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統合失調症

心をこめて掃除しようと思う。

作者: 星野☆明美

昔から家の家事は母におしつけていた。

結婚して夫と二人暮らしのとき、散らかり放題で、部屋でウズラやミドリフグを飼育していたので、よく夫が不満を言わないものだと思った。

掃除しないのにウズラは真新しい砂浴びの砂をもらって頬ずりしてから砂を撒き散らした。掃除しないのにミドリフグの水は常にキレイに保ち、さらにハコフグやキンチャクフグの水槽が増えていった。

家の外では睡蓮の鉢にメダカが異常繁殖し、金魚が数匹でっかくなってゆらゆら泳いでいた。

夫が車を運転できないので、私が洗車したことがない車でどこそこ連れて行った。

新婚のときは夫が仕事から帰ってくるのを見計らって押入れや浴槽に隠れて息を凝らしていた。押入れ妖怪だった。

統合失調症の症状で幻聴が薬を飲ませなくして、幻覚が現れた。夫も統合失調症だった。それでも穏やかないい人だった。

夫と離婚した後、毎日のように電話で話をする。

夫と離婚した後、作業所の若い男の人に恋をした。結局彼は知らない人と結婚してしまった。

調子を崩して作業所を辞めた。

A型作業所で休みながら2年働いていたのでぎりぎり失業保険がもらえることになった。

母と同居が始まり、また家事をやってもらっている。以前よりはたまに自分で家事をする。

高校の時、友人が手のひらを上にさせて、「爪を見せて」といった。一度、指を曲げて自分で確認してから手の甲を上にして友人に見せた。

「ずぼらかどうかわかんない」と彼女は言った。

指を曲げて見せるとずぼらだそうだが、手の向きを手の甲を上にして見せると丁寧なんだそうだ。

中学の時、木製の床を雑巾で拭くとき、水気を切らないで拭くと木の床が白くなる。私は堅く絞った雑巾でピカピカに磨いて、先生方が写真にまで撮られた。

勤めていた作業所にB型で再度チャレンジを始めた。

パソコンと掃除。

以前、ビルの掃除の仕事をしようとしたら幻聴が高学歴でその仕事は駄目だといった。

高学歴でも、四十代、統合失調症。

作業所の若い男の人はずいぶん仕事ができる大人になっていた。

彼とは不思議な腐れ縁があると思う。もう恋は消えてしまったけれど、彼のために作業所の掃除を頑張ろうと思った。

今からでも変われるだろう。頑張ろう。

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― 新着の感想 ―
[一言] 私もとんでもないズボラで、部屋は足の踏み場がないほど散らかっているのですが、特定の場所だけはキチンとしています。 そこが私のこだわりポイントなのかもしれません。 掃除は心を整えるものでもあ…
2019/05/23 08:37 退会済み
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