一人目
目蓋が重い
布団から起きるのがここまで辛いのかと身をよじらせる
頭はまだ眠っていた
「おはよう。もう起きろ、遅刻するぞ?」
自分の声で目が覚める
「あぁ…もうこんな時間か…」
時計を見ながら慌てて学生服に着替える
「早くしろ」「飯食う時間無くなるぞ?」
寝起きの僕を容赦無く急かして来る
朝食を素早くかきこみ荷物を背負う
今日は新学期
久しぶりに会うクラスメート相手にどう振る舞おうか
課題は前日に確認したから多分忘れてないハズ
なんて思いながら自転車にまたがる
「一学期はチキって自分から話しかけなかったからなぁ」
「新学期こそ友達作れると良いな?」
余計なお世話だ
話し相手なら居るし趣味もあるから退屈する事も無い
…強いて言えば放課後一緒に帰ってくれる人が欲しい位か…
自分に言い訳をする
家の外は辛くて苦しくて居心地が悪いから
少しでも楽な方を選びたがる
その選択で自分が傷付いた時、慰めてくれる人は誰も居ないのだから
「今は俺が居るぜ?」
あぁそうだった
僕はもう独りじゃ無かったんだ
僕が壊れてしまう前に手を差し伸べてくれた隣人
心の均等を保つために現れてくれた救世主
傷ついた時は何度も慰めてくれる
彼が居る限り僕は平気だ
少し多感でまだ何処か幼さが残る高校生
特に誇れる事も無ければこれと言った特技もない
しかし、皆と何か違う点はあるかと聞かれれば、
僕は自信を持って答える事が出来るだろう
僕は二重人格者である