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鳥籠の鳥達  作者: キレショー&露
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プロローグ

この世界には人と動物の混じった『亜人』が存在する。しかし、亜人は人間からすると差別の対象。理由は亜人は人間よりも劣った存在だという思想から。国は表向きは亜人差別撲滅を掲げているが、まだまだそれは浸透していない。現にここにその象徴の様な施設が一つ……。


「君がこの度入って来た新人かね」

「はい」

「ここは主に昼鳥(ちゅうちょう)と夜鳥(やちょう)を研究材料にしている所だ。現在の被検体の数はそれぞれ三体ずつ、計六体だ。詳しい事はその紙に書いてある。目を通しておくように」

「わかりました」


新入研究員は一礼して部屋から出ると、もらった紙を見てみた。



※昼鳥と夜鳥 その特性

 共通事項は人間の体に鳥の羽が生えたもの。だが、特筆すべきはその真逆とも言える特性だろう。

昼鳥は羽が白い。日の光に強く身体も強いが、夜目が全く利かない。

夜鳥は羽が黒い。日の光に弱く身体も弱いが、夜目が抜群に利く。


※被検体について

現在の被検体は昼鳥と夜鳥それぞれ三体ずつ、計六体。ここに各個体の詳細を記録する。


No.1 不明 雄 23歳 171cm 昼鳥

名前は何度聞いても「憶えて無い」の一点張り。(ある時期までの記憶が無い様子)そこは重要では無いので放っておく。(被検体同士では「ナナシ」と呼ばれている模様)傷害、窃盗、殺人を繰り返し、逃走していた所を我が研究所が捕獲。凶暴で残虐な為注意が必要。また、実験にも協力的で無い為、実験前には痛めつけておくこと。


No.2 高畑 彩乃(タカハタ アヤノ) 雌 28歳 164cm 昼鳥

人間と亜人の平等を訴えるという非常識極まりない活動団体の元副リーダー。そこでは"亜人界のジャンヌ・ダルク"と呼ばれていた模様。我が研究所系列が活動団体を襲撃し、仲間の一人を人質に取った際、人質交換を名乗り出た為捕獲。どうやら弱いものをみると衝動的に守りたくなる様子。長寿家系出身。


No.6 林 爽太(ハヤシ ソウタ) 雄 15歳 162cm 昼鳥

亜人の比率が多い街で研究材料を探していた所、夜中に外を出歩き夜目が利かずに右往左往していた所を我が研究所が捕獲。(友達と喋っていたら遅くなってしまったとは本人談。)非常に明るく能天気な気質。現在の状態にそれほど危機を感じていない模様。実験には非協力的では無いものの、実験理解に難有り。


No.3 ハル 雌 19歳 150cm 夜鳥

生まれた時から資産家の女夜鳥コレクターに飼われていた夜鳥。資産家の死後、我が研究所が捕獲。名前は「ハル」としか無い模様。大きな鳥籠の中で大切にされてきた為か、おおよその常識というものが欠落している。また、読み書きも出来ず、勉学に対しては幼稚園児止まり。体力にも難有り。極度の人見知りと臆病さに加えて泣き虫な為、誰が相手でも怯えてしまい会話が上手く成立しない。(一部の被検体同士では会話が成立する模様)

※彼女の母親も同資産家に飼われていたが、夜鳥の中でも更に身体が弱く、又精神病を患っていた為、実験には不向きと見なし捨て置いた。


No.4 佐々木 凌(ササキ リョウ) 雄 25歳 175cm 夜鳥

※この被検体には肉体的、精神的苦痛を伴う実験をしない事。

ある日突然我が研究所に赴き肉体的、精神的苦痛を伴う実験以外なら協力すると申し出てきた。実験をさせる代わりに存分な衣食住を提供する事を提案。なぜ我が研究所の存在を知り得たのか、何もかもが不明。狡猾で計算高く、又冷静沈着で何事も自分の有利になる様に物事を進める。飄々としており、こちら側も迂闊に手が出せないのが現状。我々はその提案を飲んだ。


No.5 佐藤 麗(サトウ レイ) 雌 29歳 155cm

夜鳥

研究所の周りをたまたまうろついていた所を捕獲。感情の起伏が少なく、喋っても一言二言な為、何を考えてるのか不明。夜鳥の割には体力がある。


タイムスケジュール

9時~10時:起床

10時~15時:昼鳥実験時間

15時~16時:休憩

16時~21時:夜鳥実験時間

21時~22時:就寝

※週一回、個別実験、昼夜鳥共同実験、特別実験等のいずれかを行う。

個別実験は一匹1時間40分ずつ、昼夜鳥共同実験は通常実験の昼夜鳥実験のどちらかの時間で行う。特別実験は都度告知する。(深夜~明け方での実験もあり得る)



紙に書かれている内容を読んだ新入研究員はめんどくさそうにため息を吐いた。

「ホント亜人ってろくな奴がいねぇんだな」

彼はそう吐き捨てると自分の持ち場へと向かった。

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