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冒険者最終試験Ⅱ

ピピナとマーベリアスがリング中央で睨み合う。

マーベリアスは見た目からエルフだろう。エルフの冒険者は船でも見ている。

マーベリアスの戦闘方法は分からない。相馬は息をするのも忘れてリング上の2人を見守る。


「それでは、最終試験を始める。互いに死力を尽くせ。はじめっーーー!!!」


エルバランの合図を皮切りに2人はジリジリとすり足で距離を詰める。

始めに仕掛けたのはマーベリアスだ。手の平をピピナに向けると風の球が複数現れ、放たれる。

ピピナは最小限の動きで躱す。地面に当った際に土埃を巻き上げピピナの視界を奪う。


マーベリアスは剣を抜いた。さらに自らの体に魔法を掛けたようだ。目にもとまらぬ速さでピピナの背後に移動する。そして剣を突き出し、突進していく。”ガキン”という金属のぶつかり合う音が聞こえた。ぶつかり合った衝撃で土埃が吹き飛び2人の姿が見えた。


ピピナの手には巨大な両刃斧が持たれていた。巨大な刃がマーベリアスの剣を受け止めている。両刃斧を振り上げマーベリアスを弾き飛ばす。10メートル近く吹き飛ばされたが風の魔法効果なのか勢いを完全に殺して静かに着地した。


この一瞬の攻防が余りにもレベルが高くて相馬は目が点になっている。

エルバランも腕を組みながら2人の戦いを静かに見守る。


マーベリアスが詠唱を始めた。

「シルフやシルフ我が望みを聞き届けよ。我に仇名す敵に幾数千の怒りの刃の…」


ピピナは詠唱が始まるや否や地面を蹴り上げた。ピピナの蹴りで砕かれた地面が弾丸の様な速度でマーベリアスに襲い掛かる。一瞬で10メートル近く飛び上がるマーベリアス。詠唱は続けていた。


「断罪を与え、赤き鮮血の雨を降らせたまえ【轟の風刃】」


詠唱を終えるとピピナの足元に巨大な魔法陣が現れ巨大な竜巻がピピナを覆う。

余りの回転速度で凄まじい轟音が部屋中に響き渡る。

地面に降りたマーベリアスは再び詠唱を始め今度は剣が光輝く。そして剣を振り上げ狙いを定め一気に振り抜いた。


風の魔力を帯びた斬撃が竜巻の中心目掛け地面を抉りながら飛んでいく。

竜巻を切り裂き背後の結界まで勢いを落とすことなく飛んでいった。

斬撃の通り道が地面にはっきり残るほど強烈な一撃だ。


砂埃が徐々に落ち着きだしピピナの姿が現れる。衣服などはボロボロになっていたがほぼ無傷だ。

持っていた両刃斧を地面に突き刺しマーベリアスめがけて走りだす。余りにも強い脚力で一歩進むごとに地面が割れる。マーベリアスは逃げようとしたが逃げられなかった。足元が地面から生えた石の手で掴まれていたのだ。慌てて魔法を放とうとするが間に合わず顔面にピピナの一撃を食らってしまった。


激しく飛び散る血しぶきと共に吹き飛ぶマーベリアス。結界にぶつかり、そのまま地面に滑り落ち動きを止めた。


「勝負あり!勝者ピピナ!!」

エルバランの勝利者宣言と共にリングを覆っていた結界は消えた。

相馬はリングから降りてくるピピナに近寄り敢闘を称えた。


「おめでとうピピナ!凄い戦いだったよ!鳥肌立っちゃった」


ピピナも流石に嬉しそうだ。

「ふん。次はお前だろ。つまらん戦いはするな。一瞬でも私とコンビを組んでいたのだから負けは許さん」


ピピナなりの応援なのだろう。素直に受け取り、親指を立ててグッドポーズをして見せた。

ピピナはキョトンとしていたが、そんな中エルバランが再び指示を出す。


「ソーマ、マルク両者リングへ!」


リング上に上がるとかなり広いと思った。外から見ているのと実際に自分が立つのでは、スケール間に違和感がある。


(この一戦で合否が決まる…寄りにもよってマルクとか…)


後ろを向くとマルクがリングに登ってきた。そして近づいてくる。


「ソーマさんソーマさん。よろしくお願いしますね!」


マルクは笑顔だったが目は笑っていない。覚悟を決めた目だ。


「あ…あぁ。よろしくな」


「なんて顔してるんですか。ダメですダメです!勝っても負けても恨みっこ無し!真剣勝負ですよ!」


「そうだな…そうだよな!ごめん。俺なんか勘違いしてた。なぁマルク。勝っても負けても俺たちはずっと友達だ!」


「何をいまさらな事言ってるんですか。当然です当然です!でもワザと負けるなんてしたら絶交です!」


「あぁ!じゃあ本気で行くぞ!マルクも本気で来いよ!」


「言わずもがなですです!」


お互いもう戸惑いはない。覚悟を決めてリングの中央に立つ。互いの目は互いを捉え戦闘体制に入る。


「それでは、最終試験第2戦を始める。互いに死力を尽くせ。はじめっーーー!!!」

エルバランの号令と共にマルクがスキルを発動する。


「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


マルクの目が赤く光だし小柄だった体が二回り程膨れる。若干前傾姿勢になりながら口から何やら煙を吐き出していた。爪が獣の爪のように変化し、体中の血管が浮き出て体色がみるみるうちに赤く染まっていく。髪は逆立ち、何やらオーラの様な物が見える。体温が上がり周りの空気を歪めているのだろう。


(マルクのスキルは【狂人】だったな。バーサーカーという事か。意識はあるのか!?)


「ソ…マサ…ン…イクヨ…シナナイ…デヨネ」


マルクが立っていた場所が爆発した。移動する際の脚力だろう。初戦のピピナよりも早い。

目の前に現れたマルクの一撃をガードして受ける。運よく構えた『エルバトラム』で受けることが出来たが、身体能力は一般人の相馬ではマルクの攻撃を防ぐことは出来ない。車に全力で追突されたような衝撃が走り気が付くと地面に何度もぶつかり吹き飛ばされていた。

余りの攻撃力に足元がふらつく。しかしマルクはスキを与える気はなさそうだ。殴り飛ばした次の瞬間には踏み込んでソーマの近くまで来ていた。


(ナビ子さん【縮地】だ)


・・・スキル【縮地】を購入並びに使用します。制限時間は30秒です。


起き上がった瞬間目の前にマルクの拳があった。【縮地】を使い間一髪で避けることが出来た。

【縮地】を使い今度はマルクとの距離を一気に詰める。そして『エルバトラム』を振り抜く。

相馬が出来る最強の攻撃パターンだ。今まで熊やゴーレムもこの攻撃で全て屠ってきた。


しかしマルクはギリギリながらも相馬の一撃を

避けた。すぐさま反撃を加えてきたが相馬も再び【縮地】のお陰で避けることが出来た。【縮地】の残り時間は25秒。ここまでの攻防戦が5秒で行われていた。作戦を練る暇がない。【狂人】はその名の通り超攻撃特化型のスキルだ。相馬も【狂人】を購入すれば互角に戦えるかもしれないが、スキルになれているマルクの方が圧倒的に有利だろう。


【縮地】と【狂人】の速度は【縮地】に軍配が上がるも、あくまで移動速度だけでナイフを振る速度は上がらない。結局攻撃する瞬間に動きを捉えられて避けられてしまう。

残り時間9秒。


(仕方ないイチかバチかだ。無差別攻撃で行くか)


相馬は【縮地】を連続使用して動きを止めることなくすれ違いざまに切り裂く戦法に切り替えた。

リングの上から相馬の姿が消えた。次の瞬間マルクの体にみるみる傷跡が刻まれる。


「グァァァァ」


マルクが溜まらず叫び声をあげる。勝ったと思った瞬間、なんとマルクに腕を掴まれた。


「しまった!!!」


単調攻撃でパターンを読まれたのだろう。切った瞬間ナイフを持った手を掴まれてしまい反撃する事が出来ない。力任せに持ち上げられ、全力で地面に叩きつけられる。

意識が飛びそうになる相馬。血を吐き出す。内臓を傷つけたようだ。

このまま何度も叩きつけられては死ぬ。


(ナビ子さん頼む何でもいいから魔法を!!)


・・・緊急モード。スキル【雷撃】を購入並びに発動します。

身体にすう100万ボルトの電流が発生し掴んでいたマルクを感電させる。


動きをを止めて手が緩んだ。左手にナイフを持ち換え掴んでいた腕を切り裂く。

握っていた手が開き相馬は自由になった。続けざまに『エルバトラム』を振り抜くがスウェーバックで避けられた、


だが【雷撃】は効果が高かったようで体が痺れているのか動きが鈍い。

(ナビ子さんオススメ出してくれ!)


・・・オススメ一覧を表示します。


――雷撃

効果:体に100万ボルトの電流を発生させ触れた相手を感電させる。麻痺効果を持つ。

回数:1回(10秒継続)

金額:67,820リーン


――氷の絨毯

効果:発動者を中心に半径50メートル以内の地面を凍らせる。その際触れた者も凍らせる。

回数:1回

金額:53,800リーン


――身体能力強化

効果:攻撃力、防御力、速度をすべて2倍に上げる

回数:1回:(60秒)

金額:120,000リーン


――スキル封印

効果:対象者のスキルを一時的に封印する

回数:1回(5秒)

金額:200,000リーン


船の中でニックとマルクには【縮地】のスキルを持っていると相馬は話した。

別に嘘ついても問題はないのだが、今戦ってるマルクは正直にスキルを教えてくれていた。

身体能力強化ならば嘘だと気づかれないだろう。この場には沢山の人が見ているためあまり【購入】の事はバレたくない。


(ナビ子さん。【身体能力強化】と【縮地】を同時発動ってできる?)


・・・スキルの同時発動は可能です。


(じゃあ頼む)


・・・スキル【身体能力強化】及び【縮地】を購入並びに使用します。制限時間は【身体能力強化】が60秒、【縮地】が30秒です。なお【縮地】の速度は使用者の身体能力に比例するので【身体能力強化】との同時発動により【縮地】の速度は上がります。


攻撃準備は整った。だがその前に1つ確認しなくてはならない事がある。エルバランにに相馬は質問した。


「エルバラン殿!生きていれば身体の修復は可能か?例えば腕が千切れたとしても」


「無論。ギルドの医療班は優秀でな。死んでなければ大抵の事は治せると断言しよう」


「安心した。マルクすまない待たせたな。行くぞ!!!」


相馬は【縮地】で一瞬でマルクの懐に入る。先程よりも速度が上がっている為、マルクの反応が一瞬が遅れたのを相馬は見逃さない。【身体能力強化】でナイフを振る速度と攻撃力も上がっている。『エルバトラム』の切れ味と合わさりマルクの腕を2本一瞬で切り落とした。


「うわぁぁぁぁぁ」


痛みと、腕を切断された事に恐怖したマルクの【狂人】は解除された。

すかさずエルバランが終了の宣言をする。


「勝者ソーマ。治療班急いでマルクの治療を!!」


結界が解除され医療班がマルクに駆け寄る。

相馬も切り落としたマルクの腕を拾い上げ丁寧に医療班へ渡す。


マルクに近寄ろうとしたがやめた。勝者が敗者に掛ける言葉は全て敗者を傷つけるだけだ。

グッと堪えリングを後にした。エルバランとすれ違う際一瞬目が合った。

エルバランは相馬を見つめ小さく頷いた。


”お前の行動は正しい”と言われた気がして少し心が楽になった。

今はマルクの無事を祈りながら最終戦を見守る事に集中する事にした。

最終戦はニックVSシャシャオムだ…


☆現在の相馬情報☆

{残金46,421リーン}

{預金36,420リーン}


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