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第十話 王様登場


 石パンの改善をした後、私は他の料理の改善の為に必要となる調味料について【英知の結晶】を使用して色々と調べた。

 まずこの世界には調味料はあるにはあるが各国にバラバラに存在しているようだった。

 どの国も調理方法に余り大差はないようだ。 

 イシュガレリア王国だけじゃない事に安心すべきか悲しむべきか。

 とにかく、調味料がなければ話にならない。


 イシュガレリア王国にある調味料は多くはないが思っていたよりは存在した。

 まず基本的な調味料、塩・砂糖・胡椒。


 塩は海がある為に、他国よりは比較的で流通していて、平民でも使用出来ている。

 その分、砂糖に関しては栽培が難しい植物からの採取な為に高値で取引されていた。

 前世と似てはいるけどまるっきり同じではない植物。

 胡椒は砂糖よりもっと高級品とされている。

 こちらも栽培方法が不安定なようで安定した生産が出来ていないらしい。

 ケイムさんの商会を利用して他国から他の調味料を入手してもいいけど、その前に取り合えず基本的な調味料を何とかしないとだ。


 「…………砂糖はシイと言う低木から採取するのか………気候が安定してないと駄目だから栽培が難しいのね。しかもサトウキビと違って涼しくないと駄目だし水気の多い場所でなければならないか………条件が難しいのが高値の理由ね。胡椒はも低木なの?こっちは乾燥した地域じゃないと駄目なのか」


 どちらも繊細な低木みたいで収穫できる前に枯れたり病気になったりととにかく栽培難易度が極めて高いらしい。

 どうしたものかと【英知の結晶】に問いかければ、すぐに回答が得られた。

 豊穣の女神の加護があれば苗を強く丈夫に改良する事が出来るらしい。

 最高である。マジで最高!神様に感謝!

 更に、植物専用の薬を作れば万全との事、ならばと行動に移した。


 私のお薬ハウスに行き粉末にした魔石と森で取れた妖精の水と必要な薬草を使って植物用の回復薬を製作した。

 すぐに出来上がった薬を鑑定する。 


 【植物用強化薬(小)】【高品質】


 無事に製作出来たようだ。ほっと一安心。

 早速義父の元へと向かう。


 「おとうさまにおはなしがあるです」

 「ユフィーリアお嬢様、少々お待ちください」


 普段ならすぐに部屋の中へと入れてくれるのに中に確認向かった執事の対応に首を傾げる。

 どうやら来客中のようだ。

 ならば後からでもと出直そうとすれば呼び止められ中に入る様に言われる。

 いいのかな?

 心配しながら中に入れば王弟ともう1人知らない人がいた。


 「やあユフィ、おいで」

 「オル様!」


 王弟オルトスはソファから腰を上げると私の傍に来て抱え上げてくれた。

 何時見てもこの人も美形である。

 義父もそうだけどこの人も、とても三十代後半には見えない美形様である。


 「おしごとのおじゃましちゃったですか?」

 「そんなことはないよユフィ」


 優しく撫でられながらソファに戻ると当たり前のように王弟は私を膝に乗せたまま座った。

 とても恥ずかしいが気にしたら負けである。


 「所でユフィ、何やらお話があるそうだね?」

 「はいおとうさま…………えっと………」


 義父だけなら良いのだが思わず他に人るがいるから躊躇してしまう。

 チラっと王弟の隣の人へと視線を向ければフードを被った何やら怪しげな人。

 誰だと見ていれば豪快な笑い声がした。


 「ハハハハハ、これがフレイムグラスの隠し姫か」

 「ハァ………陛下」

 「すまんすまん、やあユフィーリア嬢、初めまして」


 陛下?え?今陛下って言った?

 そんなまさかと男へと視線を向ける。

 バサッとフードが脱げ現れたのはこれまた金髪青目のワイルド系な美形。

 ゲームで見た事がある、ヴァルアード・ル・ガレア。間違いなく国王その人だ。

 こんな大物がなんでこんな辺境地に!?と余りの事に絶句する。


 「ユフィ」

 「へ、あッ………ユ、ユフィーリア・フレイムグラスです。お、おはつにお、おめにかかります」

 「ハハハ、良い。堅苦しい挨拶は必要ない。私のこともオルと同じようにヴァルと呼んでくれ」

 「陛下……」

 「ハハハハ」


 なんか凄い人だ。

 豪快に笑う優しそうな人。

 酷い前王の王政を正し今の素晴らしいイシュガレリア王国にした名君。


 「私もユフィと呼んでいいかな?」

 「は、はいッ」

 「ユフィ、まずは王妃の事、救ってくれたこと感謝する。そして、貴重な夢でこの国の災いを回避させてくれた事も本当に感謝している。ありがとう」

 「お、おうさま!?おかおあげてくださいッ」


 一国の王が子供相手に頭を下げるなんてと慌ててそれを止める。

 義父も慌ててる。

 本来なら大勢の犠牲者が出てただろうし、復興する為にかなりの被害額が必要にもになっていたと筈だと国王は沈痛な面持ちで口にした。

 対策の方法が無いと言われた災害に対処出来た事は、例え数回であっても本当に有難かったと感謝の言葉を何度も口にした。

 だから、誤報になるかもと気に病まず予知夢を見たら必ず知らせて欲しいと改めて念を押された。


 「話が反れてしまったな、ユフィは何やらイーサンに話があるのだろ?」

 「えっと」

 「どんなお話かな?」


 相手が国王陛下なら大丈夫かと義父に視線を向ければ話をそくされたので持っていた薬を義父に見せた。


 「これは?」

 「おはなさんたちのおくすり」

 「お花?」

 「これつかったらげんきにそだつです」

 「お花とはどれのことだい?」

 「ぜんぶ」

 「え?」


 義父が固まった。

 視線を向ければ王弟も国王も固まっていた。


 「これをつかっておさとうとこしょうをつくりたいのですおとうさま」

 

 取り合えず要望を伝えてみた所で漸く義父達はハッとしたように動き出した。


 「砂糖と胡椒!?今、そう言ったかユフィ!?」

 「それを使えば丈夫に育つと!?」

 「ひぃぃぃッ!?」


 義父よりも王弟と国王が凄い勢いで目の前に迫ってきた。

 思わず怖くなり義父にしがみ付く。

 二人の剣幕に義父までドン引きしていた。


 「お、落ち着いて下さい二人共」

 「これが落ち着いてられるかイーサンッ!」

 「そうだぞッ!」

 「き、気持ちは分かったから、ちょっと落ち着いて下さい。ユフィが怯えてるでしょッ!」


 流石娘ラブな義父である。

 王弟と国王相手でも娘のことになるとハッキリと物を言う姿はとても格好良い。

 義父に言われて漸く冷静になったのか咳払いして二人は再びソファに座ると気持ちを落ち着けるようにお茶を飲んだ。動揺で手が震えてガタガタとカップを鳴らしている。大丈夫だろうか。


 「ユフィ、本当にこのお薬を使うとどれでも丈夫に育つのかい?」

 「はいです!」

 「砂糖と胡椒はとても育てるのが難しい植物だが、それが楽になると言うことかな?」

 「そうです!」

 「そのお薬はたくさん作れるのかな?」

 「つくれるです、けど………いまはわたしだけしかつくれないかもです」

 「回復薬のように製法が分かっても作れないと言うことかな?」

 「です」


 加護が関係している事は鑑定式をまだ迎えていない手前言えない。

 難しそうな顔をする大人三人。

 ソワソワしながら取り合えず大人の判断待ちをする。

 束の間の沈黙、それを破ったのは王弟だった。


 「イーサン、ユフィの作るその薬を私に貰えないか?」

 「え?」

 「これまで砂糖の栽培には力を入れてきたが思うような成果は中々得られなくて行き詰っていたのは君も知っているだろ?必ず成果を出すし、作った砂糖は優先的に君に必要数回すよう手配もするよ」

 「………ユフィ、どうかな?」

 「え?」


 まさかのそこで私に話を振ってくると思っていなかった為に驚いた。

 砂糖はとても高価な事は分かっている。

 他国から高値だと分かっていても輸入するしかない現状を改善出来れば国力も上がるだろう。

 王弟は私の傍に来て頭を下げてくる。

 だから、王族が簡単に頭を下げ過ぎなんだと慌ててそれを止めた。


 「おくすりどうぞです。そのかわりおさとうほしいです」

 「ありがとうユフィ!必ず送るよ」


 これで砂糖の目途が立って良かった。

 胡椒の方は王家の管理する領地で栽培研究しているとかでそこに薬を渡す事になった。

 視察に来て思いも寄らない収穫があったと大喜びの国王を連れて王弟は帰っていた。

 これで砂糖と胡椒は何とかなった。

 他の調味料に関してはケイムさんに頼んで仕入れて貰うついでに苗や種も頼んで見た。


 色々と食事改善に向けての奮闘は始まったばかりである。


 

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