第1話 どうやら転生したようです。
改変したので読みやすくなっているかと、
〔目標の個体名を確認しました。が、まだその時ではない模様。引き続き世界の観測者として〇〇を続行します。全ては運命の流れるままに、〕
小鳥の囀りが窓の外から聞こえてくる。
ぴよぴよ
「ん~~」
ぴよぴよぴよ
「ん~~~なんだ?」
ぴよぴよぴよぴよぴよぴよ
「まだ、出勤時間ではないはず・・・・」ZZZ
ぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよ
「あああああ!起きればいいんだろ!」バサッ
・・・・・・あれ?ここ何処?
小鳥のウザい囀りで目が覚め、パッと瞼を開くとそこには!見知らぬ世界が俺の視界いっぱいに広がっていた。
俺は全体を見渡す。
すると、所々に穴とか傷跡が残り、物が散らかっている。
全体的に古さを感じさせる古風な場所でログハウスみたいな内装をしている。
だが、見知らぬ景色に若干の放心状態はあったものの、俺は特に気にも留めず、
「まあ、いいか。とりあえず朝食作ってご飯食べよう。」
マイペースな気分でいつも通りの手順をこなそうと体を動かす。
まだ寝ぼけて夢と現実の分別が付いてないのだ。
縫い目が所々にある薄汚れた白いベットから体を下ろし、右足を出して古材の床に付ける。
だが、いつもなら容易く右足が付くところなんだが、なぜか付かない。
足の長さが足りていなかったのだ。
なので、俺は思わずバランスを崩した体勢で床に足を着けた。
「うわっ!とっとっとっと」( ゜Д゜)
危なげに片足をケンケンで進ませては何とか両の足で支えて立つ。
すると、ここでようやく目が覚めて現実に戻される。
「え?何だ、体に何か違和感が・・・・・・へ?俺、こんなに目線が低かったっけ?俺の身長はもっとデカくて目線も大分高かったような気がするんだけど。この目線だと大体、130cm位か?」
ナニコレ、ドウナッテンノ???
「おっと、そこに鏡があるじゃん。」
鏡の大きさは丁度目線の高さ的に俺の身体がスポッと綺麗に入るくらいの大きさだ。
これが夢でないというなら、
俺は右側にあったボロイ長方形のデカい鏡の前に立った。
鏡に罅が入って思いっきり割れている箇所があるが、自分の姿を映すには差し支えない程度だったので、全体の容姿を見てみた。
すると、俺の前に白髪で濃い紫色の目、幼い顔立ちをした少年が鏡に映し出された。
手袋を着け、全身温かそうな恰好をしている。
「え~~と、どなたですか?」
俺は鏡に映る少年に向かって話しかける。
だが少年は俺の言葉に反応する素ぶりを見せない。
何だこいつ、ちょっとくらい反応しても良いではないか。
や~ね、最近の若者は。
挨拶の一つも返してくれないどころか反応もしてくれないんだから。
学校で散々言われてきた自分が言うのもただ虚しくなるだけだけど。
・・・・・これ完全にブーメランじゃん。
暫く俺と少年は互いに見つめ合い続けると、あることに気付いた。
同じ動作をするのだ。
手を上げれば少年も手を上げる。
足を開けば少年も足を開く。
何だこれ?
困惑しているところはあるが、俺は目の前の状況に対して考えてみる。
「もしかして、これって・・・・・・」
俺は、ふと思った事があるので更に体の動きを追加して色々試してみた。
〇リコのポーズを取ってみたり、両手をピースの形にして手前側に突き出して見たりと、頭の中で考えうる全ての動きを取ってみた。
その数は多岐にわたる。
「ふむふむ、なるほどなるほど。ってなんじゃこりゃあああああ!どうなってるんだよ!?これ、俺じゃん!?死んだはずだろう!もしかして夢か?これは夢の世界なのか!?」
鏡に映っているのが自分自身だと気付き、俺は目の前の意味の分からない光景に思わず驚愕する。
顔中を両手でペタペタ触りながら表情筋をこねくり回す。
さらには鏡を二度見ては右往左往に動き、正常な脳の働きが出来ずに混乱して慌てふためく。
「何だよこの姿は!?誰だ!!」
暫くこんな状態が数十分という長い間続いた。
「ふぅ、」
俺は一旦心を冷静に保つために軽く息を吐く。
すると不意に俺の耳にダッダッダッ!という音が聞こえてきた。
床を力強く走ってくる音だ。
以外にもドスが効いた音である。
「今度は何だ!?音の方向と大きさを聞くにこっちに向かってないか?」
背筋をビクつかせながら反応する。
鼓動音が早くなり、心拍が上がる。
全くなんだよ、こんな意味の分からない状況になってから驚かされてばかりだ。
そもそも、あの後俺が本当に死んだかどうかも怪しいからな。
いや、まさか!?
ここは天国なのか!?
バダン!!!!
「うあっ!」( ゜Д゜)!?
「エマ!」
不意に扉の奥から出てきたのは、金髪でボブヘアーの髪型をした可愛らしい小柄な少女。
ルビーの様に紅に染まる瞳と厚みのあるボロボロの服を着ているのが特徴的だ。
人が真剣に悩んでいる時に驚かせやがって、、、
それにしても金髪って、大学でイキッている陽キャとか、普段大人しい子が大学デビューした途端、派手な髪色にして目立とうと必死に頑張っている時くらいしか見ないよ。
俺がそんな風に少女の髪色に触れて脳内で一人会話している時、少女が話しかけてきた。
「エマ、シスターから伝言。孤児院の庭に来なかったら今日一日ご飯抜きだって。」
エマ?シスター?孤児院?
待て待て待て!
一気に情報を持ち込むな!
で、何。エマって誰?
大体"孤児院"って、なら俺も含めて此処にいる人たちは皆捨て子か何かなのか?それにシスターなんて宗教絡みか、ファンタジーな世界でしか俺あんまり聞いたことないけど。
どゆこと(^-^)
誰か説明を求む。マジで、
いきなりの情報過多により頭が混乱している俺は、情報を整理する為、金髪ちゃんに話し掛けようと第一声を発する。
「えっと、おんn、」
「???」
いやいやいや、まてまて落ち着け。
第一声が、「えっと、女。ここは何処だ?」じゃ駄目だろ。
この体になった以上彼女にとっては毎日会うクラスメイトみたいな感じなのだろう。
だが俺は違う!
良く分からない状況で、良く分からない展開になり、良く分からない要素と自分の立ち位置、分からんことだらけだ。
兎に角、一旦今の状況までのことを自分なりに整理しよう。
仮設でいいんだ。
それから分からない事をさり気な~~く彼女に聞けばいい。
よし、それで行こう。
俺は過去を振り返る
俺はあの時、赤い鉄骨に頭をぶつけて死んだ。
100%確実に死んだ。
そして次に目を覚ましたら見知らぬ天井、見知らぬ場所、なぜか縮んでいる俺の身体。
鏡を見たら白髪の少年がそこには立っており、俺と同じ動作をする。
更に、金髪の少女が口にした"エマ"という人物。
孤児院。
シスター。
此処までの情報を踏まえてまとめると、
今この場にある全てのものは紛れもない現実で、鏡に映っている白髪の少年は同じ動作をすることから俺自身。
であるならば、エマというのは俺の事で間違いない。
孤児院やシスターという単語が出るという事は考えるまでもなくそういう施設なのだろう。
うむ、仮説という割には結構良い線行ってるよね。
絶対にそうだよね。
そういうことだよね。
どういうことだよ・・・・・。
まあ、とにかくこれが現実なのはよくわかった。
試しに自分の頬を抓ってみたけど痛かったから。
夢じゃないのは確かなこと。
「はぁ、現実か~~~、」
「エマ!」
「うおっ!なんですか?」
「どうしたの、なんか今日のエマ変だよ?」
「あ、あ~~そうかな。」ヘヘッ
やっべ、あまり変な行動したら怪しまれる。
だからと言ってこの体の持ち主がどういう性格だったのか分からないから演技しようがないんだけど。
でもここまで来たらやるしかない。
現状をもっと確かなものにするために!
「エマ、今日こそは嫌々でも絶対庭に連れて行くからね。」
「へ?・・お、おう。」
「ほら行くよ!」
突如として俺は、名前も知らない金髪の少女に手をギュッと握られて、少女が出てきた扉を通過して廊下を進む。
すると、この孤児院は相当古い施設なのか、歩いている時にギー、ギーと軋む音が鳴り響いて来てこの建物の古さを感じさせられる。
さらに、壁の隙間からそよ風がビュービューと吹いてきて寒い。
マジで寒い。
少女がこの孤児院の玄関らしきドアノブに手を掛けて扉を開ける。
するとそこには真っ白に染まった美しい雪景色が一面に広がっていた。
のだが、
【六芒星の超爆発】!!
と言う声が遠くから聞こえ、俺の目の前で地面が揺れる程の大振動と共に大爆発を起こした!!!
黒煙が天へと立ち上り、爆風が襲ってくる。
「う゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!」
爆発後には、常軌を逸する程の窪みが完成しており、その光景は俺の目を驚愕と言う名の奈落へと突き落とす驚きがあった。
俺は唖然とする。
しかし、そんな現場を真正面で受け止めたのにも関わらず、金髪の少女はピクリとも動じない。
雪の中をズカズカと進んでいく。まるで何事も無かったの如く。
しかし俺は、
いやいやいや、何あれ?大爆発が起きたんだけど!?!?!?
なのに何で金髪ちゃんはそんな何事もなかったかのように前へ行っているの?
この子怖いよ!!
激しく動揺していた。
俺の中ではもう意味が分からな過ぎて驚天動地だよ・・・
それから本当に何事も起こらなかった、という態度と精神で爆発地点辺りへと歩を進める。
するとそこには、一人の御年輩の女性が腕を組みながら立っていた。
「シスター!」
「おや、あんたが来たってことは今度こそ来たんだね。」
「はい!」
え?俺?
なんかシスターがすごい怖い形相で俺の事を凝視しているんだけど。
今から俺殺されるの?
金髪ちゃんに連れてこられた俺は修道服に身を包むシスターとご対面し、出会いがしらに鋭い目でガン見された。
この体の元の持ち主はホントに何をやったらこんな事になるのだ。
「えっと、」
「ああああああ、それ以上は聞きたくないね。あんたに一言喋らすとめんどくさいからね。今日という今日はみっちりその怠惰な性格を鍛え直してやるから覚悟しな!」
「え?あ、はい。」
どうやら俺は転生したようです。
~場所・???~
「どうやら上手く転生出来たようですね。」
「えぇ、これで逆らえるかしらね。〇〇〇はどう思う?」
「・・・・・まだ何とも、」
「まぁいいわ。とにかく私はあなたをずっと見守っているわよ。役割を果たしてくれるその時まで、」
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