切断の極意!
ユーザがバブルの診療所で寝ていた二日間の間に起こった出来事です。
「中々起きませんね……」
「……だな。」
キンノミヤとタキガワはユーザの目覚めを待っていた。
「全く……怪人を倒して自分が倒れてどうする。そして何より、ライドエンプ行きが前倒しになったせいで全然稼げなかった!ロクな事をしてくれない!」
キンノミヤはかなりイライラしていたが同時に状況も受け入れていたのですぐに収まるだろう。タキガワは今までの経験から読み取っていた。
「てゆうかぁ……オレも怒ってんだよね!」
タキガワの懐が突然暴れ出す。
「なっ何キンセツ?刃物何ですからあまり服の中では暴れないで下さい。」
「いーや暴れさせてもらいますよ?何たってオレの目的達成できてないんだから!」
「目的?」
キンノミヤが首を傾げるとさらに興奮して
「あの光る原石!チェンジャーの髪を切ってないんだよ!」
「という事で……チェンジャーさんすいません!」
「まー早く終わらせてくれよー。」
タキガワはチェンジャーに土下座する。チェンジャーはフュールラデディに行く所をバブルの調査員に引き止められバブルの市役所のフリースペースに連れて行かれた。
「とにかく髪を切ればすぐ帰すのでまぁ…そのそんなにかからないと思うので……」
チェンジャーは目的を阻害された気分になり少々機嫌が悪かった。
「まあ…勝手にしてくれー。」
「すみません。チェンジャー様はこのような状態ですが、近々散髪の機会は必要だと承知していたので助かります。」
散髪に必要な動画が取り揃えられ早速作業が始まった。まず頭洗いから始まった。
「何というか……ちょっと前はもっと酷かったですか?」
「ですね。私が言うのも何ですがチェンジャー様の体は……かなりいや、言葉に形容出来ません。これを愚痴一つ言わず洗ってくれたあの医者には感謝しかありません。」
チェンジャーの頭はまた皮脂汚れが溜まっていた。
髪の水気が取れたところで散髪が始まった。タキガワのキンセツを持つ手はガタガタと震えていた。
「緊張します……!人の髪なんて…初めて切るので……」
「大丈V!タキガワはただ持ってるだけで作業はオレ様がやるから。まっオレのオレによるオレための刃何だ・か・ら?」
(こんな変なキャラだっけか?)
キンセツはタキガワの腕を巧みに操り迷う事なくハサミを入れていく。そして十数分後……
「出来たよ。」
「これは……」
髪型に全く興味の無いチェンジャーも鏡を見て目を見張った。チェンジャーの髪の毛は腰まで届くロングヘアから横に流したマッシュヘアのような髪型に変化した。それは童顔のチェンジャーによく似合っているように見えた。
「感想は?」
「中々動きやすいしかなり実用的だなー。」
「それだけ?おいおいおいおいおいおい!ここまでやってそれだけって無いんじゃないのか!?」
キンセツはチェンジャーに突進するが武器を使うまでもなく一蹴された。
「うん、やっぱり頭が軽い。じゃクランボ、行こー!」
「ありがとうございます。チェンジャー様が戦い以外の事でここまで感情を出すのは初めてみました。それでは。」
2人はそそくさと行ってしまった。
「だってさ。」
「絶対認めない!」
キンセツはその日ずっと興奮しっぱなしだった。




