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鳥籠の鳥達  作者: キレショー&露
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エピローグ

それから……亜人を実験材料にしていた非合法の組織が解体されたと大々的にニュースになった。しばらく世間はその話題でもちきりだった。

その最中にいた当の本人達はというと……


「たっだいま~!」

制服姿でスクールバッグを担いだソウタは元気に帰宅の挨拶をする。

「こら!ソウタ!靴は脱ぎ散らかさない、って何回言ったらわかるの?」

ソウタの母はソウタを叱った。

「は~い」

ソウタはしょうがなしに靴を整えた。

「ぷぷぷ~、にーに、怒られてやんの~」

リビングにいたソウタの妹はソウタを嗤った。

「なんだよ~」

「ソウタくん、おかえりなさいまし」

「ハル!ただいま!」

妹と一緒にいたハルにソウタはとびきりの笑顔で言った。


結果として、ハルはご主人様には会えなかった。警察がハルの身元を調べて家に帰そうとした際に、ハルのご主人様は死んだとソウタ達は聞かされた。そして屋敷にはハルの母親と見られる遺体があったそうだ。死因は衰弱死。

『死んだ、って何ですの?』

ハルは『死』というものの概念をよく理解していない様だったが、ご主人様とはもう会えない、と聞かされると、わんわん泣いた。

ハルはこの先、生活保護を受けながら暮らしていく事になるだろうとレイは言った。だが、世間というものをまるで知らなかった彼女が一人で生活していけるとはソウタも思わなかった。何より、こんな状態のハルを一人にさせたくない、とソウタは思った。ソウタは、両親と妹にハルと一緒に暮らさせてくれ、と頼むと皆快く受け入れてくれた。流石はソウタの家族だ、というところだろう。

ハルは今、ソウタ達と一緒に常識を学びながらいずれ世間に出られる様、特訓している。


「今日も皆さんからいっぱいいろんな事を教えてもらいましたわ!」

「そっか~。ハルは毎日頑張ってんな!」

「あら、ソウタくんだってそうでしょう?」


ハルはソウタの家に来た当初は暗く沈んでいる事が多かったが、それもだんだんと落ち着いてきた。


「んふふ~。ねえハルちゃん」

ソウタの妹はハルに話しかけた。

「?何でしょうか?」

「ハルちゃんはにーにのお嫁さんになるの?」

「ちょっ……おまっ……!何言ってんだよ!」

ソウタは慌てた。

「ええ、そうですわ」

ハルはにっこり笑ってそう答えた。



「あ~!もう!君の所の会計士はどうなってるんだい!よくこんな管理で生活出来てたね!」

リョウはアヤノに吠えた。

「あ、あはは。節約生活もなかなか楽しかったぞ」

「そういう事言ってるんじゃないんだよ!全く……」

「な~男女~ヒマ~。何かバトれる仕事はねーのかよ~」

ナナシがつまらなそうにアヤノに声をかけた。

「そんなものは滅多にないぞ。というか仕事をしてくれ」

「こんなチマチマしたもん出来るかよ」

「仕事をしないと給料はやらぬぞ」

「チッ……。やりゃーいーんだろやりゃー」


リョウとナナシはアヤノの所属している活動団体に入った。

あの一件のアヤノの功績で活動団体は拡大の一途をたどり、皆忙しそうにしている。


「アヤノ」

「あっ、レイさん」

「次の仕事の資料を持ってきた」

「ありがとうございます」

「バトれんのか!?」

「ええ、バトれるわ」

「よっしゃあ!」

「全く……野蛮人はこれだから……」


あの一件以来、アヤノの活動団体は警察組織とも繋がりが出来た。レイは担当者として度々団体に顔を出している。


「リョウ」

「何」

レイは計算機片手にあーでもないこーでもないと格闘しているリョウに話しかけた。

「そろそろご家族に連絡したらどう?」

「……」

「貴方は立派にやっているわ」

「……考えとくよ……」

レイは静かに微笑んだ。



鳥達は、鳥籠を開け放って大きく空を羽ばたいて行った。

これにて完結です!最後までお付き合いいただきありがとうございます!

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