異世界ヘルス ~デ○ヘル呼んだらエルフが来た~
ネットサーフィンをしていると、変なサイトを見つけた。
俺は指を止めてサイトのトップページを凝視する。
「異世界ヘルス……?」
そこには様々な種族の女の子がグラビアっぽいポーズで掲載されていた。
ようするにファンタジー的なコンセプトの風俗だ。
見た感じ美人ばかりだが、こういうのは画像加工の恩恵だったりするので過信できない。
(でも気になるなぁ……)
正直、欲求不満なのは否めない。
今日は暇だし、財布にも多少は余裕がある。
断念するだけの理由がなかった。
少し悩んだ末、俺は興味本位で電話をかけてみることにした。
数コール後に聞こえてきたのは若い女の声だった。
『お電話ありがとうございます! 異世界ヘルスです』
「あの、すみません。初めての利用なんですが……」
『女の子はお決まりでしょうか』
「えっと……エルフのエリーちゃんで」
俺は今日出勤する嬢から気になっていた娘を指名する。
電話相手は淡々と話を進めていく。
『エリーちゃんですね。コースはお決まりですか?』
「80分コースで……」
『承知しました。ご新規割があるので総額2万円となります。お金は女の子に渡してください』
「時間ってどれくらいかかりますか」
『お客様が問題なければすぐにいけますよ』
それはありがたい。
悶々としたまま過ごすのは嫌だと思っていたところだ。
俺は力強く返事をする。
「じゃあ今すぐでお願いします!」
『かしこまりました。それではお楽しみください』
電話が切れた次の瞬間、目の前に魔法陣が出現した。
そこから現れたのは、スマホを持った巫女服のエルフだった。
「え……?」
「はじめまして、エリーです。よろしくお願いします」
エルフのエリーさんは深々と礼をする。
電話で対応してくれた人と同じ声だった。
混乱する俺は流されるままに金の支払いを済ませる。
エリーさんは世間話を振ってくれたが、俺はずっと上の空だった。
(明らかに魔法で登場したよな。異世界ヘルスって……本当に異世界なのか?)
エルフたる所以である長耳も作り物感がない。
異常事態にパニック寸前の俺だったが、目の前で揺れる巨乳に思考が停止する。
そして冷静になった。
(まあ、エロいことできるなら何でもいいや)
細かいことはいいじゃないか。
美人の巨乳巫女エルフという存在の前では、すべてが些末なことである。
そんな俺の考えを見透かしたように、エリーさんは思い出したように釘を刺した。
「あっ、ちなみにうちの店はエッチなこと禁止です。ご新規さんは勘違いされやすいので先にご注意しておきますね」
「えぇっ!?」
「やっぱりそう思ってました? 代わりに癒しは提供できるのでそれで我慢してくださいね」
絶世の美女に上目遣いで見つめられたら、目を逸らしながら頷くことしかできない。
エロいことは封じられたが、心は前向きだった。
(本物っぽいエルフのお姉さんに会えたんだ。元は取れたもんだろ)
俺はエリーさんの指示で洗面所に移動し、渡された紙パンツに着替える。
その後、部屋に敷かれたマットの上でうつ伏せになった。
「まずは回復魔法で全身を整えていきますねー」
エリーさんが背中に手を添えてくる。
触れられた部位を中心に、ぼんやりと温かい光が発せられていた。
ゆっくりと身体が軽くなる感じがする。
さすがは回復魔法だ。
どう考えても超常現象だが、ファンタジーということで流しておく。
「お加減はどうですか?」
「最高です……」
「ふふ、よかったです」
全身に回復魔法をかけてもらった後、オイルマッサージが始まった。
絶妙な力加減でツボを押されて思わず声が出る。
優しい爽やかな香りも相まってだんだんと眠たくなってきた。
しかし意識を手放すのはもったいない気がするので、なんとか耐え続ける。
「良い香りでしょう? 世界樹から抽出したオイルなんですよ」
「すごいっすね……」
朦朧とする意識の中、俺はなんとか言葉を返す。
懸命に眠気を耐えているとエリーさんに肩を叩かれた。
「では仰向けになってください」
「はーい……えっ」
起き上がった俺はフリーズする。
そこには、巫女服を脱いでビキニ姿になったエリーさんがいた。
しかもオイルまみれだ。
さっきまで清楚な雰囲気だったのに、今は肉食獣のような目つきで頬を赤らめている。
エリーさんの指先が俺の腹を撫でる。
痺れるような快感。
明らかにマッサージの手つきではなかった。
俺は恐る恐る確認する。
「あの、エロいことって禁止なんじゃ……」
「禁止と言われた方が興奮するでしょ?」
「それは確かに」
「ふふっ、じゃあいただきまーす」
俺はこの店の常連になることを決意した。