始まりの悲劇
学校の帰り道、今日もいつもどうりの日常が流れていくありきたりの1日を過ごしていた。
ただ、今日だけはいつもと違った。
その日、僕は帰る途中に死んだ。
横断歩道を渡っている時に暴走トラックが目の前にいるクラスメイトの女子に突っ込みそうだった。
「なっ!?、運転手は?」
運転手は苦しそうに胸を抱えていた。
心臓発作でも起こしたのか?
次の瞬間僕は、無意識に咄嗟にその子を押し出していた。
別にその子と仲が良かったわけじゃない、
だけど、何故か見捨てることは出来ず助けていた。
でもその後のことを考えていなかったんだ。
トラックのスピードは即死級なのは見てわかるほどだった。
(ああ、終わった、僕の人生、、)
死が近づいたからか走馬灯のようなものが見えた。
思い返してみれば、寂しい人生だったな。
両親を早くに亡くし父方のばあちゃんと去年まで一緒に暮らして生きがいというほどでもでもないが、ばあちゃんにいつも言われていた《いつでも人に優しく》だけはちゃんと守って生きてきた自信がある。
というか、僕自身も人に優しくするのがすきだったんだ。
でも優しすぎて学校の男子たちには散々パシリに使われたけどね。
もうトラックと衝突寸前の時、
「楓原くん!」
キィーードンッ!
トラックと衝突した僕は高く飛び地面へと叩きつけられた。
「はぁはぁ、」
身体から力がどんどん抜けて意識が遠のく誰かに名前を呼ばれた気がしたがまあ気のせいだろう。そして僕は絶命した。
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「彼の魂は、私が探し求めていた魂に相応しい。彼の魂は優しさが詰まっている、その力は強大で折れない強さだ。彼には私の使徒龍を憑依させ、地球とは違う世界に転生してもらう。彼はこの私、夜闇の女神の望む彼の意志を継ぐ英雄になれるだろう。だが使徒龍を付けた反動で前世の記憶を失い、自我に目覚めるのも遅れるだろう。そんな苦境を乗り越えて宇宙を救う英雄にならんことを願って」
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「おぎゃーおぎゃー」
雲ひとつ無い星の輝く夜空の下で1人の赤子が泣いていた。
すると偶然、1人の若い女性が通りかかった。
「なんでこんなところに赤ちゃんが!?」
女性は川に水を汲みにきたところ川のすぐ側にボロボロの馬車があり縄は切れ馬もういないようだったがそんな馬車の中に布一枚で捨てられていた。女性は赤子にとても驚いた様子で、赤子に一目散に近寄って行った。
女性は混乱しながらも赤子抱き抱えた。よく見ると髪が生えておらずまだ生まれて数日しか経っていないことがわかる。女性はこの状況にあまりにも運命的なものを感じていた。そしてこう思った、この子を育てよう。
女性は何故そう思ったのか?それは彼女の幼少期が孤児で苦しい幼少期を過ごしたからである。
孤児だった彼女はカインズ村の者に拾われマリーと名付けられ、村の皆に育てられたのだ。
そんな過去を持つ彼女はその赤子を見捨てるなど出来なかった。
マリーは泣いている赤子を抱き抱え子守唄を歌いながら村へ連れて帰った。
5年後、、
「お母さん!みんなと遊んでくるね」
元気な声でマリーにそう言った少年は5年前マリーが川の近くで拾ってきた赤子だった。
「気を付けて行ってくるのよ!」
マリーが、村の子供たちのところへ行く赤子からは大きく育った。
赤子はメッシュと名付けられ今までマリーと村の皆にたくさんの愛情を注がれて育った。メッシュの名前の由来は髪色からきている。
最初マリーがメッシュを村に連れて帰って自分が育てると言った時は村の皆に反対された。
「何を言ってるんだマリー、お前はまだ嫁にも行ってないじゃないか!」
と村長に言われ他の皆もその言葉にうなづいていた。
「でも私はこの子を育てたいの!私にはこの子を拾った責任があるの」
「それはそうだが、お前はまだ若い!わしらが代わりに育ててやることかって出来るじゃないか」
そこまで言われたマリーの目には涙が浮かんでいた。
「違うの、私はこれまで皆んなに拾われて育てられてきた、だから次は私がこの子を育ててあげる番だと思ったの!」
マリーは涙ぐみながら声を張り上げて皆にそう言った。さすがにここまで言われて駄目とは皆言わなかった。
「そうか、それだけの覚悟があるなら認めるしかあるまい。だがわしらにも手伝わせておくれよ」
そう言われてマリーは涙を拭きながら皆んなにありがとうと言った。
そして今に至る、あんなに小さかったメッシュも、もう5歳。マリーはまだ結婚していないがメッシュのおかげで幸せなまいにちを送れていた。
だが、その幸せは突然奪われる事になる。
メッシュを見送った後、マリーは今日の晩御飯の支度を始めた。そしてメッシュが出て行ってしばらく経った夕方頃、家の扉を叩く音が聞こえた。
メッシュが何か忘れ物でもしたのかなと、「どうしたの?」と言いながら扉を開けた時だった、ザク、、、、
マリーのお腹に熱い感覚と冷たいものが入ってくる感覚がした。
お腹をよく見ると誰かの手とその手に握られているナイフが目に入った。
「うう痛い」
そう言いながらマリーは膝をついた。見上げるとそこには黒いローブを羽織った堅いのいい男と細身の男が2人立っていた。
「邪魔するぜ姉ちゃん」
マリーはお腹に走る痛みでそれどころではなかった。あまりの痛みに唸っていると。
堅いのいい男がマリーを蹴飛ばした。
「邪魔するぞ女」
マリーを蹴飛ばした男はそう言いながら家に入って来た。
「何だよ、ガキが居ねえじゃねえか」
「女、ここに毛先が紅蓮の髪色のガキがいるだろう。どこにいる?」
ローブ男たちはメッシュのことを狙っているらしい。あの子が出かけている時で良かったとマリーは心から安心した。
「あの子は今はここに居ない」
「そうか、なら女もうお前に用はない死ね」
細身の男が腰から剣を抜いた。
ザクッ
マリーは剣で、胸を突き刺された。
マリーは身体から段々熱が失われていくような感覚を味わった。涙を流し、メッシュを育てきれなかったことに未練を感じていた。その時だった。
バタン!
「お母さん!ただいまー、聞いて聞いて、村にアークおじさんが来てた、、よって、え?」
人生で初めて小説を書きました。初めてなので至らない部分もあるかもしれませんがよろしくお願いします。気に入ってくれたらブックマーク、評価お願いします。