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暴露基地 前編

ハッピー・マテリアライズの裏口。

3人の男の子が立っていた。

「ねぇ?ホントにココで言うの?そもそも正面の入口じゃダメなの?」

1人の男の子が両手を握りもじもじも擦り合わせていた。


「間違いない!ここの所長って言われてる人がよくここから出てんだよ!」

「うわやめてって!!」

もう1人の背丈の高い男の子が彼がぶっきらぼうに告げながら背中を無理やり押す。


「でもどうかな………ここの所長、ボクら位の子供からお金を盗ろうとしたとか聞いたよ?子供だけで行くの大丈夫かな?」

落ち着いた雰囲気の男の子が冷静に語るが

「その後の話聞いてなかったのか?結局お金盗れず終わっちまったらしいぜ。3人でかかれば勝てるだろ?」

背丈の高い男の子が自信満々に語る。


そしてそうこうしている内に

「んじゃ、シャーバランはタキガワのサポートで、オレは買い物行ってくる。行ってきま………え?」

3人の男の子とキンノミヤは目を合わせる。


「依頼なら素直に正面の入口から来いよ?」

キンノミヤは子供達を所内に連れ込み話を聞くことにした。


「そのつくもがみ?ってヤツにオレ達の秘密基地がなったっぽいんだよ!」

「でも確証がないから、こうやって来たんです。」

「ちょっとショウくん!大人にはちゃんと敬語使わなきゃ!」

キンノミヤは腕を組みながら3人のやり取りを見下ろしていた。


「お前ら………秘密基地を作ってるのか?」

「あぁそうだ!」

ショウはたしなめられたにも関わらずタメ口でキンノミヤに返答する。

「オレにこうやって言ってる時点で、秘密でもなんでも無くねぇか?」


「「「え?」」」

3人は口を開けて固まる。


「……………フッ。」

キンノミヤがその様子を見て微笑すると

「おい笑ったな今!」

ショウが指を刺して指摘する。

「笑ってない。てかお前の名前はショウなのは会話の流れで分かった。他2人は?」


「ボクはエントです。」

落ち着いた様子の子供が自己紹介する。

「オレは……アツタです。」

最後の子は俯きながら名乗った。


「なるほど、左からショウにアツタに、エントか。じゃああのユーザって奴にその暴露基地の場所まで案内………あっ。」

キンノミヤはユーザの元を呼ぼうとして何かに気づく。


「どうしたんですか?」

「いや………今ユーザはそんな状況じゃねえんだったわ。」

キンノミヤは上目で天上を見上げる。


「あっ…………あっ……カライノ…………モウ…ダメ………」

ユーザはベッドの上に放心状態で仰向けに倒れ尽くしその状態で硬直しきっていた。


「我とリンとあの剣共留守番の間にこのような事があったとは………」

「そう。あの店、辛味成分を消す為にしばらく休業するってさ。」

ザッドはユーザを横目にハーズからミツハの依頼の説明を受け衝撃を受けていた。


「タキガワも髪切ってるし、オレが行くしかねぇか………でもオレ1人か〜。」

キンノミヤは部屋を一望していると

「あっシャーバラン。」


「さて買い物も済んだし、暴露基地への道を辿ろうか。」

「秘密基地って言えよ!」

キンノミヤは買い物を済ませ事務所に戻りシャーバランと共に3人について行くことにした。


「てか、オレとお前が一緒になる事なんて初めてじゃねえか?」

「言われてみれば…………」

キンノミヤの言葉にシャーバランは頷く。


「どうだ?オウガウスの件とか色々あったが、皆とは仲良くやれてるのか?」

「……………どうしていきなりそんな事を?」

シャーバランがぽっかりと口を開ける。


「いや、所長として何となく気になっただけだ。どうやらオレの事を金だけで脳を動かすと思ってる人間がいるらしいヒョッヒューッ!!小銭ぃ!!」

キンノミヤは言っているそばから金で脳味噌を動かし高速で小銭を拾い上げる。


「何やってんの……」

ショウは引き気味でキンノミヤを見る。

「やっぱり金で動くウワサはホントだったんですね…………」

エントも目を背ける。


「コレは不可抗力だ。でだ、シャーバラン話を戻そう。例えば、ユーザとか?」

キンノミヤは無理矢理話題の軌道修正を試みる。


「そうですね……」

(ここで戻ってくるのが正にシャーバランだな。)

「ユーザさんは………強いですよね。」

「え?」

キンノミヤにとって予想外な答えが返ってきた。


「いや、オレって自分で言うのも何ですけど、強いと思ってたんです。でもユーザさんを見てると………自分の強さなんて全然だなーって。」

シャーバランは自分の腕を眺めながら淡々と語る。


「え?あ?まぁ確かにな……アイツは正直物差しで測ったらいかん。別の領域の人間だ。そうじゃなくてさ、もっと性格面でよ?」

シャーバランは上を向き考える。

「性格…………あっでも性格でいうとタッキーは割とお茶目ですよね。」


「おううっ!!」

突然のタッキー呼びにキンノミヤはつまずきかける。

「タッキーて………いつの間にそんなに?」

「遊園地のフリーパスを貰ってから丸3日遊園地周辺のリゾート地に行ったんですよ。」

シャーバランは目を輝かせる。


「その時、タッキーが『事務所の枕じゃなきゃ寝れないです!!』って言い出して、テイの魔法で無理矢理寝かしつけられてたのが面白くて!!」

シャーバランは口を押さえ笑いを堪えるのに必死になりながら歩く。


「確かにアイツそういう所あるけど………待てよ!遊園地のフリーパスなんて初耳だぞ。」

キンノミヤはシャーバランの肩を掴み

「それオレやユーザも使えるのか?」

と声を潜めて尋ねる。

「多分大丈夫です。」

我に帰るシャーバランの言葉を聞いてキンノミヤは胸を撫で下ろした。


「じゃあさ、付喪神はどうだ?オレ的にあのリンの態度はいかがなものかとは思っているんだが………」

「いえ?別にリンさんの事で困った事は無いですね………」

シャーバランは首を傾げながら応える。


「そうか。」

(やはりシャーバランは出会った経緯が経緯だからな。何処か常識が通用しない………いわば無知だ。)

キンノミヤは気にせずに語るシャーバランを一瞥する。


(だがよりによってこの身体付きだ。不逞な輩に絡まれた事が無いのが不思議ではある。)

シャーバランはライドエンプでよく着られる白の薄地の長袖を着ており上に肌の露出は少なかったが、服の上からでも分かる身体付きであった。


(よりによって自転車が一番性欲を向けてるなんてウチらしいよなぁ〜。)

「キンノミヤさん!」

耳元でシャーバランが呼びかける。


「話聞いてました?」

「オレを舐めてるのか?次はマサユキの話でもする辺りだろ?」

キンノミヤの言葉にシャーバランは手を打って驚く。


「凄い、よく分かりましたね。マサユキ…………マサユキはぁほんっとに私の一番な仲間で……」

シャーバランは雅之のことを語り始めると途端に頬を赤らめ始める。


(仲間をカレと好きな方とかにすれば下手なラブコメみたいになっちまうんだよなぁ。)

キンノミヤはオウガウスの浜辺で語り合う2人を思いだす。


(確か久しぶりに目一杯小銭払えたしいい時間だったな〜)

「今度、マサユキに激辛麺料理のレシピを教えてもらうって約束したんです。スッゴイ楽しみで……エヘヘヘ……」

シャーバランの口からは惚気た笑みが溢れ出していた。


「マサユキ、か………」

キンノミヤは雅之について振り返る。

(そもそもシャーバランはマサユキが命の危機に陥った時にこの世界に来たんだよな。それより前はカミが何とか言ってる不審者と一緒だったとか………そもそも付喪神なのに料理の知識があったり、アイドルとか特定の言葉に反応したり、何故かマサユキだなんてカントの貴族みたいな名前をしてたり、アイツもただの付喪神じゃあ無いのか?アイツも大概、謎の多い事この上ないなぁ……………)


そこでキンノミヤはある事に気づく。

「おい、いつまで歩かせるんだよ?」











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