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黒と黒  作者: 恋☆々
3/4

黒キ者

別名は真相編1です


それではどうぞ!

翌日の昼頃目が覚めた俺は横を見ると俺を見つめているルカが居た

「おはよう、ルカ」

”ああ・・おはよう”

そしてルカはお決まりの挨拶として俺の唇に口づけをする

俺もこの行為に抵抗はない

口づけが終わると俺とルカは二人で広間へと向かう

そこにはエヴァンとヴァンスが既におり朝食となった

朝食後に広間で寛いで居た俺達の元に執事がやって来た

「お寛ぎ中失礼します。王宮からの手紙でございます」

そこには蝋印がされた一通の手紙があった

ペーパーナイフで切って中身を見ると

内容はこうである


エイデルワース家の森にあるオリハルコンを王族に差し出す事

それから聖女に指輪と竜を渡すことで今回の不敬を不問にすると書かれている

何処までも愚かな者よ・・・・


手紙をその場で破るとヴァンスは言った

「我がヴァンス家は王と同じ王族の血を引きながらも持つ魔力の高さゆえ

 王にはなれない、その代わりに代々この領地とそれから王の言葉すら拒否する権限が与えられる

 それにだ、この国の防衛を担っているのは我がエイデルワース家だ!

 それを・・・・・今までの我らの忠義をなんだと思っているのだ!」

”やはりそうか・・・お前とイヴァンの魔力の高さ・・

 それはきっと・・・近親の者と婚姻したからであろう?”

「なぜ・・・それを!」

”わかる。俺も・・・王だ。だからこそわかる”

「王?」

”そうだ。俺は獣の王だ

お前も魔力多さゆえ不便であろう・・昨日これを作った

それをつけていれば少しは押さえられる筈だ”

俺はネックレスを口に加えて差し出した

「これは・・・美しい」

”そうだろう?

その白い薔薇はお前の魔力を吸い赤く染まっていく

赤くなった後は月の光に当てろ

そうすればまたその花は白くなる”

「そうか・・ありがたく受け取ろう

 とにかく、私は王族の要求を拒否するがいいか?」

「勿論です。到底飲める要求ではありません」

「そうだな。俺もそう思う」

満場一致で今回の要求は拒否することが決定した

その事を手紙に書くと待っている使者に渡す

彼は俺達が要求を飲むと思ったのか焦っている

「い・・・一緒に城にいかれるのでは?」

それを笑顔でエヴァンが追い返す

「いえ。行きませんよ。早く消えてもらえませんか?」

ひっ・・!と小さく悲鳴をあげて使者が城に消えて行く




「ただいま戻りました!」

謁見の間に使者が戻ってきたのだが・・・あやつらが居ない

「これはどうゆう事だ?」

「恐れながら・・・エイデルワースの者はこちらには来ないとの事です

 それと手紙を預かって来ました」

差し出された手紙を渡されたペーパーナイフで開けた


陛下へ

我がエイデルワースの土地にオリハルコンが眠ると誰からお聞きになったのか存じませんが

それは我が家の代々守りし森の恵み、それをお渡しすることは出来ません

かの森の守護者の許可なくしてその恵みを手にする事は不可能

それから今回の一件は我らが一族に非は一切ありません

まだその事をお認めにならないようですね

それでは引き続き仕事の一切をいたしません

では我々は”特権”を行使し、休暇を楽しむ事にいたします


三度目はありません

それではごきげんよう         ヴァンス



手紙を読んで王もそれから王子も驚いたのだ

まさかここまで拒否されるとは・・・・・・・・・

まぁ、いいさ

そのうち向こうから頭を下げることになるのだ

今夜の晩餐会でな



その頃のエイデルワース家では

「そういえば、本日は舞踏会ですがどうなさいますか?」

「ああ・・そういえばそうだったな。・・・いいだろう、出てやろう」

「いかれるのですか?」

「ああ・・・いい機会だろう?聖女とやらがどこまでなのか見てやろうではないか」

”クククク・・・それは面白い余興だな!それには俺も行けるのか?”

「行けるぞ。お前はイヴァンの魔獣だからな。但し見るのは庭からになるだろうがな」

”そんなことか・・・俺に考えがある。その事は気にするな”

まぁ・・奥の手に関しては追々わかるだろうが・・・

それはさておき舞踏会へと行くことになったらしいので皆が支度をしている間にやることがある

俺は庭に出ていきシルヴァンにあることを聞き色々と打ち合わせをする

おお・・・準備上々だな

イヴァンもいつもの服とは違い王子が着るような美しい服を身に纏っている

美しい濃紺の生地に銀色の刺繍が施された上着に合わせるように白いズボンそれからロングブーツ

少しだけ延びている襟足を綺麗な金のリボンで纏めている

俺はその出で立ちに少しばかり見とれてしまう

エヴァンは色違いで美しい深緑の上着をヴァンスは漆黒の上着を身に纏い

三者ともそれぞれ美しい

俺とシルヴァンは三人の乗った馬車の後を着いていく

そして3人と別れた俺はシルヴァンとテラスの前を陣取る

テラスに居る獣の殆どは俺達を見てその場を譲ったのだが、ふてぶてしいのが居るようだ

それは二匹の獣

一匹はシルヴァンと同じ白い竜でもう一匹はライオンだ

”なんだてめぇら!ここは俺様の縄張りだ!”

”そうですよ。下等なものがここに来るなんて図々しい”

何やら最初から喧嘩腰なのだが・・・小物の言うことだ、どうでも良い

俺とシルヴァンは無視をしてとりあえず中の様子に集中する

”おい!貴様!無視か!?”などとぎゃあぎゃあ騒いでいる

お・・・そろそろ入場か・・・・



一方中では客人の名前が告げられてぞくぞくと人々が入場している

そして3人も会場に入ったようだ

”まぁ・・・見て!王の言うことを聞かなかった方達よ!”

”恥知らずな!”と言う罵倒に始まり

”素敵・・・ねぇ!紹介してよ!お父様!”とチャンスが来たと勘違いするものが現れた

そんな混沌とする舞踏会である

「久しぶりだな!ヴァンス!」

「おお!久しぶりだな!オルガ!」

「ああ・・元気そうで何よりだ

 それにしても・・・これは・・・」

「そうだろう?お前もわかるか?」

「一言だけ言おう。俺はお前の味方だ」

「あはははは。そうだろう?流石はオルガだ」

どうやら旧友のようだ

俺は窓の外にルカの姿を見つけた

アイツが俺を見守ってくれている・・なんて心強い

外を眺めていると・・・視界に数人の女どもが入ってくる

「あの!イヴァン様!私をエスコートしてくださいませんか!」

「ずるいわ!私よ!」

煩い女どもを無視し俺は兄と二人壁際に行き話をする

女どももしつこくついてくる

うっとおしい・・・・・

そんな時だった

広間で聖女と呼ばれる女が突然何かを喋り始めた

その出で立ちは王族さながらの豪華な衣装と本来ならしてはいけないティアラを身に付け

そして・・・王族の秘宝である”紅の雫”を首につけている

「皆さん!聞いてください!

 この国には今悪い獣がいるのです!黒く闇の色を纏った狼です

 そしてその獣のせいでエイデルワース家の加護が王族から奪われました

 それに、ジル王子に使えるはずの聖なる竜でさえもが奪われました

 皆様、どうか・・・イヴァン様を、エイデルワース家をお救いください!」

涙を流して演説を始めた

「そうだ!聖女の言うとおり、俺が手にいれるはずの竜が奪われたのだ!

 全ては黒い獣のせいだ!」

「私も見ました」

「あれは悪い獣です!」

会場がどよめいた

そして視線はエイデルワースの人間へと移る

「本当ですかな?王への反逆行為ですぞ!」とオッサンが息巻く

それに続けと言わんばかりに罵倒の数々か続く

だが3人はケロリとしているのだ

「聖女の言うことが本当かどうか?そんなもの違うに決まっているだろう

 きちんと事実を確かめもせずに罵倒するとはなんと愚かな・・・」

父上の言うとおりだ。くだらない

そこにわざとらしく王が言う

「聖女よ・・・可愛そうに・・・」

そんな姿を見て皆の罵倒が大きくなるが気にもしていない

そしてさらに聖女は言う

「それにイヴァン様はお告げにあった私の仲間なのです!

 本来であれば聖女と一緒に旅をする仲間です

(そうよ!イヴァン様は私のお気に入りの攻略対象なんだからッ!)

 ですが・・・黒い獣に阻まれて・・・・・

 (本当にあの獣邪魔!あんなのこのゲームに居たかしら?)」

私はポロリ・・・と涙を流す

王子や魔術師の人が私を慰めながら味方してくれる

そうよ!私はヒロインなのよ・・・

あの竜もそれからイヴァン様も手にいれるわ!


その時入り口付近にざわめきが起こる

モーゼの十戒よろしく人々が避け道が出来た

その先からは美しいロングドレスに王冠をつけた貴婦人が居た

あれはーーーーーーー女王だ

そしてその後ろにはシオン様がいる

「これは私のいない間に何があったのですか?

 誰か状況を説明なさい!」

そう言うと後ろに居たシオンが女王の耳元で状況を説明した

説明を終えると持っている扇子がミシミシと音を立てた・・・・

「ほう・・・・・そんな事があったのですね・・・

 王よ。貴方はなんと浅はかで愚かな事を!

 私の居ぬ間に・・よくも・・・お前達あのもの達をとらえなさい!

 例え王であろうと構いません!」

「「はっ!!」」

全く・・・・私の居ない間に聖女の召喚ですって!?

ふざけないで頂戴!

私は入れ知恵したであろう側室の一人リリーをキッ!と睨む

あの・・・女狐め!

「貴方・・・アディー様がこちらを睨んでるわ・・・(ちっ・・目障りな女!」

カツカツと王の玉座に座ると彼女が側室や聖女達を見下ろして喋り始める

「お前達・・・私の不在の間に随分好き勝手してくれたようですね!

 私が神殿に行き、この国の行く末についてお告げを聞こうと動いて居たのに

 お告げを聞きこの城に着いた私に待っていたのは最悪の事態・・・・

 お前達の浅はかな考えでエイデルワース家の者の加護が失われた

 それがこの国にとってどれだけの損失か理解しているのか!この馬鹿者が!」

「何故そんなに起こるのじゃ・・・アディーよ!

 この国に聖女が現れたのじゃぞ!喜ばぬか!」

「・・・・・・だから貴方は馬鹿だと言うのです!

 何処に聖女がいるのです!?

 聖女とは国の巫女が認めて初めて聖女となるのですよ?

 神殿に居た私にはそのような話はありません!

 それに・・・お前達は”禁術”に手を染めたのです!

 恥を知りなさい!」

なんと・・・召喚術は禁術だったのか・・・

それはそれは・・・女王の言うことが正しいな

貴族達はなにも言えずに只見守っている

そんな中聖女が口を開いた・・・

「貴女は誰なの?私は聖女よ!

 私は女神様からこの世界に呼ばれたの!この国を守るためにね

 それにお告げがあったのよ!黒い獣は悪い獣だって

(そんなお告げはないけど、邪魔なのよ!)」

「お前!誰が口を聞いても言いと言った!無礼者ッ!」

女王が扇子で聖女の頬を叩いた

「痛いッ!なにするのよッ!(なにするのよ!おばさんのくせにッ)」

パリーン!と窓が割れて中に二匹の獣が侵入する

例の竜とライオンだ

突然現れた大型の生物に中はパニック状態

”大丈夫!聖女様”

”大丈夫だ!俺が守ってやる!”

「ありがとう(ふふふ・・・これで私の方が有利ね!)」

やがて二匹は光を放ち人の姿へと変化した

一人は銀の長い髪に美しい容姿の神官のような服を着た男

もう一人は燃え盛るような色の髪と王族のような衣装を纏った男

誰もがその美しさに目を奪われた

(きゃあ!やっぱりレオンとルイは格好いいわ!

 流石裏キャラね!)

「二人とも・・・ありがとう」

「俺達の聖女をいじめるなんて最悪だな」

「そうですね・・彼女は女神が認めた聖女なのですよ?」

だがアディーは怯むことなく告げる

「貴女が聖女?それはあり得ません

 その事実には代わりありません

 それにお告げの内容に聖女は出てきません!

 よってそのような事実はありません!

 それにお前が身に付けているそれは王族の秘宝・・・

 この盗人め・・・あのものから宝石を取り戻しなさい!」

兵士が聖女の元に向かうと獣達が邪魔をする

何度か攻防を繰り返すのだが上手くいかない

そして女王に危険が迫る

イヴァン達が王子や魔術師を取り押さえるが獣どもが・・・・

ガキィィィィン!刃物がぶつかり合うような音が響き、その風圧で煙が立ち込めた

煙が晴れると・・・・・


女王の目の前には一人の男が立っている

漆黒い髪に金色の瞳・・・それから見たことも内容な異国の衣装を纏った男が居た

その衣装は元居た世界で言う砂漠地帯の王族のような衣装だ

「お前達・・・いい加減にしないか。少々ふざけすぎだ・・・」

「なっ!お前は誰だ!」

「煩いぞ・・・小僧が・・・」

俺は女王を後ろに庇い威圧をかける

「く・・・・」

「獅子ごときがこの俺に喧嘩を売るとは・・・この愚か者が」

「まったくですね・・こちらも片付きましたよ」

やつの目の前には無様に地面に倒れている男が居た

(ちょ!なにこのイケメン!ヤバイっ!)

「あ・・・あの!何でその人をかばうんですか!」

潤んだ瞳で俺を見つめて来るが・・・不快だ

「あの・・・私マリアっていいます!強いんですね!あの・・私の仲「ルカッ!」」

聖女を押し退けて私の名を叫んだイヴァンが飛び込んでくる

「きゃっ!」と聖女は床に転がる

「ルカだろ?」

「ああ・・・そうだ。イヴァン・・・」

俺はイヴァンを抱き締める

ああ・・・ようやくだ・・・

俺はこの時を待っていたのだ

「ちょっと・・・何?何ですって・・・

 まさか・・・・・・・あの黒い獣!?

 (うそ!このイケメンが?あり得ないんだけど!

  じゃあ・・もう一人は・・・竜?)」

先ほどの美丈夫よりもさらに美しい男が二人現れたのだ

前の二人の美しさが霞んでしまうくらい

「イヴァン・・少し待ってくれ」

俺はイヴァンから離れて女王に膝まずく

「はじめまして女王よ

 俺の名前はルカ=フォン=ジルベールという

 ルカは”月”を意味し、また王の証しでもある

 俺は獣の王・・・そして夜を統べる王の一人

 以後お見知りおきを」

俺は女王の手の甲に口づける

続いて

「女王よ。はじめまして

 私はシルヴァンといいます

 私は聖なる力を授かりし竜族の一人

 以後お見知りおきを」

彼もまた反対の手の甲に口づけを送る


まるでおとぎ話でも見ているような幻想的な光景に誰もが息を呑んだ

ああ・・・・なんと美しい・・・と宮廷画家が呟く


「(え?何?何が起きてるの?

  こんなのシナリオにないわ!)」


「お前達は・・・まさか!

 そうか・・・お前達がお告げにあった!」

女王は何かに気がつきそう呟いた

俺は女王から離れるとイヴァンの所に行く

彼の首にある指輪を取り出して俺は彼に言葉を捧げる

「イヴァン・・・俺の半身、そして運命

 十六夜の満月のこの良き日に誓おう

 お前は俺の運命・・・つまり俺の”花嫁”だ

 イヴァン・・・俺と結婚してくれ」

俺は膝まづき左手の薬指に指輪を嵌める・・・・

すると蕾だったはずがゆっくりと開いていき咲いたのだ

「ありがとう・・・俺の気持ちを受け取ってくれて」

俺は指輪にそっと口づける

「ルカ・・・・・・・俺は男だぞ」

少し頬を赤らめながら呟く

「性別なぞ関係ない

 俺達は魂で”つがい”つまり花嫁を選ぶ

 性別など些細なことだ」

「ルカッ!」

俺はルカの言葉が嬉しかった

俺もアイツも男で・・・おかしいはずだ

だけど初めてアイツと出会った時に感じた胸のざわめきがこれだったのかと・・府に落ちた

「イヴァン・・俺の指にには嵌めてくれないのか?」

「そうだな・・」

ルカの左手の薬指に指輪を嵌めると・・同じように綺麗に咲いたのだ

「なぁ、薬指には何か意味があるのか?」

「あるぞ」

俺はイヴァンを抱き締めてそっと耳元で囁く

”左手の薬指はな心臓に繋がっているだろ?

だからなお前の心臓・・つまりは心が欲しいって事だ

もう一つはな聖なる指だからな、誓いを立てる指って事だ”

「なっ・・・・」

俺が囁くと顔がリンゴの様に赤くなる

ちなみにエヴァンの方も同じ状況になっている


「え?なに!男同士なんて不潔よッ(え?ホモ!?キモイ)」

「あいつ・・男が好きなのか!」

「男同士等汚らわしい」

聖女達が口々に吐き捨てる

不潔?

馬鹿が・・・

「なんと無礼な事をッ!

 ご無礼をお許しください

 私は心よりお祝い申し上げます」

女王はドレスの裾を掴み礼を取る

「女王よ・・顔をあげよ

 お前は何も悪くない

 それと祝いの言葉受け取ったぞ」

「あ・・・ありがとうございます」

何が起きたのかわからず戸惑っている貴族達


「皆に真実を話しましょう!

 私の元に伝えられたお告げはこうです!


”深き古の森より黒き王が伴侶を迎えに来るだろう

 そしてこの国を守護し、繁栄をもたらすだろう

空より来る白き竜は黒き王と対をなし、災いを退ける

この者もまた伴侶を迎え、汚れを払うであろう”


これが私が聞いたお告げです

正にそのお告げ通りです

黒き王・・・ルカ様がイヴァンを伴侶に選び

白き竜がエヴァンを伴侶に選びました!

これは我が国の吉兆の兆しです

かれらを貶めるのは良きことではありません!」


女王が告げる真実

あるものはおのがしてしまった事への不安を口にし

あるものはそれでも聖女を庇護し

あるものは祝福した


(何よ・・なによ・・・私はヒロインなのよ!

 こんなのあり得ないわッ!

 女神様ッ!私に力を)

聖女が祈ると天井が光を帯びて一人の羽のある女性が現れた

”私はこの世界の女神・・・

 この女王が告げた事はまやかしです!

聖女こそが正しいのです!”と告げる

誰もが美しい人あらざる者の登場で信じてしまうのだ

しかし、その中で彼女を違うとはっきりわかるものが一人だけいるのである


「は?お前が・・・女神だと?

 あははははは・・・笑わせてくれる!

 貴様の何処が女神だ!」

「なっ!私はこの世界の女神よ!この無礼ものっ!」

女は怒っているようだ


「無礼者はどちらだ?

 たかだか”天使”の分際で神を語るとは!」

「違うわっ!私は女神よ!(何でばれてるの!でも私にはこの神具があるわ)

 この悪魔め!天罰を食らわせてやるわ!」

この天使は杖を持ち何かを唱える

杖を振りかざすと強い光が降り注いだ

俺は片手で薄い魔法の膜を張り攻撃を防ぐ

「これでおしまいよ!」

「流石女神様ッ!(これであいつもおしまいね)」

光がやむと・・・・そこに彼らは佇んでいた

「どうしてッ!(あり得ないわ!神の力なのよッ)」

俺はあくびを一つすると

”おい。この世界の女神よ

早く来ぬと・・・・監督不行き届きでお前も罰するぞ”と神言で語りかける

すると・・・再び天井が光り

今度こそ神々しい女神が現れたのだ・・・

「・・・・・・・・これはどういう事なのかしら?」

女神は”自称女神”を睨み付ける

ヒッ・・と奇声を発する

そして女神の視線は彼女の持つ杖に向かう・・・・・

「貴女・・・私の神具を盗んだのね・・・

 この愚か者!たかだか私の神殿住まいの天使ごときが触れていいものではないわッ!」

自称女神は稲妻に打たれて地上へと墜落した

俺はその羽虫の羽を足で踏みつけた

「ようこそ、地上へ・・・天使てんしのお嬢さん」

俺は唱えた


”罪を量りし夜の天秤よ我が元へ”


俺の手元には黒と金の美しい装飾がされた天秤が現れた

「ちょっ・・・話なさいよ!」

「今さらジタバタと・・往生際の悪い」

”貴方・・・まさか・・・!?

なんて事・・・・・・・・・これは不味いわ・・・”

女神が事の大きさに震え、狼狽え出したのだ

「女神よ。そう、狼狽えるな

 お前にも罪はあるが、そう重くはない。心配するな

 まずはこの罪深い天使とそれから聖女達だな・・・」

俺の手がずぷり・・・と天使の胸へと埋もれて行く

周囲の人が”ひっ!”と悲鳴をあげる

俺がそのまま手を引き抜くとドクンドクンと蠢く心臓を手にしている

その心臓を天秤の上に乗せるとガタンッと勢い良く傾いたのだ


「これはこれは・・・随分と罪を犯しているようだな

 さてさて・・君は”有罪ギルティ”だね」

俺がパンパンっと手を叩くと地面から無数の黒い手が延びて来て騒ぐ天使を引きずり込んでいった

その余りもおぞましい光景に長い沈黙が訪れる


「さて・・次は誰かな?

 お前達が罪を認めて謝罪するならこの場は怒りを納めてあげよう

 だが、罪を認めないならあの女と同じ目になるぞ」

王子達がガタガタと身を震わせている

「さあ・・どうする?」


すると手のひらを返したように王子達が罪を喋り出したのだ

しかも、今回の事以外の罪も自白したのだ

そのお陰で彼らの罪は確定した


「私は・・・この世界のヒロインでしょ?

 なのに・・どうして?どうして上手くいかないの?

 おかしいわ!あんた女神なんでしょ!助けなさいよッ!」

とわめき出したのだ

ああ・・・そうか

俺はこの時ようやく俺がこの世界に来た意味を知ったのだ

「あんたなんなのよ!

 おかしいわ!あんたがバグなのねッ!」

彼女は懐から神気を帯びた短剣を持って俺を刺そうと向かってくるが・・・

その切っ先を指で止める

「なっ!」

その真剣をもぎ取ると天井に投げた

女神が短剣を受けとると顔が青ざめた・・・

「これは・・・神をも殺す短剣・・・・封印していたはず!

 ああ・・・・なんて事なの!

 この女!私も殺す気だったのね!」

女神の逆鱗に触れてしまったようだ

「いいわ・・・この女は私が処分しましょう

 貴方への謝罪もしなくてはいけないもの

 それにこの女はあの方へのお土産にするわ!」

女神は魔法で聖女を拘束すると鳥かごの中へと閉じ込めた

「嫌!なによこれ!出しなさいよ」

「うるさいわね!貴方の罪の数々償って貰いましょう

 では、私は行くわ

 ”     ”迷惑かけてごめんなさいね

 また会いましょう」

女神は聖女を連れて消えて行った


残された王子達はただただ泣き崩れた

「お前達の罪はとりあえずは無しにしてやろう

 但し・・・二度目はないぞ」

俺は王子達に呪いを施す

”嘘がつけなくなる呪い”をそれぞれに施した

俺は女王に話しかける

「女王よ・・迷惑をかけた

 このもの達の処遇は好きにするといい」

俺は天秤を消すとイヴァンの元に向かう

彼は熱を帯びた目で俺を見つめて

「・・・・・格好よかった」と言う

あまりにも可愛くて俺は額に口づけた

「お前は何者なんだ?」

俺か・・・

「俺は”    ”だ」

そう言うとイヴァンは驚いて「そうか!なら俺とお揃いだな」と言った


俺達二人が抱き合って微笑む中

周りはと言うと捕り物が行われ大騒ぎでお祭り状態だ


とりあえずは一件落着



さっきのやり取りはなんだったって?

それはまだ秘密


それから罪を犯した人々は牢に入れられて、順番に女王が裁く事になった

面倒くさいが俺達も後で登城するらしい

とりあえず今夜は俺とイヴァンの初夜だ


俺はこのざわめきの中イヴァンを抱えてそのまま家路に着いた

横を見ると同じことを考えて居たシルヴァンがいてお互いにニヤリと笑うとそのまま部屋へと別れて行った

今夜は美しい満月に祝福されて、これからが本番だなと俺は笑った


と言うわけで・・・若干意味深な感じで終了しました


次回は若干癒し回です

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