


コリシもギルバートの言葉に慌てて言った。


しかし、そんな慌てる2人をよそにカメリアンはとても穏やかな何とも言えない笑みを浮かべた。


「別に毒なんて入ってないから2人共落ち着きなよ」


カメリアンは微笑みながら言った。


「紛らわしい顔をするなよ」


ギルバートが呆れながら言った。


コリシは怪しいものが混入されていたわけでないことに安堵した表情を浮かべていた。


「変なものが混入してないならどうしてあんな顔してたんだよ」


ギルバートは呆れたまま言った。


「う〜ん、何でだろうね」


カメリアンは笑いながら言った。


「何なんだその理由は」


ギルバートは更に呆れながら言った。


「しいて言えばとても懐かしい味がしたからかな」


カメリアンは優しい笑みを浮かべて言った。


「懐かしい味?どういう意味だ?昔いから人参が苦手な奴が懐かしいも何もないだろうに。幼い頃に料理に間違えて人参が入ってた時のカメリアンは身震いするほどの表情をしてたくらいだぞ?」


ギルバートはあんぐりした表情で言った。


(一体何を言いだすんだか)


ギルバートはそんな事を考えていた。


「あぁ、そんなこともあったね。懐かしいね」


カメリアンは笑いながら言った。


「だけど今僕が感じている懐かしさは僕だけの大切な懐かしさだよ」


カメリアンは優しい笑みを浮かべて言った。


そんなカメリアンを見てギルバートとコリシはお互いに顔を見合って首を傾げた。


「人参嫌いのお前にそこまで言わせるくらい美味しいのか?」


ギルバートが不思議そうに言った。


「俺も一口食べてみるか」


ギルバートがそう言うとキャロットケーキに手を伸ばそうとした。


「ギルバートは食べないで」


カメリアンがいつの間にかギルバートの伸びた手を止めて笑みを浮かべて言った。


「何だと?俺がウィリアム子爵令嬢から味見を頼まれたのにか?俺が食べなければ意見を言えないだろう。手を離せ」


ギルバートは意味がわからないという表情で言った。


(本当に一体どうしたというんだ)


ギルバートはそんな事を考えていた。


「ねぇ?それより一つ聞きたいんだけどウィリアム子爵令嬢ってもしかしてなんだけど実は凄く美人さんでスタイルもいいのにそれをあえて隠すためにモサッとしてたりする?」


カメリアンが何か考えるような表情で言った。


「どうして殿下がそれを?!」


コリシが思わず驚き言った。


「誰ならその話を聞いたんだ?!団員達には箝口令を敷いたはずだというのに一体誰が口を滑らせたんだ?!」


ギルバートは眉間にシワを寄せて言った。


「やっぱりね、、」


カメリアンはニコッと小さく口角をあげてぼそりと呟いた。


「何だ?」


ギルバートが呟いたカメリアンへ言った。


「ん?いや別に誰からも聞いてないけどなーって思って」


カメリアンはケロっとした表情で言った。


「何?では、何故その事を知っているんだ?」


ギルバートは意味がわからないという表情で言った。


コリシも困惑していた。


「ん〜何となく?そんな気がしたから」


カメリアンはニコッと笑って言った。


「何となくって、、お前」


ギルバートは呆れた表情で言った。


(本当にこいつは昔っから冷徹うんぬんの前にマイペースというか掴みどころがないというか)


ギルバートはそんな事を考えていた。


「はぁぁ。まぁいい。その件についても報告しようと思っていたんだ」


ギルバートはため息混じりに言った。


「カメリアンの言う通りウィリアム子爵令嬢は事情があり本来の姿を軽い変装で隠しているようだ」


ギルバートが説明し始めた。


「我々も最初は気づかなかったがウィリアム子爵令嬢が勤務中に池で猫を助けたジョージが溺れている事に気付き令嬢が池に飛び込みジョージを救出してくれたんだ。だが、その際に池の水で施していた地味な化粧と顔を隠していた前髪が濡れて本来の姿になっていたんだ」


ギルバートは更に説明を続けた。


カメリアンはギルバートの説明を聞きながらどこか表情が和らいでいた。


ギルバートとコリシはどうして話を聞いてるだけなのにカメリアンの表情が和らいだのかを不思議に思いつつも説明を続けた。


「団員であるジョージをウィリアム子爵令嬢が意見を顧みず助けてくれたというのに我々は、、というより俺は目の前の彼女がウィリアム子爵令嬢だとは気づかず侵入者だと思い彼女の首に剣を突きつけて怪我を負わせてしまってな」


ギルバートは少し眉間にシワを寄せてその時の事を思い出すように説明を続けた。


「剣を向けて首に怪我を負わせた?」


カメリアンがギルバートの説明を聞いている途中で低い声で呟いた。


と、同時にギルバートは一瞬背筋が凍るようなカメリアンの目線に気づいた。


カメリアンは殺意すらこもった冷たい視線をギルバートに向けた。


(な、何だ?!急に。きっと騎士としての不甲斐ない行動に怒ってるんだろうな。だからといって殺意まで込めてくるなんて本当に恐ろしい奴だな)


ギルバートはゾッとしながらそんな事を考えていた。


「で、ですがその後すぐに彼女がウィリアム子爵令嬢だということに気付き令嬢の手当てをして謝罪をしました」


その場の空気に耐えかねたコリシが慌てて話に割って入り言った。


「それでウィリアム子爵令嬢の傷の具合は?」


カメリアンは先ほどよりましにはなったが冷たい表情のまま言った。


「思ったよりも傷が深かったのですが幸い傷痕が残る心配はないかと思います」


コリシは慌てて言った。


「傷痕が残る心配はないなら幸いだね。それでなくてもギルバートの子爵令嬢に対する行動に思わず僕がギルバートに剣を向けそうになったのに傷痕まで残るとなってったら剣を向けるだけじゃ済まなかっただらうからね」


カメリアンは再び凍りつくような冷たい目でギルバートを見て言った。


「俺も自分の騎士として不甲斐ない行動を反省している。彼女にも真摯に謝罪した。ウィリアム子爵にも謝罪をしたいと言ったが令嬢に断られてしまったがな」


ギルバートは少し不満気に言った。


(はぁぁ。やっぱりカメリアンの奴相当怒ってるんだろうな。しかし、いくら俺の行動が騎士として良くなかったとはいえ平気で剣を向けるなんて言うとは血も涙もないな)


ギルバートはそんな事を考えていた。


「ウィリアム子爵令嬢がウィリアム子爵への謝罪はいらないって?」


カメリアンが目を細めて言った。


「あぁ。ウィリアム子爵令嬢本人に謝罪した際も自分も変装していた事を隠していたせいで混乱を招いたので申し訳ないとお互い一度謝ったのちもうその話は終わりだと信じられない事を言った上に子爵には自分から話しておくからこちらからの謝罪はしなくても大丈夫だと。しかし礼儀としてそういう訳にもいかない言うと子爵家の皆が自分をとても大切にしているからどうだのこうだのと結局謝罪に行けずじまいだ」


ギルバートは困った表情で言った。


「ふ〜ん、、そうなんだ」


カメリアンはギルバートの話を聞いて何か考え込むように言った。


「もしかするともしかするかもね、、」


カメリアンはニヤりとしながらボソっと呟いた。


「何がもしかするんだ?」


ギルバートが言った。


「いや、何でもない。こっちの話だよ」


カメリアンは急に笑みを浮かべて言った。


「今、ウィリアム子爵令嬢は何してるの?」


カメリアンが言った。


「本日は殿下のお出迎えの為色々とバタつくことがわかっていたのでウィリアム子爵令嬢には午前中までの勤務と伝えていますのですでに団員達の昼食を作り終えてそろそろ帰られるとこだと思います」


コリシが慌てて言った。


「え?!もう帰るの?!」


カメリアンが驚き言った。


「それは参ったぁ。すぐに令嬢の元へ向かわないといけないね」


カメリアンが困った表情で言った。


「は?」


「え?」


ギルバートとコリシがカメリアンの突拍子もない言葉に唖然としながら言った。


「ギルバートの失態についても改めてブラック騎士団の長として謝罪したいしケーキの感想も伝えたいし僕自身の自己紹介もしないといけないからね」


カメリアンが笑顔で言った。


「待て待て。意味がわからない。今すぐにじゃないければいけないわけじゃないだろう」


ギルバートが戸惑い気味に言った。


(今日のカメリアンはいつも以上にぶっ飛んだ事をするな。何故ウィリアム子爵令嬢にそんなに興味を示すんだ?)


ギルバートは疑問に思いつつそんな事を考えていた。


「いや、今でなきゃだめなんだよ」


カメリアンが一瞬真顔になり言った。


「と、いうことで令嬢が帰るなら僕が令嬢をウィリアム子爵の屋敷まで送っていくよ。その間に自己紹介でもすることにするよ」


カメリアンはすぐに笑顔で言った。


「わざわざ殿下がそこまでされる必要は、、」


コリシが慌てて言った。


「分かった。カメリアンの好きなようにしてくれ。しかし、せっかく使える雑用係ができたのだから素を出して怖がられるような事はしないでくれよ」


ギルバートが慌てるコリシを止めて冷静に言った。


「ギルバート」


コリシはそんなギルバートに戸惑いながら言った。


「心配しなくても僕が彼女にそんな事はしないよ」


カメリアンは微笑みながら言った。


「分かった。しかし、念の為俺とコリシが皇太子の護衛として同行する事は許可してくれよ」


ギルバートが言った。


(俺もだがカメリアンも女性だからといって情をかけるような奴ではないからな。会ったこともない令嬢になぜそのように興味を持つのかは知らないがもしカメリアンがウィリアム子爵令嬢の事を自分自身で試そうとしているのなら彼女の安全のためにも俺達が近くにいた方がすぐに対処できるからな)


ギルバートはそんな事を考えていた。


そんなギルバートをカメリアンが少し目を細めて何かを考えるように見た。


「好きにしなよ」


カメリアンはすぐに笑みを浮かべて言った。


「分かった」


ギルバートが頷きながら言った。


「でも、珍しい事もあるんもんだね。ギルバートが自分からそんな事を言い出すなんて」


カメリアンが微笑んだまま言った。


「どいういう意味だ?」


ギルバートは眉間にシワを寄せて言った。


「別に深い意味なんてないんだけどさ。今までは女性が関わる事に首なんて突っ込まなかったのになって思ってさ」


カメリアンが笑みを浮かべたまま言った。


「べ、別に俺はただ急遽な事で護衛が必要だからと思ったまでだ。それにウィリアム子爵の屋敷に行くのであれば子爵に令嬢の件での謝罪をする機会があるかもしれないと思ったまでだ。別にウィリアム子爵令嬢は関係ない」


ギルバートは慌てて言った。


(別に俺はカメリアンが余計な事をしてウィリアム子爵令嬢に辞められたら困ると思って同行して様子を伺うつもりだっただけだ。ウィリアム子爵令嬢には拒否されたが子爵へ謝罪をする機会があるかもしれないと思ったのも本音だ)


ギルバートはそんな事を考えていた。


「ふ〜ん。まぁ別にいいけどさ」


カメリアンは含みのある笑みを浮かべて言った。


そんな2人の会話を聞きコリシはただただ不安しかなかった。


「はい、そうと決まれば令嬢の元へ急ぐよ。あぁギルバート達は適当に後から付いてきてくれればいいから」


カメリアンは笑顔で言った。


「後からだと護衛の意味が、、」


ギルバートが最後まで言い終えるまでにカメリアンは足早に部屋から出て行ったのだった。


「カメリアンのやつ」


ギルバートは呆れた表情で呟いた。


「ねぇ、この状況何?というより大丈夫なの?殿下のあの行動。もしもウィリアム子爵令嬢が殿下の気に障る事でと言ったりしたらどうなるの?!令嬢に辞められたら困るんだけどな」


コリシが不安しかない表情で言った。


「はっきり言って俺もカメリアンが何を考えたり企んでるのか分からない」


ギルバートは困った表情で言った。


「じゃあ何で止めなかったのさ」


コリシは不安な表情のまま言った。


「あそこで止めたからといって止めるような奴じゃないというのは分かってるだろ?だからあえて護衛として同行する事でカメリアンが何を考えているのか突き止めようと思ったんだ。さすがにこれまでの令嬢とは違うと説明したから下手な事はしないと思うけどな」


ギルバートは困った表情で言った。


「でも、殿下はあのウィリアム子爵令嬢が作ったキャロットケーキを口にしてから何か少し様子が変わったよね?懐かしい味がするとかも言ってたし。それに令嬢に怪我を負わせたって時の話を聞いた殿下の表情を見ただろ?紛れもなく一瞬殺意が混じってた目をしてたんだよ?!」


コリシは戸惑いながら言った。


「ようやくまともで性格も良さそうな子が来てくれたというのに早々にこんな事になるとは」


コリシは困った表情で言った。


「とにかくカメリアンがウィリアム子爵令嬢に対してどういう態度を取るか同行して見守るしかないだろう。我々も同行する支度をして急ごう」


ギルバートは冷静に言った。


「そうだな。急ごう」


コリシが頷きながら言った。




その頃…

ココは勤務を終えてイマーンが待つ馬車へ乗ろうとしていた。


「本日もお疲れ様でした」


イマーンが馬車の扉を開けながら言った。


「ありがとうございます。帰りもよろしくお願いします」


ココは馬車に乗りながら優しく微笑みながら言った。


「はい」


イマーンが笑顔で言った。


そして、イマーンが扉を閉めようとしたその時…


「待ってくれ」


カメリアンが急いで走りやってきてイマーンへ言った。


イマーンはカメリアンを見て驚いた表情を浮かべた。


「どうかしましたか?」


ココが外からの声を聞いて中から顔出してイマーンへ言った。


「あ、いえその」


イマーンは驚き混じりに少し声を震わせながら言った。


ココはイマーンの様子が少し変だと思いイマーンの目線の先を見た。


(え?この人って)


ココは馬車のすぐ側まで走ってやってきたカメリアンを見て驚きながらそんな事を考えていた。


ココは急ぎ馬車から降りた。


「サヴィア帝国の皇太子殿下にご挨拶申し上げます」


ココは綺麗なお辞儀をしながら優しい表情で言った。


(どうしてこんなところに皇太子のカメリアンがいるの?!)


ココは内心突然の事に驚きつつそんな事を考えていた。


ココにつられるようにイマーンも咄嗟にお辞儀をした。


(あの方は国の女性の憧れNo.1と言われている皇太子殿下だわ。こんなに近くで拝見するのは初めてだわ)


イマーンは緊張しつつもそんな事を考えていた。


「あぁ、やっぱりそうだった」


カメリアンは嬉しそうな笑みを浮かべて言った。


カメリアンのその言葉にココは??という表情を浮かべていた。


「君が新しい騎士団の雑用係ココ・ウィリアム子爵令嬢だよね?」


カメリアンは笑みを浮かべて言った。


「はい」


ココは少し戸惑いながらも頷きながら言った。


「今日はもう仕事が終わって帰るところなんだよね?」


カメリアンが言った。


「はい」


ココが頷きながら言った。


「では、僕も一緒に乗せてもらうね」


カメリアンは笑顔で言った。


「はい、、ってえ?はい?」


ココは頷く途中でカメリアンの言葉がおかしいと思い驚いた表情で口をパクパクさせながら言った。


「ハハハ。驚いた時に口をパクパクさせるところは変わってないね」


カメリアンは優しい笑みを浮かべて言った。


ココはカメリアンの言葉にますます混乱して更に口をパクパクさせた。


(な、何が起こってるの?!)


ココは混乱気味にそんな事を考えていた。


「さぁ、乗って乗って。話は乗ってからしよう」


カメリアンは笑顔でそう言うと混乱気味のココを馬車の中へと追いやり自分も乗り込んだ。


「行き先はウィリアム子爵邸でいいからよろしくね」


カメリアンは王子スマイルでイマーンへ言った。


「ひゃ、ひゃい。あ、はい」


イマーンはカメリアンの笑みに混乱しつつ慌てて言うと急ぎ馬車を走らせる態勢に入った。


「はいやっ」


そして、イマーンは馬車を発車させた。


「あ、あの、これは一体どういう事なのでしょうか?どうして皇太子殿下がこのようなことを」


ココは混乱しつつも冷静にカメリアンへ言った。


そんなココをカメリアンがじっと見つめていた。


(何?本当何?こんな状況って"悪ハピ"の原作に描写されてた?ううん。されてない。だってココとカメリアンは接点なんてないだもん)


ココは困った表情でそんな事を考えていた。


「皇太子殿下なんて他人行儀な呼び方はやめてよ」


カメリアンは困った表情で言った。


「はい?」


ココは信じられないという表情で言った。


(えっと、、何を言ってるのか逆に意味がわからなくて混乱しちゃうもんだけど。皇太子カメリアンってギルバートとは正反対の女性の憧れNo.1の天使の笑みを浮かべるって言われてるんだよね?確かに天使みたいな笑顔だけど何というか既視感を感じるというか天使の微笑みというよりは、、)


ココは困惑しながらそんな事を考えていた。


「そんな他人行儀じゃなくて"椿さん"って呼んでよ」


カメリアンは優しい笑みを浮かべて言った。


「はい?」


ココはカメリアンの言葉に一瞬固まりすぐにとても驚いた表情で言った。


("椿さん"って言ったよね?今、、)


ココは更に困惑しながらそんな事を考えていた。


そして、上手く言葉が出ずまた口をパクパクさせた。


「ハハハ。本当に可愛いなせれなは」


カメリアンは笑いながら言った。


ココは"せれな"という言葉を聞き一瞬で状況を把握した。


「本当にあの"椿さん"ですか?朱桜組の?」


ココは驚いた表情で恐る恐る言った。


「そう!僕こそがあの朱桜組の朱桜椿だよ。久しぶりだね僕の愛おしいせれな、、いや、れな」


カメリアンは優しい笑みを浮かべて言った。


(到底現実とは思えないけど前世で私のことを"れな"と呼ぶのは周りと呼び方が一緒なんて嫌っていう理由でそう呼んでいた椿さんだけだもんね)


ココは戸惑いながらそんな事を考えていた。


「椿さんもこの世界に転生したということですか?」


ココが一旦頭を整理する為に冷静になり言った。


「そういう事になるね」


カメリアンは微笑んだまま言った。


(やっぱりそうなんだ)


ココは驚きつつも冷静にそんな事を考えていた。


「椿さんは転生した事に気付いたのはいつ頃なんですか?」


ココが言った。


「う〜ん、1ヶ月と少し前くらいかなぁ。れなが前世で読んでた"悪ハピ"を僕もれなが読んでるところを少しだけ覗き見したことがあったから自分が皇太子のカメリアンに転生したんだってすぐ理解できたんだよね」


カメリアンが転生した経緯を説明した。


「そうだったんですね」


ココが小さく頷きながら言った。


「れなはいつ頃転生に気付いたの?」


カメリアンが言った。


「私は数ヶ月前です。椿さんと同じく前世で読んでいた漫画の世界だったのですぐに転生したのだと気づきました」


ココが説明した。


「そうだったんだね。でも異世界転生とか本当にあるもんなんだね」


カメリアンは笑いながら言った。


「本当に」


ココがクスッと笑みを浮かべて言った。


(ついさっきまで目の前の状況に戸惑ってしまってたのに本当に椿さんも転生したんだと思ったら何か不思議な感じだけど懐かしい感じもするなぁ)


ココはふとそんな事を考えていた。


(あぁ、この笑顔。本当に目の前にいる彼女はれななんだね)


カメリアンは笑みを浮かべてそんな事を考えていた。


「だけどよく私がせれなだとわかりましたね?」


ココがふと疑問に思い言った。


「皇宮でココとしてのれなの後ろを姿を見た時にどこかれなの事が頭に浮かんだんだ。前世でれなが地味スタイルをしてた時を思い出したんだよね。その直後にギルバートの部屋でれなが作ったキャロットケーキを食べてん??って思ったんだけどさすがにれなもこの世界に転生したのはないよねぇって思ってたんだけどギルバートとコリシの報告を聞いてココという新しい雑用係は実は地味に変装していると知った瞬間に間違いなくココはれなだって確信したんだよ。まぁあのキャロットケーキの味は前世でれなが人参嫌いの俺に作ってくれたケーキと味も見た目全く同じだったからその時点で半分は確信してたのかもしれないけどね」


カメリアンは微笑みながら言った。


「まさかそんな事で私だと気付くなんて」


ココはおお〜という表情を浮かべて指先で小さく拍手をしながら言った。


(ハハ、本当にれなは1つ1つの行動が可愛すぎるね。ついさっきまで僕に対して戸惑いと困惑の表情を浮かべていたのに)


カメリアンは愛おしそうな目をしてそんな事を考えていた。


「ハハハ」


カメリアンは嬉しそうに笑った。


「それはそうとギルバートがれなに剣を向けて怪我をさせたんだって?傷は大丈夫なの?」


カメリアンは心配そうな表情で言った。


(あのクソ野郎よくもれなの綺麗な首に)


カメリアンは内心怒りが込み上げてきてそんな事を考えていた。


「大丈夫ですよ。傷もだいぶ塞がってきてますから」


ココは優しく微笑みながら言った。


「それに私も色々と隠していたので団長達を混乱させてしまったので」


ココは申し訳なさそうな表情で言った。


「そうだとしてもだよ」


カメリアンは困った表情で言った。


「その件については私にも非がありましたからお互い様ということで団長と話がまとまってますし」


ココは微笑みながら言った。


「れなは昔から優しすぎるんだよ。ココは怪我してるんだよ?ギルバートとはお互い様じゃ済まないっていうのに」


カメリアンは困ったような心配してるような表情で言った。


(殺してもおかしくない事をしてるんだよ?)


カメリアンはそんな事を考えていた。


「フフ、本当にもう終わった話なので大丈夫ですよ」


ココは微笑みながら言った。


(本当にれなは極道一家に生まれたなんて信じられないくらい優しすぎるんだよね。まぁそんなところがれなのいいところでもあるんだけど優しすぎると心配なんだよね)


カメリアンは困った表情でそんな事を考えていた。


「今回の件でギルバートがウィリアム子爵に謝罪するっていうのも断ったんでしょ?」


カメリアンはやれやれといった表情で言った。


「はい。あまり大事にしたくありませんでしたし既に家族には自分のせいで怪我をしたと伝えてありますし」


ココは困り笑みで誤魔化すように言った。


「それってギルバートに傷を負わされた事を知ったら龍牙達が激怒するからそれを止めたかったんじゃないの?」


カメリアンがケロっとした表情で言った。


「え?」


ココはカメリアンの言葉に驚きまた口をパクパクさせて言った。


(クク。どうして知ってるの?って顔してて可愛いなぁ)


カメリアンはクスッと笑みを浮かべてそんな事を考えていた。


「ど、どうして分かったんですか?!家族まで一緒に転生したって」


ココは驚いたまま言った。


「ギルバートの話ではれなが家族は自分をとても可愛がっているので事実を知ったら大変な事になるし雑用係の仕事を続けられなくなりますって言ったって聞いてすぐにピーンときたよ」


カメリアンは笑いながら言った。


「ギルバートやコリシからしたらたかが娘を可愛いがっているだけで?と思ったかもしれないけど僕は前世での龍牙達の行動を知りに知ってるからね。確かに龍牙やおじさんおばさんが知ったらギルバートは殺されちゃうかもしれないもんね。ついでにそばにいたコリシも」


カメリアンはくすくす笑いながら言った。


「笑い事ではありませんよ」


ココが困った表情であたふたして言った。


「私はこの世界では平和に平凡に暮らしたいのでなるべく事を大きくしたくなかったんです」


ココはしょんぼりした表情で言った。


(もしも、お父さん達が事実を知ったら平和どころかとんでもない事になるのなんて目に見えてるもんね)


ココはそんな事を考えていた。


「ですので事実は椿さんの胸にしまっておいて下さいね」


ココは困った表情で言った。


「ん〜一先ずはしまっておくよ」


カメリアンは微笑みながら言った。


(一先ずはね。場合によっては龍牙達に真実を話したほうがいい場合もあるしね)


カメリアンはそんな事を考えていた。


「一先ずって何ですか。約束して下さいよ」


ココはあたふたしながら言った。


「ハハハ。れなは本当に可愛いね」


カメリアンが笑顔で言った。


「誤魔化さないで下さい」


ココが困った表情で言った。


「それより本気でこのまま家についてくるつもりなんですか?」


ココは戸惑いつつ言った。


「うん」


カメリアンは笑顔で言った。


(やっぱりそうなんだ。本当に一難去ってまて一難すぎない?どう考えても椿さんとお父さん達を会わすのは良くない気がしてたまらないんだけどなぁ)


ココは心配そうな表情でそんな事を考えていた。


(僕がおじさん達と会うのはよくないって思ってるんだろうね。顔にそのまま感情が出てるよ)


カメリアンは1人で考えるココを見て微笑ましくそんな事を考えていた。


(だけどれなの家族も一緒に転生したとなるとおじさん達に伝えておかなきゃならない事があるから一度は会っとかなきゃだもんね)


カメリアンは目を細めてそんな事を考えていた。


「あの、、ところで何か先ほどから馬の足音が急いでこの馬車に近づいてくる様な気がしてるんですけど」


ココはふと外から聞こえる音に不安になり言った。


「あぁ、大丈夫だよ。怪しい者じゃないから僕が1人で出てきたから護衛としてギルバートとコリシが追いかけてきてるだけだから」


カメリアンは笑顔で言った。


「え?団長と副団長がですか?!」


ココはまた驚き口をぱくぱくさせながら言った。


「そ、それは困ります。い、家に団長たちまで来るなんて困りすぎます」


ココは慌てて言った。


「大丈夫だよ」


カメリアンは笑顔で言った。


「大丈夫じゃないですって」


ココは困った表情で焦り言った。


(大丈夫な要素が1つもないじゃないのよ)


ココは戸惑いながらそんな事を考えていた。


「ハハハ」


カメリアンはそんなココを見て笑っていたのだった。


ココとカメリアンが馬車でそんなやり取りをしている同じ頃…


ギルバートとコリシはあっという間にココの馬車に乗り込んで去って行ったカメリアンが乗る馬車を追いかけ猛スピードで馬を走らせていた。


(カメリアンの奴待つことすらも出来ないのか?!というより初対面の令嬢の馬車に乗り込むとは一体何を考えているんだ)


ギルバートは馬を走らせながら不満気にそんな事を考えていた。


(ようやく馬車まで追いついたがここからでは中の様子がわからないな。何事も起きてなければいいが。それでなくとも俺が令嬢を傷つけてしまったせいでウィリアム子爵家には負い目があるというのにカメリアンまで乗り込んだらどうなるんだ)


ギルバートは更にそんな事を考えていた。


(はぁ。もう何が何だかわからないよね。この状況。ギルバートに負けないくらい貴族令嬢を嫌っている殿下がこうも急な行動に出るなんてウィリアム子爵令嬢は大丈夫なのだろうか。いくらギルバートを前にして怖がる事がなかったとしても相手は皇太子だ。今頃令嬢が何事もなければいいけどね)


コリシは心配そうにそんな事を考えながら馬を走らせていた。



そして、話し込んでいるうちに馬車がウィリアム子爵の屋敷へ到着した。


馬車のすぐ後にギルバート達も到着した。


ギルバートとコリシは素早く馬から降りて馬車へ駆け寄った。


すると、馬車からカメリアンが清々しい表情で出来てきた。


「殿下」


ギルバートが降りてきたカメリアンに慌てて言った。


「おい!どういうつもりだ」


ギルバートがカメリアンに慌てて近寄り小声で言った。


「どういうつもりも何もウィリアム子爵令嬢はとてもよく働いてくれてるみたいだから僕が直接お礼を言ってついでに屋敷まで送ってきただけだけど?」


カメリアンはケロっとて言った。


「直接礼を言うなら別に明日彼女が出勤してからでも良かっただろう」


ギルバートは更に小声で言った。


「明日まで待てなかったんだよ」


カメリアンは笑顔で言った。


そんなカメリアンにギルバートは唖然とした表情を浮かべていた。


(こいつ任務先で頭でも打ったんじゃないのか?!)


ギルバートは唖然としたままそんな事を考えていた。



その時…


「団長、副団長お疲れ様です」


馬車の中からひょっこりと顔を出してココが困り笑みを浮かべて言った。


「ウィリアム子爵令嬢」


ギルバートは思わず言った。


「あの、降りてもよろしいでしょうか?」


ココはどこか疲れた困った表情で言った。


「あ、ああ」


ギルバートが慌てて言った。


「ほら」


そしてギルバートは降りようとしていたココに手を差し出しながら言った。


「え?」


ココが思わず驚き言った。


ココの言葉にギルバートがハッとなった。


(お、俺は今何をしようとしていたんだ?!)


ギルバートは戸惑いつつそんな事を考え差し出した手を引っ込めようとした。


「あ、ありがとうございます」


すると、ココは驚きはしたが優しい笑みを浮かべて言うとギルバートが引っ込めようとした手に自分の手を添えた。


(まさかの椿さんまでも転生した事を知って色々と頭が混乱して一気に疲れたから支えてもらえると助かるわ。ギルバートはやっぱり冷血って言われてるけど優しいんだね)


ココはフッと笑みを浮かべてそんな事を考えていた。


「あ、あぁ」


ギルバートは戸惑いつつもココの手をしっかりと支えてココを馬車から降りした。


「団長ありがとうございました」


ココは馬車から降りるとゆっくりとギルバートから手を離して優しい笑みを浮かべて言った。


「あ、いや、、ああ」


ギルバートは戸惑いつつ言った。


(本当に俺は何をやってるんだ?!だが、令嬢の顔がどこか疲れているのを見て馬車から降りる際に足を踏み外してしまうんじゃないかと思い咄嗟に手が出てしまった)


ギルバートは戸惑いながらそんな事を考えていた。


「ギルバート」


その時、カメリアンが言った。


ギルバートはハッとなりカメリアンを見た。


ギルバートはカメリアンの表情を見て一瞬ヒヤりとなった。

カメリアンはギルバートを背筋が凍りつくような目で見ていた。


「僕は子爵に少し話があるからギルバートとコリシはこの辺で待ってて」


カメリアンはすぐに笑みを浮かべて言った。


「はい、承知しました」


ギルバートは慌てて言った。


(先ほどの俺を見るカメリアンの視線は何だったんだ?)


ギルバートはそんな事を考えていた。


「ウィリアム子爵令嬢、子爵のところまで案内をよろしく頼むね」


カメリアンは笑顔で言った。


「はい」


ココは複雑な表情を浮かべて頷きながら言った。


そして、ココはカメリアンと共に屋敷の入り口へ向かった。


「ねぇ、子爵令嬢の表情見ると絶対馬車で何か殿下に言われたんじゃない?令嬢の表情が曇って見えたけど」 


ココとカメリアンがその場から離れるとコリシが小声でギルバートへ言った。


「どうだろうな。先ほどのカメリアンを見る限りカメリアンが令嬢を怖がらせたりなどはしていはいと思うが」


ギルバートは困った表情を浮かべ小声で言った。


(しかし、令嬢の表情が浮かないのは間違いなかったな)


ギルバートは複雑な表情を浮かべて言った。


「殿下はウィリアム子爵に何を話すつもりなのかな?殿下は子爵に会うのは今日が初めてだろうし。こんな事で令嬢が雑用係を辞めるなんてならないよね?」


コリシは心配そうに小声で言った。


「俺にもカメリアンの考えがまったく分からない」


ギルバートは困った表情を浮かべ小声で言った。


(それより俺は何故ウィリアム子爵令嬢にあんな事をしたのだろうか)


ギルバートは困った表情でそんな事を考えていた。



「ただいま」


ココが玄関を開けて言った。


「ココ、おかえり」


「おかえりなさい」


ココの声を聞いて笑顔でザイドとアイシャが玄関先で出迎えながら言った。


しかし、ココの隣にいるカメリアンを見て一気に表情を曇らせた。


「ココ、隣の男性は誰だい?」


ザイドを目を細めてカメリアンを見て言った。


「あぁ、、それが、、こちらはサヴィア帝国皇太子のカメリアン・サヴィア殿下です」


ココは苦笑いを浮かべて言った。


「何だと?!あの浮気王子のか?!」


ザイドが表情を歪めて言った。


「ココ、どうしてここに浮気王子がいるの?!」


アイシャも表情を歪めて言った。


「浮気王子が来てるだって?!」


そこへザイド達の声を聞いたビルが怒りの表情を浮かべながらその場へやって来た。


(もう本当にこうなるだろうから椿さんをここへ連れて来たくなかったんだよね)


ココは困った表情でそんな事を考えていた。


「ハハハ。浮気王子って。随分な物言いだね」


カメリアンは笑いながら言った。


「皇太子だろうが皇帝だろうが娘に近づく野郎は許せないもんでね」


ザイドは敵意をむき出しにしながら言った。


「本当に相変わらずだなぁ」


カメリアンは笑いながら言った。


(本当に前世でも現世でもれなの事を気持ち悪いくらい溺愛してるのは変わらないねぇ。それにこの感じも懐かしいなぁ)


カメリアンはそんな事を考えていた。


「相変わらずだぁ?!ヘラヘラ笑ってんじゃねぇよ気色悪いなぁ。何だかあいつを思い出して胸糞悪いぜ」


ビルは表情を歪めて吐き捨てるように言った。


「皆、落ち着いて。目上の方にそんな口の利き方はよくないよ?それにこの方はね」


ココはあたふたして戸惑いながら言った。


「あいつって誰のこと?もしかしてこの国の皇太子であり前世では朱桜組の跡取りだった朱桜椿、、つまり僕の事だったりする?龍牙?」


カメリアンは首を傾げながら満面の笑みを浮かべて言った。


「なっ」


ビルはカメリアンの言葉に一瞬固まった。


ザイドとアイシャも固まっていた。


「えーっと、この方は皇太子のカメリアン・サヴィアに転生した朱桜椿さんです」


ココが苦笑いを浮かべて言った。


「「なんだと?!」」


「なんですって?!」


ザイド達は驚愕しながら大声で言った。


「お前本当に椿なのか?!」


ビルが表情を歪めて言った。


「うん」


カメリアンは笑顔で言った。


「何でお前まで同じ世界に転生してるんだ?!それも皇太子って」


ザイドが信じられないという表情で言った。


「ありえないわ」


アイシャは頭を抱えながら言った。


「とりあえずさ詳しい話は座ってしようよ。皆に話しておかないといけない事もあるからさ」


カメリアンが笑顔で言った。


「あ、お茶は要らないから気は使わないでね」


カメリアンが笑顔で言った。


「チッ。お前に出すお茶なんてあるわけないだろう。一先ず話は聞いてやるが終わったらすぐ帰れよ」


ザイドが舌打ちしながら不満気に言った。


「わかりましたわかりました。まったく相変わらずおじさんは冷たいんだから」


カメリアンは困った表情で言った。


「「チッ」」


ザイド達3人は苛立った表情でカメリアンを見て舌打ちした。


(ハハハ)


ココはそんな4人を見て苦笑いを浮かべていた。


そして、ココ達5人は居間に移動した。


「はい。お茶を淹れたのでどうぞ」


ココはカメリアンを含めた皆へお茶を淹れて差し出し優しい笑みを浮かべて言った。


「れな、ありがとう」


カメリアンは嬉しそうな笑みを浮かべて言った。


「ココ、こんな奴にお茶なんて出す必要ないぞ」


ビルが不満気に言った。


「お兄ちゃん、そういう訳にはいかないでしょ」


ココは苦笑いを浮かべて言った。


「本当にれなは優しいね」


カメリアンは満足気に微笑みながら言った。


「おい、椿。殺すぞ?」


ザイドが殺気に満ちた表情で言った。


「お父さん!」


ココが困った表情で言った。


「そ、それより椿さん私たちにお話というのは?」


ココは急ぎ話を変えて慌てて言った。


「あぁ、、話って言うのはね」


カメリアンは一気に冷たい表情になり言った。


カメリアンの表情の変わりよう見てザイド達3人は目を細めた。


(こいつがこんな表情をするってことはよほどの話なんだろうな)


ザイドが目を細めながらそんな事を考えていた。


(こいつのこの表情は久々に見たな。この表情は前世で嫌ってほど拝んだからな。やっぱり目の前のこの浮気王子は椿で間違いなさそうだな)


ビルは目を細めてそんな事を考えていた。


(王子の姿だろうとこの表情をすると完全に椿そもそもね)


アイシャは目を細めながらそんな事を考えていた。


「皆は家族旅行中に事故で命を落としたでしょ?でもその時間は事故じゃなくて故意だったんだよ」


カメリアンは冷たい表情のまま言った。


「何だと?!」


「事故じゃない?!」


「故意ってどういうことよ?!」


ザイド達3人は表情を歪ませて大声で言った。


(事故じゃなくて故意?一体どういうことなの?)


ココはカメリアンの言葉を聞き顔を真っ青にしてそんな事を考えていた。


「ココ、大丈夫か?!顔色が悪いぞ?!」


そんなココにビルがいち早く気付き慌ててココに駆け寄り言った。


「え?あ、うん。大丈夫だよ。ありがとうお兄ちゃん。少し、、ううん。かなり驚いただけだから」


ココは一生懸命笑みを浮かべて言った。


「ココ」


ビルは心配そうな表情で言った。


「私は大丈夫なので椿さん話の続きをお願いします」


ココは困った表情で言った。


「本当に大丈夫なの?」


カメリアンは心配そうに言った。


「はい」


ココは頷きながら言った。


「分かったよ」


カメリアンは心配そうな表情のまま言った。


「先程言った様にあの事故は故意に起こされた事故だ。つまりおじさん達家族は殺されたんだよ」


カメリアンは表情を歪めて言った。


(その事実を知った時に僕はどれほど腸が煮えくり返ったか)


カメリアンは表情を歪めたままそんな事を考えていた。


「ハッ。俺達が殺されただと?!どこのクソ野郎がやったんだ?!うちの組と敵対してる奴らか?!」


ザイドは額の血管を浮かばせながら怒りに満ちた表情で吐き捨てて言った。


「どこのどいつだろうが許すわけにはいかないけどな」


ビルもザイドと同じように吐き捨てるように言った。


「犯人は鳳組と敵対してた組の者じゃないよ。犯人は単独で殺し屋だよ」


カメリアンが冷たい表情で言った。


「殺し屋だと?!だがどこぞの組に雇われた奴でもなく単独だと?!一体誰なんだ?!そのクソ野郎は」


ザイドは今にも人を殺しそうな表情で怒りをあらわにして言った。


(殺し屋?1人で?何でその殺し屋が私達家族を殺したの?!)


ココは意味がわからないという表情でそんな事を考えていた。


「では、私達家族はその顔も知らない殺し屋に事故に見せかけて殺されたと?せっかく夢が叶って家族の皆が心からお祝いしてくれた楽しい旅行を台無しにして?」


ココは目に沢山の涙を浮かべて声をならない声で言った。


(酷いよ、、)


ココは心の底からそんな事を考えていた。


「「ココ、、」」


涙を浮かべるココを見てザイド達がココを優しく包み込みながら言った。


「お父さん、お母さん、お兄ちゃん、、」


ココは必死にこぼれ落ちる涙を堪らえようとしながら言った。


「それでそのクソ野郎はどこのどいつなんだ?!」


ザイドが怒りに満ちた表情で言った。


「どこにも属してない殺し屋で、、れなのストーカーでもある"江藤"って奴だよ」


カメリアンは更に冷たい表情になり言った。


「え?私の、、ストーカー?」


ココはカメリアンの言葉に信じられないという表情で呟いた。


(私のストーカー?殺し屋が?意味が分からないわ)


ココは混乱しながらそんな事を考えていた。


「ココのストーカーだぁ?!」


ビルが表情を歪めて怒りのこもった表情で言った。


「私は前世でストーカーに付きまとわれるようなことはありませんでしたよ?何かの間違いでは?」


ココは戸惑いながら言った。


「ココの言う通りよ。もしもココにストーカーなんていたら私たちが気づかない訳ないもの」


アイシャが表情を歪めて言った。


「その通りだ。もしも本当にココにストーカーがいたなら無事に済んでるはずがないしな」


ザイドは意味がわからないという表情で言った。


「まぁ、れな本人もだけど龍牙達が気づかないのも無理ないよ。江藤がれなにストーカー行為を始めたのはれな達が亡くなる2週間前だったみたいだからね。僕が直接江藤から聞き出したから間違いないよ」


カメリアンは冷たい表情で言った。


(2週間前?)


ココは戸惑いながらそんな事を考えていた。


「はぁ?お前その江藤って奴に直接会ったのか?」


ビルが眉間にしわを寄せながら言った。


「ああ。れな達が事故で全員亡くなったって訃報を聞いてからすぐに事故現場に行ったからね。現場に行ってみてすぐただの事故じゃないと気付いたからね。ただの事故じゃなく故意だとすぐに気付いた時にちょうど現場に江藤が居たんだよ。僕はすぐに江藤が怪しい事に気づいて江藤を捕らえたんだ」


カメリアンが冷たい表情のまま言った。


(今でもあいつの顔を思い出すだけで虫唾が走る)


カメリアンはそんな事を考えていた。


「それでそいつは?!」


ビルが言った。


「江藤は事故を起こした2週間前に偶然れなに会ったんだって。江藤が仕事でミスをしてしまい負傷してしまい人混みのない所で傷の状態を確認していたとこにれなが偶然そこを通りかかった際に江藤の傷の応急処置をしてくれた事でれなに一目惚れしたみたいでその翌日かられなの存在を調べ始めてれなを見つけるとすぐにれなの行動を監視していたそうだ」


カメリアンは表情を歪めて言った。


「あっ、あの時の怪我をしてた人の事だわ」


ココが思い出したように言った。


「彼がいた場所は細い路地なんだけど近道でもあったから私がよく使ってた道だったの。でも、あの日はそこを通り抜けようとしたら怪我を負った彼が血を流して座り込んでいたの。なんだかお兄ちゃんや組の皆さんが怪我した時の事を思い出して見て見ぬふりが出来なくて手持ちのもので応急処置をしてあげたの」


ココは戸惑いながら説明した。


「待て待て。だけどよぉココに一目惚れしてストーカーまがいなことをしてた奴が何故ココを殺したんだ?!意味わかんねぇだろうよ」


ビルが表情を歪めて言った。


「君たちが旅行へ行く情報を江藤は事前に調べて知っていたようだ。ただ、その旅行へはれなを除いておじさん達3人で行く旅行だと思いいつもおじさん達がれなに張り付いていたせいでれなに近づく事すら出来なかった事に苛立ちを覚えていたらしく3人が同時にれなから離れるその旅行を狙って事故に見せかけてあの事件を起こしたみたいだね」


カメリアンは呆れた表情で言った。


「まさかその旅行にれなが同行してるとはは思いもせずに」


カメリアンは再び冷たい表情で言った。


「確かにあの旅行はココの夢だったスタジオオープンのお祝いを兼ねてサプライズで用意したものだったからな。ココとは途中で合流したのもあって江藤って奴は出発当時に俺達3人だけだったから安心したんだろうな」


ビルが表情を歪めて言った。


「しかし、よくも俺達にそんな事をしたもんだな。結局江藤って奴は自分の手でココの命を奪ったわけだしな」


ザイドが眉間にしわを寄せながら言った。


「何だがあまりにも突然の話で頭が追いつきません。そんな勝手な理由で私の大切な家族まで巻き込むなんて」


ココは再び涙を浮かべて言った。


「ココが思い病む事ではないわ。悪いのはすべてその江藤という男なのだから。それにこうして現世でも家族になる事ができたのだから過去のことは気にせず今を私達で楽しんで幸せに暮らしましょう。ね?」


アイシャが落ち込むココに頭を優しく撫でながら言った。


「お母さん」


ココは胸がジーンと温かくなるのを感じながら言った。


「アイシャの言う通りだ。今を全力で楽しもうじゃないか」


ザイドも優しく微笑みながら言った。


「結局、転生しても家族として目覚めたって事は俺達家族は誰にも引き離せないくらい強い絆で結ばれてるってことだろうしな」


ビルがニカっと笑いながら言った。


「うん。お父さん、お母さん、お兄ちゃんありがとう」


ココは泣き笑いをしながら幸せそうな表情で言った。


「それはそうとその江藤っていうクソイカれ野郎はどうなったんだ?!今も投獄されてんだろ?俺たちの手で息の根を止めれなかったのは悔しいとこだな」


ビルが眉間にしわを寄せて言った。


「あぁ、江藤なら俺がこの世の地獄といわんばかりに苦しめながら殺したから安心して」


カメリアンはにこりと微笑みながら言った。


「えっと、、」


ココはカメリアンの言葉に戸惑い言った。


「そうなのか?!でかしたぞ。お前はいつも目障りで仕方なかったけどその件に関しては感謝しなきゃだな。そんな野郎は監獄生活なんて甘やかしたらよくねぇからな。椿よくやったな」


ビルはスカッとした笑顔で言った。


「苦しめながらというところがお手柄だな。殺しても殺し足りない事をした奴だからな。死んで当然だな」


ザイドは笑顔で頷きながら言った。


「私たちの手で葬れなかったのは悔いが残るけど椿が代わりに殺ってくれただけでも十分ね」


アイシャはうんうんと納得するように頷きながら言った。


(う〜ん、、人殺しをこんなに笑って話ていいものなのかなぁ。確かに江藤って人は酷いことをしたけど何だが複雑な気持ちだわ)


ココはカメリアン達の会話を聞いて複雑な表情でそんな事を考えていた。


(れなはきっと自分達を殺した相手にさえ殺されたと聞いて複雑な気持ちなんだろうね。表情を見ればすぐにわかるね。でも、あいつは生かしておく訳にはいかなかったからね。それに本当は口にしたられなが青ざめるくらいの地獄を江藤には味あわせてなんて言えないね)


カメリアンはココの表情をじっと見ながらそんな事を考えていた。


「きっと江藤の野郎は今頃地獄めぐりでもしてんだろうな」


ビルがざまぁみろといわんばかりの表情で言った。


「それより1つ気になったんだけどよぉ、、椿は転生したってことは前世で死んだって事だろ?お前みたいな奴が死ぬのか?世界が滅亡したとしても生き残りそうなお前が?」


ビルがふと疑問に思い言った。


「確かに言われみればそうだな」


ザイドも妙に納得したように言った。


(確かにお兄ちゃんの言う通り転生したってことは椿さん死んでしまったってことになるのよね)


ココは不思議に思いながらそんな事を考えていた。


「あぁ、僕は江藤を殺した後に自分で自分の命を絶ったんだよ。れなの居ない世界に生きていても仕方ないからね」


カメリアンは満面の笑みを浮かべて言った。


「きしょ」


ビルが不快な表情で言った。


ザイドとアイシャもドン引きした表情を浮かべていた。


ココも戸惑いの表情を浮かべていた。


(自らって、、)


ココはそんな事を考えていた。


「死んだられなに会えるかなーなんて思ったんだけど本当に会えるなんて思わかなかったよ」


カメリアンは笑顔で言った。


「本当に現世でもれなに会えて最高以外何もないよ」


カメリアンは笑顔で言った。


「俺たちは最悪な気分でしかねぇけどな」


ビルが不満気に言った。


「間違いないな。現世までお前の顔を見なければいけないと思うとゾッとするな」


ザイドも不満気に言った。


「話は終わったんだしもう帰ってくれない?あんたもこの世界に転生したと知った以上あんたをココに近づけされる訳にはいかないからね」


アイシャが不満気に言った。


「え?でも、れなは皇宮で働いてるんだよ?近づけさせないとか無理じゃないの」


カメリアンは笑顔で言った。


「ご心配なく。アイシャはもう騎士団の雑用係を辞める予定だから」


アイシャがカメリアンに手でしっしとやりながら言った。


「れな、本当なの?!」


カメリアンは困った表情で言った。


「はい。"悪ハピ"の原作でのココは家の家計が厳しいのでずっと雑用係をしていましたけど今の私たち家計がまったく苦しくないどころか軌道に乗りすっかり貴族と呼べる程の暮らしができるので雑用係はやめてこのウィリアム子爵家の領地でゆっくり平和に暮らすつもりでいます」


ココは戸惑いつつも笑みを浮かべて言った。


(私の今の夢は平和で平凡に暮らすことだからね。椿さんが転生者なら尚更皇宮では働きづらいしね)


ココはそんな事を考えていた。


(龍牙達は相変わらずぬかりがないんだね。せっかくれなに会えたのにれなが僕から遠ざかるなんてありえないね)


カメリアンは目を細めながら言った。


(どうにかしてれなには皇宮で働いて僕の近くにいてくれなきゃだもんね)


カメリアンは更にそんな事を考えていた。


「ねぇ?れなは本当に辞めてもいいの?」


カメリアンが困った表情で言った。


「え?はい」


ココは頷きながら言った。


「おい!辞めるって言ってんだから口出すなよ」


ビルが不満気に言った。


「騎士団の中でピラティスができるとしても?」


カメリアンがニヤりと笑みを浮かべて言った。


「え?ピラティス、、ですか?」


ココはピラティスという単語に一瞬にして目を光らせて言った。


「おい!椿お前何言い出すんだよ」


ビルが怒り言った。


「あの、騎士団の中ででピラティスができるということですか?」


ココはそんなビルを横目に興味津々な目で言った。


(騎士団内でピラティス?!ということは騎士さん達のあの気になりすぎてた歪みを直してあげることができるってことよね?)


ココはそんな事を考えていた。


(やっぱりね。ピラティスをこよなく愛するれなならピラティスという言葉に絶対食いつくと思ったんだよね)


カメリアンはに満足気な笑みを浮かべてそんな事を考えていた。


「ココ?まさかこんなきしょキザ野郎の言葉を真に受けるわけじゃないだろう?」


ビルはココの表情を見てゾッとした表情で言った。


(あのココの目は完全にピラティスって言葉に気持ちを持っていかれてるじゃないか)


ビルは戸惑いながらそんな事を考えていた。


「そのままの意味だよ。騎士達の体のメンテナンスの一環として騎士達にピラティスを教えてあげて欲しいなって思ったんだけどやっぱりダメかなー?領地でゆっくり暮らしたいって言ってたもんね」


カメリアンは困った表情出言った。


「ココ、あいつのあの手の言葉に惑わされるなよ」


ビルが慌てて言った。


「私で良ければピラティスを教えてあげたいです」


ココは嬉しそうに微笑みながら言った。


(前世ではせっかくスタジオをオープンしたのにそのスタジオでピラティスレッスンをする事ができなかったから残念に思ってたけどこの世界でもピラティスができる機会があるならやりたいもんね。ピラティスの良さを沢山の人に伝えてあげたいし)


ココは嬉しそうにそんな事を考えていた。


「「ココ」」


ビル達3人は戸惑いながら言った。


「ココ、ピラティスならウィリアム子爵家の領地でやればいいじゃないか。な?」


ザイドが慌てて言った。


「そうよ。ピラティスなら別に騎士団の中でじゃなくても私たちが手助けすればいつでもできるわよ?」


アイシャも慌てて言った。


「実は、少し前から騎士団の騎士さん達の姿勢や動作や体幹に歪みがあるなと見てて思っていて気になっていたところなの。だから騎士さん達にピラティスを教えてそれで皆の身体が良くなり怪我なども減ると思ったら教えてあげたいなって思ったの」


ココは困り笑みを浮かべて言った。


「だから、このまま騎士団に残ってピラティスを教えてあげたらだめかなー?」


ココは切実な表情で言った。


「それは、、」


ザイドはココの切実な表情を見て困った表情で言った。


「ほら、れなもこう言ってるんだし辞めなくていいんじゃないの?あ、そんなに心配なら龍牙が騎士団に入って側でれなを見守ってたらいいんじゃない?」


カメリアンは満面の笑みで言った。


その時…


ヒュューーン…


音を立ててカメリアンの顔の横をすれすれで椅子が思い切り飛び去った。


パリーーン!!


飛んできた椅子が部屋の窓を突っ切り勢いよく割れて椅子が中庭へ飛び出した。


「ちょっと危なくない?」


カメリアンが困った表情で言った。


「おい椿。おもてー出ろや」


ビルが殺意に満ちた表情で言った。


「え?面倒臭いんだけど」


カメリアンが笑いながら言った。


「てめぇこの野郎。さっきから図々しくもココに余計な事ばっかしやがって。そもそもお前なんて地獄に落ちてるべき人間だろ?だから今からでも遅くないから地獄へ落ちろ」


ビルが殺意を向かたまま言った。


「嫌だよ。せっなくれなに会えたのに」


カメリアンは首を傾げながら淡々と言った。


「ビル、やはりこいつは地獄に行くべきだな」


ザイドも立ち上がり殺意に満ちた表情で言った。


「前世でお前がココと結婚するとぼさいた時からずっと目障りだったからな。現世でもココの前に現れやがって」


ザイドは更に言った。


(う〜ん、やっぱり龍牙達を説得するのは一筋縄ではいかないね)


カメリアンは困りつつそんな事を考えていた。


その時だった…


「殿下!何事ですか?!」


そこへ窓が割れる音を聞きつけて焦って現れたギルバートが言った。


コリシも焦った表情を浮かべていた。


「あぁ、大丈夫。何でもないよ」


カメリアンが手を振りながらギルバートへ言った。


「どう見ても何もないわけないでょう!」


ギルバートは眉間にシワを寄せて言った。


「椅子が窓ガラスを突き破ってるんですよ?!」


コリシが慌てて言った。


(これは本当に一体どういう状況なんだ?それにウィリアム子爵令嬢の隣にいるのは子爵令息と子爵夫婦か?!見たのは初めてだが何故殺気立ってるんだ?!)


ギルバートは状況が分からないままチラりとザイド達を見てそんな事を考えていた。


「おい!あいつら誰だ?!」


ビルがギルバート達を指差し言った。


「貴様!殿下に向かって何たる無礼だ」


ギルバートがビルの態度を見て怒りの表情で言った。


(しがない子爵令息ごときが皇太子であるカメリアンに何て態度なんだ。それにカメリアンも何故こんな状況だというのに平然としてるんだ?!もしや窓ガラスを割ったのはカメリアンなのか?!だから子爵達は殺気に満ちてるのか?!)


ギルバートは怒りが湧き上がる中ゾッとする思考が浮かびそんな事を考えていた。


(もしそうだとしたらこのままではまずいぞ。令嬢が雑用係を辞めてしまうんじゃないか?!クソッ。やはりカメリアンだけを入らせたのはマズかった)


ギルバートは渋い表情でそんな事を考えていた。


「お兄ちゃん、あのお二方はブラック騎士団の団長と副団長だよ」


ココが慌てて言った。


(この状況どうしたらいいの?)


ココは混乱気味にそんな事を考えていた。


「あいつらが?」


ビルがココの言葉を聞き眉間にシワを寄せながらギルバートとコリシを見て言った。


ザイドとアイシャも同じようにギルバート達を見た。


「あの、、団長、副団長お騒がせして申し訳ありません」


ココが申し訳なさそうに2人へ言った。


(はぁ。ギルバート達まで来ちゃってどんどん話がややこしくなりそうだよ。早めにどうにかしてこの状況を乗り切らなきゃだよね)


ココは困った表情でそんな事を考えていた。


「おい!何で騎士団の団長と副団長まで連れてきたんだ?」


ビルが不満気にカメリアンへ言った。


「ウィリアム子爵令息!何があったかは知らないが皇太子殿下にその様な態度をとるとは命が惜しくないのか?!」


ギルバートが怒りに満ちた表情で言った。


(たとえカメリアンが何かよからぬ事を言ったのだとしても皇太子に向かってあの口の利き方は許されることじゃない)


ギルバートはビルを睨みつけながら言った。


「殿下、この者の態度に何故何も言われないのですか?!」


ギルバート不満気に言った。


「その通りです。あまりにも無礼極まりない態度です」


コリシも不満気に言った。


(ウィリアム子爵令嬢とは似つかない程の無礼さだね)  


コリシはそんな事を考えていた。


「僕がちょっと彼の機嫌を損ねてしまったから仕方ないんだよ。それに今ちょうど彼を騎士団へ入団するように言ってたとこなんだ」


カメリアンは笑いながら言った。


(まぁ普通に考えたら龍牙の態度は処刑レベルに値するよね。ギルバート達にとってはありえない光景だろうけど僕にとってはムカつく奴だけど懐かしい感じで楽しいんだよね)


カメリアンはニャりとしながらそんな事を考えていた。


「騎士団にですか?!殿下、ブラック騎士団は簡単に入れるところではありません。貴族であろうと平民であろうと実力のある者のみしか入れないのですよ?!それなにそんな簡単に。それもこのように無礼な態度の者を入団させるなど私はお断りです」


ギルバートが更に怒りに満ちた表情で言った。


(ありえないことだ。カメリアンはいつも突拍子もないことを言うがこの件に関しては首を首を縦に振ることなどできるわけがない)


ギルバートはそんな事を考えていた。


(実力ねぇ)


カメリアンはニヤりとしながらそんな事を考えていた。


「あ、あの、一先ず皆さん落ち着いて話をしませんか?」


ココが見かねて慌てて言った。


(何だが話がどんどん進んじゃってるじゃない。お父さんとお母さんも黙って見てるだけだし。私はただピラティスを教えたいそれだけなのに)


ココは戸惑いながらそんな事を考えていた。


「ココ、大丈夫だ。すぐにかたをつけてやるからな」


ビルはココの頭を優しく撫でながら微笑み言った。


「お兄ちゃん」


ココは戸惑いながら言った。


(お兄ちゃんそういうことじゃないんだよ。穏便に済ませたいんだよ)


ココは困った表情で言った。


「ギルバート、コリシ。彼に実力があるかどうかは自分達で直接確かめてみたらどう?実力不足が不満なんなら彼に実力があれば別に入団しても構わないってことでしょ?」


カメリアンが笑顔で言った。


「それはそうですけど実力って」


ギルバートはビルをチラりと見て呆れた表情で言った。


「分かりました。殿下がそこまで言われるのでしたら我々で彼の実力を見てみましょう」


ギルバートはハッと呆れた笑みを浮かべて言った。


(相手にもならないだろうけどな)


ギルバートはそんな事を考えていた。


「私も分かりました。どちらから相手をすればよろしいですか?」


コリシが言った。


「面倒だから2人同時にも相手になればいいさ」


カメリアンが笑顔で言った。


ギルバートとコリシはカメリアンの言葉に驚いた表情を浮かべていた。


「ねぇ?それでもいいでしょ?」


カメリアンが笑顔でビルに言った。


「ああ」


ビルが頷きながら言った。


(あの冷血公爵って奴俺を見下したように笑ってやがったな。横の金魚のフン野郎も同じ様な顔をしてやがったな。あの2人は元々気に食わなかったしこの期に椿へのイライラも含めてボコボコにしてやるか)


ビルはニヤりと笑みを浮かべてそんな事を考えていた。


「ビル」


ザイドがビルの顔を見て小さく頷きながら言った。


(殺ってしまえ)


ザイドが目で訴えた。


(あの2人はココにとって邪魔だから殺ってしまいなさい)


アイシャも同じように目で訴えた。


(任せとけ)


ビルは頷きながら目で訴えた。


「お兄ちゃん」


ココが心配そうに言った。


「大丈夫だよ」


ビルは優しい表情で言った。


(お兄ちゃんが2人を殺してしまわないか心配なんだよ)


ココは不安になりながらそんな事を考えていた。


(椿さんは一体何を考えてるんだろう)


ココは不安な表情のままカメリアンを見てそんな事を考えていた。


(れな不安そうだね。でもごめんね。普段はれなが嫌がる事はしないけどれなと過ごせるチャンスを逃すわけにはいかないからこの機会を逃したくないんだ。れなが騎士団に残るにはギルバートとコリシの存在もネックだからね。ここで龍牙に行動してもらわないと2人は納得しないからね)


カメリアンはココの表情を見てそんな事を考えていた。



「ねぇウィリアム子爵令嬢の前で兄を痛めつけて大丈夫なの?」


兄を心配そうに見つめるココを見たコリシが小声でギルバートに耳打ちした。


「令嬢がショックを受けるんじゃない?それ見て雑用係を辞めたいなんて言い出さないよね?」


コリシは心配そうな表情で更に耳打ちした。


「どうせ我々の相手にもならないだろうか適当に負かせば大した怪我も負わないから大丈夫だろう」


ギルバートが平然とした表情で耳打ちした。


「それにしてもまさかこんな事になるとはね。殿下は一体何を考えているんだろうね」


コリシは困った表情で耳打ちした。


「さぁな。あいつの考えはいつだって理解し難いことばかりだ」


ギルバートは呆れた表情で耳打ちした。


「こんな理由の分からない事に付き合わせてる場合ではないしとっと済ませて皇宮へ戻ろう」


ギルバートが小声で言った。


「そうだね」


コリシが頷きながら小声で言った。


「では、剣が手から離れた時点で負けね」


カメリアンが手をパンパンと叩きながら笑顔で言った。


ビルが剣を持ち外へ出てギルバートとコリシの前に立った。


「では、始め」


カメリアンが言った。


カメリアンがそう言った瞬間ギルバートとコリシはビルを見て驚いた表情を浮かべていた。


ビルはカメリアンが言った瞬間に殺気を纏う表情が変わったのだった。


ギルバート達が驚いて一瞬固まった瞬間にビルは2人の背後へ回った。

そして思い切り剣を振り上げ降ろした。


カキーン…


間一髪でギルバートが剣でビルの剣を受け止めた。


「ぐっっっ」


ギルバートはあまりのビルの力強さに声を漏らした。


(こいつ何なんだ?さっきの殺気といいこの力といい普通の奴ではない)


ギルバートはそんな事を考えていた。


ギルバートが阻止してる隙にコリシがビルに向かって剣を振ろうとしたその時…


ビルは剣を持つ力を緩める事なく片手を離してそのまま剣を持つコリシの腕を思い切り掴んだ。


「うぐっっ」


コリシはビルのあまりの近強さに掴まれた腕の骨がきしむのを感じて表情を浮かべて声を漏らした。


そして、ビルは容赦なく更にコリシの腕を掴む力を強めながら思い切りコリシの右足を蹴り上げた。


「ぐあっっ」


その瞬間コリシはバランスを崩して持っていた剣を落としてしまった。


「コリシ」


ギルバートが慌てて言った。


「はい、1人終了」


ビルがニヤりと笑いながら言った。


「大丈夫だ」


コリシは右足を押さえながら言った。


「大袈裟な。骨折しない程度に力加減したから大丈夫だよ」


ビルはハッと呆れた笑みを浮かべて言った。


「貴様」


ギルバートがそんなビルに怒り言った。


そんなギルバートの表情に苛立ちを覚えたビルは剣を両手に持ち替えて思い切り力を込めた。


するとギルバートが押された。


その瞬間ビルは片手を再度離して離した手でギルバートの顔面を思い切り殴った。


「ぐはっっ」


ギルバートは予想外の攻撃にバランスを崩した。


しかし、すぐにバランスを立て直した。


しかし、ビルは今度はギルバートのみぞおちを思い切り殴った。


「カハッ」


ギルバートは表情を歪めて鈍い声を漏らした。


「ギルバート」


コリシが慌てて言うとギルバートに近づこうとした。


「おい、それはルール違反だろうが。剣を落とした奴は大人しくしてろよ」


ビルは座り込んでいたコリシを見下ろすように冷たい目をして言った。


コリシはビルのその目に背筋が凍るような気分になり動けなかった。


(何だ?)


コリシは動揺しながらそんな事を考えていた。


そして、ビルはみぞおちを押さえるギルバートの剣を持った腕を容赦なく蹴り上げた。


すると、ギルバートの剣が手から離れて地面へと落ちた。


「はい、そこまで」


カメリアンが状況を見て手を叩きながら言った。


「ウィリアム子爵令息の勝ちだね」


カメリアンは笑いながら言った。


「ギルバート、大丈夫か?」


コリシがすぐにギルバートに駆け寄り言った。


「あ、あぁ」


ギルバートはみぞおちを押さえたまま言った。


「弱すぎんだろ。さっきまでの余裕な表情はどこいったんだよ。自分より目下だからって見下してるからこんな様になんだよ」


ビルは冷たい表情で吐き捨てるように言った。


ビルの態度の悪さは間違いないけれどビルの言っている事が正論すぎて2人は何も言えなかった。


その時…


ココがビル達の元へ箱を持って焦った表情で走ってきた。


「ココー」


ビルが満面の笑みを浮かべて嬉しそうに言った。


しかし、ココはそんなビルをスルーしてギルバートとコリシの元へ駆け寄った。


「団長、副団長大丈夫ですか?!」


ココは心配そうな表情で言った。


「ココ?」


ビルは表情を固まらせて言った。


「お兄ちゃんやりすぎだよ」


ココは目に涙を浮かべて怒った顔で言った。


(手加減てものを知らないの?)


ココはそんな事を考えていた。


「コ、ココ」


ビルはココのそんな姿に戸惑い混乱しながら慌てて言った。


「団長、副団長。兄が申し訳ありませんでした」


ココは申し訳なそうにギルバート達に言った。



「兄が怪我を負わせていて何なのですがお二人の怪我の応急処置だけさせて頂いてもよろしいですか?」


ココは申し訳なさそうに言った。


(今のうちに応急処置をしておかなきゃ後々酷くなるのは目に見えてるもんね)


ココは心配そうにそんな事を考えていた。


「いや、別にこれくらい大した事ないので結構だ」


ギルバートは淡々と言った。


(騎士ならばこのような怪我など日常茶飯事だからな。わざわざ手当てなどする必要もない)


ギルバートはそんな事を考えていた。


(それよりもウィリアム子爵令息がしたことだというのに令嬢が申し訳なさそうに謝るとこちらとしてもどうしたらよいのか分からなくなるな。あくまで令息の実力を確かめる為の事をしたまでだというのに。まぁたかが子爵令息風情がと高をくくっていたせいでこのざまだが)


ギルバートはそんな事を考えていた。


「ギルバートの言う通り僕たちは大丈夫だから気にしないで」


コリシは困り笑みを浮かべて言った。


(令嬢が僕たちに怪我を負わせた訳じゃない上に僕らが令息の事を下に見ていたせいでこうなったっていうのにこんな心配そうにして何だが逆に申し訳なくなるね。怪我を負わせた当の本人は先程までと違い令嬢の態度に相当ショックを受けているようだしね)


コリシはそんな事を考えていた。


「ですが、本当に後々痛みが増したり腫れが増したりすると思うので今のうちに対処しておいた方がいいかと思います」


ココは戸惑いながら言った。


(2人はお兄ちゃんの馬鹿力を知らないからそんな事を言えるんだよ。いくら訓練を重ねた強い騎士だって人間なんだからいくら本気は出してないとはいえお兄ちゃんの馬鹿力を正面から食らったら後々かなり痛みや腫れが出てくるのに)


ココは困った表情でそんな事を考えていた。


「チッ。うちのココがせっかく手当てしてやるって言ってんのに断るなんて何様なんだよ」


ビルが苛立った表情をして小声で呟いた。


「お兄ちゃん」


ココがビルを睨みながら言った。


「お、俺は何も言ってないぞ」


ビルはギョッとした表情で明後日の方向を向きながら言った。


(どうしたらいいんだ。ココが怒ってる。あの顔は本当に怒ってる時の顔だ。どうにかして機嫌を直してもらわないとこのままだと口を聞いてもらえなくなるぞ)


ビルは焦った表情でそんな事を考えていた。


「ココ、一先ず彼らはゆっくり休んだ方がいいだろうから帰ってもらって俺たちは中で話をしようじゃないか。な?」


ビルは慌てて言った。


「お兄ちゃん、いつも目上の人には礼儀を忘れるなって昔から言ってたよね?団長も副団長もお兄ちゃんより目上の方達だよ?」


ココは不満気な表情で言った。


「ブラック騎士団の団長殿、副団長殿お手合わせの方ありがとうございました。そして怪我を負わせてしまい申し訳ありませんでした。しかし、お二人は立派の騎士の方ですのでその程度の怪我などものともしないとは思いますが今日のところはご帰宅ののちゆっくりお休みください」


ビルはつい先程と同じ人物だとは思えないくらい背筋を伸ばしとても丁寧に頭を下げながら言った。


「あ、ああ」


ギルバートはビルのあまりに違う態度に驚き思わず言った。


(本当につい先程まで無礼で殺気じみていた奴と同一人物なのか?!今目の前に立っているのはどこからどうみても礼儀がある振る舞いだ)


ギルバートは驚いたままそんな事を考えていた。


コリシもとても驚いていた。


ビルはそんな自分を見てと言わんばかりにココを見た。


(とりあえずはよしとくかしら)


ココはそんな事を考えつつ小さく頷いた。


そんなココを見てビルは安堵した表情を浮かべていた。


「お二人共馬のところまで歩いて行けますか?」


ココが心配そうに言った。


「問題ない」


ギルバートは淡々と言った。


「大丈夫だよ。馬にちゃんと乗って帰れるしね」


コリシは笑みを浮かべて言った。


「それならいいですが」


ココは心配そうに言った。


(一先ずは大丈夫な感じなのかなぁ)


ココはそんな事を考えていた。


「それじゃあ我々は帰ろうか」


そこへカメリアンがやってきて言った。


「僕も馬に乗って帰るからギルバートとコリシは2人で馬に乗って帰ってね」


カメリアンは笑顔で言った。


「「承知しました」」


ギルバート達が言った。


「では、我々はこれで失礼するね。突然の訪問申し訳なかったね」


カメリアンが笑顔で言った。


「いえ。お気をつけてお帰り下さい」


いつの間にかやってきたザイドが丁寧にお辞儀をして言った。


(二度とうちの敷居をまたぐなクソ野郎)


ザイドはそんな事を考えていた。


「お気をつけて」


アイシャも丁寧にお辞儀をして言った。


(気持ち悪い笑顔なんてやめてさっさとくたばりなさい)


アイシャはそんな事を考えていた。


(死ねくそ野郎)


ビルはそんな事を考えていた。


「お気をつけてお帰り下さい。それとこちらをお持ち帰り下さい」


ココは丁寧にお辞儀をして言うと小袋を手渡した。


(やっぱり大丈夫とは言っても怪我の具合が気になるから薬を椿さんから渡されればギルバート達も受け取らざるおえないだろうからね。それにしても椿さんが首の傷の件を皆にバラしてしまわないか不安だったけどバラされなくて良かった。私の嫌がる事は前世でもしなかったからさすがにバラすことはしないって思ってはいたけども。でも今回は私が闘いとかそういうの嫌いって知っててお兄ちゃん達を闘わせたから本当はちょっと椿さんに怒ってるんだよね)


ココはそんな事を考えていた。


しかし、カメリアンの目を見ることはなかった。


「ああ」


カメリアンは小袋を見て一瞬何かを考えているようだったがすぐに笑顔で言った。


そして、カメリアン達はウィリアム子爵家の屋敷を後した。


ギルバート達は怪我を負っていたが馬のスピードは落とさず皇宮へ向かった。


(それにしてもカメリアンは一体何がしたかったのだろうか)


ギルバートは馬に乗りながらそんな事を考えていた。


「何だがとんでもない1日だったね」


同乗しているコリシが言った。


「ああ」


ギルバートが頷きながら言った。


「殿下は結局何をしにウィリアム子爵の屋敷に行ったんだろうね」


コリシは疑問に思いながら言った。


「さぁな。今日改めてカメリアンが何を考えているのか分からない奴だと思い知ったよ。従兄弟だとは思えないほどにな」


ギルバートは呆れた表情で言った。


「それにウィリアム子爵の屋敷を見る限り騎士とか使用人とか全く雇っていなかったけど屋敷は財状が悪そうには見えなかったし子爵家の人達は令嬢だけではなく皆容姿が整っていたし子爵の雰囲気も何だがオーラだけで言ったら子爵程度じゃなかったし夫人も何だかオーラがあったし令息に関してはあれ素人ではないよ?逆に令嬢だけふんわりして優しい性格なのが嘘みたいだったよ」


コリシは困った表情で言った。


「確かにこれまでウィリアム子爵など気にもしていなかったが我々が知らなかっただけで思っていたよりも力がある奴らなのかもしれないな」


ギルバートは目を細めながら言った。


「それは僕も同じ事を思ったよ」


コリシは頷きながら言った。


「しかし、カメリアンは本気であの令息を騎士団に入れるつもりなんだろうか」


ギルバートが呆れた表情で言った。


「本気なんじゃないかな。さすがに殿下もあんな事は冗談では言わないだろうし彼の実力は確かだったしね。でも、どうして殿下は令息に会ったこともないのにまるで彼の実力を知ってて僕たち2人と同時に手合わせさせたように感じるんだろうね。今日殿下と令息は初対面のはずなのに」


コリシは疑問に思い言った。


「皇宮に着いたら今日の件はカメリアンから話を聞く必要がありそうだな」


ギルバートは目を細めながら言った。


「そうだね」


コリシは困った表情で言った。


そして、カメリアン達は皇宮へ到着した。


「殿下、ウィリアム子爵の屋敷での話を」


ギルバートが馬から降りるならカメリアンに駆け寄り言った。


その時…


「これ」


カメリアンがそう言うと小袋をギルバートへ投げながら言った。


「これは?」


受け取ったギルバートが疑問に思い言った。


「さっきウィリアム子爵令嬢が僕に渡した小袋だよ」


カメリアンは不満気に言った。


「令嬢が?」


ギルバートは疑問に思い言うも袋の中身を確認した。


「これは」


ギルバートが袋から中身を取り出し見て言った。


袋の中身はココが屋敷で使おうとした薬だった。


「必要ないと言ったのに余計な事を」


ギルバートは呆れた表情で言った。


「本当に律儀な令嬢だね。怪我は令嬢のせいではないのに」


コリシは困り笑みを浮かべて薬を見て言った。


「ねぇギルバート。せっかくの令嬢の気遣いにそういう言い方はないんじゃない?」


カメリアンはギルバートを冷たい目で見て言った。


(れなの気遣いに余計な事?本当にこいつのこういう所転生してきた時から生け好かないんだよね。本当にれなの善意をこういう風にしか思えないとか何様なんだろうね。もう笑顔作んのも面倒なくらい腹立つわ)


カメリアンはそんな事を考えていた。


「しかし」


ギルバートはカメリアンの表情に戸惑いつつ言った。


「まぁ余計な事とか言うなら使わなくてもいいんじゃないの」


カメリアンはすぐに笑みを浮かべて言った。


そして、ギルバート達をほっておいてカメリアンはその場から去って行った。


(後でその薬を使わなかった事をのを後悔するのはお前らだけどね。龍牙は別に本気とか出してなかったけどあいつの馬鹿力は普通じゃないからね。僕はそれを身を持って知ってるのとれなの善意を無駄にしたくなくて薬渡しのにね。本当はあんな奴に渡したくなかったけどね。ギルバート自分では気づいてないかもしれないけどれなに対しての警戒心がかなり緩い感じがして嫌な予感しかしないもんね)


カメリアンは歩きながら淡々とそんな事を考えていた。


(れなはあの頃と何も変わらず喧嘩とかが苦手で怪我をしてる人はほっとけないんだね)


カメリアンは遠い目をしてそんな事を考えていた。



僕が前世で彼女と出会ったのは僕が16歳の時でココ、、つまり"せれな"が10歳の時だった。

僕はたまたま父に連れられて我が家《朱桜組》と古くから付き合いのあった極道一家《鳳組》に出向いた時に鳳組の組長の孫にあたるせれなと出会った。

僕は極道一家の跡取りとして育ってきた為に常に冷静かつ冷酷でその感情をあえて笑顔を繕って使い分けをして生きてきた。

当たり前に極道に囲まれて育ってきたのもあり相手の打算的な感情など一瞬にして悟ることができた。

自分で言うのも何だが容姿にはかなり恵まれていたので僕が極道の跡取りだと知っていても近づく女性は後を絶えなかった。

16歳の時にはすでに後腐れない関係の相手はごまんといた。

いつも打算的や嫉妬にまみれた考えの奴らばかりだったからだろうかその日僕はせれなを見た瞬間に今まで感じたことない気持ちになった。

鳳組の組長の腕の中にいたせれなはこれまで見たことない程地味な少女だったが僕はすぐにせれながあえて地味にしているのだと気付いた。

これまで着飾る女性は嫌になるほど見てきてがその逆パターンは初めてだったし鳳組の孫娘はとても可愛がられているという話を父から聞いていたので地味な装いをさせる事で周りの輩を寄せ付けなくしているのだとすぐに理解できた。

せれなは見た目は地味な少女だが僕を不思議そうに見る瞳がとても汚れなく綺麗だった事を忘れることができなくらい鮮明に覚えている。

6歳も下でどう見ても子供だというのに直感で目の前の少女を自分のものにしたいと強く思った。

その時はただそれだけの考えだったけどある日僕が他の組の奴らと大喧嘩して怪我を負った帰りにさすがに大人数相手の喧嘩は疲れたから何も考えずに公園のベンチで寝そべってたら怪我だらけの俺を見てコソコソしてる奴、怯えて避ける奴ばかりだったけど僕はそんな事をまったく気にしてもなかったけど1人だけ僕に近づいて手当てしてくれた奴がいた。

それがれなだった。

僕がいた公園はれなの学校の帰り道だったらしく僕の姿を見てすぐに帰宅してわざわざ手当てする道具を持って公園へ来たようたった。

れなは僕の傷を見るなり泣きそうな表情で手当てをしてくれた。

僕はそれまで得のない善意などないと思っていた。

だけど、れなは違った。

人の痛みに寄り添える心の優しい何の汚れもない子なんだと思った。

れなは手当てをしながら小さな声でもう怪我をするようなことはしないで下さいと言った。

僕は適当に分かったと応えたがその返答を聞きれなは安心した様に優しく微笑んた。

僕はその笑みを見た瞬間初めて感じる胸の温かさのようなものに包み込まれた。

僕はその時にこの子の笑顔は自分が守りそしてその笑顔を永遠に隣で見てみたいと思ったんだ。


(まぁ今思えばあの瞬間にれなに恋をしたのかもね)


カメリアンは前世の昔話を思い出しふっと笑みを浮かべてそんな事を考えていた。


(それにしても今日はちょっと間違えちゃったかな。れな最後まで僕の顔を見なかったからきっと僕に怒ってたんだろうね。れなが喧嘩とか嫌いなの分かってて龍牙達の手合わせをさせて結果ギルバート達が怪我を負っちゃったからね)


カメリアンは困った表情でそんな事を考えていた。


(だけどせっなくれなと現世でも会えた事がわかった今どんな手を使っても絶対にれなを少しでも近くに置いておきたいからね。今日は多少荒業だったかもしれないけど明日にはきっとれなの機嫌も直るはずだからね)


カメリアンはニヤりと笑みを浮かべてそんな事を考えていた。


(前世で僕がどれだけれなを見てきたことか。明日になればきっと僕の大好きなれなの満面の笑みが見れるはずだよ)


カメリアンは更にそんな事を考えていた。


(れな、ごめんね。僕は少し卑怯な手を使っても現世では絶対に君を失うわけにはいからないんだ)


カメリアンはどこか切ない笑みを浮かべてそんな事を考えていたのだった…

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