魔境森林
僕が父さんの息子になってもう五年が経過していた。
父さんの名前はアーク・ブレイブ、息子になった僕は、
メッシュ改めメッシュ・ブレイブとなった。
父さんが僕を息子にする時、死んだ息子に似ていると言っていたけど、それについて聞いてみたけど"いつか話してやる"
と言われた。
父さんから一度母さんの墓に行くか聞かれたが、僕は行かないと言った。
理由は、力を制御出来ない状態で村に帰りたくないのと、一人前なった姿を母さんには見せてやりたい、、、
息子になった時に父さんに教えられたんだけど実は僕と母さんは血のつながった親子ではないと伝えられた。
捨てられていた僕は母さんに拾われたらしい。
それを聞いた時はすごく驚いた。
でも、僕が母さんと過ごした日々は嘘じゃない。確かに現実だった。血のつながりは無くとも僕と母さんは本当の親子だった。
まあそんなことは置いといて、
それで今はなにをしているかというと、父さんに、しごかれている最中である。
カンッ！ カンッ！
木刀同士がぶつかる音が響く。
「メッシュ！どんどん打ち込んでこい」
「おりゃー！」
カンッ！
「足がお留守だぞ」
「うわぁっ」
足に模擬剣を当てられて僕は転けてしまった。そして激痛を僕は味わった。
父さんは僕には怪眼があって丈夫な身体だからと手加減なしで模擬剣を振るってくる。
この五年間で判明したこと、それは僕の怪眼は吸血鬼なものだと言うこと。吸血鬼の能力は心臓核化、血液操術、紅血炎、僕は心臓核化によって心臓以外を損傷してもすぐに回復する。
「痛いよ！父さん」
「はっはっは！すまんな。ちょっと強くやりすぎたか」
そんなやりとりをしている内にも僕の傷は蒸気を出しながら癒えていく。
「お前の、回復力は本当に桁外れだな」
父さんは僕の傷の回復速度を見て感心している。いくらすぐ回復するからと言ってこれには少し参ってしまう。
「まあ、今日の稽古はこの辺にしておこう」
「えっなんで？」
本当ならいつもはもっと稽古をするはずなのに今日はその半分くらいしかしてない。
「今日は普段と違うことをしようと思ってな」
僕の頭の中は？である。父さんに鍛えられ始めてもう五年近く経つのだが、今日までずっと剣術の修行ばかりだった。
「今から、魔境森林に行く」
「えっ魔境森林って、あの魔境森林？」
「そうだ」
魔境森林とは、父さんが守っている国境のすぐ近くにある森のことで強い無垢の魔物がたくさんいるところだ。
僕は父さんが何をしようとしているのか余計にわからなくなった。
とりあえず父さんは転移門を開いた。父さんは空間属性の適合者で行ったことのある場所なら何処へでもすぐに行ける。それが記憶転移というスキルだ。
単独で転移するなら門は必要ないらしいが他の人も一緒に転移する時は門が必要らしい。
転移により一瞬で森まで来たが森からはすでに禍々しいオーラが出ている。
「じゃ俺は帰るぞ」
「えっ！？」
すぐさま帰ろうとする父さんをすかさず引き止める。
「ちょっと待って。どういうこと！？」
「お前にはこの五年間で剣術剣技を私の知る限り教えてきた。そろそろ実践に使って自ら技を磨いてもらうと思ってな。この森で一週間生き抜いてもらおう」
そうかもう教われるだけ教わったのか。
今度は自分から技を磨き自分の戦い方を見つけないといけないわけだ。
「知ってのとおりお前の怪眼は吸血鬼だ。吸血鬼は血液操作を使い戦う魔人。武器は血液から作れるだろう。だからこの一年間剣術をやることで最低限の戦い方と体力をつけさせてきたんだ。何事も実践あるのみそろそろ本当の戦いを知ってもらう」
確かにこの5年間基礎訓練、剣術その他諸々を父さんにしごかれたが本当の実践はやったことがなかった。
「まあ、お前なら心臓潰されない限り最悪でも死ぬことはないだろう。じゃあそういうことでまた一週間後な」
これはとてつもない修行だなとため息をつくが、自分が前に進む為だと覚悟を決めるのだった。
前の投稿から結構時間が空いてしまいました。すいません。4話目ですが少し短いです。いくつかに分けようと思うのでよろしくお願いします。面白いと思ってくれたらブックマーク、評価お願いします！
