第18話 親睦を深めよう!自己紹介!!②
「ところで、自己紹介の続きはどうしたのかにゃ?」
「そ、そうだった。では次の方どうぞ、」
名前を決めるのにどれだけ時間かけてんだよ!
俺もすっかりその気になって本気で名前決めちゃったじゃん。
肩の力をストン、と落として気を取り直す。
名前決めるだけでこんなに疲れるとは、予想外だ・・・。
えぇ~と、次の子はこの中で一番背丈が小さい子供。
その小ささは20cm位の大きさで完全に小人だ。
俺に言わせてみれば可愛いのだが、獣の子が歯ぎしりをしながら睨み付けて来る。
やはり喧嘩とかしていたからか気が合わないのかな。
生理的に、
「とうとうオイラの番か。オイラは、アート・ナーヤってんだ。種族は見ての通り小人族。得意な事は周りのものに手を触れて大きさを変える事。出身は"巨小の山"という所で此処から結構離れた所にある。よろしくな。」
その小さい体を大きく見せようと角丸の頭の上に乗る。
両腕を組んでは胡坐をかきながら自己紹介をした。
ふむ、巨小の山ね。
皆の自己紹介を聞いていると知らない名前がどんどん出てくるな。
「巨小の山ってどういう所なんだ。」
角丸がアートに質問する。
「あぁ、巨小の山はな、色々な物の大きさや生物の大きさが異様なまでに極端な山だ。俺はそこに住んでいたんだが、何せあそこは危険な山でな。滅多に人間や他の種族が入ることが出来ないように規制されている所でもあるんだ。」
角丸は額に皺を寄せて顰める。
「何故って、顔しているな。それはな、弱肉強食が一番激しい所だからだ。食って食われての関係でしか結ばれていない変な所さ。ま、オイラはそんな所で生きて来たんだが、そこの獣女にはとてもじゃないが耐えられない生活環境だろうぜ、」
何でこいつは獣人に喧嘩を売るような真似をするんだ。
そんなことを言うと釣られて乗っかってくるだろ。
「なっ!ふん、余裕だにゃ!たかが大きさが変わっている山如き、このニャーヤちゃんの敵じゃないにゃ。自慢じゃにゃいが私も山育ちだにゃ。毎日毎日凶悪な動物狩りをしていたからそんな大きさ程度変ったところで屁でもにゃいにゃ。」
分かり切っていた結果と言うか、当然だろうというお決まりな展開で食いついてきたのはやはり獣の子だ。
この場合はどっちもどっちなんだろうけどな、
「どうせそんな態度取れるのは口だけだろ獣女。」
「五月蠅いにゃ!このチビ!!!」
またか。
何故、この二人は互いに互いを煽るような発言をするのか、
喧嘩をしていたら一向に話が進まないのでここは強引に口封じという強硬手段に出る。
【ロックハンド】を発動して口を塞いだ。
これで口は開けないはず、
俺の方を見て何か訴えているようだが、すまんな。
お前らが喧嘩するとホントに話が進まないので勘弁してほしい。
そして、争うのはやめろ。
空気が悪くなる。
だからなるべく喧嘩はご法度っていうことでOK?
俺は一回咳き込み進行方向を元の路線へと戻す。
お次の子は二対の翼を背中に生やした女の子だ。
このアホ毛が目立つ子は下水道で共闘した鳥の子である。
「えっと、ウイの名前はウイだよ。ウイ・ホルン。ウイはね、鳥人間っていう種族なんだけど、飛ぶのが大好きなのよ。出身地は"ハステッド王国"だよ。ここはね、良い所なんだよ。種族の差別なしで遠慮なく住めるし気楽で楽しくてー、住みやすいよ。皆も来るの~~。」
喋り方がアホの子だな。
完全に脳内お花畑って感じの鳥公だ。
でも、種族の差なんて関係ない所ね~、いいね。
俺もいつかはハステッド王国?だっけ。
言ってみたいな。
種族の差なんてないって言っていたから人間は勿論のこと、亜人などの異種族なんかが楽しく共生しているのかな?
何か一気に異世界感が出て来たな。
いいねいいね。行ってみたい!!
今から想像するとドキドキが止まらないな。
ワクワク気分が止まらない溢れんばかりの妄想力を発揮して、次の自己紹介へと移行する。
次に選ばれたのは、この中で一番性格的に不安な子だ。
美しい金髪のロングヘアーを後ろで結んでは何かと喋り方が世話しない気弱な性格の女の子。
彼女には悪いが俺から見た印象としては如何にもって感じの陰キャぶり。
外見はこの中で一番美人なんだけどな。
「はい、わ、私の番ですね。私は・・・スン・アレイヤと言います・・・。しゅ、種族はエルフです。と、とと、得意な事は、ありません。出身は、"エルフの樹海"という所です。も、ももももも文字通りエルフが沢山居る場所・・・・です。よ、よ、よろしくお願いします。」
ふむ、やはりエルフは実在するのか。
あの王道の中の王道種族、異世界には絶対に必要不可欠な種族、エルフ!!!
素晴らしいですね。
これほど胸が躍るような気持ちになったのはいつ以来だろ。
やはり、良いものですな~~~。
異世界。こうなって来たら文化の違いにはまだ慣れてはいないが、転生してよかったって思う所は結構あったかな。
異能な力や種族、町並み、その他諸々だ。
よし、なら次は、
俺は指をパチーン!と鳴らして【ロックハンド】を解除する。
すると、獣の子の口元を抑えていた【ロックハンド】が解除された途端、大きな声で喋り出した。
「いきなり何するにゃ!人が喋っている時に魔法を使っちゃダメだってかーちゃんに習わなかったのかにゃ!お陰で喋りたい事が全然言えなかったのにゃ。特にこのチビには私の言う事をしっかりと耳をかっぽじって聞いてもらわなければまた煽りに来て馬鹿にされるのにゃ。だから、ここで言わせてもらうにゃ。」
「(あの、その前に自己紹介を。)」
「にゃ、自己紹介にゃ・・・」
獣人の子は不服と言いたげな表情をしながら仕方なく自己紹介をした。
ネコの獣だ。
「私はニャーヤ・トリニティっていうにゃ。種族は獣人。猫人間にゃ。得意な事は木登りと、臭いを嗅ぎ分けること。後は、こいつみたいな生意気な奴を分からせてやる事にゃ。出身はそこの鳥人間と同じハステッド王国にゃ。よろしくにゃ。」
「もごもごもごもごも!!!!」
アートが文句の一つでも言いたいのか口をもごもごしてる。
だからと言って、【ロックハンド】を解除したらしたでまた争いごとが始まるような気がするし、このままでもいいかな。
アートには悪いがもうちょっとそのままで居てくれ。
我慢しろ。
それからニャーヤにもちょっとだけ注意を促しておく必要があるようだ
このまま何も言わなかったらま~た喧嘩し出すから、
ホントに困った奴らよ、
「ニャーヤよ。一々アートに突っかかるのは止せ。何か精神的に疲れる。それと、次暴れたら胴体を【ロックハンド】で掴んで、そのままパイルバンカーの刑な。自重してくれよ。」
「は?何でにゃ。嫌にゃ。」
こいつ、
「もごもごもごもごもごもご!!!!!!!」
うっほっ!!怖っ!
めっちゃ怒ってるじゃんアートさん。
落ち着けよ。
と、こんな戯れをしている間にどうやら俺の順番が回ってきたようだ。
「(では最後にエマさんですね。)」
あ、そっか。俺まだ自己紹介してなかったっけ。
すっかり他の事に気を取られていたからか忘れていたな。
いつの間にか自分の番が回ってきた事に対して少し戸惑いながらも自己紹介を始める。
「えっと、エマです。種族は見ての通り人間。出身はこの町からちょっと歩いたはずれにあるボロボロの孤児院で楽しく暮らしています。得意な事は今のところ特に無いです。よろしく。」
そもそも最初の流れから得意な事とか言わなきゃいけに空気になっているけど、別に言わなくても良かったよな。
ハウスダストが舞うボロボロの使われていない倉庫の中で皆が自己紹介をし終える。
それからと言うもの、各々が互いに好きな事を喋ったり、趣味や夢なんかを語り出して会話を盛り上げていった。
若干二名ほど諍い沙汰を匂わせる空気があったが、それなりに楽しいひと時であったと俺は思う。
それから日が沈み夜になる。
倉庫の中から僅かに指す光が閉じて闇の世界へと誘われる。
外の世界はすっかり暗くなって街灯などが付く。
俺達は倉庫の中で火の魔法を使い、明かりを灯す。
「もう夜か・・・、時間は経つのが早いな。」
「(そうですね。ですが夜の時間帯こそ奴らが動く時でもあります。)」
ここからが本番という分けか。
まだ追手が来ていたらの話だが、
「この辺りは街灯が無いから完全なる闇にゃ。光なんて無いにゃ。」
「獣女の目ならこの暗闇でも見えるだろ。」
「当然にゃ。獣人だから当たり前にゃ。」
「ウイも見えるよ。」
皆最初の時と比べて大分打ち解けてきたな。
これも自己紹介タイムを設けたからかな。
しかし、なぜだろう。
胸のあたりに不安要素というか、胸がつかえる。
完全に忘れていることがあるような気がする。
何だっけか。
すごい大切な問題だった気がするんだけど。
ただいま思い出し中・・・
「・・・あっ!アルフィー!!!」
俺は当初の目的から完全に道を大きく踏み外している事にようやく気付き、アルフィー探しを完全に忘却してしまっていた。
これは後でシスター達からお仕置きタイムか?????
俺の人生終わった・・・・・・・・・・。
~まとめ~
名前、セラフィー
種族、希少種、(人間と精霊の稀子)
出身、サイレーンの世界樹
得意な事、魔力の扱い方と探知。
・希少種である彼女の魔力探知範囲は広大で逃げ場がない。
その範囲は1Kmにも及ぶ。
あと魔力量もこの中で随一かもしれない。
そんな彼女だが、可愛い性格をしている。
甘いものが好きで小学生みたいに好奇心を全開にして色々と不思議に思ったことを探求する癖がある。
その時の目はクリスと同じ匂いがする。
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名前、ニャーヤ・トリニティ
種族、獣人・猫人
出身、ハステッド王国
得意な事、木登り、臭いを嗅ぎ分けること、生意気な奴を分からせる事(物理)
・問題児の一人である猫人。
アートを敵対視しており対抗心を燃やしている。
収まる事を知らない彼女の精神は度し難く、一度暴れたら角丸に制止させられる。
あと基本的に呑気な性格なので誰かが面倒を見ておかないと厄介ごとを巻き起こす原因になる危険な火種。
アート嫌い。
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名前、アート・ナーヤ
種族、小人族
出身、巨小の山
得意な事、手に触れたものを対象に大きさを変えること。
・大きさを変える力は魔法か能力か?
どちらにせよ、彼の持つ力はこの中にいる誰よりも強力な力だと言えるだろう。
あとニャーヤとは喧嘩をする仲。
ニャーヤ嫌い。
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名前、スン・アレイヤ
種族、エルフ
出身、エルフの樹海
得意な事、なし。
・煮え滾らない性格をしている気高く美人なエルフ。
歯切れが悪い。
その性格の所為で"エルフの樹海"では虐められていた過去もアリ!?
しかし顔立ちはこの中で美人である。
彼女には自分の意思で力強く生きて欲しいところだ。
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名前、ウイ・ホルン
種族、獣人・鳥人間
出身、ハステッド王国
得意な事、空を飛ぶこと。
・背中に生えた二対の翼で空を飛ぶことに快感と幸福を覚え、誰よりも自由に羽ばたく。
そして基本的に阿呆である。
特に何も考えないで本能的に行動する鳥公。
つまりは鳥頭。
本人は鳥頭じゃないと否定しているが、客観的に見ても鳥頭だ。
これ以上馬鹿にならない様に祈っておこう。
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名前、角丸(仮)
種族、鬼
出身、荒霧天王山の無限地帯
得意な事、戦闘。
・その類まれなる種族故の筋力にものを言わせた格闘は、全種族の中で非常に恐れられている要因の一つ。
しかし、角丸は性格的に努力家で真面目である。
他人の事を思い、常に信条と信念を胸に刻んで規律やルールを重んじる。
こんな性格になったのは生い立ちが関係している。
此処に来るまで一体どんな生活をしていたのか?
ここまで読んでくれてありがとうございます。
面白かった、続きが読みたいと思った人は評価をお願いします。
これからもよろしくお願いします。