差し伸べられた手
アーク、彼は魔境森林の近くに1人で住んでいる中年の男性。
彼はいつもどうりに過ごしていた。
「ん?なんだこの異質の魔力は」
最初彼は自身の拠点に近いカインズ村から感じたことのない悪意の魔力を感じ取った。
「記憶転移」
すぐに彼は空間属性、記憶転移を使い村の近くに転移した。
だが、距離も離れていたこともあり正確に感知出来なかったため、転移の間に気配を消されてしまった。
そのため、まずは村長に相談をと思い。村に入って、子供たちに村長が在宅かを聞き、向かおうとしたところ、同じ魔力を再び感知した、今度は距離も近いためはっきりと感知することができた。
そして、感知した場所がさっきの子供たちのうち一人、メッシュの家だったのだ。
「マリー殿、メッシュ、無事でいてくれ!」
急いで向かったアークだったが、家まで後もう少しというところで、膨大な魔力が放たれ、巨大な気配を感じた。
「うわぁぁぁー」
メッシュの叫び声がした。アークは空間収納から剣を出し鞘から抜き、戦闘体制になった。
そして家に着いた時には全てが終わった後だった。
メッシュの家は燃えていた。
アークは急いで家の中に入った。するとそこには首のない男の遺体と、黒焦げの男の遺体が転がっていた。
「なんということだ!」
その先を見るとメッシュが倒れておりその目の前にはマリーが倒れていた。
アークはすぐさま二人を抱え、家の中から脱出した。
家を出た後、アークはマリーとメッシュの脈を確認した。その時、
「アークさん、、メッシュをお願い、、、」
「くそっ、マリー殿、、、、」
マリーは、帰らぬ人となった。だが、メッシュは生きていた。
良かったと胸を撫で下ろした時、アークはメッシュからさっきの膨大な魔力と同じ物を感じた。
「どういうことだ?、、、メッシュ、一体お主に何があったのだ?」
ドン、ドン、ドン!
次の瞬間周辺から多くの爆発音が響いた。
「何ごとだ!」
アークは顔を上げ気づく、村は燃え盛り紅蓮に染まりきった様子に。
「何がどうなっている?」
アークはメッシュを抱えたまま村中を走り回るだがどこもかしこも広がるのは紅蓮に染まった光景。
家屋は燃え盛り死人から流れ出た血でいっぱいだった。もうこの村には生きている人間などいなかった。
それはほんの一瞬の出来事、先程まで子供達が走り回っていたような光景は跡形も無かった。
「先程の奴ら以外に気配は感じなかった千里眼も反応しなかったそれなのにこの一瞬の間でこの村に何が起こったんだ?」
アークはメッシュ抱き抱えたままその紅蓮に染まった村を立ち尽くしただ見ていることしかできなかった。
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「ここはどこ?」
そこは辺りは暗闇で包まれていて僕1人その場所に立っていた。僕は周りを見渡す。すると目を向けた少し先に血まみれでお母さんが倒れていた。
「メ、、、ッシュ、、」
「お母さん!」
僕は走るけど一向にお母さんとの距離は縮まらない。
「はぁはぁ、なん、、で?」
するとお母さんが徐々に消え始めた。僕は手を伸ばし叫ぶ。
「お母さん。待って行かないで!」
「メッシュ、、あなたは生きて、」
お母さんがそう言った瞬間、僕は目を覚ますそして周りを見渡す。見たことのない部屋だったので少し混乱する。
ガチャ、
部屋のドアが開く音が聞こえた。僕は、どあの方に視線を向ける。するとそこには、アークおじさんが立っていた。
「おう、目を覚ましたか!」
アークおじさんがそう言った後、僕の方へと近寄ってくる。
「ここは一体どこなの?」
率直に疑問を投げかけてみた。
「ああ、ここは俺の家だよ。」
「えっ、何で僕がアークおじさんの家に?」
「お前、気を失う前のことを覚えてないのか?」
そう言われて思い返してみた。
だんだんと思い出すうちに、自分の家であった出来事を思い出す。
「そうだ母さんは?母さんは何処?」
僕はアークおじさんに母さんのことを聞いた。
その答えは残酷なものだった。
「お主の母親マリーは、、残念だが、、」
アークおじさんはとてつもなく残念そうに言った。
嘘だと思った。でもおじさんが嘘を言っているように見えず僕は俯く。
僕の目から涙が流れ出る。
「お母さんが死んだ?」
そう言葉にした瞬間さらに涙は勢いを増す。だけど僕は必死に我慢しようとする。するとアークおじさんが僕を抱きしめてきた。
「泣きたい時は泣け、」
そう言われたら涙はもう止まらない僕は大声を漏らし泣いた。
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しばらく立って少し僕は落ち着いてきた。
「少しは落ち着いたか?」
「うん、、」
僕は涙を拭く、その時右眼に違和感を感じた。左眼を閉じると、視界は少し赤く染まる。
「なんだこれ!?」
右眼を閉じると普通の視界に戻り開くと赤く染まる。
右手で右眼を押さえる。
「それは、おそらく怪眼だ。」
「怪眼?」
「怪眼とは、魔人や魔物の力を持つ者が開眼する眼のことだ、俺の右眼も怪眼のひとつだ。怪眼は、開眼者が少ないゆえ情報が少ないが、少なくともその眼は、属性眼や魔眼の類ではないから怪眼だろう。」
そんなものがあるのかと僕は驚いた。
どうやらこの世界では5人に1人の確率で、属性の力が宿ることがあるらしい。属性は全てで10種あるらしく、どれが宿るかは先天的によって宿る場合と、突如宿る場合があるらしい。そもそも属性眼とその属性は血統によるところが大きいらしい。
そして、修練を積んだ者は属性眼の開眼に至るらしい。
怪眼とは、力を持つ魔人の遺伝子を体内に取り込み身体の変異に耐え抜くことが出来た者が手に入れられる。
だけど魔人や魔物になったわけではなくどちらかと言うと半分人、半分は魔人、魔物の中間に位置する。要するに怪眼とは魔人や魔物の力を手に入れた証みたいなものらしい。
あとは、魔眼というものがあり、魔眼は決まった一族のみが持つ特殊なものらしい。
というか何故アークおじさんはそんなことを知っているのだろう?
「なんで、アークおじさんがそんなことを知っているの?」
「ああ、昔に王国の騎士団で騎士をしていてな」
「ええっ!」
僕はまたしても驚いた。ただのおじさんだと思っていたアークおじさんが昔、騎士だったなんて考えられない。
そしてアークおじさんはさっきの話しの続きを始めた。
「だが、お前はどこで魔人の遺伝子を取り入れたのか不明だ。」
確かに僕は今まで魔物や魔人を見たことすらない。
「お前の目覚めた力は得体の知れないものだったから、村に置いておくには危ないと思ったから、俺の家に連れてきたんだ。」
そんなに僕は危険な力に目覚めてしまったのかと自分がとても怖くなってしまった。
「そこでだなメッシュ、俺の息子にならないか」
突然、アークおじさんがそんなことを言い出した。
「僕がおじさんの息子に?」
「色々と理由はある。力に目覚めたお主を野放しにはできんしそもそもお前には帰るところがもうない、、、、、それになお前の母親から頼まれたのだ」
それを聞いて僕の頭の中には母さんとの思い出が蘇る。
母さんは僕のことを最後まで気にかけてくれた。それに答える為に僕は精一杯生きよう。
「いい目になったな。決意はついたか?」
「はい、父さん」
「よし、決まりだ。今日からメッシュ、お前は俺の息子だ」
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