死にたがり
「はぁー18年生きて、僕は何の役にも立てていない。生きていても死んでも。きっとそれは変わらないんだろうな。今もそうだ。考えるだけで行動しない。そんななら、いっそのこと死んでしまった方が楽になれるんじゃないか……」
「にゃあー」
なぁ、目の前の猫さん。勝手に公園をテリトリーにして、毎日悠々自適に過ごしている君はどう思う? なんて。訊いても分からないよね。だって猫だもん。
気ままに暮らせて良いよなぁ。僕も生まれ変わったら猫になりたい。
どんな姿をしていても、どんなに不器用でも、飼い猫なら勝ち組だ。人間だと、働く力が無くては飢え死ぬし、才能が無ければ見向きもされない。不細工だと生まれながらにハンディキャップを背負うことになる。不条理だ。
バイトの帰りにこんなことを思うのは、疲れているからなのか病気だからなのか分からない。学校でもボッチだし、バイト先でもやらかすし、最近悪夢も観るし、本当に死にたい。
「にゃん」
「あぁ、横断歩道に出たら轢かれちゃうよ」
赤信号。迫るトラック。このまま突っ込めば僕の人生は終わる。でもちょっと待ってよ。僕なにか悪いことした? いやまて、良いこともしたのかな……。ははは、記憶にないや。分からないまま終わるのはちょっとやだなー。
なんて思っていたら、トラックが過ぎ去ってしまった。
「にゃん」
目の前の猫に(意気地なしー)って言われた気がして。ちょっと腹が立った。猫に笑われて人生終わってたまるか。うん、バカバカしい。
こうなったら、誰よりも長く生きてやる。目指せ長寿!
「にゃあん」
「ばいばい猫さん」
お前は帰る場所に帰れ。僕も帰る場所に帰る。決意したと同時に、スマホの音がした。お母さんからだ。今日はカレーらしい。僕の好物だ。一応健康にも気を遣って、
≪冷凍ホウレンソウも入れておいて!≫
と連絡をしておいた。お母さんのカレーが楽しみだ。早く帰ろう。




