表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒と黒  作者: 恋☆々
2/4

災難

今回は正にタイトルそのまんまです(笑

不思議な出来事があった翌日

俺の体の上が重い・・・

瞼を開くとルカが俺を見つめていた

”おはよう、イヴァン”

「ああ、おはよう」

挨拶をした後ルカは俺のベッドから飛び降りた

俺は出勤する為に顔を洗い支度整え始める

鏡を見ると俺の両耳には綺麗に輝く二つの月がある

昨日きちんと見ていなかったのだが凄く綺麗だ・・・

それよりも、朝食を取らないと

「俺は今日も仕事がある・・・そうだ、お前も来るか?」

”いいのか?お前は騎士だろう?城に行くんじゃないのか?”

俺は驚いた

役職の話など一切していないのに・・何故だ?

”お前の身なりを見れば検討が付く

それに魔力が高いのだろう?ならば城勤めになるのは至極当然の答えだ”

「そうか。俺はお前だからいいと言っている」

”それもそうだな。俺はお前と契約している”

「ああ。それに遅かれ早かれ俺の騎士団には来ることになっただろうしな」

”ならいい”

俺とルカは二人で朝食に向かう

俺はいつもの朝食を食べるがルカは昨日の残りの肉を食べていた

食事を済ませると俺は馬に乗って城に向かう

不思議な事に俺の愛馬のラングは怯えずにルカを受け入れたのだ

”貴方は・・・王ですね。主様をよろしく頼みます”

”ああ。お前もイヴァンを頼むぞ”

”はい”

そんな会話が繰り広げられていたとは知らなかったが



「イヴァンさま、おはよ・・・っ!魔獣!」

当然門番は俺を見て警戒した

「大丈夫だ。こいつはルカ。俺の契約魔獣だ」

他のやつに魔獣と言われるのは不愉快だが

招待を安易にさらすのは得策ではないのでここはおとなしくうなずく

「そう・・ですか。では本日は登録の為に?」

「ああ、そうだ。今後も城に出入りする予定だからな」

「では、どうぞ。お通りください」

「ありがとう。行くぞ!ルカ」

俺はイヴァンの後ろに付いていき城内へ入って行った

城内に入ると視線が突き刺さるがどうでもいい

そのまま騎士団があると言う建物へ向かう

「イヴァン!おはよう」

「ああ。お前は朝から元気だなアルフ」

「そうか?・・・って?え?その獣どうした?」

「ルカだ。俺が契約した魔獣だな」

「は?え?お前と契約出来る魔獣いたのか!?」

「いたな。」

俺は側に来たルカの頭を撫でてやる

心地いいのか手の方にすり寄って来た

「ルカねぇ・・・ってか、でけぇな」

「そうか?」

「そうだろ?で?どこであったんだよ」

「俺の家の庭で会った」

「へぇ~!なにその運命的な出会い

 じゃあ、今日は登録するために連れてきたのか?」

「そうだな、俺はこいつと一緒に居たいからな」

それから俺はアルフと呼ばれた男とイヴァンと一緒に登録所に向かう

ここでも色々と驚かれたが無事に登録が済んだ

というのも、契約した魔獣と飼い主は体に同じ装飾品を付けることが義務づけられているとのこと

「お前は知っていたのか?」と聞かれて

”知らない。俺は只お前が半身だから送っただけだ”

「そうか。結果的にはよかったしな」

「なぁ、お前・・・大丈夫か?」

「何がだ?」

「その・・こいつに向かって話しかけてたろ?」

「俺はおかしくない。ルカとは会話出来るしな」

「は?マジで?」

「イヴァン様は会話が出来るのですね

 珍しくありませんよ。中には契約した者同士で会話が出来るんです」

「そうなのか・・・羨ましいな」

「お前は出来ないんだな」

「出来ないな」

この登録した男曰く、相性がいいと会話が出来る様になる事が多いようだ

と言うことはやはり俺達は相性がとてもいいのだろう

「俺達は相性がいいのか」

”当たり前だ。俺とお前は運命で繋がっている対だからな”

対?

”その内わかる。今はまだその時じゃない”と意味深な言葉を言う

その時が来ればわかるのか・・・

登録が終わり取り合えずイヴァンの団がいると言う部屋へと向かった

そこには昨日いたクリスが居た

俺はイヴァンの横をすり抜けクリスのところへ向かう

「ルカか、おはよう」

俺は頷いてルカの足にすり寄った

「お前・・案外可愛いな」と言って俺の頭を撫でた

「おい!クリス・・・大丈夫なのか?」

「ああ、大丈夫。大丈夫。こいつ、隊長の魔獣だから」

「へ?隊長の?」

「俺も昨日驚いたけど、こいつ凄く頭がいい。大丈夫だ。な?」

俺はコクコク頷き、驚いている団員の前に行き行儀よく座った

「おお・・確かに、こいつ利口そうだな」

「ルカ・・・お前」

俺は知らんふりしながらコテンと首を傾げた

ルカはわざとクリスの所に行き、自分が無害だと思わせるように誘導した

本当に賢い

「ルカ。おいで」

”ああ・・今行く”

俺はてくてくと歩きながらイヴァンの元に行く

屈んで来たイヴァンの口に俺は軽く口づけを送る

「・・・ルカ?」

”なんだ?”

何事も無かったかのようにしれっとしているルカ

それから俺はルカをつれて自分の執務室に向かった

俺は自分の机にたまった書類を片付けて行く

ルカはというと俺の横で寝そべっている

イヴァンが魔獣と契約したという言う噂が他の団にも伝わったのか人が来る

それからというものうちの団員はクリスから話を聞いているのかルカを怖がらない

優しく撫でて行くものやジャーキー等のおやつをあげるものも居た

それに比べて他の団員は怖がるものや狼と言うことで見下すものも居た

それでもむやみに襲ったりせずにのんきなこいつ

「何故怒らないのだ?」

”あんな小物に怒っても仕方がない。お前に危害をくわえなければそれでいい”

どうやらルカの沸点は俺を攻撃するかそれに該当する行為を働いた時らしい

現に俺を嫌っている団の団長であるエリクが来たときはルカが珍しく唸って居たのだ

「どうした?」

”こいつの持っている差し入れとやらが気にくわない。何かしらの薬が持ってある”

俺は業とエリクからの贈り物を受け取り早々に退散してもらう

それからこの団で薬に精通しているミリーと言う女性団員を呼んだ

「お呼びでしょうか?」

「すまないが、これを調べてくれ。エリクからの贈り物なのだがルカが危ないと言っている」

ミリーは俺を見てから頭を撫でた

「そうなの?じゃあ今から調べるわね」

ミリーは魔法を使って贈り物である果物を調べ始めた

すると・・彼女の眉間にしわが・・・

「・・・あの男っ!最低っ!!」と怒りだした

「どうした?」

「あの男・・・この果物に”媚薬”持ってました」

は?媚薬???

「それは・・・・また」

”媚薬・・・だと?あの男・・・・次同じことをしたら噛み殺す”

珍しくご立腹な様子のルカ

「わかるわ~あの男性懲りもなくまた女でも差し向ける気なのよ!」

女・・・・・・だと・・・・・

ますますあの男許せないな

「ルカ・・・落ち着け」

”・・・・すまない。少々取り乱した。が・・・あの男は敵だな

次同じ事をしたら呪うか?それとも・・・・・”

「物騒な事いうな・・・またお前が守ってくれればそれでいい」

”そうか?ならばそうしよう”

俺はルカの頭を撫でた

「いい子ですね!隊長を守るなんてとってもいい子だわ。よろしくね」

俺はコクンと頷いた

”この女はいい。仕事も出来そうだ”

「ルカがミリーは仕事が出来ていい女だと言っている」

「まぁ!ルカは見る目があるのね!」

ミリーは喜んだ後任務がある為部屋を後にした

それからも誰かしらやって来る

「イヴァン居か?」

「居ますよ」

それからイヴァンが少し年を取った様な顔をした青年が入ってきた

「お前が魔獣を得たと聞いてな・・・・その子か?」

「そうですよ。ルカと言います

 ルカ、こちらは俺の兄だ。エヴァンという」

”やはりお前の兄か・・魔力が良く似ている”

「そう?そんなに似てる?」

「兄上もわかるのですか!」

「え?ああ・・・今のはルカなのかい?」

”クク・・面白い。魔力が似ているからなのか言葉がわかるようだな”

「そうなのか?俺だけだと思ってたんだけどな・・・」

”がっかりする必要などない。俺の半身はお前だけだ。代わりなど存在しない”

「半身?」

”そうだ。お前の弟は俺の半身つまりこの世でたった一人俺と契約出来る人間の事だ”

「へぇ~」

”俺と会話出来るものは居るかも知れないが契約は出来ないな。無理だ”

「そうか!」と嬉しそうなイヴァン

「そうか・・・でもわかるな。俺のは魔獣じゃなくて聖獣でドラゴンだけど似たような事言ってたな」

”ほう・・ドラゴンか、面白い。今度会って見たいものだな”

「興味あるの?」

”そうだな、面白そうだ。お前と契約しているのだろう?ならば悪い奴なわけないからな”

「そういえば兄上は自分のドラゴンと話は出来るのですか?」

「出来るよ。でもあいつ結構おとなしてさ、こんな沢山は喋らないからな~」

”そうか、まぁ・・俺が特殊なのかもな”

「確かにお前は人間じみてるよな」

「どういうこと?」

「ルカは生肉は好きじゃないし、風呂好きだもんな」

「ぷ・・・なんだそれ!なんか親近感湧くな」

「俺もそう思う。それにこの耳飾りもルカがくれたんだ。な?」

”それは当然だ!お前は俺の物で俺はお前の物だからな。印だ、印

そういえばお前はそのドラゴンから貰っていないのか?”

「そういえば・・貰ってないな」

”・・・・・そうか。もしかしたらこれから貰うかもな”

「それはどういう意味?」

「あれか?時が来ればわかるって・・・」

”そうだな。たぶんまだ時期ではないのだろう。これ以上は本人から聞け”

そういいながら視線が泳いでいるルカ

「そうだね。これ以上は聞いてはいけないみたいだ」

「そうだな」

「それよりもいい子で安心したよ

 中にはルカの事悪く言ったりする奴も居たからね」

「俺もルカも気にしてない」

””俺はイヴァンを傷つけなければそれでいい””

「そうか、イヴァンを頼むぞ」

”勿論だ”

俺の頭をイヴァンが撫でるように優しい手つきで撫でてくる

「じゃあな。俺もそろそろ持ち場に戻る」

そういってエヴァンは帰って行った

”お前の兄は中々面白い奴だな”

「そうか。・・・・だが浮気はするなよ」

”心配いらない。俺はお前一筋だからな”

そう言うとイヴァンは笑った

それからイヴァンも仕事に戻り、揺ったりとした時間が流れた

仕事を終えた俺とイヴァンは帰りに森によって鳥の魔物を仕留めた

それを持ち帰り屋敷の皆で美味しく頂いた

それから俺達は二人で風呂に入り昨日と同じように眠りに着いた


そして真夜中・・・月光が差し込むこの部屋の光に影が出来たのだ

俺は気配に気づきムクッと体を起こしその影に飛びかかった

どさっと何かが倒れる音がした直後・・・

「きゃぁぁぁぁぁ!」と女の悲鳴が邸中に響いたのだ

”煩いぞ!小娘が!”

俺は目障りな甘い匂いのする女に向かって吠える

バサッと布が落ちる音とバタバタと足音が聞こえてくる

「旦那さま!どうかなさいましたか!」

気配に気づいては居たがそのままで居た俺の耳に女の叫び声が聞こえて俺はベッドから起きた

目の前には明らかに夜這いに来たと思われる薄着な女とその女を押さえているルカ

”イヴァン、こっちに来るな!この女”魅了チャーム”の魔法を使っている

甘くて臭い匂いだ”

「魅了の魔法だと・・・・」

”ああ。害はないが、お前に匂いが付くのは俺が許せない!汚らわしい!”

グルルルルル・・・と呻いて女を睨み付けるルカ

「これは・・・どういうことでしょうか?」

「間者だ。大方エリクの差し金だろう」

「なんと・・私は兵を呼んできます!」

執事が部屋を出ていくと他の使用人も出ていこうとしたのだが・・・

”待て!この部屋から誰も出すな!裏切り者がいる”

そうだろうな

この邸に入るにはどう考えても身内のものの手引きが必要だ

「お前達、一歩も外に出るなよ。出たら・・・斬る」

そう言うと使用人の動きが止まり、皆部屋にとどまった

執事が呼んできたのはなんと兄上だった

丁度任務の帰りで俺の家の方が近いので泊まりに来たそうだ

「どうしたの?」

「兄上・・・間者ですよ」

「間者?」

兄上はルカの側に行くと察しが付いたのか

「はっ!また?どこの”馬鹿なご令嬢”ですかね?ああ・・・貴女ですか?」

兄上は検討がついているらしく女をみた後にどこかに手紙を飛ばした

手紙は鳥の形になり窓から外に羽ばたいていく

”この女はなんなのだ!気に食わん”

「兄上・・・」

「ああ・・この女は”聖女サマ”だよ。王子お気に入りのね!

 何度も俺にお前に会わせろってしつこくてさ

 俺のドラゴンにも馴れ馴れしくて俺は嫌いなんだよ」

”聖女?ハッ!笑わせる!これが聖女だと?魔女の間違いじゃないのか?”

「魔女?どういうこと?」

”この女はな終始魅了の魔法を身に纏っている

だからな、周りにいるものは長くいればいるほどこの女の言いなりになるぞ”

「なんだって!!魅了の魔法!それはこの国では禁術だぞ!」

”ククク・・・そうか!禁術か!ますます胡散臭い女だ”

気絶していた女が目を覚ました

「・・・・ちょっ!え?何?この黒い狼!?どきなさいよッ!私は聖女なのよッ!」

”煩い!おとなしくしていろ!”

「ちょっと!私の命令が聞けないのッ!退きなさいよッ!」

女は言葉がわからないのか喚き散らす

「あ~あ、みっともない。君、人の家に何でいるの?不法侵入だよねぇ?」

「!!あっ!イヴァンさまっ・・・助けてっ。この悪い獣をやっつけて!」

悪い獣?

「そんな物はここにはいない。それにお前に名前で呼ばれる筋合いはない」

人の家に勝手に入っておきながらまず言うことがそれか

「イヴァン・・さま?まさか!この悪い獣に騙されて・・・!」

俺が騙される?

「あはははは!馬鹿じゃないのか?俺の弟が騙される?どうやって?」

そうどうやって?

そんな事を出来るとしたらそれは神様だけだろう

「それは無理だな」

「いえ!この獣なら出来ます!だって・・・この獣は・・きゃっ!」

”小娘・・・それ以上喋るならば・・・噛み殺すぞ”

「・・・ほら!隠し事してるなんて怪しいわッ!私は聖女よ!」

「だからなんだ?ルカの秘密なら俺も知っている。

 だが、その秘密をお前が何故知っている?

 ルカは俺に言った、秘密は俺とルカだけしか知り得ないと

 お前は何者だ?」

そう・・秘密は暴いてはいけないから秘密なのだ

もし他の人間が知ってしまえばそれは最早秘密ではない

「へぇ・・・それは俺も是非聞いてみたいね

 俺のドラゴンも王子のドラゴンだとか言ってたしね」

”は?それはどうゆう事だ?”

その時空いた窓のからドラゴンが顔を出した

”その女はまだそんな戯言を言っていたのか?俺のつがいはエヴァンだけだ”

”ほう・・・やはりそうか。お前がエヴァンが言っていたドラゴンか。俺はルカだ。お前の番の弟の半身だ”

”貴方がルカか、お目に掛かれて光栄です。貴方がイヴァンの半身とは喜ばしい!”

「シルヴァン?何故敬語なんだい?」

”エヴァン、ルカは俺よりも高位の存在。だから敬意を払うのは当然だ

それにしても・・・俺の次にイヴァンを狙うとは愚かな・・・”

”この小娘がお前が王子の番だと抜かしていたが・・それは無いな

俺からみてもお前達の相性がいい、それに印を持っているのだ間違えようが無い”

”おお!やはりわかるのですね?そうです、私とエヴァンの体には同じ印があります”

「印?ああ!あの花のアザの事か!」

兄上はどうやら思い当たる事があるようだった

そういえば俺の首にもアザが・・・

「そうか!アザか!」

「そういえばお前の首にもあるよね?月のアザ」

「ああ。これがそうなのか」

「なに?アザ?そんなもの関係ないわ!シルヴァンは聖獣よ?王子の使い魔になるのよ!」

「いや。それは無いな・・・ルカが言っていた

 契約出来る人間はこの世でただ一人。お互い一人しか居ない」

「そうなの?」

「ああ。兄上をシルヴァンが選んだと言うことはこの世界でただ一人の契約者って事だ」

俺がそういうと二匹の獣は首を縦に振り頷いた

””我らの主はこの世でただ一人””と言う

「そうか・・ありがとう。シルヴァン」

「ルカ・・」

「嘘よッ!あり得ないわ・・・しかも何よこの狼!こんな魔物知らないわ!」

”この方を魔物だとッ!この無礼者がッ!”

シルヴァンが怒りの咆哮をあげる

グヲォォォォと竜の鳴き声がこだまする

それからバタバタと人の足音が聞こえた

「マリアッ!無事か!ああ・・聖女に何て事を!」

「「聖女様っ!!」」

王子らしき男とそれからその従者らしい男が女に駆け寄るが・・目の前で止まった

女の目が輝き

「ジル様っ助けて!悪い獣に・・・」

ジルと呼ばれた男は俺を睨み剣を抜いてきたのだ

そして振りかざし俺を殺そうとするが・・・届かない

その剣をシルヴァンが口にくわえて外に投げた

カラン・・と間抜けな音がして剣は庭に転がった

「なっ!何故邪魔をする!お前は俺の竜だろう!」

”誰が貴様の竜だ!”

怒りは咆哮に変わり彼らを襲う

魔術師らしい男がとっさにその咆哮を阻む

”全く・・何処まで身の程知らずなのか・・・”

俺は後ろから来ていた邸の騎士に女の身柄を渡す

「ちっ・・またこの女か」

「いい加減にして欲しいものですね」

と騎士が呟く・・・

どうやら何度もこの邸に来ているらしい

「主を守ってくださりありがとうございます」

「貴方は我々の同士です」

と騎士が挨拶をしてくれる

俺も彼らの言葉に頷き、そして魔法を掛けた

勿論ディスペルの魔法だ

突然光出した騎士二人・・・

”大丈夫だ。今掛けた魔法はディスペル。つまりは魅了の魔法を無効化する魔法だ。害はない”

「隊長、彼はなんと?」

「その女の魔法が効かないようにする魔法だそうだ」

「なんと!それはありがたい!」

「流石は隊長の魔獣殿ですね!」

ありがとうございます!と挨拶をして女を確保している騎士

「ちょっと!離しなさいよ!」

騎士達は全然割れ関せずである

そして竜の咆哮を防ぎ切った男どもが喚き出した

「貴様!主に対してなんということを!」

”馬鹿だな・・・こんなのが王子とは嘆かわしい”

”私もそう思いますよ”

「ぷ・・・確かにそうだね!さてと聖女も回収したわけだし城に行こうか

 この女の管理不行き届きとそれから不法侵入について聞かないとね~」

「俺も行きます」

女と王子達と一緒に騎士が礼をして部屋から出ていく

そして着替えを済ませたイヴァンとエヴァンと共に部屋を後にする

外に出るとシルヴァンが出迎えてくれる

”これからよろしくな、シルヴァン”

”はい。勿論です”

”そうだ。後で良いものをやろう”

”いいのものですか?”

”ああ、魔石とそれから鉱石だ。贈り物に使うといい”

”それは!嬉しいです!実は探していたんですよ”

”イヴァン。俺が持ってきた物を少し分けてやれ”

「わかった」

イヴァンは俺の要求通りに小さな袋にいくつか詰めて持ってきたのだ

それをシルヴァンに渡すと

”これは素晴らしい!ありがとうございます”

俺はシルヴァンの耳元で”贈り物は指輪がいいぞ。お互いの薬指にはめるといい”というと

”心臓に近いところですね!”と嬉しそうに言った

そうだ、それだけじゃないがな

俺の言わんとすることがわかったようでお互いに目を細めた

「なんか内緒話してるな」

「そうだな。でも、楽しそうだ」

「そうだね。さてと・・城に行くか」

王子達は先に馬車に乗って城に向かっている

俺達もそれぞれの獣に乗って城に向かった

先に連絡がいっているのか門を素通りして城内に入る

真夜中はとうに過ぎて少し日が出てきている

俺はそのまま二人と一緒に謁見の間に向かう

シルヴァンは謁見の間のテラスに降りたって中の様子を伺うようだ

中に入ると王とその妃達それから他の王子もいた

二人は王の前に行くと騎士の礼をする

俺もそれに見習い一応頭を垂れる


「表をあげよ」

「「はっ!」」

「此度の騒動だが、何があったのか申してみよ」

王がそう言った時である

バンッ!!と扉が開く音がして勢い良く扉が開いた

カツカツカツ・・とブーツの音がして上をみるとダンディなイヴァンが居た

「陛下!これは何事ですか!」とえらく怒っているようだ

「落ち着け、今私も事情を聞くところだ」

「では、私も聞こう・・ん?大きな狼だな」

ダンディなおじさんは俺を見つけると嬉しそうにして頭を豪快に撫でた

「おお!この私を前に逃げないとは!」

ああ・・この人もイヴァンと同じ体質なのか

しばらく撫でると満足したのか俺の横に落ち着いた

「ゴホン・・・で?理由はなんだ?」

「理由ですか?

 陛下に置かれましては聖女様の管理についてどうお思いでしょうか?

 本日深夜に聖女ともあろう御方が私の弟の寝所に不法に侵入いたしました

 そしてそこにいる弟の獣のルカが弟を守りました

 また、私の竜が王子のモノだと言いがかりをつけられて困っております」

にっこりと笑って無言の圧力をかけるエヴァン

「しかし・・・聖女はだな、悪い獣から守るために侵入したと言っておるぞ!」

「今の話は本当なのか?エヴァンよ」

「はい。俺がこの目で確認してますよ」

「違うわッ!私はただ・・その黒い悪い獣から守ろうとしただけよ(それにもうひとつは達成したわ!」

「何が違うんだ?ルカは俺を守ってくれた

 ルカが悪い獣?それは絶対にあり得ない」

「俺もそう思う。ルカは俺のシルヴァンが敬意を払った獣だ」

そういうと皆が驚き目を見開いた

「あの・・シルヴァンがですか?」

「そうです。シオン様

 俺の竜が言っていました。彼は高貴な存在だと」

「もしそれが本当なら、ルカというものは悪ではないですね」

「違います!その獣は悪い獣です!

 これ見てください!オリハルコンです!

 この指輪を隠していたんです!こんな良い・・きゃっ!」

あの女が持っているモノを目にしたとたんに俺は全身の毛が逆立ち聖女に襲いかかる

ああ・・・!汚れてしまう!早く取り戻さなくてはッ!

体当たりをして二つの指輪を床に落とすと

グルルルルル!!と唸りながら指輪を自分の体で隠した

”貴様!許さぬ・・・許さぬぞ!!”

「何よ!返しなさいよ!(それは私のよッ!イヴァンを手に入れるんだからッ!」

突然の出来事に呆然として静まり返った

「この獣!聖女に何て事を!」

「なんと言うことだッ!これはどういうことだ?事と次第によっては許さぬぞ!」

どうやら王とこの馬鹿王子は聖女をかばう気らしい

俺は叫んだ

”おのれ・・許さぬ!この指輪は俺とイヴァンのモノだ!それを・・・この神聖な指輪を汚しおって!!”

「その指輪はイヴァンの物なのか?」

「もしかしてあの指輪か!?」

”ああ、そうだ。俺がお前に預けた、あの赤薔薇の指輪だ”

俺はその言葉を聞いて怒りが込み上げて来た

「お前・・・俺の寝所に入るだけに飽きたらず

俺がルカから預かった指輪を盗むとは!ふざけるな!この泥棒め!」

「違うわ!あれは神聖な指輪よ!聖女が持つのが正しいのよ」

それまで黙って居た男が口を開いた

「ほう・・・我が息子が大事にしていた指輪を盗んだだと?

 主である私の許しなく我が家に押し入った挙げ句に息子を狙い、あまつさえ指輪を盗んだ?

 そして言い訳が、聖女である自分が正しいと・・そういうことか?

 はぁ・・・王よ。二度目はないと言っておいたな?

 エヴァンの竜を寄越せと言った事は不問にした・・・その時に言ったよな

 例え旧友のお前であっても二度目はないと・・・

 約束を破ったのはお前だよな?」

「お・・・おい。まさか・・・」

「ああ。俺は・・・いや、我が一族は暫く全ての仕事はしない

 お前が罪を認めて反省するまでは休暇だ

 帰るぞ!」

「「はいッ!」」

「お待ちください!どうか・・・ご慈悲を!」

「王妃であってもそれは聞けないな」

俺はこの男達と変えるべく指輪を犬歯に嵌めて走り出す

イヴァンの横に行き彼の手の平の上にそっと指輪を差し出した

彼はその指輪を受けとると隊服の紐を契り通すと大事に首から下げた

後ろでは聖女が喚き、王族達はもめて居た

振り向く事は一切せずに家に帰宅する

家に着くと三人は広間に集まる

そして着いてきていたシルヴァンは外の警護をするため入り口前を陣取った

俺は勿論三人と一緒に中に入る


「さてと・・・全く王もあの第一王子の馬鹿さ加減にも困ったものだな」

”ああ、この俺のイヴァンをモノにしようだなどと・・・ふざけるな”

俺の声を改めて聞いて驚いたのか

「おお!やはりあの声はお前だったか!

 私はヴァンスという。お前の名前はルカだったな」

”ああ、そうだ。俺はルカ、イヴァンの半身だ。よろしく”

俺は頭を下げて挨拶をする

「こちらこそ、よろしく。

 お前は礼儀正しく、そして賢いのだな」

「父さんもそう思いますか?」

「ああ。で?もう一度詳しい話をしてくれるか?」

俺は今までの経緯とそれから今日起きたことをを全て話した

「と言うわけで・・・俺達は一切悪くありません」

「あの女はルカ曰く”魅了の術”を周りの者に掛けているとの事です」

「なに?魅了の術だと?」

”確かにあれは使っているが、王やあの王子は例外だ。懸かっていない

 あやつらはおのが欲の為に聖女の味方をしているだけだ。”

「そうなのか!?」

”そうだ。懸かっているかどうかは匂いでわかる。あれは違う”

「だとしたら・・・なおのこと悪いな」

「そうですね。王族の癖に」

「そうだな。それに・・・俺の大切な指輪を盗もうとした」

俺は首に下げた二つの指輪を手に取り見つめた

今だつぼみの形の宝石のついた不思議な指輪だ

「そうだな。あの女め!」

聖女とかいう女はその立場を利用し様々なお願いと称した”わがまま”を言うのだ

「そういえばあの女がオリハルコンがどうとか言っていたな・・・」

”あの女め・・・余計な事を!この俺が争わぬように秘密にしていることをペラペラと!”

「その話聞いても良いか?」

俺はこの家の持つ森の奥にオリハルコンが眠っていること

但し奥地の為人では到底取りに行く事は不可能だ

それに彼処は精霊が住んでいて辿り着く事事態が不可能なことを説明した

「なるほど・・確かにそれは無用な争いを起こしかねないな」

”あの森の主は多分・・・精霊女王だぞ。もし不敬を働けばどうなることか・・・”

「「「精霊女王!?」」」

”ああ、そうだぞ。あれは間違いなく精霊女王”ティターニア”だ。

俺は彼女よりも高位の存在、だからこそ分けて貰ったのだ。ただそれだけだ”

「精霊女王よりも・・・高位だと?」

”そうだ。いずれ然るべき時が来ればわかる。今はその時ではないのだ”

「そうだな。確かにお前は高位の存在だな」

「お前は知っているのか?」

「俺はルカの契約者だ。当然だろ?」

「俺も、シルヴァンが敬意を示したからね。信じるよ」

「今日はもう遅い・・・このまま休む事にしよう」

俺達は休む事にした

皆で軽く食事を済ませて風呂に入る

それからそれぞれの部屋で眠りについた




外には綺麗な満月が輝いていた

俺はそっと窓を開けて外に出ると満月を見つめた


ああーーーーーー力が溢れて来る

俺は月光浴で自分の魔力を回復させる

来るべき時の為に


と・・言うわけで事件は続きます

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ