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飲み込めない日常 前編

第1話の前の話です。クリゴの過去の意外にもウォータスの日常風景について若干描きました。


おーいクリゴ、こっち運んでくれ。」

「はい。」

「クリゴ、そっち運んだらこっちも頼めないか?」

「はい喜んで!」


西ウォータスのとある飲食店。ウォータスの採れたて新鮮な海の幸をふんだんに使った海鮮料理が持ち味だ。クリゴはここの店員として働いている。

今の時間は夕暮れ時。仕事終わりの人達でごった返す。


魚料理をつまみに酒を流し込む客達の要望に臨機応変に応えながらクリゴは次々とテーブルに料理を運んでいた。


「ふぅ〜。今日いつにも増して多いっすね。」

若干注文の勢いがひと段落した所で店員の1人が呟く。

「まぁそれだけ愛されてるってことだよ。受け入れてやるしか無いさ。」

「先輩ってホントに何でも飲み込むっすよね。」

「そうか?」


「そうですよ。だってこの間怪しいヤツの言うこと全部飲み込んでただの水1万で買いそうになったじゃないすか。ウォータスで水なんてタダ同然なのに。」

「いやぁあれは確かにヤバかったな。」

「クリゴ、ポイス!注文だぞー!」

2人が笑い合っているところにまた注文の波が押し寄せる。

「はい!行くぞポイス。」

「はい。」


ポイスが料理を運んでいると酔っ払い客に突然肩を掴まれる。

「おい、オレのサケ小っちゃくねぇか?」

客が皿に指をさす。机には皿にはサケのソース焼きが載っていた。客が指差すサケはよーーーく見れば心無しか小さく見えるかなという程度だった。

(こんなのどうでもいいだろ…)


「これおかしいだろ!」

といい突然客はポイスを殴り飛ばす。

「うっ!」

突然の上、両腕に皿を抱えていたポイスは受け身が取れずそのまま倒れる。

「ふざけんじゃねぇよナメやがってよぉ!オレにはこんなもんでいいって言いたいのか!」

そして客は周りの他人にも殴り掛かり机を椅子を蹴飛ばす。かなり酔いが回って正気ではないようだ。そしてもう一発殴り掛かろうとしたその瞬間、


「お客様、これ以上は他のお客様のご迷惑となります。」

クリゴが客の腕を片手で受け止める。


「んだテメェ、ノコノコ出てきやがっ……え?」

体が突然浮き上がる。クリゴが受け止めた片手で客を持ち上げたからだ。そして地面に落とす。


「痛ってぇ……ふざけんな!」

客はクリゴ身体中に殴る蹴るを繰り返すが彼の体はその場ピクリとも動かない。客は全く動かないクリゴに畏怖を抱き始め徐々に酔いが冷めて正気になっていく。


「あっあっ……すいませんでしたぁ〜!」

ついに客は涙目で逃げ出してしまった。


「ポイス、皆さん、大丈夫でしたでしょうか!ってうん?」

クリゴは違和感を感じた。皆に引かれているような気がする。首を傾げていると


「先輩、さっきの客に対する態度が威圧感あり過ぎて皆怖いんですよ。」

耳打ちでポイスが教えてくれた。

「ああ〜そういう事。ごめんなさい!でもそういう事もありますよね。」

笑顔で答えたその瞬間、その場にいた全員が崩れ落ちる。そしてポイスが一言。


「そこ飲み込むのかよ!」




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