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お金が無ければ命で払えば良いじゃない

スキル説明欄が表示される。


♦︎♢ ♦︎♢ ♦︎♢ ♦︎♢ ♦︎♢ ♦︎♢ ♦︎♢ ♦︎♢ ♦︎♢ ♦︎♢ ♦︎♢ ♦︎♢


スキル名:【購入】

能力 : 世界に存在する全ての魔法やマジックアイテム、食材、生活用品を購入可能。

但し魔法に関しては使用者のレベルにより威力が変化する。


・・・〔重要事項〕・・・

下記に記された説明を良く読み、理解した上で御使用ください。


①購入した魔法は魔力を必要とせず使用可能です。

②魔力の代わりに貨幣を使用します。

③素材等で支払う事はできません。

④購入した、魔法やスキルは他人に譲渡不可

⑤購入した物は、使用回数を使い切るまで購入済みリスト内に記載されます。

⑥スキル内に貨幣を預け入れしておく事でいつでもリスク無くご利用可能です。

⑦預け入れが無い場合“お借入”として購入可能です。

⑧預け入れが足りない場合、差額を“お借入”として購入可能です。

⑨お借入が生じている場合、右手に数字で返済期限日数が表示されます。返済猶予は7日間です。

⑩手の数字が“0”になってから24時間後に強制徴収致します。残り24時間を切った場合、視界左上にタイムリミットを赤字で表示致します。


【返済関する項目】

①購入後キャンセルはできません。

②返済方法はスキルを使用して”返済“と念じてください。回収用魔法陣をお出しします。チャージも同様にできますのでご活用ください。


③お借入状態から7日経過した場合、使用者の”命“でお支払い頂きます。

④お借入れ状態から再度スキルを使用したとしても購入は可能です。その場合は元あったお借入れ金額に加算されます。返済期日は最初にお借入いただいた瞬間より一度完済するまでカウントダウンが続きます。追加でお借入をしたとしても日数はリセットされません。


⑤お借入れ状態の場合利息が発生します。利息は1日3割とし、発生した利息分は元本として組み入れされます。

例) 10000リーンのお借入れの場合。

お借入したまま24時間経過。

3割の利息が加算され、残金13000リーンとなります。以下の表をご参考下さい。


元本    10000リーン


24時間後 13000リーン

48時間後 16900リーン

72時間後 21970リーン

96時間後 28561リーン

120時間後 37129リーン

144時間後 48268リーン

168時間後 62748リーン

192時間後. 使用者の命でのお支払い



以上。上記をしっかりとご理解いただきスキルをご利用ください。

なお、スキルにはサポートスキルとしてナビゲーションがございます。呼び出す場合は〔ナビ起動〕と念じてください。


♦︎♢ ♦︎♢ ♦︎♢ ♦︎♢ ♦︎♢ ♦︎♢ ♦︎♢ ♦︎♢ ♦︎♢ ♦︎♢ ♦︎♢ ♦︎♢


スキルの説明は以上だった。

全て読み終わった時、心臓の鼓動が脈を上げ、息は荒く細かくなり胃がキリキリと痛む。


(借金、、、3割の利息、、、命で取り立て、、、)


スキルで何か買うたびに変化していた数字を思い出す。目の前に見えている画面。その右上の数字を確認する。


(確か最後は、−35000だったはず。)


だが数字を見てみると-45500に変化していた。

手の甲に浮き出た数字は7→6へを変化していたため-35000に3割の利息が加算されてしまい-45500になっていたのだ。

つまりこの数字が相馬が抱えている現在時点での借金を示していたのだ。


「ふ、ふ、ふざけるな!!そんなの聞いてないぞ!!」


宿屋全てに響き渡りそうなほど大きな声で叫ぶ。

急いで残金を確認した。


ーー500リーン


手持ちのお金では利息分にも満たない。

握った拳を振り上げ、大理石のテーブルに思いっきり振り下ろす。

鈍い音が部屋に響く。気が動転しているからか痛みは感じなかった。


大きく息を吸い込み、ゆっくり吐き出す。2度3度と深呼吸を繰り返して、荒れ狂う鼓動を落ち着かせようとした。

伊達に30年生きてきたわけではない。

それなりに修羅場はくぐってきた自負はある。


(もちろん生き死にの話は初めてだが…)


せめてもの救いは、今すぐ取り立てが行われるわけじゃない事だ。手の数字は6。

つまり最大で168時間近くの猶予はある。


「えっと…1日で3割の利息がつくから、放っておけば6日後には…ええっと…219,620リーンになるじゃねーか!!」


219620リーンは定職のない相馬には実質の死刑宣告だ。とにかく今は稼ぐ以外生き残る道は残されていない。


幸いにも最初の村でリュックを購入する際に聞いていたアドバイスのお陰で、洞窟内で倒したゴブリンが所持していた武器や、兵士が売れると教えてくれた部位は持って帰ってきていた。


「とりあえず、街に出て素材を売らなきゃ」


今は後悔する時間も惜しいと立ち上がり、慌ててリュックを担ぎ町へ飛び出した。

あまりに焦っていたので、宿屋の従業員が声をかけてくれたが無視してしまった。

従業員も呆気に取られて首を傾げていた。


宿の外に出るとそこには見覚えのある馬車が停まっていた。


「ソーマ様!」


声を掛けてきたのは馭者のクレハドールだった。


「あっ!こんにちは!すいません、今急いでて!!」


「左様ですか…エミリー様がご面会を希望されておりまして」


「わかりました!申し訳ありませんが部屋で待っててもらっていいですか!?」


「かしこまりました。それでは、お部屋にてお戻りをお待ちしております」


「すいません。エミリーにもすぐ戻ると伝えてください」


そう言って軽くお辞儀をすると、門から続く中央通りを駆け抜けた。

だが、颯爽と駆け抜けていくのは良かったのだが、どこで買い取りをしてくれるのかを知らない相馬は早速途方に暮れた。先程、クレハドールに聞けばよかったと後悔した。

パニックになり冷静さを失っていたとはいえ、大きなタイムロスだ。1秒でも惜しいなら1秒を大切に使うべきだ。

このままでは埒があかない。この街は王都だ。広大な敷地から闇雲に探すのは効率が悪すぎる。


立ち止まった場所には露店商が立ち並ぶ。洋服、食材、宝飾、武器、防具。

様々な商品が売られていた。!この光景は縁日の屋台に近いと思った。

洋服を売っている露天商に声を掛けて聞いてみることにした。

恰幅のいい中年女性が大きな声で客を引いていた。


「いらっしゃーい!そこのお兄さん~ちょっと見ておいきよ!いい素材使ってるのに安いよ~」


「あの…すいません。ちょっといいですか?」


店主はこちらを向き、お客だと思ったのか、満面の笑みで呼びかけに答えてくれた。


「あら~素敵なお兄さん!なんか見ない服着てるね!良かったらお店

ウチ

で新調しなさいな~」


今は買うお金がない。気を持たせてしまった事に申し訳なく思うが、今は命の危機が迫っている。

格好つけている場合ではない。根性を出して質問した。


「すっすいません実は素材を売れる場所探してて場所が分からないんで教えてください服を買うのは後日改めて必ず来ますから!!」


一息で全てを伝えた。途中で断られるのが怖かった。思わず目を閉じていた。いやな顔されるのを見たくなかったという心の表れだろう。

返事が来ない。思わず手に力が入る。


「あぁ、素材の買い取りかい。なんの素材だい?」


予想に反して、普通に対応してくれた。商売の邪魔だとか言われるのを覚悟していたのだが、ほっと胸を撫でおろす。


「魔物の部位とかなんですけど…」


「あぁあんた冒険者様なのかい!?」


「いや、その偶然、縁があって魔物の部位を手に入れたので」


「あぁそうなのかい。まぁそれなら、冒険者ギルドに行けば買い取ってもらえるよ」


「そうなんですか!?ありがとうございます!場所はどこにありますか?まだここに来たばかりで何も分からないんです」


「あそこに城があるでしょ?あの城にの隣にあるから行けばわかるわよ」


「ありがとう!今度必ず服を買いに来ます!!」


「はいよ~待ってるからね~」


深々とお辞儀をして感謝を伝える。そして城を目指して走りだした。

とりあえず魔物の素材が売れるという事が分かったので少し気が楽になった。

走ってりながらも景色を見れるくらいの余裕は出てきた。

そして、改めて自分は異世界に来ていると実感できた。



☆現在の相馬情報☆

{残金500リーン}

{借金45500リーン}

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