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冒険者の証

「まず初めに君らに渡す物がある。シャルム例の物を配ってくれ」


シャルムは両手で持ったトレイの上に置かれた指輪を配った。

指輪は七色に輝く金属で出来ており、細やかな装飾と冒険者ギルドの紋章が彫られており、4つの小さな魔石が埋め込まれていた。

全員に行き届いたことを確認してエルバランの説明が始まった。


「皆に配った指輪は冒険者の証となる。再発行は無い。必ず死守せよ。その指輪を見せるだけでも多大な恩恵を受けられる。これは先輩冒険者達が日々世界に貢献しているからである。その名誉や信頼を汚さぬと誓え。そしてその指輪には3つ魔法が付与されている。残り1つは各々で好きな魔法を付与するが良い」


①アイテムボックス(容量制限あり)

②通信魔法

③ギルド管理用個別データ

④空き


以上4項目が付与内容だった。①のアイテムボックスは本当にありがたい。荷物を持ち運ばなくて良いし、倒した獲物も簡単に持ち込める。しかも中に入れてる時は時間が停まるので腐敗する事も無い。ダンジョンに深く潜る場合最高に使えるものだ。②は以前貰った通信の魔石だ。だが市販の物はかなり大きいのでこれも便利だ。③はギルドが使う物で使用者には関係ない。多分死んでしまった場合、身元確認で使うのだろう。④は後々使う事になるだろうが暫くは保留で構わないだろう。


この指輪に付けられている魔石は小振りだが高純度らしく、上級魔法でも付与できるらしい。

本当に便利なマジックアイテムだ。ちなみに素材はヒヒイロカネと言われる超レア金属らしく、まず壊すことは不可能らしい。

流石世界で特別視されている冒険者だけある。


「さて指輪の話はこれまでで、今度は冒険者として受けられる恩恵について話す」


①各国入国税の免除

②各アイテムや素材の買取時、手数料減額

③ダンジョン内部への立ち入り許可

④船、馬車などの無償化

⑤世界各地の冒険者ギルド内の宿泊施設無償使用

⑥魔大陸への立ち入り(要許可)


聞く限りでもかなり好待遇だ。何よりギルド内の宿泊施設が無償で使えるはありがたい。

相馬のスキルはお金が掛かる。1リーンでもスキル使用に回せるほうが助かるのは言うまでもない。


「以上だ。長くなったが何か質問はあるか?」


3人とも手を挙げることは無かった。聞きたい内容は全て聞けたからだ。

エルバランは3人を確認して次の話を続けた。


「よし、では本題に入る。貴様ら3名は現在冒険者”見習い”となる。これよりある人物を紹介する。いいぞ入ってくれ」


扉が開き3人は一斉に視線を向けた。そこには着物を少しはだけたような感じで着こなす色っぽい女性が立っていた。黒髪に着物で巨乳で妖艶な雰囲気を醸し出していた。


中に入って来たことを確認するとエルバランが話を続ける。

「紹介しよう。冒険者のシャクナゲだ」


「お初にお目にかかります。シャクナゲどす。おたのもうします~」


シャクナゲは帯に刺したセンスを取り出して開き、はんなりとした笑顔を見せた

着物姿と喋り方は相馬には馴染みがあるのでむしろ親近感があった。だがニックとピピナは目をまんまると見開いていた。ニックは鼻の下を伸ばしていたが…


「シャクナゲは貴様ら3人の指導官となる。これより数ヵ月彼女の下で冒険者のいろはを学んでもらう。以上だ」


エルバランはマントを翻しそのまま部屋を出ていった。相変わらず口数の少ない男だ。

シャクナゲは微笑みながら残された3人に話しかけてきた。


「よろしゅうね。これからワッチが3人を立派な冒険者に育てたるからね~」


「よろしくお願いしますシャクナゲさん」


「俺っちはニックじゃんね!シャクっちよろしくじゃんね!」


「ふん、私は強者にしか従わん。シャクナゲとやら、貴様からは強さを感じない」


シャクナゲはセンスを閉じて”ふふふ”と微笑む。

瞬きをした刹那シャクナゲの姿は消えてピピナの背後に立っていた。持っていたセンスをピピナの首元に当てて耳元で囁く。


「はい、死んじゃったわねぇ」


突然シャクナゲから放たれる殺気に相馬もニックも動けなかった。

当のピピナに関してはガクガク震え涙目になっている。

空気が震えるほどの殺意。そして再び微笑みシャクナゲはピピナに囁く。


「どうやろ? これで認めてくれはるかいな?」


ピピナは無言で首を何度も縦に振る。


「あぁ~良かった~ 驚かしてごめんなぁ~」


シャクナゲはゆっくり教壇に戻る。そして話を始めた。


「冒険者はなぁ~駆け出しのころに大半死んでまうんよ。それを危惧した冒険者ギルドは合格者を教育して少しでも死なへんよう鍛えることにしたんよ~それで今回はウチが選ばれたんどす」


「ちなみにどんな風に鍛えてもらえるんです?」

相馬は正直鍛えてもらえるのはありがたいと思い積極的に聞いてみることにした。


「一緒にダンジョンに潜ったり、修行つけたりするんどす。えっとソーマはんはナイフ武器やったよね。でもなぁあの動きが出来るんやったら、長物との二刀なんかオススメなんよ~」


「二刀ですか? 考えた事無かったです。いけますかね?」


「まだまだ太刀筋は素人やったけど可能性バッチリやと思うわぁ。まずここで3カ月みっちり修行して、そこからダンジョンに潜る。そんな感じで考えておいてもらえればええよ~」


「ニックはんわぁ、武器を通してもスキルは発動できはるの?」


「いつもは手で触れて発動してたから試したことないじゃんね! 早速ためしてみるじゃん!」


ニックもシャクナゲの提案に新たな可能性を見たのかノリノリだった。

冒険者とは根本に強さへの飽くなき探求心があるのだろう。


「ピピナはんは~まずその武器の付与効果を知りたいわぁ。予想はサイズ変更やと思ってるんやけど」


「…はい。私の武器はサイズが変更できます」


シャクナゲは満面の笑みで話を続ける。


「わぁやっぱり! それでスキルは、身体能力強化かな?」


「はい。スキルは【怪力の極み】です」


「わぉ~ 強化系の最高スキルやないの~それは頼もしいわぁ~ それならその武器にもう一つ付与出来ひんかなぁ?」


「魔石があれば付与可能だと思います。まだ魔石を嵌める穴は開いてますので」


「そしたらなぁ~【自重操作】を付けるとええよ~」


ピピナは”はっ”とした表情を浮かべた。自分のスキルなら確かに武器はどれだけ重くても良い。

今までその発想にたどり着かなかった。


3人の戦いをシャクナゲは見ていたのだろう。それを一目見ただけで見抜くとはシャクナゲの実力の高さを3人は認めざるを得なかった。

今この場にいる3人で襲い掛かっても間違いなく負ける。


冒険者としての格の違いに自信を失った3人だが、強くなれる希望を提示してくれたシャクナゲは指導者としても優秀だと思う。

3人は立ち上がりシャクナゲに深々と頭を下げ「ご指導ご鞭撻よろしくお願いします」と伝えた。


「ふふふ。エエ子達やねぇ~ このシャクナゲにお任せあれ」


シャクナゲはウインクしてはんなりした。

気品あふれる美人でありながら強力な冒険者でもあるシャクナゲ。

彼女の指導は翌日から始まるのだが、今はまだシャクナゲのドSな修行内容を3人は知らなかった…


☆現在の相馬情報☆

{残金46,421リーン}

{預金36,420リーン}

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