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エルバ共和国

〖中央都市エルバ〗


なんでも数百年前に魔神というのが世界を破壊して回っていたらしく、大勢の人が死んだのだそうだ。魔神の力は余りにも巨大で誰も抗う事が出来なかった。世界中の人々が諦めかけた時、1人の人間が魔神と互角に戦い、見事封印する事に成功したそうだ。

この街はその英雄の功績を称え、名前を取って付けられたそうだ。


今はドワーフ、エルフ、ヒューマンの3種族が共同で管理を行っており、議長は冒険者ギルドのトップも務めている。英雄エルバの子孫だそうだ。


この街には3国の知識と技術の全てが集結してると言っても過言ではない。

ヒューエンス王国の王都もかなり広大な土地だと思っていたが、ここはそれを優に上回る。

そんな世界の中心足る場所で一番の権威を誇っているのが〖冒険者ギルド〗なのだ。

この街には城は無いく、その代わりに街の中心に一際高い建物が建っているのだが、そここそが冒険者ギルドだそうだ。


建物と言うよりは塔といった方がしっくりくるほど天高く聳え立っている。

この世界の建築技術の全てが込められているのだろう。

だがこの街の凄さはそれだけではない。宿を探していたが見当たらなかったので、衛兵に尋ねると首都エルバの事を教えてくれた。

この国の構造は特殊で、今いる場所も冒険者ギルドの近くも宿屋は無く居住区しか無いそうだ。

エルバの町はドーナッツ状の形をしており、ギルドを中心に、貴族の居住区、商業区、一般住居と言う感じで外側に広がっている。


それぞれの区画は高い塀で区切られており、塀の上にも下にも兵士が見張りについている。区画間の移動は門が二つありそこを通る必要る。門の位置も直線的ではなくズレているため外から一直線に中央まで攻め込むことが出来ない構造だ。つまり有事の際はこの街全てが要塞へと変わるのだ。


「凄い街だなぁ」


街を散策しつつ宿屋を探す。宿屋の有る場所は商業地区なのでまずはそこに向かう事にした。歩きながら街を観察していると多種多様な人種が歩いている事に気付く。

ヒューエンス王国では見かけなかったエルフやドワーフも沢山いる。数は少ないが奴隷じゃない獣人も少なからずいる様だ。


エルフは銀髪や金髪で虹彩も様々な色をしていて、肌の色が皆白く、耳が長く尖っている。

ドワーフは黒髪や銀髪が多いが肌の色は小麦色をしている。アニメなんかで見るように身長が低くがっしりとしているかと思いきや、男性も女性もスラっとしている。

相馬的にはエルフよりもドワーフの女性の方が好みだと思った。


街の様子を見つつ10分程歩いて、ようやく商業地区に入れる門に辿り着いた。

門を通って商業地区に入ると街の様相は一変した。

露店などは無く、全てが同じデザインで統一された建物が並んでいる。何より一番驚いたのはショーウィンドーの存在だ。かなりの大きさのガラスが全ての建物に設置してある。ヒューエンス王国では小振りなガラスはあったが、この異世界ではガラスは貴重品のはずだ。


ヒューエンス王国との違いに驚きながらも、宿屋を見つけたので宿泊したいと伝えた。

しかし値段が高い。一泊10,000リーンだという。やはり物価も高いようだ。

二日分の宿代として20,000リーンを払い部屋に入る。

中は確かに奇麗だが、かなり狭い。一泊3,000リーンのヒューエンス王国の宿屋よりも狭い感じがする。


宿屋の一階部分は喫茶スペースのようになっていて、宿泊者が自由に座って酒を飲んだり飯を食ったりしてくつろげるようになっていた。部屋が狭いからこそ、宿泊者は一階にいることが多いのかもしれない。一つ疑問に思ったのだが、宿屋に冒険者試験の受験者らしき人物がいないのだ。

もちろん部屋にいるか、外出しているだけかもしれないが。


疑問に思いながらも、とりあえずベットに横になり明日の試験のイメージトレーニングをする。

もちろん試験内容は分からないので具体的なイメージは出来ないが、何かしていないと落ち着かないのだ。

緊張のせいか腹も減らない。


「あー早く明日になって欲しいなぁ。何か落ち着かないしもう寝ちゃうか」


目を閉じて心を落ち着かせる。だが船の上で戦っていた白いローブの男を思い出してしまう。

自分もあんな風になれるだろうか。どうやればなれるのだろうか。ついつい妄想が迷走する。

『エルバトラム』を取り見つめる。銀色の輝きの中に薄っすら青い輝きが見て取れる。

不思議とナイフを見ている時は心が落ち着く。


「ボルク爺さんとの約束もあるしな。あっ!?そういえば知り合いいるって言ってたな!?」


相馬はベットから起き上がりボルクの言葉を思い出す。


「えっと名前は…ガンバ…ガン…ガンタ、違うそうだガンズだ!」


一階に降りて店主に聞くことにした。

「すいません!ちょっと聞きたいんだけど、ガンズって鍛冶師を知らないか?」


「はい。えっとガンズですか…すいません記憶にその名はございません。鍛冶師でしたら同じ鍛冶師に聞く方が良いと思います。ウチを出たら左に進み5件目の店が武器屋ですからそこで尋ねてみてください」


「分かった。ありがとう」


店を出て教えてもらった武器屋へ向かう。

ボルク爺さんの店とは違い、完成した武器だけを扱っているようだ。


「すいません。ちょっと人を探してるんですが、ガンズっていう鍛冶師はどこにいるか知りませんか?」


「うん?ガンズ?ガンズっていや、酔いどれガンズの事か?」


「酔いどれ?」


「あぁ。昔は確かに鍛冶師としては優秀だったんだが、最近は酒に溺れて鍛冶なんて一切してなぜ。多分今も酒飲んでる頃じゃねーかな?〖ブリアン〗て店に行ってみな」


相馬は礼を伝え〖ブリアン〗という酒場に向かってみた。

場所は宿屋から離れた場所にある為10分程歩かされたが、この街は整備が行き届いている為、見つけるのも容易かった。


店に入ると、さすがにまだ夕方前だったので殆ど客もいなかった。一番奥のテーブル席に大量の酒瓶が並んでいた。

その席には一人の男が座っていて、どこか上の空でひたすら酒を飲んでいた。


カウンターに座りマスターに話を聞こうと思ったのだが、タダでは悪いので一杯頼むことにした。

エールが一杯500リーンとそこそこ高めだったが仕方ない。


「マスターちょっと聞きたいんだけど、あの奥にいる人ってガンズって鍛冶師?」


「はい。そうです。正確に言うなら元鍛冶師ですかね。今はああして毎日酒に溺れてますよ。昔は名工なんて呼ばれてましたが今じゃ見る影もない。まぁうちの店としては常連様でありがたい限りですがね」


マスターはエールを相馬の前に置き話を続ける。


「なんでも自分の限界を知ったとか、自分の終わりを悟ったとかで鎚を振るうが出来なくなったと昔言ってましたねぇ。まだこの街に来た頃は希望に満ち溢れていたのですが」


「ありがとう。色々聞けて助かった。後で話しかけてみるよ」


「気難しい方なので気を付けてくださいね」


「分かった。留意するよ」


エールを手に持ちガンズの席に向かった…



☆現在の相馬情報☆

{残金46,421リーン}

{預金348,000リーン}


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