表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/20

隠れん坊将軍

キンノミヤと戦ったあの不審者です。このネーミングをたった2話の登場で腐らせてはいけません。

峰打ちでキンノミヤに敗れた彼の末路です。

「もーいーかい?」

「まーだだよー?」


「もーいーかい?」

「もーいーよ!」


「よぉし…」

子供達のかくれんぼが始まった。鬼役の子供は木々の茂み、近くの民家の裏口、岩の影、様々な体をよじらせ視線をめぐらせ探索を続ける。


「みいつけた!」

「マジか!早すぎ〜」

「オレ舐めんなよ。めっちゃこういうの得意だからさ。」

早速1人見つかったようだ。どこかの小屋に隠れていた子供は口を尖らせる。


「次は…」

鬼役の彼は幸先良いスタートを切って意気揚々だ。駆け足と忍び足を巧みに使い分け、わずかな異変を目で捉えていく。

「みいつけた!」

「わっ!もう?」

次の子供は林の中の一見、誰も気づかない凹みの中に潜んでいた女の子だ。まだ10歳にも満たない子供しか入れないある意味VIPルームだ。


「これで最後?」

「いや次で。」

「まじで早いな!」

確かにその子の見つけるスピードは早かった。人目もすぐ見つかるだろう。誰もがそう確信していた。だが

「おーい!どこいんだよー?」

「もう疲れたんだけどー?」

その子供は表れなかった。子供たちは彼これ30分近く周辺を探したがどこにもなかった。

飽きて家に帰ったのかと思って、その子の家に行ってみたがまだ帰ってきていない。


彼らは次第に怖くなってきた。

「まさか……もう死んだんじゃ…」

「な訳……ないじゃん?」

子供の思考は極端だ。誰かがそう言ってしまえば、脳で必ずそれが引っかかる。そしていずれそれが規制事実となって心を掌握する。


彼らも例外ではない。誰もが4人目の子供はもう助からないと感じた。その時、

「何してんの?」

「え?」

例の本人がキョトンとした顔でどこからか歩いてきたのだ。

「お前どこいたんだよ!」

「隠れん坊将軍が助けてくれた。」


「え?」


彼の話によるとかくれんぼが始まった直後

「おい小僧、そのような隠れ方ではいかぬ。」

「おじさんだれ?」

その男は袴姿に頭には髷を結っていた。

「隠れん坊将軍だ。小僧、灯台下暗しという言葉を知っておるか?」

その後子供は、隠れん坊将軍の助言を得て鬼役の子供の少し後ろを常に歩き、後ろを向いたら右手に隠れていたのだ。

「全然分かんなかったぜ。」

「そのカクレン何とか凄いな!!」

その後子供達はもう一回、正々堂々とかくれんぼをし始めた。


隠れん坊将軍はそれを微笑ましそうに見ていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ