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To be or Not to Be

夕食を終えてまっすぐ宿屋の部屋に戻る。

明日からワーカーとしての仕事をする為に今日は早く寝ようとしていた。

武器屋の店主から重要な話を聞くことが出来た。

野生の動物は基本的に夜行性が多く、狩を成功させる為には、早朝か日没間際を狙うのが良いらしい。なので、日が出る前に街を出て森に入ろうと考えていた。


それと、明日の昼には”6の数字が5に変わり”3割の利息がかかってしまう。

現在は45500リーンの負債を抱えているので、59150リーンへと増額してしまう。

現在の所持金は7483リーン。これを利息がかかる前に払えば37267リーンとなり、利息がかかった後でも48447リーンとなる。元金を減らした場合と減らさなかった場合では10702リーンの差が出るので払った方が良いのは分かっている。


しかし、所持金を全額返済に回すと獲物が取れなかった場合、飯も食えないし、道具も買えなくなってしまう。


返済するか、しないか。この判断が今後に大きく作用するのだ。

なので、とりあえず早朝に森に入り、獣を狩る事が出来るかどうかが判断材料になってくるのだ。


「とりあえず今考えても何も答えは出ない。とにかく明日獲物を獲れる事を祈って寝よう」


目を閉じて明日の成功をイメージする。

森に入ると大物がいてクロスボウの矢が刺さり、絶命する。持って帰ってお金が手に入り、無事返済完了する。

安直な脳内シュミレーションを繰り返して心を落ち着かせているだけなのかもしれない。

だが、今この瞬間には効果は絶大だったようで、気が付くと眠りに付いていた。


鳥の鳴く声が聞こえる。窓から差し込む太陽の光が瞼を越えて目に差し込む。

清々しい朝がやってきたのだ。


「うーーーん。良く寝たぁ~…ってやっちまった!!!」


朝日が昇る前に街を出るつもりがすっかり日が昇ってしまっていた。

飛び起きて、急いで服を着る。急いでるせいで前後ろに来てしまい余計に時間がかかってしまった。


「落ち着け、落ち着け俺、焦っても良い事ないぞ俺」


洋服を着終り、大きく深呼吸をする。肺が大きく膨らむのと同時に指先まで血流が行き届き体温が上がってくるのを感じる。二度三度と深呼吸を重ね、ようやく落ち着きを取り戻す。


リュックを背負い、クロスボウを肩にかけて部屋を出る。

宿を出ようとすると声を掛けられた。


「ソーマ様おはようございます。お出かけですか?」


宿屋の女性従業員だ。


「おはよう。今日からワーカーとして獣狩りをするんだ。寝坊してすっかり出遅れちゃったけどね」


女性従業員は口に手を当ててふふふと声を出して微笑する。


「ソーマ様、大丈夫ですよ、獲物は逃げません。落ち着いてください。この時間なら寝屋(ねや)で寝てると思うのでなるべく視線を低くして探すと良いですからね」


とても役に立つアドバイスを貰えた。確かに寝ている時と起きている時では見え方が違う。獲物は寝ていると考えながら探すことにした。


「あと、猪と鹿は陽のあたる山面を好んで寝床にしますからね!今から行くなら森ではなく山を目指したほうが良いですよ。ソーマ様はお持ちの武器から見ると大物狙いですよね?この辺りだと猪か鹿がいますからね!猪はシダの中、鹿は見通しの効く植林や針葉樹林の中に寝屋(ねや)を構えますから参考にしてくださいね」


女性従業員から聞けるアドバイスは無知な相馬にとってはお金を払ってでも聞きたい情報だ。

だがなぜこんなに詳しいのか疑問に思い聞いてみた。


「ありがとう!本当に助かります。ところでなんでそんなに詳しいの?」


「はい、私の祖父も父もワーカーを生業にしていましたから。よく一緒に連れて行かれたんです。懐かしい思い出ですよ。すいません時間を頂いてしまって。命あってのワーカー業ですから安全第一ですよ!」


右目を閉じてウインクしながら笑顔で送り出してくれた。彼女が結婚していなかったら思わず口説いてしまいそうだ。お礼を言って颯爽と宿を後にした。


正門から出るより西門から出たほうが山に近い。東向きの斜面を目指して走った。

神からの恩恵なのか異世界に来てから肉体が疲れを感じることは無くなった。

全力でフルマラソンを走り切れるほどの体力だ。ワーカーをやるにあたっては最高のアドバンテージになるだろう。


そのまま山の斜面まで一気に走り切った相馬は、どこから入ろうかと考えあぐねていた。

日の当たる斜面と行っても山は広い。そしていくら無尽蔵の体力だからと言って走り回っては足音で気付かれてしまう。


足跡など無いかと探してみたが見つけることは出来なかった。


「考えても分かるわけない。これはもう運ゲーだよな。もういいや。こっから登ってみよ」


適当な場所から斜面を登る。手を使うほどでもない斜面なので足場を確認しながらゆっくりと登っていく。途中立ち止まっては辺りを見回して獲物を確認するが見つからない。

風が山頂に向けて優しく吹き上がり洋服がひらひらと動く。そよ風が気持ちいい。


ふと街の方を見ると眼下の王都が一望できた。不規則に並んだ建物。まるで地中海の街並みを見ている様だった。


「すげー奇麗だなぁ。こういう瞬間は異世界にきて良かったって思うよ」


目の保養を済ませて再び山頂部を目指す。

2時間程斜面を進んでいたが一向に獲物と遭遇しない。

広大な山の中から寝屋(ねや)を見つけるのは一朝一夕では不可能に近い。

毎日足を運び山を知って初めて出来る事なのかもしれない。


だが相馬には経験を積む時間は残されていない。運に身を委ねるしかないのだ。

だが相馬はこの時気付いていなかった。運を掴むにも最低限の知識が必要だという事を。

そのままさらに3時間程歩いて山頂まで来てしまった。


「あぁなんか腹減ったなぁ。いてっ…なんだこの痛みはっ!?」


右手に痛みが走る。手の甲を見ると数字が6→5に変化していた。

慌てて”ナビ”と念じる。


………スキルを使用しますか?


頭の中に声が響く。


(YES! トップページを出してくれ)


目の前にスキルの項目別ページが現れる。右上の数字を確認すると-59150リーンに変化していた。


「しまった。時間を気にするの忘れていた。チクショウ!!」


目の前にあった石をつま先で蹴り飛ばす。これで明日には-76895リーンになってしまう。

絶対に獲物を狩らなくては取り返しがつかない事になってしまう。

空腹だという事も忘れて再び山を下っていく。同じルートでは意味がないので300メートル程横に移動して下っていくことにした。登りより下りの方が気を遣う。


木に抱き着き、また次の木へ抱き着いてを繰り返してゆっくりと下っていく。

何度も何度も繰り返しながら下る。来るときは5時間かかったが下りはさらにかかりそうだと思った。だが、獲物が本当にいない。いや、いるけど見つけられないが正解だろう。

相馬は休憩がてらスキルを発動した。


(スキル使用。ナビ、今この状況で使えるお勧めを出してくれ)


・・・了解しました。おすすめを表示します。


購入リストのオススメ一覧が目の前に現れる。


――無音

効果:自らが発生させる音を全て遮断する。自身より半径2メートルにいる者には聞こえる

回数:1回(60分継続。オンオフ可)

金額:1,200リーン


――探知

効果:発動する5分間、目をつぶると自身を中心とした半径500メートル以内を探れる

回数:1回(5分間継続)

金額:2,580リーン


――ステルス

効果:発動すると自身並びに自身が触れている物は光を屈折させ姿を消す事が出来る

回数:1回(10秒間継続。但し途中で発動の解除は出来ない)

金額:9,480リーン


――隠密

効果:気配を完全に立つことが出来る。但し姿を見られた場合気づかれる。

回数:1回(10分間継続。但し途中で発動の解除は出来ない)

金額:18,900リーン


――百発百中

効果:遠距離武器が必ず狙った場所に当る。但し武器の有効射程内に限る。威力は武器による。

回数:1回

金額:1,500,000リーン


「百発百中高っ!!ってか、探知と無音をうまく使えば獲れるんじゃないこれ!?」


スキルの金額と獲物の買取価格を比べた場合、うまく使えば収支をプラスにできると思い、使ってみようかと思った。

運に任せても金額は増えていき、どのみち完済は不可能になる確率の方が高い。

それであればいっその事スキルを使って可能性を上げた方がいいと覚悟を決めた。

負債が増える事を恐れていたが、どのみち稼げなければ死ぬ。

相馬は早速スキルを『購入』することにした…



☆現在の相馬情報☆

{残金7483リーン}

{借金59150リーン}

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