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決死

洞窟内に閉じ込められた相馬は明かりも無い真っ暗な道を壁に手を当てながらゆっくり進む。

デコボコした道に時折躓きながらゆっくりゆっくり進んでいく。

【金色香茸】を偶然見つけることが出来たあの時を思い出す。


暗闇の中にいると嫌な事ばかり考えてしまう。相馬は不安を押し殺しながら先へ進んでいく。

もし出口が無かったら……もし魔物がいたら……一歩進むたびに不安になり一歩進むたびに払拭する。

さらに制限時間が一刻一刻と迫る。もし戻れなければ冒険者ライセンスは剥奪だ。

たぶんシャクナゲに言い訳は通用しないだろう。冒険者なら対処せよと言うに違いない。

武器も道具も無く、スキルも魔法も使用できないこの状況でどう対処すればいいのか。


もともと地球に居た時にはスキルなんて存在しなかった。生きていれば様々な困難にぶつかり、知恵を振り絞ってなんとか30年間生きてきた。だが異世界に来てスキルという物が知恵を振り絞るという事を忘れさせていたのだ。確かに相馬のスキルは取り扱いを間違えれば命を無くす諸刃の剣だ。


それでも便利な事には違いない。『エルバトラム』にしたってそうだ。通常の冒険者でもそうそう持つことは出来ない業物だと思う。今だって『エルバトラム』があったらスキルを使わないでもこの洞窟から抜けることが出来たと、根拠はないけどそう思える。

こんな状況になって有難さを実感できるとは因果な物だ。


壁を頼りに歩き続けていると明かりが見えてきた。


「あっ! 明かりじゃん!」


出口かもしれないという期待感から自然と走り出す。

期待と裏腹に出口ではなく一際大きな空洞にでた。

壁に埋まる鉱石が青白い光を放っている。明かりの正体はこれだった。


「うぉ! めちゃくちゃ奇麗じゃん。なんだこの石は?」


幻想的な光景に目が奪われる。

その時地鳴りが辺りに響き渡る。立っている地面が小刻みに揺れる。


「なんだ? 地震か!? 」


広い空洞の中央付近の地面が盛り上がり中から超巨大なミミズの化け物が姿を現した。

先端には大きな口らしきものが涎を垂らして大口を開けている。

魔物は相馬めがけて襲い掛かってきた。

武器もスキルも使えない以上逃げるしかない。

相馬は来た道を走り戻った。


「白、上手くいったな! 作戦成功だ!」


「マッドワームって流石に強すぎな気がするよ? 死んじゃうよ?」


「馬鹿。そうなったらギリギリで助けりゃいいんだって。シャクナゲ様も言ってたじゃん!殺す気でやれって」


「なんか意味が違う気がするよぉ?」


「ここで喋ってたら本当に奴は死んじゃうぞ。早く様子見に行くぞ白」


「うん」


黒装束の2人はマッドワームの後を追いかけた。

どうやらこの2名がマッドワームを相馬に差し向けたようだった。


上下左右の壁を破壊しながらマッドワームは相馬を追いかけてくる。


「やばいやばいやばいこのままじゃマジで死ぬからぁぁぁ〜」


このまま逃げ続けても土砂で出口は塞がれている。

スキルの発動も武器使用も禁止されている。

完全に四面楚歌だ。


だが、相馬は窮地を脱出できる可能性を考えついた。マッドワームに出入り口の土砂を破壊させるのだ。


だがタイミングは一瞬。しかもチャンスは1度きり。

走りながら何度も脳内シュミレーションを繰り返す。

走り初めて何分たっただろう先程まで暗かったはずのトンネル内がうっすら明るく見える。

どうやらマッドワームがうっすら発行しているようだ。


どういう仕組みか分からないがこの発光は相馬にとって好都合だった。

ついに塞がれた出入り口を視界に捉えた。


(チャンスは一瞬だ。ぶつかる瞬間。覚悟決めろ俺!!)


マッドワームが相馬目掛けて大きく口を開け襲いかかる。

その瞬間、壁を蹴り勢いを殺して身を反転させマッドワームの下をスライディングしてくぐり抜ける。

マッドワームは勢い止まらず塞がれたと出入り口を破壊して外に飛び出た。


光がトンネル内に差し込む。

マッドワームが太陽の光に晒され体から煙を出してのたうち回っている。

どうやら太陽の光が弱点のようだ。


相馬は外に出てマッドワームを見つめる。

このままギルドに戻るべきかマッドワームと戦うべきか悩んでいた。


(どうする。武器はない。こいつは今太陽光に照らされ苦しんでいる。ほっておいても死ぬはず。だがもし死ななかったら......)


悩んだ末に戦うことに決めた。

太めの木の枝を折って先端を尖らせる。

のたうち回るマッドワームの頭目掛けて突き刺した。


体は柔らかく無事木の枝は突き刺さり、マッドワームは動きを止めた。

さほど強い魔物では無いのかもしれないが、それでも機転だけで戦い勝つことができたのは幸運だった。


課題は【アイテムボックス】の使用は禁止されているが流石に放置していく訳にもいかない。

【アイテムボックス】にマッドワームをしまい、相馬は急いでギルドを目指した。

制限時間を考えるとギリギリだ。

一息着く間もなく相馬はその場を後にした。


「まじかよ。あいつマッドワーム倒しちゃったよ」


「すごいねぇ〜 でも黒も倒せるでしょ?」


「馬鹿野郎。当たり前だ。でも人間がスキルも武器も使わず倒したんだぞ。これが驚かないでいられるか」


「とりあえず僕たちの仕事は終わりだよ〜 シャクナゲ様の所に帰ろ〜」


2人はその場から一瞬で姿を消した。


☆現在の相馬情報☆

{残金46,421リーン}

{預金36,420リーン}


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