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白いローブの冒険者

魔物の一方的な蹂躙が続く中、冒険者志望の乗客が応戦を試みる。

だが戦える力はあるのだろうが、経験値が足りないのは動きを見ても明らかだ。

大抵は相馬と同じワーカー上がりだろうが、野生の動物と魔物は違う。


熊ですらこの魔物を前にすると子猫のように感じてしまう。

相馬のスキルを使えば戦う事は可能だろう。仕方ないと覚悟を決めて戦う体制を整える。


まだ、ストックとして4回分の『火球』が使用できる。

この世界では魔法はエルフが一番の使い手だが、人間でも使える者はいると聞いた。

スキル複数持ちはバレてしまうと問題があるが、スキル持ちで魔法も使えるというなら辻褄が合う。


「ナビ子さん!『火球』を…」


ナビ子さんに発動を依頼しようとした刹那、1人のフードを被った人物が魔物に颯爽と近づいていく。歩き姿からもその者がただならぬ実力の持ち主だという事は見て取れた。

真っ白なフード付きのローブを着たその者は、魔物に手の平を向けると魔法を放った。


球体状に圧縮された空気が魔物めがけて飛んでいく。


魔法の球は魔物に当たると勢いよく弾けて、魔物を吹き飛ばした。


突然の攻撃に魔物も何が起きたのか理解できていないようで、辺りをキョロキョロしている。

そして白いローブを着た者は腰から剣を抜いて構えた。

今まで魔物に応戦していた冒険者候補達も皆動きを止めて、突然現れた白いローブを着た者と魔物の生末を固唾を飲んで見守っている。


そして白いローブの者が口を開く。

「ふぅ。船の上くらいゆっくりさせてほしい物なのだがね。まぁ早々に終わらせるか。皆私の後ろに下がっていてくれたまえ。撒き沿いになりたくなければね」


声の感じからして男のようだ。フードが風に揺られて時折銀髪が見え隠れする。


皆一斉に白いローブの男の背後へと下がる。

「さて、早々に終わらせようか。醜い化け物が。目に映ること自体不快だよ。風の聖霊シルフよ。我が剣に加護を与えたまえ」


剣を目の前に立てて構え詠唱を済ませると剣の柄の部分に魔法陣が現れた。

刃を包み込むように竜巻が発生し、辺りの空気が引き寄せられる。

魔物も引き寄せられないように必死に抵抗しているがズルズルと寄せられていく。


「ではさよなら醜い化け物。チリ一つ残さず消えておくれ」


白いローブの男は魔物に向かって走り出すとすれ違いざまに剣で切り裂いた。

正確に言うなら、剣に纏った竜巻に魔物が巻き込まれた瞬間ズタズタに引き裂かれ、まるでミキサーに入れた野菜のように原型を留めることなく肉塊へと姿を変えてしまった。


一方的な蹂躙。


「あぁしまった。素材が獲れないじゃないか…仕方ない魔石だけ回収しよう…」

白いローブの男は肉塊となった魔物に近づきキラリと輝く石を手に取り上げると、空中に魔法陣を展開するとその中に魔石をしまった。


「さて、あとはお願いしますよ。私は自室に戻るのでね」


白いローブの男は部屋に戻ろうと歩き出す。その瞬間盛大な歓声が甲板中に上がった。

皆唖然としていたが、ようやく状況を理解でき、皆でその者に最大の賛辞を送った。

しかし気にも留めず白いローブの男は船内へと戻っていった。


相馬は呆気に取られていると後ろからニックが話しかけてきた。

「ソーマっち!やべーなさっきの奴。あれが冒険者だぜぇ!俺らが目指す場所はあそこなんだと思ったらブルっちまったぜぃ」


ニックは少し興奮している様だったが、気持ちは十分に理解できた。

あれだけ凄い魔法を使えるという事は多分エルフなのだろう。

だが戦闘においても一切のスキがなく余裕すら感じた。


経験の差を痛感したのだ。憂鬱な顔をしているとニックが背中を”バン”と平手で叩いてきた。

「ソーマっち、なーに辛気臭い顔してんだよ!いいんだよ俺らはこれからだよ!合格して経験を積んでいけばああなるんだぜぃ」


「あ、あぁ、そうだよな!今劣ってたって関係ないな!追いつけば、いや!追い越せば関係ない!!」


「おうよ!いいねぇ!調子出てきたじゃんね!よっしゃ!部屋で飲もう!」


ニックの申し出に同意し、酒を買い込み皆で飲んだ。

気が付くと皆眠っていた。相馬も眠っていたのだが寝つきが浅い。エルフの冒険者の戦いが鮮明に脳裏に蘇る。


(冒険者の試験はあのレベルの者を選別するのか。多分普通に強いんじゃ受からない。突き抜けて強くなければダメなんだ)


スキルは最強レベルの相馬だが、体術などは素人だ。スキルだけに頼らず今後は自己の研鑽も積まねばならないと考えた。

良き師に巡り合える事を祈りながら再び眠りに付いた。


その後は特に魔物に襲われる事も無く無事7日の船旅を終えて、中央大陸へと足を踏み入れたのだった。ニック達とも一旦ここで別れることになった。ニックは試験会場の有る中央都市エルバまでは1日くらいで着くことが出来る為、試験日までの時間にやりたいことがあるそうだ。


マルクもやはり一旦違う町に寄ってから試験会場に向かうという。

グリンチは船が到着したこの町に用事があるというので、結局皆この場で解散する事になった。


相馬はもう試験会場に向かおうと思い少し食料を買い込んで町を後にした。

7日ぶりの野営だが、船に乗る前に教えてもらったテクニックを駆使して簡素ながらも十分な休息を取ることが出来た。

そして、ついに目的地である中央都市エルグにたどり着いたのだった…


☆現在の相馬情報☆

{残金66921リーン}

{預金348000リーン}

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