冒険者3次試験
シャルムが受験者の招集をかけたので皆集まる。
流石に今この場にいる者達は皆強者なのだろう。
相馬も周囲を見渡し気合が入る。
シャルムは一列に並ぶように指示を出す。シャルムは手に穴の開いた箱を持っていている。
「この中には折りたたまれた紙が入っています。1人1枚とって下さい」
指示に従い全員箱に手を入れ紙を取る。全員に行きわたったところで再びシャルルが指示を出す。
「それでは紙を開いてください。中に書いてある数字を確認してください。同じ数字は2枚あります。ペアを作って下さい」
相馬も紙を開くと”4”と小さく書かれていた。各々数字を口に出し同一数のペアを探す。
「4の数字の人いませんか!」
すると一人のフード付きマントを被った人物が近づいてきた。
その者は相馬に数字を見せた。同じように4の数字が書き記されている。
「よろしく!」
相馬は握手を求め手を差し出す。だがその者は同意せず一言「慣れ合う気はない」というだけで黙ってしまった。かなり取っ付きにくそうだ。それと声の感じで女性だと分かった。
慣れ合う気はないと関係性を拒絶されてしまった相馬はこの試験に一抹の不安を覚えた。
内容次第では落ちる可能性も出てしまう。
シャルムが再び話し始めた。
「はい!ペア出来ましたね。今ここには12名の受験者が残ってます。つまり6組のペアが出来上がりました。ペアで協力して頂きダンジョンを攻略していただきます。ダンジョンは今この地面の下に広がっています。入り口は各々で見つけてください。通過基準はダンジョンのどこかにある宝珠を持ち帰る事。全部で宝珠は6個あります。1人1つ持ち帰って下さい。つまりこの試験では最低でも半分は失格となります。次の試験が最終試験ですので。ちなみに1人で複数個所持した時点で失格とします。説明は以上です。では検討を祈ります。あっ、あと制限時間は48時間です。宝珠を持ち帰っても制限時間を超えた場合失格となります」
相馬はペアの女性の元に向かい自己紹介をした。
「俺はソーマ。慣れ合わないにしても名前くらいは必要だろ?君の名前も教えてくれないか?」
「…ピピナだ。先に言っておく。助け合いは無しだ。自分の身は自分で守れ。以上だ」
ピピナは再び黙りどこかに歩き出してしまった。
「おいピピナ!入り口分かるのか?」
ピピナは一瞬立ち止まりこちらにチラリと視線を向けると鼻で笑いまた歩き出した。
少し頭にきたがとりあえずついて行くことにした。
しばらく歩き続けピピナは1本の木の前で立ち止まった。ペタペタと木を触り横にずれながら一周を確認していく。ある箇所にピピナが来た時、幹の中に手がすり抜けた。するとその場所に入って行ってしまった。
相馬も慌てて後を追いかける。
この中は空洞になっているようでそのまま滑り台を滑走するように下に落ちて行った。
滑り終わり平らな地面に放り出される。
どうやらダンジョンの中に入ったようだ。
「ピピナ!なんで入り口わかったんだ?」
しかしピピナは相馬をいない者としているのか一才反応しない。
相馬はコミュニケーションを諦め無言で後ろをついて行った。
ダンジョンを歩き続ける間無言が続く。
ピピナは着いてきたければ勝手にしろと言わんばかりに相馬を無視し続けた。
しばらく歩き回り下の階へ降りる階段を見つける。
無言の探索が続く2人。未だトラップも魔物も出てこない。ただただ歩き回り下の階へ進む。単純作業だ。
10時間程経って流石におかしいと感じた。一向に何も出てこない。相馬はピピナの前に立ちはだかり静止する。
「ピピナ、何かおかしいと思わないか?もう10時間近く歩き回り、魔物もトラップも出てこない。そもそも何層まであるかわからないだろ!?一回作戦を練ろう」
「ふん。お前なら何かわかるというのか?馬鹿馬鹿しい。時間の無駄だ。私は進む。お前は勝手にするがいい」
「おい!流石に横柄だろ!俺らは一時的でも仲間なんだ。もう少し話をしろ」
「私は自分より弱い者に興味はない」
「なんでわかるんだよ。俺がピピナより強いかもしれないだろ?」
「笑わせるな人間。お前らは戦闘において最弱だ」
ピピナは相馬を指差して言い放つ。
「人間が冒険者になれる確率は少ない。お前は私にとって足手まといの何者でもないとしれ」
流石の相馬もここまで言われれば頭にくる。
怒りに任せて反論しようとしたが仲間割れこそ時間の無駄だ。
(ナビ子さん。この試験にあったスキル頼む)
・・・オススメスキル一覧を表示します。
――探知
効果:発動する5分間、目をつぶると自身を中心とした半径500メートル以内を探れる
回数:1回(5分間継続)
金額:2,580リーン
ーーマッピング
効果:自分を中心として半径500メートル以内の地形を完全把握できる。但し魔物などの生物や財宝などはわからない。
回数:1回
金額18,900リーン
ーーフルマッピング
効果:ダンジョン、洞窟など地図のない場所で地形を完全把握できる。但し魔物などの生物や財宝などはわからない。
効果:1回
金額:60,000リーン
(流石に困ったな。ナビ子さんどうしたらいい?)
・・・解答不能。
(半径500メートルというのがなぁ。しかも1回でしょ…仕方ない。ナビ子さんフルマッピング頼む)
・・・スキル『フルマッピング』を購入並びに発動します。範囲は現在いるダンジョンでよろしいですか?
(よろしく!)
スキルが発動した瞬間強烈な頭痛に襲われた。
そして頭の中にダンジョンの全容が強制的に知っていた記憶として書き込まれた。
「イッテェ。。。これはきつい」
ピピナは怪訝そうな顔をしてこちらを見ていた。
記憶として相馬はダンジョンを知っている。
そして驚愕の事実がわかったのだ。
このダンジョンは2フロアしかない。だが階段を降りると転移で一階のランダムな場所に階段が現れて消えていくのだ。降りてるようでひたすら広大な地下1階を歩かされていたのだ。
確かにシャルムは何階まであると明言しなかった。
これは気づかなかったら大変なことになっていた。
そして隠されてる部屋も見つけたのだ。
ピピナに伝える。
「聞いてくれ。どうやらここのダンジョンの階段には魔法で転移される仕掛けがあるみたいだ。ただぐるぐる一階を回っているだけなんだ。それで隠し部屋を見つけた。信じてついてきてくれ」
「それをどうやって信用しろと?もし出鱈目なら?間違いなら?お前はどう責任取る?」
「・・・ピピナの命令に従うよ」
「そうか。ならそれが間違いであったなら自害しろ」
相馬は戸惑った。何故ここまで見下される必要があるのか。試験の合格は宝珠を持ち帰ればいいのだ。いっそのこと別れて1人で戻ればいい。
だがせっかく組んだ仲間だ。一瞬とはいえ。
相馬はピピナにはっきりと言う。
「ならその条件で構わない。その代わり、もし俺があってたら対等に俺を見ろ」
「ふん。なら早く行け」
相馬は記憶を辿り隠し扉の入り口に向かう。
「ここだ。ここに隠し扉がある」
だが触れても一切開く事はない。
「なんだやはり嘘か?」
「いや間違いない。ここなんだ」
「うん。なら退いてろ」
ピピナは相馬が示す隠し扉の前に立つとデコピンをするように壁を中指で弾く。
壁は爆音と共に弾け飛んだ。
一瞬何が起きたのか分からなかったが、ピピナのスキルなのかもしれない。
(詮索はよくないよな)
相馬は触れないように心がけた。壁の裏には小部屋があり下に進む階段があった。
「ピピナそれだ。それを降れば多分宝珠がある」
下に降りると台座が1つあり、その上に2つの宝珠があった。それぞれを手に持ち、元来た道を戻った。
先程の爆音で誰か来るかもしれないと思い急いで戻ろうと提案した。
(多分この試験は奪い合いは禁止じゃない)
1人で2つ持ってはいけないけど、奪い取ってはいけないとは言っていなかった。
記憶を辿り地上への出口まで向かう。
そのまま誰とも接触する事なくシャルムの待つ場所に戻りトップ通過を果たした。
「また貴方がトップですか。なるほど。まだ36時間程あります。しかしこんなに早く戻るとは。とにかく野営でもしてのんびり待っていてください」
相馬とピピナは適当な場所に腰を下ろした。
そしてピピナが口を開く。
「おいおま、いやソーマ殿。数々の非礼を詫びさせて頂く。此度は早々に攻略できたのはソーマ殿のお力。もしあのまま単独で行動していたなら私は試験に落ちていた事だろう。改めて感謝する」
そしてピピナはフードを外し素顔を見せた…
☆現在の相馬情報☆
{残金46,421リーン}
{預金264,240リーン}
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