第41話 本当の元凶
「あっ、ルーファス。」
「エマか、探したぞ。急に飛び出して行って、」
「いや~ごめんごめん。」
前で丸まっているカーチェを前方に横道からルーファスが部下を連れて出て来た。
偶然の出会いだ
そして出会いがしらに二人で軽く言葉を交わす。
「ルーファスは今何やってるの?」
俺が理由を聞くと、一般エルフの安全地帯への誘導と避難を行っていたらしい。
そして元凶の捜索。
これだけ大規模な炎が里を焼いているのだ。
モンスターが必ず何処かに潜んでいるはず、
そう思っての行動なのだろう。
正しい判断だと思う。
早く見つかって欲しいものだ。
「なるほど、」
「それと前で蹲ってるのって長様だよな・・・・」
「うん・・・」
カーチェに近寄り、ルーファスは声を掛けようとした。
しかし、涙を零しながらカーチェが小さい声で何かを呟いている。
「すまぬすまぬすまぬすまぬすまぬすまぬすまぬすまぬワシの所為で、みんな、みんな・・・・ワシが悪いんじゃ、全てワシが、元凶なんじゃ・・・殺すならワシだけにしてくれ。もう同胞たちに辛い思いはして欲しくないんじゃ・・・・」ぼそぼそ
カーチェは何かに怯えるように恐怖しながら言葉を発している。
全身から汗を吹き出し、涙も流し、顔色悪く自虐している。
一体何があったんだ?
確かに今の里の現状を考えるに悲惨な姿になってしまったのは事実だが、里の長たる者、この程度の事で怯える肝はしていないはずだ。
なのにカーチェはこんなにもメンタルが弱いエルフだったのか?
いや、違う。
今のカーチェの怯えを見るに被害にあっているからと言ってここまでの言動は出来ない。
ならばもっと別の理由が有るのか?
それに自虐しているところを見ると普通じゃない。
何がカーチェをそこまで怯えさせるんだ?
その要因は何だ?
そんな非常事態に陥いり蹲って自虐しているカーチェの傍へと駆け寄るルーファスは、恐る恐る声を掛けた。
するとカーチェは先程までぼそぼそ声で喋っていた口を閉じ、静かに俺達の方を見る。
「・・・・・長様。なんて顔してるんですか、」
その顔はなにかに溺れた顔とでもいうのだろうか、
兎に角、カーチェは自分を取り戻した。
そしてルーファスの顔を見るや否や再び泣きっ面になりそうな表情の歪みがあり、縋りつくようにカーチェはいきなり語り出した。
その内容は2年前の事件についてだった。
しかし、ルーファスは乗り越えた。
俺と戦った事により乗り越えた。
だから、今頃その事件の事を棚に上げて来ても仕方ないだろうと思った。
だが違った。
カーチェが話したことはそうではなかった。
では何を話したのか?
それは・・・自白。
自分が犯した大罪。
あの2年前の騒動の原因が自分自身である事実だ。
その話は確か、俺が初めてこのエルフの樹海に迷い込んでからカーチェと話し、密談した内容であった。
そうか、言うのか。
とうとうこの場面で、カーチェさん・・・
心配になりながらも俺は黙って見守る。
俺の思っていたシチュエーションでは無いにしろ、彼女は自らの意思で語ろうとしているのだ。
此処で止めるのは野暮だろう。
ルーファスとこの場にいる同胞たち全員は、カーチェの話した内容をしっかりと聞いた。
そして仰天した。
その話は懺悔だ。
骨身に応えるような衝動的な発現に放心状態。
言葉も出ない真意だ。
陰鬱な雰囲気の中から出て来た藪から発言に衝撃を隠せない表情と仕草が部下たちの何名から漏れ出ていることが確認できた。
シーンとした空気の中、炎のメラメラ音だけが聞こえる。
この現場にいた俺は感慨深く見ている。
ルーファスが口を開く。
「そうだったんですか・・・あの騒動事件の原因はあなたがトリガーだったんですね・・・」
低いトーンで物悲しげな声色で喋るルーファス。
他の皆は、固く信じ、決して疑うことの無かった清らかで真っ直ぐな心がその発言一回限りで罅が入り、積み重ねてきた信条が崩壊していく兆しが見えていた。
思えば、友人であった者や自分の子供、他にも奪われたものが確かにあり、その原因を作ったのがまさかまさかの長様だという事実を未だに受け止められない者もいる。
その事実こそ疑っている者も、
だが、奪われたものを思えばそれが例え虚実だったとしても簡単に失望してしまうインパクトをこの場にいる数千名のエルフに与えてしまった。
誰かが小さく呟いた一言が連鎖していき、軽い非難を浴びる。
決して遊びや冗談ではない。
戯言ではない。
悪戯ではない。
虐めでもない。
マジだ。
カーチェは今までの懸念材料であった本音を明言した。
包み隠すことなく明かした。
この本音を心の奥深くに閉じ込めていたカーチェの気分は知らず知らずして罪悪感に蝕まれて行ったのだろう。
見ず知らずの俺にこの真実を話してくれたもの普段笑って誤魔化している自分自身の重荷を軽くする行為だったのかもしれない。
しかし、爆発した。
暴発してしまった。
この辺りは推測だが、里が焼かれる姿を見て直ぐに過去と現在を丈夫な糸で結び付けて連想したのだろう。
だからこそ、目も当てられない地獄に成り果てた里を見ない様にと下を向いて蹲っていた。
2年間溜め込んできた感情が溢れ出し、目から涙が止まらないでいる。
胸が苦しく締め付けられ、感情の抑え方も知らないカーチェは慙愧する。
抜け殻の様になってしまった力なきカーチェにルーファスが話しかける。
「ずっと隠してたんですか、一人で・・・・失望しましたよ。長様。」
ルーファスは皆の意見を代弁したかのようなセリフを吐く。
対するカーチェは当然な反応だと腹を括った。
身から出た錆とはまさにこの事。
今まで黙って来た報いがここで来るのかと、
殴られる行為の1回や20回は覚悟した。
全身に力を入れる。
「さぁ、殴れ!こんな不甲斐なくて情けないワシを殴ってくれ・・・全ての元凶はワシなんじゃ、ワシがあんな人間を里に入れなかったら今頃お主もそして周りも何もかも奪われずに済んだのに、すまぬ!!」
「長様・・・そんな事は知りません!!!そして殴りません!!」
「・・・・・・・え?」
その一言で張りつめていた緊張と空気が一気に解けた。
一同予想外の発言に動揺している。
非難も止んだ。
「長々と説教を垂れるのは嫌いです。」
「・・・・・・」
「俺の知っている長様は、人の話などどこ吹く風で自由奔放。独りよがりでおまけにマイペースで遠慮を知らない性格。
だがその反面みんなの前では気丈に振舞って毅然とした態度で矢面に立っていたのに、
自分の感じた事や思ったことを今まで素直に伝えてくれて、余計なストレスを留め込まない方だったのに・・・。
だからこそ失望しました。
そんなに押し潰されるほど苦しい悩みを抱えていたことを何で今まで話してくれなかったんですか!」
いつも愉快で笑いの絶えないカーチェの表情が露骨に恐縮してまごまご発言をする。
「それは、えっと・・・・・・えっと、えっとその・・・」
煮え切らない発言をそのままに、ルーファスは別の話題へと縺れ込む。
ルーファスは決意を迫った。
戦う決意を、
このエルフの樹海の一長としての戦う決意を、
そして何故里が燃えているのかを問う。
「言い訳や本音はこの戦いの後で幾らでも聞いてやる。なんやかんや言っても長様は俺が幼少期からの長い付き合い。だから今は何が起きたのか、その起因を教えてくれ、カーチェ。」
カーチェの心にはまだハッキリと禁じ得ない悲しい感情が込み上がっているのだが、彼女はこの里の長。
どれだけ悲しい事があっても、非難を浴びようともこの里に住む40,000人以上いる同胞たちの為に、全てを一心に受け止める義務がある。
だからこそ、一肌も二肌も脱がなければならない辛い立場にある。
それを理解し、ルーファスの思いに答えるようにしてカーチェは立つ。
重い足と体を持ち上げるようにして、
過去と同じ過ちの景色を表現させないようにする為には泣いている場合ではない。
大切なのは辛い現実に直面した時に立ち上がって現実と戦う覚悟だ。
カーチェに残された選択肢は一択のみ、
突き付けられたリアルを超える選択のみ、
零れ落ちる涙を右腕で拭う。
そして雀の涙程度の気概と信条を心に残し、潤む目で俺達を見て経緯を話した。
何故このような事態になってしまったのかを、
それは数時間前の事・・・
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同胞たちの勝利を願い、一人自室にて祈っているカーチェ。
するとズドン!!と豪快な衝撃が襲ってきた。
「なんじゃ!?」
カーチェは外へ出る。
すると、二回り程デカいワイバーンに乗った一人の人間の女性が高笑いしながら俯瞰していた。
肘まですっぽりと覆える程の銀の籠手を両腕に着け、重そうな赤い鎧を着ている黒髪の短髪女。
赤い瞳をしているその目からは愉悦感漂う雰囲気が感じられる。
そんな彼女は、ワイバーンを操っているのか火球のブレスを行使させた。
何発も降り注ぐ炎の球が里を火達磨状態にする。
「や、止めぬか!お主!!」
叫ぶカーチェ。
殆どのエルフ達は外から雪崩れ込んでくるモンスターの対処に当たっている。
防衛組もバチバチに激しい迎撃戦を繰り広げている頃だろう。
里に残っている戦闘エルフは僅かである。
なので残りのエルフ達であの人物&ワイバーンを撃破するしか道はない。
何処からともなく現れた戦闘エルフ達はそれぞれの攻撃で敵を討つべく迅速に行動する。
だが、十秒もしない内に全滅。
火球やら女の魔法によりすぐさまリタイアである。
「な~に、この程度か?はっはっは!森の狩人か戦士だか知らないけど弱すぎるぞ。いや、私が強すぎるのかな?まぁどっちでもいいか。とにかく今は、」
「一瞬で・・・」
それを見たカーチェは「こうなったらワシが直々に伸すしかないようじゃのぉ~」と言い、里の存亡の為に今、長が立ち上がった!!
そんなカーチェは未だに高笑いをして俯瞰している楽しそうな人間の女に訳を問うべく、一発速い弾道魔法を飛ばして強制的に振り向かせる。
女はその攻撃に気付き、軽く躱す。
そしてカーチェの存在に気付いたようだ。
「おい、そこの人間の女子や、どうしてこんなことを、」
「ん?こんなこと?あぁ、ワイバーンの操縦テストよ。
ワイバーンを操るために長い時間を費やしただけあったわ~、この破壊力と殲滅力が私の物になったんですもの。
それまでは全く言う事を聞かない只の暴君で、周りの生態系にまで影響を及ぼしちゃったのは誤算だったけど今はこうして気分良好よ。」
彼女はあっさりと自分のやった事をゲロった。
わざわざ詳細な説明なんざ要らなくとも元凶だと分かる内容だったのだ。
「そうか、まさかの発言で驚愕しておるワシじゃが、そうかお主が・・・お主がワイバーンを活性化させ周りの生態系にまで悪影響を及ぼした元凶か。ならば、覚悟は勿論出来ているんじゃろうな?」
「覚悟?なにそれ?」
「もちろんお主が天に召される覚悟じゃ!!」
こうして里中の戦いは始まった。
カーチェVS???&ワイバーンである。
里の皆は今も炎から逃げる為に素早く移動中。
そしてまだ死人が出ていない。
奇跡的に、
だが、しっかりと周りを見れば、この里の最終兵器の一つである"全方位魔力遮断バリア・魔乱消邪"が跡形も無く壊れていた。
これ以上障害となる物を放置するわけには行かない。
これ以上里の中を荒らされるわけには行かない。
ならば、奪われる前に元凶を叩く!
「覚悟なんてそんな立派なもの掲げて生きてないのよね私!」
女はワイバーンに命令を下してカーチェに火球を三発程放つ。
しかしカーチェは魔法で跳ね返し、そのまま追加攻撃でワイバーン諸共討つ覚悟で上級魔法を使った。
【氷伸大蛇狩り】
氷の大蛇が姿を現し、不規則な動きでワイバーンの懐へ潜り込んでいく。
そして凍結死させる気なのだろう。
周りの気温は絶対零度のマイナスに割り振っており、近くにいるだけで凍る獰猛蛇。
「良いね良いね!!さっきまでの雑魚エルフ共とはわけが違う!」
【炎帝エングラム】
紅炎を象った環がフリスピーみたく旋回しながら飛んでくる。
チャクラムみたいな攻撃だ。
そして両者の攻撃は里のど真ん中で弾け、衝撃波と轟音を撒き散らす。
激しい高低差のある周波数が起伏して動揺する程の大轟音。
カーチェは周りに一般エルフ達がいない事を事前に把握しており、意図的に強い魔法を放った。
これだけの事を出来るとはさすがは長であると思い知らされる。
「お前良いな。名前は、」
「カーチェじゃ、」
「そうかカーチェな。覚えた。私はネイバー。ネイバー・クイル。よろしく、」
軽い自己紹介を空中で交わしながら再び戦闘へと移行する。
互いに一歩も引かない攻防戦を繰り広げて魔法を何発も衝突させる。
その度に爆風が辺りを襲ってあらゆるものを吹き飛ばす。
カーチェはネイバーと名乗る女性の攻撃を浮遊を活かしながら素早く翻して逆さまのまま魔法を行使する。
しかしネイバーも戦い慣れた動きで躱し、ワイバーンに命令して火球の息吹を放たせる。
「そんなもんは効かん!」
「これを食らっても同じことが言えるか?」
ネイバーは腰に備えている剣を抜刀し、天へと掲げてオーラを纏わせる。
そしてワイバーンをカーチェへとぶつける勢いで斬りかかってきた。
「闘気を纏わせて斬りかかってくるか、」
「はああああああああ!!」
ワイバーンの飛膜に魔力を纏わせ、さらに滑空スピードを上げて行き、ネイバーの剣に纏う闘気は更に力強さを増して膨張する。
「これで終わりだ!!」
「甘いわ、」
三重魔法陣を展開して相手の連帯攻撃を簡単に受け止める。
そこから流れる動作で追加攻撃をする。
魔法陣自体から魔力の圧縮ビームを放ったのだ。
そのビームは火、雷、風の三つの属性を合わせた複合ビーム。
「くっ!」
間一髪のところでネイバーは防御することに成功した。
だが焼け焦げた跡が鎧に付着し、煙を焚き上げている。
「色々と話を聞きたいからな、捉えさせてもらうぞ。【氷魔拘牢】」
「嫌だね。【炎熱帯化・満膨張紅気】
ネイバーの周りを常に取り囲んでいる大気を凍える牢獄へと変える為、大気中に漂う水分が凝固していくのに対して【炎熱帯化・満膨張紅気】の影響により、周囲の気温を膨張する炎熱帯に置き換え、熱が上昇していく。
即ち、熱と凍結の魔法が温度を中和して、何もない空気中から滝の様な水分を放出する。
すると、戦闘中にも関わらずネイバーがカーチェに話しかける。
このままでは埒が明かないと踏んだからの会話だろうか?
「そういえば今頃になって思い出した事が一つあるんだけど、過去に異種の実験台が必要とか言ってこの樹海に私たちの仲間が潜入していた時があったわね。」
「何の話をしておる、実験台?仲間・・・・・・」
胸糞悪いセリフを耳に入れながら、カーチェは心の中で微かに引っ掛かるモノを感じ取った。
違和感、気遣わしさ、腑に落ちない点、懸念、何かがカーチェの心の奥深くに猛烈なアタックをして自己主張して来る嫌な感じが精神をまさぐって来る。
「一体なんじゃ、この心がざわつく違和感は、」
「あいつの名前何だったかな~、私記憶力無いから細かい所までは覚えられないんだけど・・・まぁいっか!」
「(なんじゃ、なんじゃ、落ち着かなぬ。何か一番重要な事を忘れているかのような、心の内側で迸るような何かが表に出て来ようとするかのような不安がある。)」
カーチェはそれからも頭を悩ませながら考える。
そして「まさか・・・」という確信の元、恐る恐る質問する。
違和感の正体に気付いたのだ。
「それはいつの話じゃ?」
「2年前。」
ネイバーは続けて喋る。
「でもね、その中で私たちにとってラッキーな事が起こったんだ~。何だと思う?」
「ワシに聞かれて知るわけないじゃろ。」
大事な皆の拠り所である里を焼け野原の様にしてくれた所為で怒りの感情が沸々と熱湯風呂の様に湧き上がってくるカーチェ。
だが、この言葉を聞いた瞬間怒りの感情を翻して自責の鎖に囚われる。
「だよね。で、話を戻すと~どうやら知らずして手引きしてくれた間抜けなエルフがいたんだって。あいつから聞いた情報だけどね、ホント馬鹿よね。敵をまんまと陣地に入れるなんてさ、」
「・・・・・・・・・」
カーチェは心の奥深くにしまっている感情の片鱗を見せた。
「あれ?その表情もしかして悲しんでる?
なんで?・・・・・あぁ~なるほど。
もしかしてあなたが私のお仲間を招いてくれた張本人?
こんな事ってあるんだ!いや~ずっとお礼の一言でも言ってあげたかったんだよね~。
ありがとう!!!
お陰で実験は次のステージに行けそうだよ。」
長は浮遊魔法を解除して地に降りる。
そして、その言葉を聞くと力なく倒れ込む。
全身に力が入らない。
「・・・はぁ、つまんない。もういい、結構楽しめたよカーチェ。さようなら、」
途端に興味が無くなり、ネイバーはそんな長を殺そうとワイバーンに指示して火球息吹で止めを刺しに来た。
しかし、その魔法は天から降り注ぐ一筋の光により、火球息吹がカーチェに当たる寸前で消えた。
爆炎が舞う。
そしてその中から出てきたのは一人の美しい女性だ。
「何してるんですかカーチェさん。そんな所で膝ついてたら汚れちゃうんだぞ☆」
「・・・・・・」
「ふぅん~~~~~~」
元気をなくしたカーチェに対して陽気な感じで喋ってくるのは銀のティアラを被った金髪ロングエルフ。
杖を背に複数背負っている個性的なエルフ。
「リーガルか、」
そのエルフの名は、リーガル・ウイルター。
この里のNO.3だ。
彼女がネイバーの攻撃を防いだのだ。
「なに?あんた?なんなのよ。」
「・・・・・・」
リーガルは喋る事も無く無言で転移魔法を行使した。
するとリーガルとネイバーが一瞬にして消えた。
ここまでが、俺達のいなかった時に起きた出来事。
衝撃的な出来事だ。
魔力の反応からするにカーチェは、東側方面でリーガルVSネイバー&ワイバーンが戦闘をしているのだと言う。
「この里のNO.3・・・リーガル・ウイルター。あの時逆さまで寝ていたエルフ。あのへんなエルフですか!?」
「変なエルフ??」
「あっ、何でもないです。」
「とにかく長様、長様はこの里の為に力を尽くしてください。さっきも言いましたが、話したい事があるのなら、懺悔をしたいというのならばまずは現状を何とかしてからでしょう。
今の長様は正直情けなさすぎて見るに堪えません。
しっかりしてください。俺も・・・変わりましたので、」
地面に惨めに蹲る、ルーファスも通た登竜門。
だからこそ、この言葉はルーファスなりの励ましの言葉。
不器用な所があるルーファスだが、決してカーチェを責めはしなかった。
ただ、この戦いを止めたいだけなのだ。
「ルーファス・・・」
過去を振り返らないといつぞやで宣言したルーファスは、キリッとした眼差しをこの場にいる同胞たちに向けて一言「力を貸してくれ」と言った。
フラストレーションを感じる者も中には入る。
幾らNO.4であり「緑の大地」率いる隊長であるルーファスでも今まで真実を黙っていた長を簡単に許すことは出来ない。
しかし、今は非常事態。
みんなが力を合わせて一丸にならなければこの戦を乗り越えることは不可能。
なので一刻も早く終止符を打つために東側に向かう。
この戦いを引き起こした元凶であるネイバー・クイルと名乗る人間の女を倒し、この地に再び平和を取り戻す為、ルーファスは立ち上がる!!
そしてそんなルーファスに追随して俺も、
「俺も行く。俺も行くよルーファス。」
「エマ・・・駄目だ。これは我がエルフ族の問題。部外者が無理に首を突っ込むべきではない。」
「い~~や、もう突っ込んでるね。この戦いに無理に参加させたのはカーチェさんだが、俺は最後まで自分の心に従ってこの戦いを勝利に導いてあげたいの。だから俺も連れてってルーファス。」
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ルーファスは暫く考えた。
俺の熱意に心打たれたのだろうか?
そして結果は、
「分かった。だが覚悟しておけ。危なくなっても俺はお前を助けてやることは出来なくなるかもしれん。それでも行くのか、」
「うん!」
俺は力強く頷いた。
そしてルーファスもコクリと一回頷き、同胞たちに指示を下した。
これより始まるは、里の命運を左右する最終決戦!
この戦いに参加するのは、俺とルーファス。
そしてもう既に現場で戦っているであろうリーガル・ウイルター。
この三名。
同胞たちは、まだ納得できていない所がある、って顔をしているが、里を助けたいのは皆同じ。
だからこの場にいる数千人のエルフの残りカスみたいな魔力を集め、一回限りの転移魔法を発動した。
俺達二人を軸とした転移魔法だ。
いざ、元凶がいる地へ!
エルフの樹海、最後の戦いだ!!
ここまで読んでくれてありがとうございます。
面白かった、続きが読みたいと思った人は評価をお願いします。
これからもよろしくお願いします。




