成長編、後日談 後のこと、
この物語は第一章のタイトル通りの後日談です。
主人公エマたちが消えた後、何が起こったのかを記しました。
平穏な町中に突如として起こった大事件。
多くの人の誰もが記憶の中枢に留めて置くだろう離れない光景。
虚を突く様にモンスターが現れ、町を滅茶苦茶に蹂躙されては甚大な被害を与えた地獄絵図な炎の景色。
その所為で沢山の住民が行き場を失い、血が流れ、命も消え、崩壊していく光景を背景に、混乱が混乱を招く非常事態に陥ってしまった。
俺を含むセラフィーたち総勢七名もそれに巻き込まれて姿を消した。
そして俺達が消えた後の町では一体何が起きたのか、
それは、一か月前に遡る。
丁度俺達がビーム攻撃を食らい、町から消えた直後の事だ。
一人の青年が緊急通信魔道具で、ある人達に連絡をした。
して、その相手とはいったい誰か?
それは"聖騎士"だ。
聖騎士とは、町の治安を守る為に組織された超エリートの集まりであり、人々の安全と安住の地を守る為に日々巨悪と戦っている神聖で輝かしい騎士の事である。
そしてそんな聖騎士が少年の緊急報告を聞いて駆けつけてくれた。
そんな聖騎士は、町に入るや否や蔓延るモンスターをバッタバッタとあっという間に斬り倒し、人々を助け、被害を最小限に留めた上で朝日が昇る頃には片付けていた。
とんでもない強さである。
流石は聖騎士と呼ばれる事はあると納得できる程の強さを兼ね備えていた。
因みに今回来た聖騎士はそれぞれ三の軍を成していて、一軍に就き10人程度のメンバー構成となっている。
それと、聖騎士の強さわかりやすく表す為にモンスターランクで言うとA~Bランクとなっている。
しかし助けたと言っても既に見えるのは無残な姿となった町。
騒ぎが始まってから5時間後の到着だ。
周囲を見渡せば、建物の破壊された跡、焼き焦げた無機物類、散りばめられた残骸。
聖騎士たちは事の事件を収めはしたが、住民たちはそんな聖騎士たちを罵倒し、非難を浴びせた。
怒り心頭で憤慨していた。
だがそれは当たり前と言えた。
居場所を失い、職も失った者、友人や恋人が死に、行方不明になった者まで、
全然守れていなかった、駆け付けるのが遅かった。
住民たちが聖騎士にぶつけた怒りの内容は大体こんな感じだ。
周りが全く見えておらず、目の前の被害に対して怒りが爆発し、その矛先が聖騎士に向いてしまったのだ。
今の住民たちは不満や怒りを只々虚しくぶつけるだけの傀儡人形であった。
自分の意思かどうかも分からず怒る住民。
それ程までに住民たちの心は涙が溢れ出す程に一杯だったのだ。
不満が一杯だったのだ、
「ちょ、落ち着いてください皆さん!」
「うるせぇ!」
「私たちこれから何処に住めばいいのよ。何でモンスターが出てきたのよ!」
「大体来るのがおせぇんだよ聖騎士さんよ!」
ぶつければぶつける程に不満と怒りは増していき、状況は更にエスカレートする。
石を投げつけ、罵倒も投げつけ、表情が歪んでいく。
「(くそっ、一旦私達の話を聞いてもらう為には住民たちを落ち着かせねば、
でもこの状況で冷静さを保たせるのは骨が折れるぞ、
仕方ない、ここは協力を仰いでこの場の鎮静化を手伝ってもらおう。)」
銀髪のショートヘアーをした聖騎士さんは、緋色の瞳で民衆を一望しては他隊の皆に協力を申し出ようと、視線を二軍、三軍へと目配せをした。
「(手伝ってください。)」パチパチ
モールス信号の様にウインクをパチパチとリズミカルに開閉しては気持ちを伝える。
だが、無視された!
それどころか見向きもされず、適当に尻目で「此処で民衆らの心を収めてくれ」と逆にお願いされることに、
「なん・・・・だと・・・」
「隊長、どうかしたんですか?」
「へ?あ、あぁ何でもないよ。それと・・・」
隊長と呼ばれたその女は一軍率いる女聖騎士。
後光姫、メイビス・エルハウル。
メイビスは部下に優しく言葉を掛けられながらもこの場の鎮静化に力を尽くす為に部下に指示をし、収める様にと説得することに、
頑張れメイビス!
そして、そんなメイビス率いる一軍を放って二軍と三軍の隊長は、部下を引き攣れ此度の原因、モンスターの発生個所を徹底して調べる為に部下を四方に放ち、隈無く調べる様にと指示を下す。
この町に着く前に一足先に辿り着いた報告隊の一人から「この町に住んでいる住民からの意見を聴収した結果、内側からモンスターが現れたようです。」という前情報を入手していたので、行動は迅速。
これ以上被害を出さないようにする為に、少しでも目に入る情報が欲しいのだ。
全ては住民たちの身を守る為に、
了解!という言葉を置いて部下たちは散った。
そして肝心の隊長二人はというと、各々個人で調べに入った。
そして6時間後・・・
集めた情報を一斉に開示する。
「はい、という事で報告をします。何か原因の手掛かりとなる要素を見つけ出した者は?」
一人の部下が意見を求める。
すると、一人の男性が口を開いて報告する。
「全体的に何処を見ても魔物が与えた被害や崩れた建物の残骸などが散乱していましたが、その中に一つだけ、事件に関係がありそうなものがありました。それが、これです。」
部下の一人は後ろのポーチから物を取り出し、手を開いて見せてくれた。
「何だこれは?」
その中には紫色でキラキラと光る美しい結晶の様な破片があった。
砂利の様に大きさがバラバラで、よく分からない物だ。
他の隊員が一斉に疑問を浮かべて眉間に皺を寄せる。
目を眇め、表情筋を豊かに動かす者もいる。
一体何なのだろうかこれは?
「ふ~~~ん、」
聖騎士たちはこれを怪しみ、二軍と三軍で議論する。
議題はこの破片が一体何なのだろうか?と言うものだ。
そして調べた結果、
三軍の隊長が口を開く。
「触ってみる感じだと強度的にはガラスの様に繊細で脆く、少しの衝撃を加えただけで割れてしまう。だが微かにだが魔力の反応を感じるな。魔法武器の欠片か何かだと考えるならば可能性としてはあるだろうが、謎だな。」
一通り喋った後に、先程の意見と共に紫の破片を持ってきた隊員が、隊長の言葉を紡いで話を繋ぐ。
「えぇ、しかもその破片が各箇所にも散らばってたんです。」
他の隊員も便乗する。
「それは私も見ましたね。」
「ワシも見たよ。」
「僕も見ました。」
「俺様も見たぜ。やたら滅多に落ちてる所をよ、」
「ふむ、しかしそれが分かった所でどういう用途で使われたかは分からんな。元の原形が分からんのでは考察する範囲が狭められて全く用途が分からん。だがその報告を聞くに、事件と何らかの繋がりがあることは頭の片隅に入れておこう。」
その時、此処である一人の聖騎士が意見を述べる。
その隊員はだらっと垂れた前髪で目を覆い隠している黒髪の青年。
いかにも辛気臭い雰囲気を醸し出している不審感漂う聖騎士だった。
「隊長~、この破片を合わせたら一つのカプセルの様になりませんか?まるで何かを閉じ込めているような・・・空洞が出来上がった。何なんですかね~、これ。」
彼は浮遊魔法を達人級で使いこなし、破片を全て浮かせてはバラバラだった破片を全て元の場所、元の位置に着け直した!?
ア〇ンアルファー等の接着剤の類は使ってはいない。
ただ合わせただけである。
三軍の隊長と他の部下たちは感心するように見入った。
そして格段と怪しさを増す破片。
だが、何かが閉じ込められている、と言われても、それだけでモンスターと決めつけるのは早い。
仮の結論とした場合の見方なのだ。
あくまで候補の一つ。
でもしかしながら筋が通りそうな理由と不思議な説得力があるので"モンスターが閉じ込められていた"という定義の元、それからも話を進めて行った。
だが、あれから考察をしては案を出すものの、一向に煮え切らない答えばかり、
二軍の隊長はこの破片一つでは考察するにはまだまだ不十分要素だと言って、ここは一回住民たちを鎮静化しているであろう一軍率いるエルメスの待つ場所へと一旦合流することにした。
そしてエルメスの元へと戻ってきた途端民衆が、待っていました。と言わんばかりの面持ちで調査結果の内容を聞いてきた。
なので二軍の隊長、ハウタスが代表として答えた。
だが民衆の反応はというと、
「そんなこと言って本当は遅れて守れなかった自分たちに言い訳してるだけなんじゃないか?」
「そんな事は断じて無い!我々はこの町を隈無く巡回しては精査した。精密に調査した。そして分かったのは何者かがモンスターを密かに放ったという事実である。あくまでその可能性がある。この事件が何者かの故意だった可能性があるのだ。」
「そんなこと信じられるか!警備のミス何だろ、いつの間にかモンスターが入り込んでいたとかの理由だろ!警備が甘いんだ!」
「ならば問いましょう。あなた達は一体どの方向から逃げて来ましたか?」
赤髪をしたロングの生真面目そうな聖騎士が割って入り、発言をした。
彼の名前はヴァーロン・アナハイム。
第三軍の隊長である。
「は?何でそんな事、」
「必要な事ですので、」
「俺は居酒屋から外に、ってホントに意味あるのかよこんな問いに、」
「ありますよ。」
「ここに居る人たちも最初はあなたと同じように過ごしていた。だけど、モンスターが現れてからはどうです?
皆は外側へ向かって逃げたはず。
報告隊の調査結果で確認済みです。
仮に警備の人達があなたの言う通りに誤って通過させたとしたならば、普通は内側に向かって逃げるはずですが、それを踏まえた上であなたは警備のミスと仰りました。
だがその発言こそがミスです!
先程も言いましたが、突如として現れたモンスターは"外"ではなく"内"から侵入したので、必然的に外壁側を目指さなくてはならない。
であるからこそ、これは警備のミスでもなんでもない。
自分たちに命の危機が訪れたからって好き勝手に警備の者に罪を擦り付けるのは戴けないですね。
それで、次に言いたい事がある者は発言を、」
男は完全に論破されて黙り、他の者も口籠る。
正論だからこそ何も言えないのだ。
そして聖騎士は一通り目ぼしいものが無くなるまで調査した結果、一旦本部へと戻る為に隊を整え、隣町・ドラウンを出て行ったのだった。
残された住民はそんな聖騎士たちの後姿を眺めつつ、静かに転導性を働かせて町側へと視点を切り替えながら心にぽっかりと開いた虚無感を携え、この事件を永久にコピーした。
だが絶望するにはまだ早い。
思わぬ事態に甚大な被害を受けてしまった町については各国、各地方から募金という形で資金を集め、聖騎士本部からも援助金を提供し、一刻も早く町の復興の悲願を願って力を注ぐつもりの様だ。
予定では一年もあれば元通りになる計算だ。
だからこそ、町の住民たちが住める所が無くなるなんて事は無い。
だがそれまでは、聖騎士達の慈悲による恩恵で提供された仮拠点で住むことになった。
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そして聖騎士は本部へと帰還した。
早速見たもの聞いたものを報告する。
するとトップに立つ者たちはこの事件を重く受け止め、これからの対策や強化などに力を注ぐよう命令を下すと同時に各世界にこの緊急事件について報道された。
瞬く間に知られていく事件の内容。
その中には町の被害、残された人々、モンスターへの恐怖と敵意、ありとあらゆる念を向けて拡散されて行った。
その中には俺達も当然含まれている。
だからこそ、一週間経っても帰ってこない俺を心配している者たちは大慌てでこの報道に飛びついた。
そして知った。
知ってしまったのだ。
「う、嘘だろエマ。冗談だと言ってくれ・・・」
ルイが驚愕を露にした声色で呟く。
残りの孤児院メンバーも周りに屯して新聞を覗き込むように群がる。
ルイが見た注目したページ。
それは被害割合。
この緊急事件で被害を被った人たちの割合を予想して叩きだした答えだ。
その数は、
死亡者数・・・3割。
行方不明者数・・・2割。
重傷者数・・・4割。
傷無しで生き延びた数・・・1割。
帰ってこないという事はそう言う事だ。
言うまでもない。
皆は心どこかでこの事件の事を知った時悟っていた。
もしかしたら・・・と。
そして現実になってしまった。
孤児院の皆は静かに瞼を閉じ、涙を含んで泣いた。
俺は孤児院組の中では死亡者扱いにされたらしい。
ホントは生きてるけどね!!
ピンピンしてますよ!!
そして、この誰も予想する事の出来なかった事件を皆は、突如として町中に現れたモンスターによる被害と騒ぎという事で、後に"モンスター騒動事件"と呼ばれるようになった。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
面白かった、続きが読みたいと思った人は評価をお願いします。
これからもよろしくお願いします。




