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飲み込めない日常 後編

「ひぃ!ヤダッ、助けてくれぇ!」

「じゃー君の手にある武器をちょうだいよー。」

剣を顔に向けながら、チェンジャーは不敵に笑う。


「分かったよ、これやるから金輪際オレに関わるなよぉ〜!」

手に持っていた刀を渡し、逃げ去っていった。

「随分と楽だったなー。ウォータスならもっとラクにいけそうだ。それにしても」

チェンジャーは刀を舐めるように見回しながら

「これで地獄に行けるんだから不思議なモンだよねー。」

彼の言葉の意味を夜空の闇が隠していった。


翌日、今日クリゴは飲食店での仕事は休みだ。だが彼は職場に行く日よりも早起きしていた。


「今日見るのはここか……よし。」

まだ人々が寝静まっている東ウォータスの街を抜け海岸線沿いの森にやってきた。クリゴは生い茂った森の中にある一見見落としそうなくらい小さな小さな小屋の中で地図を広げる。


「さてと調査開始と行きますか。」


今日彼はここに調査をしにやってきた。怪人の。

「まだ5年か、たった5年か……」

5年前の″ジャスティス事件”以来、各国の政府は怪人対策により一層力を入れ始めた。その為に特殊な訓練を受けた人間に怪人の調査及びに排除するという仕事を請け負う怪人ハンターの制度を制定した。


「キョクアにも事情があるのかもしれないが、何というかな……」

クリゴが呟く。怪人ハンターとして働いている自分の身分に疑問を感じていたからだ。


何故怪人を退けたいのなら超常大陸を隔てる壁を作らないのか?

何故わざわざ怪人ハンターという役職を作る必要があったのか?警備隊や軍隊ではダメなのか?

そのような疑問は輿論世論問わず様々なところで噴出した。

だがある一国が一言でそのような意見を全て封じたのだ。

「この決定に異議を申し立てる国には我が国のテクノロジーを没収する。」

それによってキョクアの技術に生かされていた小国が次々と潰れてキョクアの植民地となった。


そんな衝撃的な事件を頭に浮かべながらもクリゴは怪人がいない事を確認し地図に印を付けていく。

「理不尽でも無いよりはマシだよなぁ。」

様々な不安や不満を飲み込みながら仕事に励んでいた。


だがそんな思考を破る一撃が背後に襲いかかる。

「ガァン!」


「怪人か!」

「違うよー?」

咄嗟に斬撃を受け止める。


クリゴは後ずさりしながら相手の様子を伺う。

「名前は?」

「チェンジャー。」

「……見ない顔だな。」

「ついこの間までピューサヨラルにいたからねー。」


彼を見てクリゴは判断した。

(コイツ、ダメだ。生かしちゃいけない。この悪臭にあの目は普通じゃない?何かよからぬ事を企てている。殺るしかない!)


そう言ってクリゴは手に持っていたナタをさらに上げると回し蹴りで相手に向かって蹴り飛ばす。


とてつもないスピードで放たれたナタをチェンジャーは受け止めようとする、が


「……!」

反射的に避けてしまった。槍は自身の刃の何倍も、太い大木を真っ二つにして、勢いを失いそのまま落ちる。


「なっ……化け物っめ!」

クリゴは森の木々を飛び越えながら瞬時にナタを構える。

そしてチェンジャーに切り掛かる。


その時チェンジャーは

「なるほどー。右足か。」

クリゴの右足しか見えていなかった。



元々一つの話に収めようとしていたのですが、ラストのポイスの一言でオチが着いたのでこういう形式となりました。

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